シビック▲マイナーチェンジ前の現行型ホンダ シビック。日本ではひと回り大きくなった8代目から導入が見送られていたが、旧型の10代目から復活。現行型は11代目となる

現行型ホンダ シビックが初めてのマイナーチェンジ

ヨーロッパやアメリカをはじめ世界各地で販売されているグローバルモデル、ホンダ シビック。日本では8代目と9代目は導入されなかったが、10代目で復活。そして2021年9月に現行型の11代目がデビューした。

トヨタ カローラスポーツやマツダ MAZDA3など、世界に目を向けるとフォルクスワーゲン ゴルフやメルセデス・ベンツ Aクラス、BMW 1シリーズなどがライバルとなる。

登場して3年が経ち、2024年9月に初めてのマイナーチェンジが行われた。併せて価格も見直され、最廉価グレードでいえばデビュー時と比べて約26万円高くなったこともトピックだ。

魅力に磨きがかけられたマイナーチェンジ後の新車は当然魅力だが、マイナーチェンジの内容をつぶさに確認してみれば「これだったらマイナーチェンジする前の、前期型の中古車でも十分だな」と思える人もいるはずだ。

そこで今回は、11代目シビックのマイナーチェンジの内容を検証しつつ、前期型の中古車の相場状況やオススメの選び方などを紹介していくことにする。
 

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ホンダ シビック(11代目)×2021年9月~2024年8月生産モデル×全国
 

【マイナーチェンジの内容】走りの新グレード「RS」が追加された

まず肝心なのは「マイナーチェンジで何が変わったのか?」ということだ。マイナーチェンジの変更点は主に下記の4点がある。

・フロントバンパーのデザイン変更
・e:HEVが2グレードに増加
・新グレード「RS」の追加
・「Honda CONNECT ディスプレイ」や「ホンダセンシング」が進化

 

シビック▲こちらは前期型のフロントデザイン
シビック▲そしてこちらが後期型。「よりシャープで精悍な」フロントバンパーになったとメーカーはうたう

デザインではフロントバンパーが変わった。しかし正直、隣に置いて比べなければどう変わったのか分からないし、どちらが後期型かなんて、車好きでも即答するのは難しいだろう。

一方、市場ニーズを受けてグレード構成は結構変わった。これまでハイブリッド車のe:HEVは1グレードだったが、今回のマイナーチェンジで廉価グレードの「LX」と、上級グレードの「EX」の2グレード体制となった。

けれど装備内容を比べると、前期型のe:HEVは、パノラミックサンルーフがないことと、後述する運転支援技術の進化などを除けば、後期型の「EX」の装備内容に近いと言える。

さらに、1.5Lガソリン車には新たに6速MTのみの「RS」が加えられた。ホンダ好きならそのグレード名でピンとくるだろうが、減速時にエンジン回転を自動で調整してスムーズにギアシフトをしてくれるレブマッチシステムが備わるなど、走りの楽しさが追求されたグレードだ。
 

シビック▲新グレードのRS。荒れた路面でもボディの揺れを抑制する専用サスペンションや、意図どおりに減速&停止するための専用ブレーキを装備する

これに合わせて、従来1.5L車に設定されていた6速MTが廃止され、RS以外の1.5L車のトランスミッションはCVTのみとなった。

その他、カーナビやオーディオなどを操作する「Honda CONNECT ディスプレイ」は従来から全車に標準装備されていたが、マイナーチェンジでGoogleが搭載された。これによりGoogleアシスタントによる音声操作や、Googleマップなどの利用がスムーズになった。

さらに、先進運転支援機能「ホンダセンシング」も、衝突被害軽減ブレーキの作動領域や対象が拡大されるなど、より安全性が高められた。

以上が、2024年9月のマイナーチェンジの内容だ。

併せて前述のとおり価格が見直され、実質的な「値上げ」となった。具体的には、デビュー時の1.5 LXは319万円だったが、原材料価格や物流費高騰を受けて行われた2023年7月の改訂では324万600円に、そしてマイナーチェンジでは344万8500円。つまりデビュー時からは25万8500円、2023年7月より20万7900円上がったことになる。

しかも、新グレードの1.5 RSは419万8700円、最上級グレードのe:HEV EXは430万7600円といずれも400万円オーバーだ。

ここから言えるのは「マイナーチェンジモデルの見た目や少しでも安全性が高いもの、またはスポーティグレードのRSに魅力を感じるなら後期型一択だが、もしそうでないならお手頃な前期型でも十分じゃない?」ということだ。

でも本当に前期型で十分なの? といぶかしむ人のためにも、下記で11代目(現行型)シビックの前期型について解説しておこう。
 

 

【モデル概要】ドイツ勢に負けない“爽快”な走りが味わえるスポーツハッチバック

シビック▲ハッチバック、というよりドイツメーカーのように4ドアクーペと名乗ってもいいようなフォルム

2021年9月に日本へ導入された11代目(現行型)シビック。旧型(10代目)ではセダンボディも導入されたが、11代目ではハッチバックのみとなった。

グローバルモデルゆえ、ヨーロッパでは同クラスの基準車であるフォルクスワーゲン ゴルフやメルセデス・ベンツ Aクラス、BMW 1シリーズといったライバルに負けない高い走行性能が求められる。

そこで現行型シビックでは「爽快シビック」というコンセプトのもと、ドライバーと車が一体となった軽快な走りが追求された。

そう書くと、走り好きにしか恩恵がなさそうに聞こえるかもしれないが、いやいや、“軽快な走り”というところがミソで、何気なくいつもの交差点を曲がっただけで、あるいはふいにアクセルをちょんと踏み込んだだけで「あ、何か楽しいかも!?」と感じることができるだろう。つまり、通勤でも通学でも買い物でも、乗るのが楽しみになるってことだ。

そのためには、エンジン(ホンダお得意のVTECターボ)や2022年6月に追加されたe:HEV(2L+モーターのハイブリッド)の、アクセルに対する、踏んだら踏んだ分だけ瞬時に応えてくれる即応性や、ステアリングを切ったドライバーの意図をくみ取るかのように的確に向きを変える緻密な制御、それをかなえるための足回りのセッティングやボディ剛性などが徹底的に磨き上げられた。
 

シビック▲移動の楽しみを邪魔しないよう静粛性も高められている

一方、機能面では他のホンダ車同様、先進運転支援機能「ホンダセンシング」が全車に標準装備されている。

その他、カーナビやオーディオなどを操作する「Honda CONNECT ディスプレイ」は全車に標準装備。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応している。
 

シビック▲余計なラインが排除されたシンプルなデザイン。標準装備される9インチの「Honda CONNECT ディスプレイ」はタッチスクリーン
シビック▲旧型(10代目)より前後席間が広くなった車内空間
シビック▲ラゲージ容量は旧型(10代目)より32L広い452L。ゴルフバッグが3個積める

マイナーチェンジではGoogleアシスタントが採用されたが、前期型でもCarPlayなどでGoogleマップは使えるし、もちろんスマホの音楽も聴ける。後期型より機能が少し少ないとはいえ、ホンダセンシングのおかげで高速道路での渋滞時も楽ちんだ。だから前期型でも、十分快適なカーライフを送ることができるはずだ。

では、現時点でどんな前期型シビックが中古車として流通しているのだろうか。そして、今中古でシビックを狙うならどんなものがオススメか。詳しく見てみることにしよう。
 

 

【オススメ中古車1】総額約300万円から走行距離1万km未満が狙える「1.5 EX」

シビック▲1.5EXには同社初となるアダプティブドライビングビームが初採用された。これはハイビーム照射中に、先行車や対向車を検知すると自動で照射範囲をコントロールして、まぶしさを与えないようにする機能だ

現状執筆時点での掲載台数は約130台。価格帯は約230万~400万円で、平均価格は約304万円、平均走行距離は約1.5万kmだ。デビューからまだ3年しか経っていないこともあり、まだまだ良コンディションのものが狙いやすい状況だが、お得な中古車も多い。

この中でオススメしたいのが、走行距離1万km未満が総額約300万円から狙える「1.5 EX」。掲載台数が最も多く選びやすいというメリットもある。

「1.5 EX」は1.5Lターボを搭載するモデルの上位グレードで、前席電動シートが備わり、BOSEプレミアムサウンドシステムが標準装備で、ワイヤレス充電器も付いている。

装備が充実しているにも関わらず、走行距離1万km未満でも保証の充実しているメーカー系販売店で総額約300万円から狙える。

新車時の車両本体価格が353万9800円、マイナーチェンジ後は379万8300円だから、諸費用を考えると新車時より約70万円、マイナーチェンジ後の新車より約90万円も低い価格で購入できる計算だ。

そう考えると、前期型の1.5 EXは十分お買い得ではないだろうか。
 

▼検索条件

ホンダ シビック(11代目)×「1.5 EX」×全国
 

【オススメ中古車2】e:HEVモデルも走行距離1万km未満が総額約350万円から狙える

シビック▲新開発された2Lエンジンと、モーターやバッテリー、制御ユニットなどが見直されたハイブリッドユニットを搭載

せっかく現行型のシビックを狙うなら、ハイブリッドモデルを選びたいという人も多いだろう。

前期型のハイブリッド(e:HEV)モデルは、先述のとおり1グレードのみ。原稿執筆時点で走行距離1万km未満でも総額約350万円から見つけることができる。新車時の車両本体価格が394万200円だから、諸費用を考えると約60万円も下回る金額で手に入ることができる。

前期型のe:HEVは、後期型のe:HEVモデルの上級グレード「EX」の装備内容に近い、充実した機能が備わる。

しかもWLTCモード燃費24.2km/Lながら、「爽快スポーツe:HEV」とうたうように、圧巻の加速力や、滑らかな操作フィールが味わえる。

そもそもe:HEVは主にエンジンが発電してモーターで走り、エンジンは高速道路など効率のいい場面で駆動力を発揮する。一方で、モーターの方がエンジンより緻密な加減速の制御を行いやすいから、ガソリン車より「意のままに」走れるというわけだ。

上記ガソリン車の1.5 EXよりは予算が必要だが「低燃費なのに爽快な走り」が手に入るのだから、ぜひ検討してみてほしい。
 

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ホンダ シビック(11代目)×「2.0 e:HEV」×全国

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ホンダ シビック(11代目)×全国

※記事内の情報は2024年10月2日時点のものです。

文/ぴえいる、写真/尾形和美、ホンダ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。