エンジンルーム▲車の不調を感じ取る方法のひとつが、音に気を配ること。異音がしたら「大丈夫」と過信せず、早めの対応を心がけよう

エンジンから聞こえてくる「カラカラ」という異音。走行中にそんな音がしたら、思わず不安になる方も多いでしょう。実際、カラカラ音はエンジン内部のトラブルを知らせるサインであるケースがあり、放置すると重大な故障につながる恐れもあります。

車の心臓部ともいえるエンジンの機構は、車を構成する多くの部品の中でも複雑。異音が発生した際には原因を正しく把握したうえで、すみやかに対処することが大切です。

そこで今回は、エンジンから聞こえる「カラカラ音」について解説。音が鳴る主な原因や対応、さらにカラカラ音以外の異音についても紹介します。愛車から気になる音がしたときに、ぜひお役立てください。
 

 

エンジンからカラカラ音がするタイミングによって原因と対応が異なる

そもそもエンジンは稼働中、特に始動直後は異常がなくてもカラカラとした小さな音が発生することがあります。しかし、普通に走っている状態で意識しなくても聞こえるほど大きな場合は、不具合が発生している恐れがあるので要注意です。

まずは、どのような状況でカラカラと異音が聞こえるのかを把握しましょう。アイドリング時なのか、一定速度で走行中なのか、思い切りアクセルを踏んだときなのか、不具合が発生しているタイミングがわかれば原因や対処法を発見しやすくなります。
 

音の発生タイミング 考えられる主な原因
エンジン始動直後 プーリーやベアリングの不具合
加速時 ノッキングの発生
常にカラカラ音が鳴っている エンジンオイルの不足・劣化
エンジン・ミッションマウントの不具合
マフラーの異常
ボンネットフードのがたつき
音の発生タイミング 考えられる主な原因
エンジン始動直後 プーリーやベアリングの不具合
加速時 ノッキングの発生
常にカラカラ音が鳴っている エンジンオイルの不足・劣化
エンジン・ミッションマウントの不具合
マフラーの異常
ボンネットフードのがたつき
 

エンジン始動直後・低速時にカラカラ音が鳴る場合の原因と対応

まずは、エンジンの始動直後や低速時にカラカラと音が鳴る場合の原因と対策について解説します。
 

考えられる主な原因:プーリーやベアリングの不具合

エンジンプーリー

始動直後や低速時に異音が鳴る主な原因のひとつとしては「プーリー」や「ベアリング」の不具合が挙げられます。

プーリーは、エンジンプーリーやクランクプーリーなどとも呼ばれます。これは、ベルトを介してエンジンの回転をオルタネーター、ウオーターポンプ、エアコンのコンプレッサーといった「補機類」に伝える滑車のこと。内部にはベアリングが備わっており、破損しガタが出ると「カラカラ」とした異音が発生することがあります。

高速で回転するプーリーは基本的に摩耗する消耗品。定期的な点検が欠かせず、摩耗が進んだら交換が必要です。
 

プーリーやベアリングの不具合が発生した場合の対応

プーリーやベアリングの不具合は、早めの修理・交換が大切です。プーリーやベアリングが破損すると、補機類に動力が伝わりません。エアコンのコンプレッサーが停止したなら、エアコンが作動しなくなります。

また、オルタネーターが動かなくなったなら発電ができず、電装系が使用不能に。ウオーターポンプが止まった場合は、冷却水の循環が停止。エンジンがオーバーヒートしてしまいます。オーバーヒートはエンジン内部に深刻なダメージを与えることも多いため、修理代も高額になる恐れがあります。

トラブルを最小限に抑えるためにも、カラカラ音に気づいたら早急に対応しましょう。
 

 

加速時にカラカラ音が鳴る場合の原因と対応

次に、加速時に異音が発生した場合です。このときに考えられる原因としては、エンジンのノッキングが挙げられます。
 

考えられる主な原因:ノッキングの発生

ノッキング

ノッキングとは、エンジン内部で異常燃焼が起き、金属音や振動が発生している状態です。

現代のエンジンは「吸気、圧縮、燃焼、排気」の4工程を繰り返す4サイクルガソリンエンジンが主流。吸気工程でガソリンと空気の混合気をシリンダー内に吸い込み、ピストンで圧縮、点火して混合気を爆発させ、ピストンを押し下げ運動エネルギーを生み出します。

近年の車は、センサーからの情報をコンピューターで処理。最適な燃料や空気の量などを緻密にコントロールしています。この際、なんらかの原因で狙ったとおりに燃焼せず異常燃焼してしまうことも。その際に音や振動が発生するのです。
 

ノッキングが発生している場合の対応

ノッキングが発生すると、異音や振動だけでなく、加速感が悪くなったりします。そのため、比較的判別しやすいとも言えますが、その原因は一概に判断できません。「ノックセンサー」の異常やカーボンの堆積、不適切な燃料の使用や点火タイミングのズレなどが考えられます。いずれにせよプロに点検・修理してもらうのが肝要です。

もちろん、ノッキングが軽微であれば大きな問題に発展しないケースもあります。しかし、おさまらないとパワーが出ないだけでなく、エンジン内部で金属同士が破損してしまったり、ひどいとエンジンに大きな穴が空いてしまったりする恐れがあります。

もしエンジンが故障や破損によって深刻なダメージを負った場合、走行不能となるので要注意です。
 

 

カラカラ音が常に鳴っている場合の原因と対応

常にカラカラと異音が発生している場合はどうなのでしょうか? 考えられる要因はいくつかあり、深刻なものから少し気をつければ改善できるものまで多岐にわたります。
 

考えられる主な原因

  • ① エンジンオイルの不足・劣化
  • ② エンジン・ミッションマウントの不具合
  • ③ ボンネットフードのがたつき
  • ④ マフラーの異常

考えられる主な原因①:エンジンオイルの不足・劣化

エンジンオイル

エンジンオイルとは、その名のとおり、エンジンに用いるオイル。エンジン内部のパーツの潤滑や密封、冷却や清浄など、その役割は多岐にわたります。「エンジンの血液」と言っても過言ではないでしょう。

エンジンオイルは燃焼とともに劣化。古い車であればオイルを消費して徐々に減ってしまう車種もあります。定期的なチェックや交換・補充が求められますし、オイルをろ過するオイルフィルターも定期的な交換が必要です。

エンジンオイルが不足すると、潤滑がうまくいかずエンジン内部の損傷やパワーダウン、燃費の悪化などを引き起こします。
 

エンジンオイルの不足・劣化への対応

エンジンオイルの状態は、レベルゲージを見て、自分でチェックすることが可能です。しかし、異音が発生するほどオイルが不足・劣化した場合は、かなりダメージが進んでいることも考えられるため、早めに点検した方が良いでしょう。

そもそもエンジンオイルの交換は基本的なメンテナンスのひとつ。半年に1回などルールを決めて定期的に交換するのがオススメです。
 

ハシモトタカシ

ハシモトタカシエンジンオイルの交換頻度はメーカーや車種、使用方法などによって異なり、オイルの粘度も車ごとに指定されています。

考えられる主な原因②:エンジン・ミッションマウントの不具合

エンジンマウント

考えられる原因の2つ目は、エンジン・ミッションマウントの不具合です。

エンジンやトランスミッションは、いわば金属の塊。常にブルブルと大きく振動をしているため、振動を吸収するゴムのマウントを用いてボディに固定するのが一般的です。

ただ、劣化したゴムは固くなるため、時間の経過とともにエンジンやミッションの振動がよりダイレクトに車内に伝わり振動が大きくなります。加えて、ゴムが割れてしまった場合など、エンジンやミッションが正しく固定できていない状態になると、金属同士が擦れたり当たったりして、異音や振動が発生するのです。
 

エンジン・ミッションマウントの不具合への対応

エンジン・ミッションマウントの不具合を解消するには、交換が必要です。マウント自体の値段はひとつ数千円。固定する箇所も3~4つ程度なので、パーツ代もそこまで高くありません。

しかし、自分で交換するには難易度が高く工具も必要なため、ディーラーや整備工場など、プロに任せる方が賢明です。

エンジン・ミッションのマウントは普段なかなか意識することはないでしょうが、重たいエンジンやミッションを支え、振動を軽減してくれる重要なパーツ。古い車は振動が大きくなったり、MT車であればシフトが入りづらくなったりするなど、様々な不具合が出ます。固定用ゴムの劣化が疑われるなら、早めに対応しましょう。
 

考えられる主な原因③:マフラーの異常

マフラー

考えられる原因の3つ目は、マフラーの異常です。

マフラーは、エンジンから発生する高温・高圧の排気ガスを冷却・減圧し、騒音を抑える装置。マフラーからの異音には様々な種類があるものの、カラカラまたはガラガラといった金属音なら、触媒の破損や固定ボルトの緩みや劣化による振動などが原因と考えられるでしょう。

異音が大きいなら、腐食などによる排気漏れの可能性も。特に雪の降る地域では、冬場凍結防止の塩化カルシウムを路面にまくことが多く、サビの原因となることがあります。
 

ハシモトタカシ

ハシモトタカシ塩化カルシウムによるサビは、下まわりの洗浄をこまめに行うことで抑制できます。

マフラーの異常への対応

マフラーからの異音は、原因を把握することがポイント。しかし、複数の原因が考えられますし、特定には車の下に潜って点検する必要があるため、プロに見てもらうのが最もスムーズです。

軽微な穴ならパテで補修するなど短時間の修理で済みますが、症状が重度でマフラーを交換する場合などは時間がかかることも。少しでも異常を感じたら、悪化する前に手を打ちましょう。放っておいたらマフラーが脱落した……なんて事態にも発展しかねません。
 

考えられる主な原因④:ボンネットフードのがたつき

エンジンフード

そして、カラカラ音の原因として考えられる4つ目は、ボンネットフードのがたつき。音の発生箇所が近いため、エンジン内部からの異音と勘違いする可能性があります。

ボンネットフードががたつく原因となるのは、ボンネットを支えるラバーの劣化や破損など。また、車体をぶつけてしまった場合などは、ボンネットとバンパーやフェンダーの隙間から空気が入ることで、振動を起こすケースもあります。

通常の走行ではがたつきに気づきにくいこともありますが、高速走行時にカラカラ音が発生したり音が大きくなったりするなら、ボンネットフードが原因の可能性も。一度、状態を確認してみましょう。
 

ボンネットフードのがたつきへの対応

まずは、しっかりと最後まで閉まっているかを確認すること。給油口のオープナー(レバー)を引いたつもりでボンネットをうっかり開けてしまっていた、というミスもあり得ます。

次に、ラバーを点検し、劣化や剥がれがないか確認してください。風であおられたりした際にボンネットとボディを固定するストライカーが緩んだり歪んでいることもあるので要チェック。この2つが原因なら、ディーラーや修理工場などで直してもらいましょう。
 

 

エンジンのカラカラ音以外の異音にも要注意!

車からの異音は、故障など車が正常ではないことを示すひとつのバロメーターです。以下に、カラカラ音以外にも注意を払うべき異音と、考えられる要因をまとめました。
 

音がする箇所 異音の聞こえ方 主な原因
エンジン キュルキュル 補機を駆動するゴム製のファンベルトの不具合の可能性。経年劣化によるひび割れや緩みなどが原因で、放置するとベルトが切れて走行不能になる恐れも
ブレーキ キーキー ブレーキの引きずりやブレーキパッドの摩耗で発生することが多い。ブレーキは安全に直結するため危険
マフラー ボボボ マフラーの排気漏れやエンジンに関するトラブルの兆候。原因は多岐にわたる
エアコン ウォーン エアコンのコンプレッサーの故障。走行不能になることはないが、猛暑の中エアコンなしで走るのはNG
足元 ボコボコ サスペンションの異常の疑い。走行に影響する可能性があるので要注意
音がする箇所 異音の聞こえ方 主な原因
エンジン キュルキュル 補機を駆動するゴム製のファンベルトの不具合の可能性。経年劣化によるひび割れや緩みなどが原因で、放置するとベルトが切れて走行不能になる恐れも
ブレーキ キーキー ブレーキの引きずりやブレーキパッドの摩耗で発生することが多い。ブレーキは安全に直結するため危険
マフラー ボボボ マフラーの排気漏れやエンジンに関するトラブルの兆候。原因は多岐にわたる
エアコン ウォーン エアコンのコンプレッサーの故障。走行不能になることはないが、猛暑の中エアコンなしで走るのはNG
足元 ボコボコ サスペンションの異常の疑い。走行に影響する可能性があるので要注意

もちろん、これはあくまでも一例です。普段とは異なる音がしたら、早めに対応しましょう。

車の不具合は自分で修理できないものが多くなっています。万が一の場合を考慮し、ディーラーや販売店、整備工場で点検してもらってください。
 

ハシモトタカシ

ハシモトタカシもちろん、目に映るトラブルがないか確かめることも大切。少しでも違和感を覚えたら、きちんとプロに見てもらいましょう。

 

カラカラ音などの異音が鳴らないように点検・修理を徹底しよう

メンテナンス

車を維持するうえで、最も重要なのはトラブルが発生しないように日頃から整備すること。ディーラーやカー用品店、整備工場などに車を持ち込み、定期的に点検してもらいましょう。もし不具合が見つかったら、放置せず修理してください。

中古車選びでも、しっかり手入れされた物件を選ぶことが基本。車は機械の集合体なので、経年劣化などで不具合を起こす可能性はゼロになりません。だからこそ、きちんとメンテナンスを受けた物件を選ぶのがベターでしょう。
 

▼検索条件

全メーカー(指定なし)
文/ハシモトタカシ 写真/AdobeStock
※記事内の情報は2026年3月13日時点のものです。
ハシモトタカシ

自動車ライター

ハシモトタカシ

大学時代はプロダクトデザインを専攻する傍ら、自動車系ニュースサイトで学生記者としてアルバイト。卒業後は大手自動車ポータルサイトに入社し、広告営業・編集者として約10年間コンテンツ制作に従事し独立。愛車でサーキット走行に興じる傍ら、車3台・バイクを3台を所有し大型免許も保有する無類の乗り物好き。