愛車を眺めるために何よりもガレージを最優先

ザガートをこよなく愛し「車の隣で寝てもいい」とまで言い切る施主そんな想いを形にしたガレージハウスは、家そのものが愛車のための空間となっている

ともに車好きだから実現した大胆なプラン

じつは今回の物件は、以前に一度訪れている。それから6年ほど経っているのだが、屋内外ともに当時とまったく変わっていないことに驚いた。いわゆる使用感や生活感がまったくないのだ。オーナーの几帳面な性格も影響しているのだろうが、この家に対する満足度が高いからこそ、オリジナルの状態をいつまでも保つ努力を惜しまないということなのだろう。

この家は、一般的なガレージハウスとは大きな違いがある。それは、1階のほとんどがガレージスペースになっているという点だ。この思いきったプランを提案した建築家は、松永基さん。本誌でも何度かご登場いただいているカーフリークである。

施主のSさんは、自邸を新築する際に複数の建築家によるコンペを行った。Sさんが出した建築条件は、
(1)屋内に2台、屋外に1台駐車スペースを確保する。
(2)料理が趣味なので、友人を招いてパーティができるような
キッチン&リビングが欲しい。
(3)ゆっくり入れる風呂が欲しい。
(4)ローコストにこだわりたい、 というもの。

コンペの結果、「松永さんのしっかりしたコスト管理と、プランのカッコよさに惹かれました」とSさん。やはり、ご両人ともに大の車好きであるという共通点により波長が合ったのだろう。

The Garage HOUSE
建築家:松永基
M'S WORKS architecture

tel.045-680-5339 http://www.msw-arch.com/
所在地:神奈川県横浜市 主要用途:専用住宅 家族構成:一人
構造:木造 規模:2階建 敷地面積:86.3㎡ 延床面積:99.0㎡
設計・監理:M'S WORKS architecture/松永 基

文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・木村 博道 photos / KIMURA Hiromichi

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外壁にはSさんが希望したというガルバリウム鋼板を採用している。ダークグレーとシルバーのクールな外観と、アルファロメオ・ジュリアのボディカラーが絶妙な相性をみせる

バスルームの反対側には愛車を眺める空間があり、ここで友人と一日過ごすこともある

階段側の壁には約5?ほどの奥行きのある棚が設けられ、お気に入りのグッズを飾れる