レクサス IS ▲当然ながら新車はかなり高額で、中古車でも、2022年式は軽く総額600万円を超える現行型レクサス IS。しかし、同じ現行型ISでも「前期型の中古車」なら総額200万円からイケること、ご存じでしたか?

同じ「現行型」でも新車と中古車の価格差は約400万円?

国産車を代表するプレミアムブランド、「レクサス」。

その現行型新車は当然のように高額で、中古車であっても現行型はなかなかお高いわけですが、マイナーチェンジ前の現行型、つまり「前期型」であれば、けっこうお安く狙える車種も存在します。

その筆頭格は、輸入車で言うところのメルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズと同等の車格となるスポーツセダン、ISの現行前期型でしょう。

現行型レクサス ISは、新車で買うとなると車両本体だけでおおむね500万円以上となる車で、2022年式の中古車でも支払総額600万円を下ることはほぼありません(※2022年12月上旬現在)。

しかし、現行「前期型」の中古車であれば総額200万円台前半からイケますし、中には総額100万円台で狙える物件もあったりします。

それら「現行前期型のレクサス IS」とはどんな車であり、本当に魅力的な選択肢なのでしょうか?

次章以降、オススメ物件とともに検討してみることにしましょう。

レクサス IS▲こちらが現行前期型のレクサス IS。メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズあたりと競合するプレミアムなコンパクトスポーツセダンだ

▼検索条件

レクサス IS(現行型) × 前期型(2013年5月~2016年9月生産)×全国
 

モデル概要:パワーユニットはガソリン3種類とハイブリッド

まずは現行型レクサス ISの概要をざっとおさらいいたします。

レクサス ISは、レクサスの中では「コンパクトなスポーツセダン」というポジショニングになる4ドア車。まぁコンパクトといっても「グローバル基準でいえばコンパクト」ということですので、決して小さい車ではありません。

ISとしては2代目となる現行型が登場したのは2013年5月のこと。ボディサイズは、初代より全長と全幅を少々拡大させた全長4665mm×全幅1810mm×全高1430mm。全長が2.5cm短い以外は、2014年以降のメルセデス・ベンツ Cクラスとおおむね同寸です。

エクステリアデザインは、レクサスのデザインアイコンである「スピンドルグリル」を採用するとともに、ヘッドランプユニットから独立したL字型クリアランスランプを採用したことで、初代よりもややアグレッシブな印象に変わっています。

レクサス IS▲現行前期型レクサス ISのエクステリアデザイン。スピンドルグリルと、L字型のクリアランスランプが印象的
レクサス IS▲コックピットはおおむねこのような世界観。写真のグレードはIS350バージョンL
レクサス IS▲バージョンLはセミアニリン本革シートが標準装備。写真のインテリアカラーは「ムーンストーン」

当初のラインナップは最高出力318psの3.5L V6エンジンを搭載する「IS350」と、同215psの2.5L V6を積む「IS250」、そして2.5L直4エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車「IS300h」という、大きく分けて3種類。それぞれに「標準車」と豪華装備の「バージョンL」、そしてスポーティな「F SPORT」というグレードが用意されました。

2014年7月に利便性を高める少々の改良を行ったのち、2015年7月には最高出力245psの2L直4ターボエンジンを搭載する「IS200t」を追加。IS200tにはフロントに「パフォーマンスダンパー」と呼ばれるショックアブソーバーが標準装備され、このタイミングでIS350のフロントにもパフォーマンスダンパーが標準装備されました。

そして2016年10月には、内外装デザインを変更すると同時に足回りチューニングなども変更するマイナーチェンジを実施。

さらに「2020年6月10日に新型ISを発表する」と正式にアナウンスされたものの、微妙に延期となり、結局は約1週間遅れて同年6月16日、“超ビッグマイナーチェンジ版”とでも呼ぶべき直近のISが登場しました。超ビッグマイナーチェンジ版はデザインがそこそこ大きく変更されるとともに、走行性能全般や安全性能などが大きく向上しています。

そして今回の記事で注目する「現行前期型」とは、2013年のデビュー時から最初のマイナーチェンジが行われるまでの世代、すなわち2013年5月から2016年9月までの現行型レクサス ISのことを指しています。

 

中古車相場状況:最も数が多いのは「初期年式のハイブリッド車」

2022年12月上旬現在、現行型レクサス ISの中古車流通量は約570台で、モデル全体の中古車価格は総額約130万~約750万円とかなり幅広くなっています。

これを「前期型」の中古車に絞ったうえでさらに細分化してみますと、状況はおおむね以下のとおりです。

●前期型中古車流通量:約360台

●前期型中古車価格:総額約130万~約380万円

●年式別流通量/中古車価格
・2013年式:約180台/総額約130万~約350万円
・2014年式:約80台/総額約180万~約360万円
・2015年式:約60台/総額約180万~約370万円
・2016年式:約60台/総額約220万~約380万円

●グレード別流通量/中古車価格
・IS200t系:約40台/総額約160万~約350万円
・IS250系:約70台/総額約140万~約320万円
・IS350系:約30台/総額約190万~約310万円
・IS300h系:約220台/総額約170万~約380万円


同年式または同グレードであっても、中古車価格は個別のコンディションやオプション装備の内容などに応じて大きく異なるため、一概に何かを言うことはできません。しかし「おおむねの傾向」としては、以下のことがいえるでしょう。

【年式について】
初年度である「2013年式」が最も豊富。とはいえその他の年式も、偏りなくほどほどの数が流通している。

【グレードについて】
ハイブリッドである「IS300h系」の流通量がダントツに多く、2.5L V6の「IS250系」は“やや少ない”といったニュアンス。そして3.5L V6の「IS350系」と2L直4ターボの「IS200t系」は明確に少なめである。


以上を踏まえて次章、具体的なオススメについて考えてみます。

レクサス IS▲様々なISの中から“どれ”を選ぶべきなのか? 写真はIS350バージョンL
 

なるべく安価でいくなら「標準車」に注目

総額200万円台前半(200万~240万円ぐらい)の予算で「なるべくいい感じの現行型ISが欲しい」と考える場合、パワーユニットはいずれのタイプも選択可能です。すなわち、流通量が多いハイブリッドは当然狙えますし、2.5L V6や2L直4ターボもOK。数はやや少なめになりますが、3.5L V6エンジン搭載グレードもイケます。

しかしながら、総額200万円台前半の場合はそれぞれの「標準車」が主な候補となり、本革シートなどの豪華装備が標準の「バージョンL」や、スポーティな各種装備が付いている「F SPORT」はやや探しにくくなります。

Aクラスセダン▲総額200万円台前半でも写真上の「F SPORT」や、セミアニリン本革シートなどが付く「バージョンL」を探すことは可能だが、その絶対数はやや少ない

とはいえ、標準車であっても「レクサスはレクサス」ですから、一般的な車種のように「標準車は装備レベルがイマイチ」なんてことはありません。

具体的には――こう言ってしまうと若干語弊はあるのですが、バージョンLとの違いは「シートがセミアニリン本革ではないだけ」とも言えます。

またF SPORTとの違いはいろいろあるのですが、根本的な違いは「スポーティな各種意匠と、VGRS(ギア比可変ステアリング)やNAVI・AI-AVS(ナビゲーションのデータを生かし、最適なサスペンション減衰力を自動制御する装置)等々の、特殊な機能装備の有無だけ」とも言えるのです。

そのため、現行前期型のレクサス ISを買う場合は「ちょうどいいバージョンLやF SPORTが見つかったならばそれを買えばいいが、そうでないならば、標準車でもぜんぜんOK」というマインドで臨むのが正解でしょう。

そのうえで、各パワーユニットごとのフィーリングは、おおむね以下のようなニュアンスであるとお考えください。

●300h(ハイブリッド):コンフォート寄り。スポーティな感触ではない。
●250(2.5L V6):スポーティ。回転感覚が気持ちいい。パワーも十分。
●350(3.5L V6):スポーティ。回転感覚が気持ちいい。パワーは超十分。
●200t(2L直4ターボ):V6ほど回転感覚が気持ちいいわけではないが、程良いパワー感はある。

個人的なオススメユニットは2.5L V6ですが(ISというスポーツセダンのキャラに、非常によく合っていると思います)、このあたりは「人それぞれの好み」で決めるほかない問題でしょう。

▼検索条件

レクサス IS(現行型) × 前期型(2013年5月~2016年9月生産)×総額200万~240万円以内×標準グレード×全国
 

総額200万円台後半なら「高付加価値の良質個体」も見つかる

総額200万円台後半(260万~290万円ぐらい)の予算を拠出する場合でも、パワーユニットはいずれのタイプも選択可能です。すなわち総額200万円台前半のときと同様に、ハイブリッドも2.5Lおよび3.5L V6も、そして2L直4ターボも普通に探すことができます。

総額200万円台前半の予算で探す場合と異なってくるのは、主に以下のポイントです。

●当たり前だが、総額200万円台前半の物件群よりもコンディションは良い傾向がある。

●標準車ではなく「バージョンL」「F SPORT」といった高付加価値グレードが選びやすくなる。

●「ブラインドスポットモニター(BSM)」や「レーダークルーズコントロール」、「“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステム」などの有用なオプション装備が付いた物件が選びやすくなる。

総額200万円台前半という、相対的には格安な予算で「曲がりなりにも現行型のレクサス製スポーツセダンを買う!」というのはかなり素敵ですが、総額200万円台後半の予算で得られる結果も、やはりなかなか魅力的です。

このあたりの話に“正解”はないため、各自の価値観やおサイフの状況に基づいて決めていただくほかありません。しかし、もしも「より良い前期型IS」が欲しいのであれば、オススメの予算帯は「総額200万円台後半」ということになるでしょう。

レクサス IS▲総額200万円台前半の予算でも普通にイケる現行前期型レクサス ISではあるが、200万円台後半の予算を用意できると、その選択肢はさらに広がる――といったイメージだ

▼検索条件

レクサス IS(現行型) × 前期型(2013年5月~2016年9月生産)×総額260万~290万円以内×全国

いずれにしましても現行前期型のレクサス ISは、コンディションの良いものを見つけることさえできたならば、総額200万円台で買えるプレミアムブランドの中ではトップクラスに「お買い得な選択肢」と言えるはず。特にガソリンV6エンジンの250系または350系は、本当に気持ちよく走ることができる1台です。

ご興味のある方には、このページの物件リンクを活用して「さらに具体的な候補」を。いろいろとチェックしてみることをオススメいたします。

▼検索条件

レクサス IS(現行型) × 前期型(2013年5月~2016年9月生産)×全国
文/伊達軍曹 写真/レクサス
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。