BMW i3の中古車価格が1年で約50万円ダウン! コンパクト電気自動車(EV)の今オススメな買い方・狙い方は?
2024/12/11
約260万円だった平均価格はこの1年で約208万円までダウン
2013年に発売されたBMW初のピュアEV、BMW i3。
コンパクトで扱いやすいとサイズ感と経済性、そしてモーター駆動ならではの力強い走りと印象的なデザインで人気となっている1台ですが、その中古車平均価格がこの1年で大きくダウンしています。
昨年12月の平均価格は約244万円というまずまずのプライスだったのですが、今年11月には約205万円という、さらにお買い得な平均価格へと下落しているのです。
もしもこれからBMW i3の中古車を狙うとしたら、何年式あたりのどんなグレードを選ぶのが得策となるのか? 次章以降、そのモデル概要を紹介するとともに、買い方&選び方を研究してみることにしましょう。
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BMW i3(初代) × 全国モデル概要:機械式駐車場にも収まるBMW初のコンパクトEV
i3は、日本では2013年11月に発表された、全長4010mm × 全幅1775mm × 全高1550mmのコンパクトな4人乗りEV。一般的な機械式駐車場にも収まるサイズ感であることがひとつの特徴です。
車体構造には、総アルミニウム製のシャシーと炭素繊維強化プラスチック製のキャビンを組み合わせた構造を採用。鉄よりも軽いカーボンやアルミなどを採用することで、重い駆動用バッテリーを搭載しつつも1260kgという車両重量を実現しました。
当初搭載されたリチウムイオンバッテリーの容量は22kWhで、一回の充電で約130~160kmの走行が可能。「ECO PRO」という走行モードを選択すれば約180km、「ECO PRO+」を選べば約200kmまで航続距離を延ばすこともできます(数字はいずれも実用走行を想定したBMW社内基準値)。
またこの他、発電用に0.65Lの2気筒ガソリンエンジンを搭載した「i3レンジエクステンダー装備車」もラインナップされています。レンジエクステンダーは、外部給電のみのピュアEVと違いガソリンを給油することでエンジンが発電しモーターに充電できるので、使い勝手はハイブリッド車に近いと言えます。こちらのBMW社内基準による航続距離は約300kmです。
2016年9月には一部改良を行い、リチウムイオンバッテリーの容量を33kWhに変更することで、初期型よりも70%長い390km(JC08モード)の一充電走行可能距離を達成。発電用エンジンを備えたレンジエクステンダー装備車では、511km(JC08モード)の距離を無給油・無充電で走ることができるようになりました。
またこのとき内外装の仕様も変更され、既存のレザー仕様である「スイート」に加えて、各所の素材にマット仕上げのウッドやソフトレザー、ウールなどを使用し、モダンでナチュラルな車内空間とした「ロッジ」と、ベースグレードに相当する「アトリエ」が追加設定されています。
2018年1月にはマイナーチェンジを行ってエクステリアデザインを少々変更。
そして2019年2月にはリチウムイオンバッテリーの容量を従来モデル比で約30%拡大した120Ahの容量とし、総電力量も33kWhから42kWhに増加させる改良が行われました。これにより、満充電一回あたりの走行可能距離はWLTCモードで360kmとなり、「レンジエクステンダー装備車」では466kmに延長されることになりました。
そして2022年8月まで新車販売が継続された――というのが、BMW i3の大まかなモデル概要およびモデルヒストリーです。
パワーユニット:純粋な「BEV」と、発電専用エンジン「レンジエクステンダー付き」の二本立て
BMW i3のパワーユニットは、通常モデルが採用している「駆動用バッテリー+駆動用モーター」からなるBEVシステムと、そこに0.65Lの発電専用エンジンをプラスした「レンジエクステンダー付き」の2種類に大別できます。
駆動用のリチウムイオンバッテリーは、まずは前述のとおり22kWh容量のタイプでスタートし、2016年9月に33kWhへと増量され、そして2019年2月には42kWhの大容量となりました。それと組み合わされる駆動用電気モーターは最高出力170ps/5200rpmで、最大トルクは250N・m/100~4800rpm。こちらの出力とトルクは、モデルライフの最初から最後まで変わっていません。
そして発電機を駆動するためのエンジンである「レンジエクステンダー」は、ボディ後端に搭載される0.65Lの直列2気筒。こちらのスペックは最高出力38ps/5000rpm、最大トルク5.7kg・m/4500rpmで、9Lの燃料タンクも備わっています。
中古車のオススメ①|「レンジエクステンダー搭載車」を狙うなら2016~2018年式スイートまたはアトリエ
2024年12月下旬現在、BMW i3の中古車は流通量の約9割がレンジエクステンダー搭載車です。
その中でも2016年8月までの初期世代は比較的お安い予算で探すことができるのですが、バッテリー容量の関係で一充電航続距離はやや短めです。そのため、オススメは2016年9月以降のバッテリー容量が増えて航続距離も延びた世代なのですが、2019年2月以降の最終世代(42kWh/120Ahのバッテリーに変わった世代)は中古車の流通量が少なめで、なおかつ価格もまだ高めであるため、「中古車ならではのうまみ」はやや薄いといえます。
しかし、中期型に相当する2016年9月から2019年1月までの33kWh/94Ahのバッテリーを積んだ世代、ざっくり言うと2017~2018年式のレンジエクステンダー搭載車であれば流通量豊富で、なおかつ価格も総額150万円からと、まずまずお手頃です。そのためここは「中期型こそが(中古車としては)ベストバランス」と言ってしまっていいでしょう。
中期型のレンジエクステンダー搭載車はベーシックな「アトリエ」と中間の「ロッジ」、そして上級グレードである「スイート」に分かれていますが、「ロッジ」の流通量はかなり希少であるため、実質的にはスイートまたはアトリエの二択になります。
流通量はどちらも同じぐらいで、価格も――最上級グレードであるスイートの方が高めであるという傾向はもちろんありますが――さほどの大差はありません。そのためここは「総額150万~200万円ぐらい」を想定予算帯としつつ、「グレード不問でなるべくコンディションの良い物件を探す」というやり方が正解となるでしょう。
ちなみに「アトリエ」はi3の中ではベーシックなグレードですが、いかにもBEVらしい高品位で洗練されたインテリアデザインが採用されています。「アダプティブクルーズコントロールとパーキングアシスト機能が標準ではなくオプションだった」という点以外は、何らの不満も感じないでしょう。
そして最上級グレードである「スイート」は、前述したアダプティブクルーズコントロールとパーキングアシスト機能が標準装備であり、レザーシートやレザーフィニッシュダッシュボードなども標準です。
なお途中の2018年1月にはエクステリアデザインの変更を中心とするマイナーチェンジが行われていますが、デザインの違いは「間違い探しレベル」とも言えるものですので、そこはさほど気にする必要はないと考えられます。
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BMW i3(初代) × レンジエクステンダー装着車 × 2016年9月から2019年1月 × 全国中古車のオススメ②|「レンジエクステンダーなし」でいくなら、総額100万円前後の予算感で「なるべくいいモノ」を探したい
前述したとおりBMW i3の中古車は約9割が「レンジエクステンダー搭載車」であり、レンジエクステンダー(発電用エンジン)が付いていない物件は希少です。そしてレンジエクステンダーが付いていた方が何かと安心であることは間違いないため、あえて「レンジエクステンダーなし」のi3を狙う意味はあまりないようにも思えます。
とはいえ、レンジエクステンダーなしのi3には「安く狙うこともできる」というメリットもあります。
中期型以降のレンジエクステンダー搭載車はどうしても総額150万円以上になってしまうのですが、レンジエクステンダーなしのi3であれば、総額100万円前後の予算でも中古車を見つけることが可能です。
その場合に見つかるのは22kWhのバッテリーを搭載する前期型(航続距離がやや短い世代)になってしまうのですが、i3を「ご近所スペシャル」として使うつもりであれば、航続距離の短さもさほど気にならないでしょう。
総額100万円前後のお手頃ゾーンにて「悪くないコンディションの1台」が見つかったなら、それはそれで便利なツールとして活用できるはず。中~長距離を走る予定がない人は、「レンジエクステンダーなし」のBMW i3もいちおうチェックしてみることをオススメします。
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BMW i3(初代) × ピュアEV車 × 全国▼検索条件
BMW i3(初代) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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