タップリの余裕と静けさは、アメリカの上級社会を思わせる

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コンセプト

世界を意識した「レクサスブランド」

カタログを開けば最初に「レクサスES300、日本名ウィンダム」と書いてある通り、この車はアメリカ市場を強く意識している。日本での販売台数が年間1万5000台ほどなのに対し、米国では5万台も売れているのだから当然か。

新型もアメリカ人の好みに合わせ、ボディサイズを一段と大きくした(今や車幅はセルシオと2cmしか変わらない)。スタイルは個性をボリュームアップ。日本車と思えないシルエットをもつ。世界一大きなヘッドランプが凄い!

参考までに書いておくと、今やアメリカにおける「レクサス」ブランドのイメージたるやM・ベンツやBMWに匹敵するほど。アメリカの映画を見ても「凄いね!レクサス買ったの?」みたいな使われ方をすることが多い。
室内&荷室空間

静粛性と質感は抜群。居住性は割と平均的

アメリカではレクサスLS430(日本名セルシオ)の弟分というイメージを強く打ち出しているため、日本で販売されなかった初代(ES250。カムリプロミネントの兄弟車)がデビューした時から、ライバルを圧倒する静粛性とインテリアの質感にこだわってきた。大幅に気合を入れた先代ウィンダムなどは、インテリアを見るとクラウンより豪華に感じるほどだ。実際、純和風のクラウンのインテリアより、オシャレだったと思う。

ただし室内スペースは平均レベル。身長183cmの私が運転席に座ったと仮定して、残るリアのレッグスペースは写真の通り。このクラスのセダン、アメリカじゃライバルとなるM・ベンツCクラスやBMWの3シリーズと同じくらいの居住性があればいい、ということだろう。
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ドライブフィール

「走る楽しさ」よりも圧倒的な静かさを重視

では実際走ってみるとどうか?ウィンダムの特徴である静粛性だが、絶対的な静かさからすれば先代より劣る。ただ先代の場合、隣に座っているヒトの呼吸音まで聞こえるほどの静かさだったが、それは滑らかな路面を走っている時だけ。荒れた路面だと急に騒音レベルが高くなってしまい、むしろ気になった。新型はそのあたりの“許容度”を大幅に向上させたのだろう。つまり「超」をつけたくなるくらいの静粛性を少し削り、どんな路面でも静かに走れるようにしたということ。結果的に先代より静かに感じる車になっている。

一方「走る楽しさ」は薄い。ソフトなタイヤのせいか「狙ったラインをキッチリ走る」といったヨーロッパ車的なコーナリングではない。いわゆるダンナ仕様。
こんな人にオススメ
「車好き」というより、ライフスタイルを重視するようなユーザーに向くと考える。アメリカのアッパーミドルな家庭といったイメージかな。特に評価したいのが衝突安全性。サイドエアバッグに加え、カーテン式エアバッグまで全グレードに標準装備されるほどのこだわりようだ。
SPECIFICATIONS
グレード 3.0 G リミテッドエディション
駆動方式 FF
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4865 x 1810 x 1455
ホイールベース(mm) 2720
車両重量(kg) 1530
乗車定員 5人
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2994
最高出力 158kW(215ps)/5800rpm
最大トルク 299N・m(30.5kg-m)/4400rpm
車両本体価格 386万円
写真:芳賀元昌 文:国沢光宏