“3シリーズは直4モデルで十分”。そう思える仕上がりと走り

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コンセプト

革新的な吸気システムバルブトロニックを採用

E46シリーズが初めての大マイナーチェンジを受けた。

サヤエンドウのようなヘッドランプになり、フロントマスクはより精悍に。フロントバンパーやリアランプ、キャラクターラインなども、細やかにデザイン変更がなされた。しかし、クーペモデルのフロントマスクは従来のまま。

試乗テストをするに当たって最大のポイントは、tiシリーズ同様に革新的なバルブコントロールシステムを装備した、新開発の4気筒エンジン。このバルブトロニックと呼ばれる新技術によって、高出力を実現しながら直噴ガソリン並みの燃費性能を実現したという、革新的な新型2L直4ユニットなのだ。

イギリスはハムズホールに完成したBMWの新エンジン工場で生産されるこのN42型ユニットは、318シリーズに搭載される。
室内&荷室空間

必要にして十分のセダンスタンダード

若干なりともイメージの変わったエクステリアとは裏腹に、インテリアイメージに大きな変更は見られない。MD付きのオーディオが標準となり、オプションのDVDナビ用オンボードモニターディスプレイが大型化されたのが目立つ程度である。

機能的には、318系にも従来の4ATに変わってステップトロニック付き5ATが与えられたのがニュースだ。しかも、シフトチェンジの動作方向がM3のSMG IIと同様の“引いてアップ、押してダウン”という方式に変わった(全グレード)。他メーカーは逆のパターンが多いのだが、フィーリングは自然だ。

セダンとしての居住性は、取り立てて広さを感じさせるものではないが、必要十分なものといえる。スポーティな低めのシートポジションは、今となっては貴重だ。
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ドライブフィール

4発だからと悲観は無用、日常走行に不満はナシ!

乗り始めは、2L化による従来型比25psアップを実感できずにいた。むしろかっちり締め上げられた乗り味と、ステアリングから伝わる剛直かつしなやかなインフォメーションに驚いた。明らかに重厚感が出ている。新エンジンの本領は、グイッとアクセルを踏み込んだ瞬間に訪れた。鋭くなったレスポンスと3000rpm手前からガッと押し出す力強さで、何のストレスもなく流れの先頭に立つことが可能だ。上りのワインディング走行や高速道路での追い越しにおいても、そのスムーズなパワーの出方と頼りがいのあるトルクで直6モデルに引けをとらない。

軽いノーズを生かしたハンドリングの良さは健在で、しかもエンジンは頼もしい。3シリーズは直4モデルで十分、そういえる出来だ。
こんな人にオススメ
4気筒モデルは、BMWは“6気筒でなきゃ!と”いう古き良き考え方(?)に左右されない進歩的BMW好きに。スペックだけではわからない車の性能を改めて実感する。3Lセダンに道具としての魅力を感じなくなった方ももちろん、お金に余裕がある人は6気筒もお試しを。
SPECIFICATIONS
グレード 318i(AT)
駆動方式 FR
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4470×1740×1415
ホイールベース(mm) 2725
車両重量(kg) 1390
乗車定員 5人
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1995
最高出力 105kW(143ps)/6000rpm
最大トルク 200N・m(20.4kg-m)/3750rpm
車両本体価格 380.0万円
写真:奥隅圭之 文:西川淳(本誌)