▲1995年の東京モーターショーに参考出品され、1997年に発売となった日産 マーチカブリオレ ▲1995年の東京モーターショーに参考出品され、1997年に発売となった日産 マーチカブリオレ

手軽に非日常を味わえるコンパクトカー

1995年、東京モーターショーにて突如お目見えした、日産 マーチカブリオレの参考出品車。

コンパクトカーなのに、電動オープンモデルというスペシャリティな要素が加わり来場者からの反応は上々だった。

1997年には市販化され3ドアハッチバックをベースに、ロールバーを備えたオープンボディはかわいらしさも失っていなかった。

実際に生産を手がけたのはパオ、フィガロ、Be-1などを手がけた高田工業だった。

当時の日産の頑張りを認識できる

▲コンパクトカーながらルーフは電動で開閉。所要時間も7秒と、なかなかスピーディであった ▲コンパクトカーながらルーフは電動で開閉。所要時間も7秒と、なかなかスピーディであった

電動の幌の開閉に要する時間は7秒ほどと速く、リアウインドウは傷で視界が悪化する心配のない、ガラス製が採用されていた。

スペシャリティらしくキッキングプレートを備えていたし、短時間の駐車時に幌を閉めないことを考慮し、グローブボックスは鍵付きに変更されていた。

また、メーターはマーチカブリオレ専用のブルーメーターが採用されていた。

新車時価格はベース車よりもはるかに高い169.8万~179.6万円だったから、これくらいの差別化は欲しいところ。

エンジンは1.3Lの直4で、トランスミッションには5速MTとCVTが組み合わされていた。

電動トップとロールバーの組み合わせで車体は重たくなっているので、軽快感は正直……薄れている。

ただ、軽快感よりもオープンエアという非日常を手軽に味わえるという点ではいつの時代でも新鮮だ。

なんせ、ベースはフツーのコンパクトカー、マーチ。

意表を突くというか時代を先取りしすぎた感は否めないが、いま乗っても面白い車である。

自動車における没個性が叫ばれて久しいが、昔から「自動車メーカーは面白いことをしよう」と頑張ってきたことを、マーチカブリオレはあらためて認識させてくれた。

昔は流通量もそれなりにあったのだが、さすがに絶版となってから20年以上が経過しているだけあって、原稿執筆時点(2019年2月15日)のカーセンサーnet掲載台数は10台未満となっている。

マーチカブリオレは肩肘張ることなく乗ることができるオープンカーとして、どんな層にもオススメできる。

コツコツキレイに仕上げるのも面白いだろうし、そのままフツーに日常の足として使うのもカッコイイ。ちょっとノスタルジックで、“あの頃”に意外と頑張っていた日産を知ることができる車でもある。

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▲基本的にはマーチと共通のインテリアとなるが、メーターは専用のものが採用されていた ▲基本的にはマーチと共通のインテリアとなるが、メーターは専用のものが採用されていた
▲搭載されるのは1.3L CG13型エンジン。重くなった車体には少々非力かもしれないが、普通に走る分には十分であろう ▲搭載されるのは1.3L CG13型エンジン。重くなった車体には少々非力かもしれないが、普通に走る分には十分であろう
text/古賀貴司(自動車王国)
photo/日産

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日産 マーチカブリオレ(初代)