GT-R(R35)▲2007年12月から2025年9月まで販売されていた和製スーパースポーツ。ロングセラーモデルの選び方を作り手に聞いてきた

ついに生産終了のGT-R!現在の中古車価格は?

日産の初代GT-Rは、2007年12月から2025年9月まで販売された和製スーパースポーツ。一般的には最初期から2010年までが前期型、エンジン出力が向上した2011~2016年が中期型 、さらに改良が行われた2017年以降を後期型とする場合が多い。

掲載台数は、後期型が一番多く、次いで前期、中期と続く。全体の延べ掲載台数は若干減少傾向ではあるものの、常に一定数以上の台数をキープしており、平均価格は生産終了後から微妙に上昇傾向。今後の価格推移に目が離せない。

グレード別の流通量を見ると、相対的には安価で、なおかつ街乗りにも適している「プレミアムエディション」と「ブラックエディション」、そして「ピュアエディション」の比率がやはり高い。だが、よりハードでスペシャルな「NISMO」系や「トラックエディション」系も、それなり以上の数が流通している。

同じ世代といっても超ロングセラーモデルのGT-R。マイナーチェンジなどで性能がアップグレードされていて、どのグレードを狙うべきか迷ってしまいがち。今回はこちらのグレード別価格表をもとに作り手に、どう選べばいいかをインタビュー。生みの親が考える選び方をご紹介します。
 

GT-R(R35)▲GT-R(R35)の中古車掲載台数 上位10グレードとその台数/平均価格

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GT-Rとは、圧倒的性能で応えてくれるモビルスーツである

GT-R(R35)▲今回話を伺った日産GT-R元チーフ・プロダクト・スペシャリスト田村宏志さん。2013年からGT-R(R35)の企画責任者として携わる現在は日産自動車ブランド・アンバサダー

――ズバリ、日産 GT-Rとはどんな車なのでしょうか? ぜひ、GT-Rのチーフ・プロダクト・スペシャリストだった田村さんからご説明ください。
 

田村さん:そこについては、同じく私がチーフを務めた現行型フェアレディZとの対比でご説明すると、わかりやすくなるのではないかと思います。私の定義によれば、フェアレディZという車が「ダンスパートナー」であるのに対し、GT-Rは「モビルスーツ」なんです。
 

――……? どういうことでしょうか?
 

田村さん:フェアレディZは、吐息が聞こえてきそうなほど“シンクロ”を大切にしながら踊る=ドライブする、まるでダンスパートナーのようなスポーツカーです。数値的な性能にも当然こだわっていますが、それ以上に、デザインを含む感性の部分を優先させているのです。

それに対して、GT-Rのドライバーはコマンダー(指揮者)です。自分が「こう動け!」とコマンド(命令)を行うと、とんでもない性能と精度で応えてくれて、しかも安全に動いてくれるモビルスーツのような車。そして、その結果として「究極のドライビングプレジャー」が味わえるというのが、日産 GT-Rという車のコンセプトです。
 

前期/中期/後期をシンプルに区分するのは難しいが……

――なるほど、GT-Rとは「絶対的な性能」と「それを自分自身で正確に制御するプレジャー」に満ちた車である、と。そんなGT-Rの各世代は、世間では「前期/中期/後期」的に区分されているわけですが、生みの親である田村さんが世代分けをするとしたら、どうなりますか?
 

田村さん:みなさまがいろいろと年代分けをしていらっしゃるのは、私も承知しています。しかし実際には「◯年から×年までが前期型で、△年からが中期型で――」的にスパッとは分けられないものです。途中でいろいろ変わっていたり、あるいは「ここは変わっているが、あそこは変わっていない」みたいなこともあったりするんです。

そのため、明確に「ここからここまでが●●型」とは言い切れませんし、私としては「すべてのGT-RはGT-Rだ!」と申し上げたいところです(笑)。

しかしまぁ2017年モデルからは、つまり2016年7月発売の世代からは、リアセクションの鉄板を変えるという、フルモデルチェンジに近いほどの大幅改良を行なっています。それゆえ乗り味もまったく異なるものになっていますので、MY(モデルイヤー)2017以降の世代は「後期型」と呼んでも間違いないと思います。
 

――ではMY2017以降を「後期型」として、その中でのグレード選びを、GT-R生みの親でありブランド・アンバサダーでもある田村さんに行っていただく、ということでよろしいでしょうか?
 

田村さん:了解です、そうしましょう!
 

GT-R(R35)▲エクステリア全体に変更が入り、Vモーショングリルを採用したフロントバンパーが特徴

「NISMOは硬いが硬くない」という禅問答

――田村さんが考えるGT-Rの「オススメグレード」を教えてください。例えば、サーキット走行をメインにしたい場合のオススメは?
 

田村さん:うーん、何ともいえないですね。というのも、みなさんはサーキットと聞くと、舗装がめちゃめちゃきれいな富士スピードウェイや鈴鹿サーキットのようなところをイメージすると思うのですが……。
 

――そうですね。路面がいいから、サスペンションを硬く締め上げても問題なくて、みたいな。
 

田村さん:そういったサーキットを走るのであれば「NISMO」が最適ですが、例えばドイツのニュルブルクリンクの北コースを走らせるGT-Rのサスペンションセッティングは、実はNISMOよりも柔らかいんですよ、なぜならば、ニュルの路面はかなり荒れているため、NISMOだと跳ねちゃうんです。

でも、そういった路面だとドタバタするNISMOですが、ミラーサーキット(まるで鏡のような舗装となるサーキット)であれば硬さは感じませんし、(段差などの)一発の乗り越えに関してはビシッと決まります。つまり車体の剛性値や車体のダンピングによっていろいろと変わってきますので、「足が硬いからサーキット向き、柔らかめだから街乗り向き」みたいに単純に分けることはできないのです。同じサーキットを走るとしても「タイムアタック向きか、それとも耐久レース向きか?」で話は変わってくるでしょうし。
 

GT-R(R35)▲こちらがGT-R(R35)NISMO。空力パーツなどいかにも走り仕様な見た目

――なるほどー。
 

田村さん:そしてNISMOの場合、バネレートそのものは「うわっ、硬っ!」というニュアンスなのですが、車体そのものにダンパー効果をもたせているため、乗り心地に関しては「硬いが、角は丸い」と感じるはずです。とにかく一概にはいえない――ということだけはご理解ください。
 

「トラックエディション engineered by nismo」はツウな選択

――単純に分類できる話でもないことは了解しました。ではそのうえで、田村さんが考えるオススメグレードがあれば、ぜひ教えてください。
 

田村さん:(編集部が渡した相場表を見ながら)「トラックエディション engineered by nismo」の相場って今、このぐらいなんですか? であるならば、かなりお買い得ですね!

トラックエディションは、見た目的にはぜんぜんNISMOじゃなく、むしろ普通のプレミアムエディションと同じなのですが、実はボディが完全にNISMOなんですよ。つまり車体自体にダンパー効果をもたせるという、NISMOと同じボディ構造を採用しているんです。非常にツウ好みな1台であり、お買い得な選択肢でもありますね。
 

GT-R(R35)▲こちらがトラックエディション engineered by nismo

――なるほどー! そして、もしも田村さんがこれからGT-Rの中古車を買うとしたら、どのグレードを選びますか?
 

田村さん:それはやはり、今すでに所有している「トラックエディション engineered by nismo Tスペック」でしょうね。同じトラックエディションでもTスペックの方に装着されているカーボンセラミックブレーキって、実は1台分で600万円ぐらいするモノなんです。その分だけ中古車の平均価格は高いようですが、選ぶだけの価値は絶対にあると思いますよ。

そして同車は、軽量&高剛性な鍛造ホイールの採用によっても軽量化されたバネ下重量に合わせてセッティングされた、専用のスプリングとショックアブソーバーを装着しているのも大きなポイントです。
 

GT-R(R35)▲こちらがトラックエディション engineered by nismo Tスペック

――そして街乗りメインで考えるなら、やはり「ピュアエディション」または「プレミアムエディション」がオススメということでOKでしょうか?
 

田村さん:もちろんそうですね。一般的な乗用車しか乗ったことがない人は、ピュアエディションやプレミアムエディションでも「硬っ!」と感じるかもしれませんが(笑)、この記事をお読みになるような車好きのみなさんであれば、普通にしなやかだと感じるのではないかと思います。
 

――私(インタビュアー)は後期型プレミアムエディションをまったく硬いとは思いませんでした。そのため、「スポーツカー好き」と自負されている人であれば、おそらくは私と同じ印象を抱くことでしょう。
 

GT-R(R35)

いつまでも子供時代の夢と憧れを忘れないでほしい

――ちなみに……田村さんが作られたこのカタログ、本当に素敵ですね!
 

GT-R(R35)

田村さん:ありがとうございます。僕らは「ブック」と呼んでいますが、GT-Rの世界観をお客さまへお伝えするために、本当に真剣に作りました。そして最後のページには、5歳の男の子の写真を載せています。5歳というのは、僕がスポーツカーに目覚めた年頃です。これから成長していく少年たちにもスポーツカーを愛してほしいと考え、この写真を採用したのです。

この記事をご覧いただいたみなさんも、少年少女時代の夢や憧れをいつまでも忘れずに、これからも「スポーツカー」を求め続けていただけたならば幸いです!
 

GT-R(R35)

国産スポーツカー特集絶賛発売中!

現在発売中のカーセンサー2026年5月号の特集は『NIPPON SPORTS』! 日本が誇るスポーツカーをいま中古車で買うなら、どんなモデルがいくらで買えるか? を徹底解剖しています。

実は、同じ世代といってもロングセラーモデルが多いスポーツカー。マイナーチェンジなどで性能がアップグレードされていて、どのグレードを狙うべきか迷ってしまいがち。GT-R以外にも国産スポーツカーの相場を紹介しています。
 

GT-R(R35)▲現在発売中のカーセンサー!スポーツカー好き必見の内容なのでぜひ購入を!

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Text:伊達軍曹 Photo:阿部昌也
※記事内の情報は2026年2月11日時点のものです。

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伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。