GT-R ▲R34型日産 スカイラインGT-Rなどの国産スポーツカーをぜひ購入したいとは思うものの、それらの中古車相場は爆発的に高騰しています。しかし中古車市場には、まださほど高騰していないものもあるはず! ということで、5車種をピックアップしてみましょう!

R34型スカイラインGT-Rはもはや最安物件でも2000万円級

2001年から公開されている映画『ワイルド・スピード』シリーズの影響などもあってか、日本のスポーツカーは今、世界的にも人気が高い。そして人気に伴って中古車の平均価格も爆騰しており、BNR34型日産 スカイラインGT-Rに至っては「手頃な物件」であっても総額2000万円以上という状況になっている。


この国で生まれ育った人間として、地元産のスポーツカーに乗り、それを愛し続けたい……とは思う。だが、さすがに1000万円以上あるいは2000万円以上ともなると、財布の中身がまったく追いつかない。
 

BNR34▲猛烈に欲しいとは思うBNR34だが、総額2000万円以上ともなると、さすがにちょっと……

とはいえ「すべての日本のスポーツカー(NIPPON SPORTS)が爆騰した」というわけでは決してない。市場をくまなく見渡せば、まだまだ現実的な平均価格で販売されている魅力的なNIPPON SPORTSを見つけることはできるのだ。

この記事では、そんな「まだまだ買えるNIPPON SPORTS」5車種をピックアップしてみることにしよう。
 

 

買えるNIPPON SPORTS①|トヨタ GRヤリス(現行型)
→想定予算:300万~390万円

直近の中古車平均価格は決して「格安」ではないが、少なくとも「現実的」ではあり、なおかつ「性能を考えれば格安!」といえるのがこちら、トヨタ GRヤリスだ。
 

GRヤリス▲2020年9月に登場したトヨタ GRヤリス

魅力的なNIPPON SPORTSをお探しの方には今さら詳しいご説明は不要だろうが、トヨタ GRヤリスは2020年9月に発売された高性能3ドアハッチバック。WRC(FIA世界ラリー選手権)の公認を取得するとともに、「ラリー王国トヨタ」という評価を不動のものにするべく、トヨタがTMR(トミ・マキネン レーシング)の協力を得て完成させたマシン。
 

ボディサイズは全長3995mm×全幅1805mm×全高1455mmで、メインとなるパワートレインは最高出力272p/最大トルク370N・mの1.6L直3ターボ+6MT。駆動方式は多板クラッチによる前後駆動力可変システムを採用した新開発のスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」が基本だ。
 

GRヤリス▲2024年4月以降は8速ATも追加されたが、「買いやすいGRヤリス」のトランスミッションは6MTだ

一般的に、アマチュアドライバーが市販車を使ってラリー競技に出場する場合、車体に様々な補強を施さない限り、マトモに走ることはできない。だがGRヤリスは、その気になれば「ほぼそのままの状態」でも、ラリー競技のコースを走ることができる。
もちろん実際の大会などに参戦する場合は、規定に基づきさまざまな補強などを行う必要はあるが、この車のポテンシャル(潜在能力)はそれぐらい高いのだ。

2024年4月に発売された改良型世代は総額400万円を軽く超えてしまうが、それ以前の世代であればRC(競技向けグレード)が総額300万円~、RZおよびRZハイパフォーマンス(装備充実グレード)は総額340万円~のイメージで、走行5万km以内の物件を見つけることができるだろう。
 

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トヨタ GRヤリス(初代)
 

買えるNIPPON SPORTS②|日産 マーチ(4代目) NISMO S
→想定予算:80万~200万円

価格の面でも性能の点でも、GRヤリスよりはいくぶん抑えめなNIPPON SPORTSでいきたい場合には、4代目日産 マーチのスポーツモデル「マーチ NISMO S」が適任となるだろう。
 

マーチ▲4代目日産 マーチをNISMOがチューンした「マーチ NISMO S」

2010年から2022年まで販売された4代目日産 マーチ自体は正直、スポーツ性のスの字も感じさせないモデルだった。だが、2013年12月に追加されたNISMO Sはその車名どおり、日産のモータースポーツ事業およびハイパフォーマンスモデルの開発を手がける「NISMO」がチューニングを施したスポーツモデル。

具体的にはスポーティな専用内外装の他、最高出力116psをマークする1.5Lの専用HR15DEエンジン(専用コンピューターと専用エグゾーストシステム付き)や、専用のサスペンションとブレーキシステム 、クイックなステアリングギア比を採用するとともに、様々なボディ補強も行われている。トランスミッションは5MTのみだ。
 

マーチ▲シートはスエード調素材のバケット式専用スポーツシート(NISMOロゴ入り、レッドステッチ付き)が標準装備。ちなみに速度計の目盛りは220km/hまで刻まれている

NISMOチューンのモデルとはいえ、パワーユニットは最高出力116psの1.5Lでしかないため、いわゆる圧倒的な速さを感じるモデルではない。だが、4000rpmを超えた付近でのトルクの「盛り上がり感」や、ワインディングにおける抜群の「接地感」などは、NISMOの名にまったく恥じない。そして常識的な速度レンジ内でスポーティな走りを堪能するのであれば、パワーユニットはこのぐらいである方がむしろ好都合ともいえるだろう。

そんな日産 マーチ NISIMO Sは、安価な中古車であれば総額80万円前後から見つけることができ、まずまず状態良好な1台であっても、総額130万円前後の予算で普通に検討可能。現実的な予算感でNIPPON SPORTSを楽しみたいのであれば、まさにうってつけな1台といえる。
 

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日産 マーチ(4代目)×NISMO S
 

買えるNIPPON SPORTS③|スズキ スイフト スポーツ(4代目)
→想定予算:150万~200万円

ビジュアル面でもパフォーマンスの面でも派手さはいっさいないが、スポーティな走りがもたらしてくれる喜びを、現実的な予算感で日々堪能したいと考えるのであれば、これ以上の選択肢はちょっとないだろう。4代目(先代)スズキ スイフトに2017年9月に追加されたスポーツモデル「スズキ スイフト スポーツ」である。
 

スイフト▲惜しまれながらも2025年11月に生産終了となった4代目スズキ スイフト スポーツ

「スイスポ」という愛称でお馴染みの4代目スズキ スイフト スポーツは、サイズ的には全長3890mm×全幅1735mm×全高1500mmとなるBセグメントのスポーツハッチ。プラットフォームには、軽量で強度の高い超高張力鋼板が先代の約3倍使用されており、スポット溶接打点も追加。その結果、運転すると「……ポルシェか?」と一瞬思うほどのボディ剛性を感じるのだが、車両重量は6MT車で970kg、6速AT車で990kgに抑えられている。

そこに、専用チューニングが施された最高出力140ps/最大トルク230N・mの1.4L直ターボ「K14C型ブースタージェット」が載り、専用ハブベアリングやトーションビームを採用して車軸支持剛性が強化されるなどした専用の足回りも組み合わされているのだから、「スイスポ」の走りがスポーティでないはずがなく、楽しくないはずもないのだ。

異論反論はあるかもしれないし、「さすがにそれは大げさでしょ(笑)」という人もいるかもしれないが、筆者個人としては「4代目スイフト スポーツは全長3.9mのポルシェ 911だ!(ただし駆動方式はFF)」と、常々思っている。
 

スイフト▲トランスミッションは写真の6MTの他に、6速ATもラインナップ。スイフトスポーツの場合、6MTにこだわるのももろん悪くないが、6速ATでも「走り」は十分以上に楽しめる

そんなスイフト スポーツは、最終限定車である「ZC33S ファイナルエディション」を狙おうとすると総額250万円以上になるが、そうでなければ総額100万円台後半の予算感でも、十分以上に好条件な1台を検討可能。スイフトスポーツはきわめてスポーティな車だが、きわめてお買い得な車でもあるのだ。
 

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スズキ スイフト(4代目)×スポーツ系グレード
 

買えるNIPPON SPORTS④|ホンダ シビックRS(9代目)
→想定予算:350万~390万円

「NIPPON SPORTS」というくくりには若干入りづらい車種ではあるが、その走りにおける快感の度合いと中古車価格のうまみにより、ぜひ取り上げたいのが9代目ホンダ シビックRSだ。
 

シビック▲軽量フライホイールや専用の足回りなどが採用された9代目ホンダ シビックRS

シビックRSは、9代目ホンダ シビックが2024年9月にマイナーチェンジを受けた際に追加されたスポーティグレード。ホンダシビックのスポーティグレードといえば、まず頭に浮かぶのは「タイプR」だろう。

ただ、あちらが最高出力330psの強力な2Lターボエンジンを搭載し、ドイツのニュルブルクリンク北コースでFF車最速のラップタイムを記録するタイプのスポーツカーであるのに対し、RSは既存のガソリンモデルと同じ1.5Lターボエンジンを搭載しつつ、あくまでも「爽快な走り」を追求したスポーティグレード。

パワーユニットは前述した最高出力182psの1.5Lガソリンターボだが、慣性モーメントを30%低減したシングルマス軽量フライホイールにより、素早い回転落ちを実現。そしてトランスミッションは6MTのみで、変速時にエンジン回転数を自動で制御する「レブマッチシステム」が採用されている。
 

シビック▲ダッシュボードを横断するハニカムメッシュ型エアアウトレットの上下に、あくまでもさりげないニュアンスで赤いラインが入っている。この「寸止め感」がシブい

さらにRSは足回りもチューンされており、荒れた路面でも車体の揺れを抑制する専用のサスペンションおよび専用チューニングのステアリング機構とともに、軽快で一体感の高い旋回フィールが追求されている。

つまりホンダ シビックRSは「ニュル最速!」「峠じゃ負け知らず!」的なスポーツカーではいっさいないが、「キレの良さ」のような部分と、レブマッチシステム付き6MTによる「意のままに走らせる喜び」を日常的な速度域において堪能しようとするなら、ベストまたはベストに近い存在の1台なのだ。

そういったツウ好みのMTスポーティカーの中古車価格は昨今、けっこう高騰してしまうのがお約束となっているが、9代目シビックRSは幸運なことにというか何というか、ぜんぜん高騰していない。

具体的には、新車価格439.89万円であるシビックRSの低走行中古車は今、総額350万~390万円程度で普通に狙えてしまうのだ。

まぁ総額350万~390万円というのは「程度」と表現すべきではない金額かもしれないが、いずれにせよ、シングルマス軽量フライホイールが仕込まれた唯一無二の高年式ハッチバックの価格としては、十分に安い。

スポーツカーないしスポーティカーに、速さではなく「味」を求める人は、ぜひ現行型ホンダ シビックRSの中古車状況を真剣にチェックしてみていただきたい。
 

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ホンダ シビック(9代目)×1.5RS
 

買えるNIPPON SPORTS⑤|ホンダ ビート(初代)
→想定予算:100万~350万円

ここまで4車種の「NIPPON SPORTS」をご提案してきた。それらはいずれも素晴らしいモデルであると確信しているが、日本の公道でその性能をフルに発揮できるかといえば、なかなか難しい部分はある。1.5LターボのシビックRSでさえ、もしも常に全開で走っていたら、あっという間にスピード違反で免許取消しになるだろう。NIPPON SPORTSは、ある意味速すぎるのである。

全開走行をすることが、スポーツカーにとって必ずしも善であるわけではない。だが、たまには「全開で駆けぬける喜び」も堪能したいと思うのが、スポーツカー好きの性(さが)というものだろう。しかし一般的なNIPPON SPORTSでは速すぎて、なかなかそうもいかない――となったとき、ぜひ注目したいのは「ホンダ ビート」だ。
 

ビート▲1991年に発売されたホンダ ビート。その高回転型自然吸気エンジンには当時のF1テクノロジーも応用されている

ホンダ ビートはご存じのとおり1991年から1996年まで発売された、専用設計のミッドシップレイアウトを採用した軽スポーツ。搭載エンジンは直列3気筒自然吸気のE07A型で、これは自然吸気の軽自動車用エンジンとしては唯一、自主規制値であった64psをマークしたユニット。しかも、その最高出力は8100rpmというきわめて高い回転域で発生する。

そして当時のホンダのF1テクノロジーも注入されたこのエンジンを搭載する、ごく小さなオープン2シータースポーツの操縦フィールは「最高!」というひと言に尽きる。
 

ビート▲とにかくボディが小さく、アイポイントもかなり地面に近いため、特にスピードを出さずとも「スピード感」を存分に味わうことができる

このエンジンは、最大トルクが7000rpmで発生するという超高回転型。そこを目指して5MTの3速ないし4速を使って加速していき、なおかつミッドシップレイアウトならではダイレクトで俊敏な回頭性を楽しみながら、ついでに、場合によってはソフトトップを下ろして風を感じながら疾走する喜びは、筆舌に尽くし難い。

しかしそういった走り方をしてみたところで、しょせんは660ccの64psなので、大したスピードは出ない。つまり交通ルールを守りながらでも、スポーティなドライビングを楽しめてしまうのだ。ファーストカーではなくセカンドカーとして考えるのであれば、「ビートこそが(公道では)最高のスポーツカーである」と断じることもできる(もちろん異論反論もあるだろうが)。

そんなホンダ ビートは、安価なモノだと総額100万円前後から狙うことができ、きわめて程度が良好な物件であったとしても、せいぜい300万円台。もちろん300万円台というのは安いお金ではないが、BNR34型スカイラインGT-Rなどの2000万円や3000万円という価格と比べるなら「激安」とすらいえるだろう。

だが、それでいて得られるドライビングプレジャーの総量は、BNR34型スカイラインGT-Rにも決して大負けはしていないのだ。
 

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ホンダ ビート(初代)
文/伊達軍曹 写真/日産、トヨタ、スズキ、ホンダ
※記事内の情報は2026年4月9日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2005年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。