ポルシェ マカン ▲ポルシェ マカンの前期型が今、けっこうな値落ちを見せています。かなり現実的な価格になってきたマカンを正直「欲しい!」と思うわけですが、正味のところ、前期型を買っても問題ないのか? 様々な角度から考えてみましょう!

一番安い部類の物件は総額360万円ぐらい!

世界的に大人気となっているポルシェのミドルサイズSUV、マカンの中古車が今、けっこう安くなっています。

具体的には、車両本体価格だけで616万円だった前期型ベースグレードが、安いものであれば総額360万円前後から。また340psのV6ツインターボエンジンを搭載する「マカンS」も、同じく前期型であれば総額400万円付近から見つけることができます。

虎視眈々とポルシェ マカンを狙っていた人間としては「千載一遇のチャンス到来!」と思うわけですが、同時に「……安い中古車を買っても大丈夫なのか?」ということと、「前期型は、後期型と比べるといろいろイマイチなのかな?」ということも、正直かなり気になります。

果たして前期型のポルシェ マカンは買いか否か? 次章以降、本音で考えてまいりましょう。
 

ポルシェ マカン▲こちらがポルシェ マカン。同社の大型SUV「カイエン」よりも少々コンパクトサイズな、しかし日本で乗る分には十分以上なサイズ感といえるプレミアムSUVだ

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ポルシェ マカン(現行型・前期モデル) × 全国
 

モデル概要:2014年に発売され、2019年途中にマイナーチェンジを実施

その前に、ポルシェ マカンという車そのものについての簡単なおさらいを。

ポルシェ マカンは、2013年11月のロサンゼルスオートショーで初公開された、ポルシェ初のコンパクトSUV。コンパクトといってもそれはポルシェ基準であって、日本人の感覚からすると「アッパーミドルなSUV」といったニュアンスのサイズ感です。

具体的には、ベースグレードの場合で全長4680mm×全幅1925mm×全高1625mmという、なかなか堂々たる寸法になっています。

日本では2014年2月にV6ツインターボエンジンを搭載する「マカン S(3L/340ps)」と「マカン ターボ(3.6L/400ps)」の予約受注受付がスタートし、237psの2L 直4ターボエンジンを搭載するベースグレードは、2ヵ月遅れて同年4月に予約受注受付が開始されました。さらに2015年11月には、「マカンS」より20ps強力な3L V6ツインターボを積む「マカンGTS」の予約受注受付もスタートしています。

ポルシェ マカンのトランスミッションは「7速PDK」という高効率なツインクラッチ式AT。そして車台はアウディ Q5と同じ「MLBプラットフォーム」ですが、マカンのフォルムはQ5よりも幅広く、そして低いという、まごうことなき「ポルシェデザイン」に仕上がっています。
 

ポルシェ マカン▲「コンパクトSUV」と言われることも多いマカンだが、それは「ポルシェのSUVとしてはコンパクト」というだけで、日本の道路ではむしろ「やや大きめのSUV」と感じられる
ポルシェ マカン▲ポルシェ マカン前期型のインテリアはおおむねこのようなデザイン
 

そして走りも、さすがに「ポルシェのSUV」だけあって、SUVであることを忘れるぐらい俊敏に走らせることが可能な車です(もちろん、ゆったり巡航することも得意としていますが)。

そんなポルシェは、2018年12月にマカン ベースグレードのマイナーチェンジを発表。実際にマイナーチェンジ版ベースグレードが発売となったのは2019年7月で、「マカンS」や「GTS」、「ターボ」はさらに遅いタイミングでマイナーチェンジ版の受注とデリバリーが開始されました。

そして後期型のそれら上級グレードは中古車価格もまだずいぶん高額で、いちばん安い部類でも総額900万円近くはします。
 

ポルシェ マカン▲SUVではあるが、仮に目をつぶって運転すれば(?)、そのフィーリングは「まさにスポーツカー!」と感じられるはず。すべてにおいて硬質で精密かつ上質な、ポルシェ 911にも通じる感触だ
 

走行性能:前期型と後期型、ベースグレードの走りは「だいたい同じ」?

それでは主にポルシェ マカンのベースグレードを対象に、「前期型と後期型の違い」を見てまいります。まず両者の「走り」はどのぐらい違うのか? もしくは同じなのでしょうか?

前期型ベースグレードは前述のとおり2L 直4直噴ターボエンジンを搭載し、当初の最高出力は237psでした。しかし、途中の年次改良により2Lターボエンジンの最高出力は252psまで増強されています。

トランスミッションは7速PDK(ツインクラッチ式AT)で、タイヤサイズは前235/60R18で後ろが255/55R18。シフトパドル付きのマルチファンクションステアリングホイールは標準装備です。

これに対して、2019年7月に発売された後期型ベースグレードのエンジンは同型式の2L 直4直噴ターボで、最高出力も同じ252ps。トランスミッションも、前期型と同じ7速PDKです。

つまり、パワートレインに関しては「表には出ない細かなところはいろいろ改良されているのかもしれないが、表面上は同じ」ということです。

なおフロントサスペンションの一部をアルミにしたことで、後期型ベースグレードはバネ下重量が1.5kg軽量化されました。そのため、「バネ下重量が軽減されたことでハンドリングの俊敏性はさらに上がり――」みたいなことはあるのでしょうが、筆者のようなごく一般的な技量と感覚のドライバーには、両者の違いはほとんど検知できません。

前期型と後期型ベースグレードの走りの違いは、厳密に言えばいろいろあるのかもしれませんが、大局的には「だいたい同じ」と結論づけていいでしょう。
 

ポルシェ マカン▲同じエンジンを積むベースグレードに関しては、前期型と後期型の走行フィールや加速感などの違いは「ほとんどわからない」と言っても決して大げさではない
 

先進安全装備:正直、後期型がかなり有利

しかし、昨今はエンジンの最高出力うんぬんよりも「先進安全装備」の方が重要であると考える人も多いはず。そのあたり、前期型と後期型の違いはどうなんでしょうか?

ここについては、結論から言うとさすがに後期型が有利です。

2019年夏以降の後期型では、歩行者検知機能やブレーキアシスト機能を含む「アダプティブクルーズコントロール」をはじめ、「レーンチェンジアシスト」「サラウンドビュー付きパークアシスト」が標準装備になりました。さらに後期型は、渋滞時に停止と発進を自動で行う「トラフィックジャムアシスト」や、レーダーとカメラで車線を認識してステアリング操作を補助する「レーンキープアシスト」などもオプションで用意されたのです。

アダプティブクルーズコントール等々の運転支援システムの有無を大事にしたい人は、多少値が張ったとしても後期型を選ぶのが正解となります。
 

ポルシェ マカン▲アダプティブクルーズコントロールなどの運転支援システムが欲しい場合は、写真の後期型を選ぶほかない
 

デザイン:違いをどう感じるかは「人それぞれ」か?

でお次、「内外装デザイン」はどうでしょうか?

運転支援システムに関しては客観的に見て後期型の圧勝でしたが、内外装デザインの勝敗(?)は「評者による」というのが結論になるでしょう。

後期型のエクステリアは、新デザインの4灯式LEDヘッドライトが採用された他、リアも「PORSCHE」のロゴが入ったリアガーニッシュで横一直線につなげられた4灯式ブレーキランプを内蔵する、新しいテールライトデザインが採用されました。

またインテリアも、ダッシュボード中央に配置されるフルHDタッチスクリーンのサイズが7.1インチから10.9インチに拡大され、同時にエアコン吹き出し口は縦基調から横長に変更するなど、細かなデザインも変更されています。

ちなみにデザインと直接の関係はありませんが、「ポルシェコミュニケーションマネージメント(PCM)」システムは、LTE通信とWLANホットスポットなどによって常時オンライン接続に対応し、ナビ使用時には、クラウドを介して常にアップデートされた情報がドライバーに提供されるようになりました。

まぁ詳しくは写真ないしは現車を見ていただくのが一番ですが、下の写真を見た際に「後期型の方が断然カッコいい!」と感じる方には、前期型はあまり向かないかもしれません。
 

ポルシェ マカン▲こちらがポルシェ マカンの前期型
ポルシェ マカン▲こちらが後期型。ヘッドランプが新デザインの4灯式LEDに変わっている
ポルシェ マカン▲こちらが前期型のリアビュー。リアのコンビネーションランプは左右独立型のデザインになっている
ポルシェ マカン▲そしてこちらが後期型のリアビュー。「PORSCHE」と刻まれたガーニッシュによって左右がつながっている、最近のポルシェ各社に共通するデザインに変わった
ポルシェ マカン▲前期型の運転席まわりはこのような感じ。タッチスクリーンのサイズは7.1インチ
ポルシェ マカン▲後期型では同スクリーンのサイズが10.9インチに拡大されている
 

どうでしょうか? 「……だいたい似たようなものじゃない?」と感じる人であれば、手頃な価格になってきた前期型ベースグレードを検討してみる価値は大いにあります。

ちなみに筆者の個人的な感覚を言わせていただけるなら、後期型の「リアガーニッシュで横一直線につなげられた4灯式ブレーキランプ」は断然カッコいいと思いますが、前から見た感じに限れば「違うっちゃ違うけど……おおむね似てるとも言えるかな?」というのが正直な感想です。

以上のとおり、前期型ポルシェ マカンは「先進安全装備は正直弱いが、走りとデザインに関してはまだまだ十分イケている」と結論づけることができそうです。

それを踏まえて次章、「ならば、どの前期型マカンを買うべきか?」ということを具体的に考えてみます。
 

 

とにかくお安く買いたい人にオススメ
総額450万~550万円付近の前期型ベースグレード

ポルシェ マカンの前期型ベースグレードは、本稿の冒頭で記したとおり、今や総額360万円前後から探すことができます。とはいえ、そのあたりのマカンは走行距離7万km以上である場合がほとんどです。

走行距離7万kmを超えた中古車が悪いということは決してなく、「むしろそこからが本調子!」みたいな部分もあるものです。

しかし、そういった“本調子”をフルに発揮するためには、ちょうど7万kmぐらいで要交換となってくる様々な消耗部品をまるっと新品に交換するのが大前提です。

そして、その車種の最安ゾーンで売られている中古車というのは――絶対ではありませんが――そういった「できれば今、換えた方がいい」という消耗部品には手を付けず、とりあえず内外装をキレイにして、とりあえず車検には通る状態にしただけで、そのまま販売されているケースも多いものです。

そういったポルシェの中古車を買うと、購入後にどうなるかというと――もうおわかりですね? 必要な部品交換を全部、新オーナーであるあなたが背負うことになるわけです。

そしてポルシェ用の各種部品というのは、ハッキリいって高額です。つまり「いくら車両を安く買ったところで、結局は高くつく」ということです。

そういった状況に陥らないためには、前期型ベースグレードを買う場合で総額450万~550万円ぐらい(あくまで“ぐらい”)の予算を見ておいてください。そうすれば、走行距離3万km台から5万km台ぐらいのキレイな物件を見つけることができるでしょう。
 

ポルシェ マカン▲比較的安価に狙いたい場合のイチ推しは前期型ベースグレード。価格の目安は総額450万~550万円ぐらい
 

より厳密に言えば、走行距離の多寡だけで中古車のコンディションうんぬんを語るのは無理があるのですが、「総額450万~550万円ぐらいで、走行距離5万km以下である」というのは“ひとつの目安”にはなります。
 

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ポルシェ マカン(現行型・前期モデル) × ベースグレード
 

なるべくお安く「ベースグレード以外」を買いたい人にオススメ
総額450万~550万円付近の前期型「マカンS」

マカンのベースグレードはフォルクスワーゲン系の2L 直4ターボエンジンですので、「もっとこうV6とかの立派なエンジンがいい!」と考える人もいるでしょう。

個人的には、400ps級の超絶パワーを前提とした強固な車体で、2L 直4ターボのほどほどなパワーを存分に楽しむのが一番気持ちいいと思っていますが、人の価値観は様々ですので、「2L 直4ターボはありふれていて嫌だ」と思う気持ちも理解できます。

その際には、総額480万~600万円ぐらいのゾーンで前期型の「マカンS」を探すのが得策でしょう。
 

ポルシェ マカン▲最高出力340psのポルシェ製3L V6ツインターボを搭載する前期型「マカンS」
 

高性能グレードである「マカンS」のエンジンは2L 直4ターボではなく3LのV6ターボで、しかも後期型ではアウディ SQ5などと共通のシングルターボになりましたが、前期型の「マカンS」はポルシェ製ツインターボです。具体的な速さはさておき「音や加速感の気持ちよさ」という点では後期型以上です。

この前期型「マカンS」も、その気になれば総額400万円程度から探せるは探せるのですが、ベースグレードのところで申し上げたのと同じ理由により、あまりにも安い物件には注意が必要となってきます。

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ポルシェ マカン(現行型・前期モデル) × 「マカンS」

以上のとおり、さすがに「激安価格」ではありませんが、総額で450万円から600万円ぐらいの予算を見ておけば、つまり国産の高級SUVや高級Lサイズミニバンを新車で買うのと同程度の予算が用意できれば、ポルシェ マカンの前期型は十分に射程圏内であるということになります。

「他の何かではない“ポルシェのSUV”が、自分は欲しいのだ!」と内心思っている人は、ぜひ前期型マカンの中古車に注目してみてください。
 

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ポルシェ マカン(現行型・前期モデル) × 全国
文/伊達軍曹 写真/ポルシェ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。