GX ▲かなり魅力的な本格派オフローダー兼プレミアムSUVであるレクサス GXですが、今年6月に発売されるはずだった先行モデルの発売は延期となり、通常モデルの発売日も未定。ということで、「レクサス GXの代わり」になり得る即納可能モデルを探してみることにしましょう!

この秋には通常モデルも発売される予定だったが

「ザ・プレミアム・オフローダー」を開発コンセプトとするレクサス GX。ご承知のとおりレクサスのラインナップ中ではRXとLXの間に位置づけられる、超絶ラグジュアリーなオフローダーだ。

プラットフォームは最新世代のラダーフレーム「GA-F」で、そこに搭載されるパワフルな3.5L V6ツインターボエンジンと、全長4970mm×全幅1980mm×全高1925mmという堂々たるサイズ。そして何より「レクサスの最新にして最上クラスのSUVである」という点に魅力を感じ、「欲しい!」と熱望している人は少なくないだろう。

だが今、レクサス GXの発売は「延期」となっている。

当初は2024年5月に100台限定車「550 オーバートレイルプラス」の抽選申し込みが行われ、同車は6月に発売、そして同年秋頃には通常モデルも発売される予定となっていた。

しかし2024年6月にトヨタの型式認証に関わる不正が発覚した影響を受けて、同月にデビューする予定だった「550 オーバートレイルプラス」は発売延期に。そして通常モデルの発売時期についても2024年8月下旬現在、正式なアナウンスはされていない。つまりレクサス GXは「いつ発売されるかよくわからない」という状況なのだ。
 

GX▲本格オフローダーとしての「無骨感」と、プレミアムな雰囲気とが見事に融合しているレクサス GXのサイドビュー。すぐに手に入れられるなら、もちろん欲しいわけですが……
 

そんなレクサス GXの発売を延々待ち続けるというのも一興かもしれないが、「そんなに待ってられないよ!」という人も多いはず。

ならば今、レクサス GXとおおむね同等の、いや下手をすればそれ以上の魅力と実力をもった本格オフローダーをGXと同等の予算、いや下手をすればそれ以下の予算でとっとと入手し、さっさと「超プレミアムオフローダーとの日々」を始めてしまった方が、人生のクオリティははるかに向上するのではないか? とも考えられる。

待つか、それとも別の選択をするか。そのどちらが正しいとも断言はできない。だがもしも貴殿がレクサス GXの発売延期について絶望しているのであれば――ぜひご一緒に「レクサス GXの代わり」について考えてみようではないか。
 

 

選択肢① メルセデス・ベンツ GLE(2代目)
→予算目安:総額750万~1100万円

GX▲こちらが現行型となる2代目のメルセデス・ベンツ GLE。写真はマイナーチェンジ前の前期型

現行型(2代目)メルセデス・ベンツGLEは、2019年6月に発売され、その後一部改良を受けながら現在も販売されているメルセデスの3列シート・7人乗りSUV。

ラダーフレーム構造をもつ本格オフローダーであるレクサス GXに対し、こちらはモノコック構造であるという違いはある。だが「メルセデス・ベンツというブランド性」と「全長4940mm×全幅2020mm×全高1780mm」という堂々たるサイズ感の部分において、GLEはGXを凌駕できる可能性はある。
 

GX▲2枚の液晶スクリーンをダッシュボードに並べた「コックピットディスプレイ」を採用。対話型インフォテインメントシステム「メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス(MBUX)」は全車標準装備
 

デザインが少々変わるとともに全車ISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)式のマイルドハイブリッド機構を備えることになった2023年9月以降の後期型は、総額1300万円を超える場合が多い。だが前期型の「400d 4マチックスポーツ」(最高出力330ps/最大トルク700N・mの3L 直6ディーゼルターボ搭載グレード)であれば、総額800万円台から900万円台あたりで相当コンディションの良い物件を狙うことができる。

「ラダーフレームではなくモノコックである」という部分に抵抗を覚える人も一部いらっしゃるだろう。だがもしも雪山などではなく都市部での使用をメインに考えているのであれば、現行型メルセデス・ベンツ GLEの前期型・低走行車は、レクサス GX以上に「世界的に見てもトップクラスに快適で超ラグジュアリーなSUV」として機能するだろう。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ GLE(2代目) × 全国
 

選択肢② メルセデス・ベンツ GLS(2代目)
→予算目安:総額750万~1100万円

GX▲GLEよりひと回り大柄なメルセデス・ベンツ GLS

個人的にはメルセデス・ベンツ GLEのサイズ感と存在感で十分以上だと感じているが、人によっては「最上&最大のモノじゃないと(レクサス GXの代わりとしては)納得できない!」と思う人もいらっしゃるだろう。

そんな場合にはGLEの1つ上というか、メルセデス製SUVのトップレンジにあたる3列シート車、メルセデス・ベンツ GLSの現行型(2代目)がオススメとなる。

そのボディサイズは全長5210mm×全幅1955mm×全高1825mmで、特に全長はGXよりも240mm長いという圧倒的な存在感。そしてインテリアのエレガントなデザインおよび素材感、そしてラグジュアリーな各種装備は、さすがはメルセデスのトップレンジということで、GXを相手にもまったく引けを取らない。
 

GX▲水平基調のダッシュボードには12.3インチの液晶パネルが2枚並べて配置され、それを1枚のガラスがカバーしている。こちらも「メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス(MBUX)」は全車標準装備

中古車価格は、「Apple CarPlay」と「Android Auto」のスマホ連携機能に対応した2023年式以降は総額1300万円以上となるが、それ以前の年式であれば、中心的なグレードである「400d 4マチック」(最高出力330ps/最大トルク700N・mの3L 直6ディーゼルターボ搭載グレード)の低走行物件が総額900万~1100万円といったところ。

もちろん絶対的な価格としてはかなり高額だ。しかし先行販売モデルの車両本体価格が1235万円となるGXの代わりとして考えるならば、「むしろリーズナブル」と言える可能性はあるだろう。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ GLS(2代目) × 全国
 

選択肢③ BMW X6(3代目)またはX7(初代)
→予算目安:総額800万~1300万円

候補その1およびその2として挙げたメルセデス・ベンツGLEとGLSではなく「BMW X6またはX7を選ぶ」というのも、「レクサス GXの代わり」としてアリなはずだ。
 

GX▲クーペ的フォルムのSUVである現行型BMW X6
GX▲表示を自由にカスタマイズ可能な10.25インチのコントロールディスプレイと、12.3インチのフルデジタルメーターパネルを装備。シートは柔らかい座り心地の「ヴァーネスカレザー」を標準装備

ご承知のとおり現行型(3代目)BMW X6は2019年に登場した、全長4945mm×全幅2005mm×全高1695mmとなるクーペスタイルのSUV。中古車流通の中心となっているグレードは最高出力265ps/最大トルク620N・mの3L直6ディーゼルターボを搭載する「xドライブ 35d Mスポーツ」だ。

クーペ的なデザインを採用するSUVゆえ、全体のフォルムや全高はGXと大きく異なる。またモノコック構造の都市型SUVであるという点も、ラダーフレーム構造を採用するGXとは大きく異なる点だ。しかし、こと存在感とラグジュアリー感に関してはX6もまったく負けていない。

雪山などの悪路をメインステージとする場合は、GXの発売を待つ方が良いかもしれない。だが「主に都市部においてSUVをラグジュアリーに使いたい」と考えているユーザーであれば、総額850万円前後で走行距離2万km台までを目安とするxドライブ 35d Mスポーツをサクッと買ってしまうのも悪くない選択だ。

▼検索条件

BMW X6(3代目) × 全国

そして「X6のサイズ感では満足できない!」と感じる人であれば、メルセデスのGLEではなくGLSを選ぶのと似たニュアンスでBMW X7が有力候補となる。
 

GX▲こちらが正当派フラッグシップSUVであるBMW X7。写真はマイナーチェンジ前の前期型
GX▲メーターパネルには12.3インチの液晶パネルが使用され、センターコンソール上部に配置されるインフォメーションディスプレイも同じく12.3インチサイズが採用されている

2019年6月に発売されたBMW X7は、BMWとしては初めて3列シートを採用したフラッグシップSUV。ボディサイズはGXよりひと回り大きな全長5165mm×全幅2000mm×全高1835mmで、クーペ的フォルムのX6と違って重厚な真正SUVフォルムを採用しているということもあって、カタマリとしての存在感はキャデラック エスカレードにも近い。

中古車価格は、最高出力265ps/最大トルク620N・mの3L 直6ディーゼルターボを搭載するxドライブ 35d Mスポーツが総額800万~1000万円で、3L 直6ディーゼルターボに48Vマイルドハイブリッドシステムを加えて同340ps/同700N・mとしたxドライブ 40d Mスポーツが総額870万~1300万円。そして同530ps/同750N・mを発生する強力な4.4L V8ガソリンツインターボを搭載する「M50i」が総額900万~1000万円といったところ。

いずれのグレードも魅力的ではあるが、最新世代のSUVであるGXの代わりとして考えるのであれば、フロントフェイスのデザインが変わってグッと今どきな感じになった2022年11月以降の世代、つまり2023年式以降が適任となるだろう。
 

GX▲こちらが2022年11月以降の後期型。「ツインサーキュラー&ダブルライト」と呼ばれる上下2分割のランプが与えられ、暗闇で光を放つ「アイコニックグローキドニーグリル」が組み合わされた

そして2023年式のxドライブ 40dに狙いを定めるとしたら、走行距離1万km台までの物件の中古車価格は総額1150万~1250万円といったところ。GXの新車を買う(待つ)よりは、いくぶんお安い総額で済むことになる。
 

▼検索条件

BMW X7(初代) × 全国
 

選択肢④ メルセデス・ベンツ Gクラス(初代または2代目)
→予算目安:総額900万~1100万円

ここまではレクサス GXというSUVの「超絶ラグジュアリーである」という部分に注目しながら、その対抗馬を考えてきた。だがもちろんGXとはただラグジュアリーなだけのSUVではなく、ランドクルーザーと同じラダーフレーム構造の車台を用いた「超本格オフローダー」でもある。

そこに注目したい各位からすれば、筆者がここまで挙げてきたモノコック構造のSUVは物足りなく感じられるのかもしれない。

であるならば、GXと同じく屈強なラダーフレーム構造を用いているメルセデス・ベンツ Gクラスでどうだろうか?
 

GX▲ご存じメルセデス・ベンツ Gクラス。写真は2018年6月に登場した現行型

今さら詳しい解説は不要とも思われるが、GクラスはNATOに正式採用された軍用車の民生版を源流とするオフローダー。最近でこそ「都市で映えるおしゃれで超プレミアムなSUV」として使われるケースが多いGクラスだが、本来は、その気になればGXと同様に超絶悪路も走破できるオフローダーである。

それでいて最近のGクラスは超ラグジュアリーでもあるため、「レクサス GXの代わり」としてはまさにうってつけと言えるはずの1台なのだ。

まずは2018年6月に登場した現行型Gクラスを選びたいところではあるが、こちらの中古車平均価格は1800万円を超えており、GXと同等または同等以下の価格で買える中古車の数は少ない。とはいえ総額900万~1100万円付近で走行距離3万km台までの物件を見つけれれないこともないため、現行型であることにこだわりたい人は、そのあたりのゾーンをチェックしてみてほしい。
 

GX▲こちらが現行型Gクラス。基本構造には旧型と同様にラダーフレームを採用。ステアリング機構は従来のボール循環式から電動アシストのラック&ピニオン式に変更することで、運転支援システムへの対応が図られている
GX▲従来型と同様に3つのデフロックスイッチを配しているが、12.3インチのワイド液晶2枚を用いたインパネを採用するなど、最新の乗用モデル的なデザインテイストも採り入れている

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目) × 全国

もしも現行型であることへのこだわりはさほどなく、「むしろ先代の方が無骨でカッコいいよね」と思うのであれば、最終年式に近い2017~2018年式を総額900万~1100万円付近で探してみるのもアリだ。

一番人気である「G350d」のラグジュアリーパッケージ(本革シートとスライディングルーフがセットになったオプション)付きであれば、レクサス GXに勝るとも劣らぬ満足を、心の底から覚えることになるだろう。
 

GX▲こちらは2018年まで販売された先代Gクラスの末期世代
GX▲センターモニターのサイズからは「時代」を感じるが、全体のテイストは普通に現代的だ

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Gクラス(初代) × 全国
 

選択肢⑤ トヨタ ランドクルーザー300(初代)+トヨタ GR86(初代)
→予算目安:総額1200万円~

今後発売されるレクサス GXは、抜群のオフロード性能と快適なオンロード性能、そして最高レベルのブランド感を1台の車で味わうことができる「オール・イン・ワン」なプレミアムSUVであることは間違いない。

だが「そもそも車というのはオール・イン・ワンじゃないとダメなのか?」という根本的な疑問もなくはない。

1台で何でもできるのはもちろん素敵だが、その“素敵”は、複数の車の合わせ技によって実現させても構わないはずなのだ。例えばGXというSUVの素敵ポイントは……、

1. 本格オフローダーである
2. ラグジュアリーで快適なSUVでもある
3. レクサスという日本最高レベルのブランドである
4. 比較的スポーティな走りが楽しめる車でもある

という4つにおおむね分解できるはずだが、この4つを、1台ではなく4台の車で味わったっていいでしょう? という話である。

とはいえいきなり4台もの車を購入するのはアレなので(置き場所に困ることもあるだろうし、予算も相当な額になってしまう)、とりあえずレクサス GXを買う場合と同程度の予算で2台の車を買い、その2台でもって上記の素敵ポイントすべてを満たすと考えるならば――ちょうどいい組み合わせは下記のとおりとなるはずだ。

「トヨタ ランドクルーザー300の中古車+トヨタ GR86の中古車」
 

GX▲ランドクルーザーシリーズの最上級モデルである「トヨタ ランドクルーザー300」
GX▲2.4L水平対向エンジンを搭載するFRスポーツ「トヨタ GR86」

仮に総予算を1300万円とした場合、総額900万円ほどで狙えるランドクルーザー300によって「本格オフローダーである/ラグジュアリーで快適なSUVである」という部分を十分に満たし、残る400万円で普通に狙えるGR86によって「スポーティな走り」という部分を十二分に満たすのだ。

GXだけですべてを賄う場合と比べて、「ブランド性」という部分ではやや劣ることになる選択ではある。だがそこさえさほど気にしないのであれば、総合的な満足度はむしろこちらの方が高くなるのではないだろうか?

もちろん断言はできない類の話だが、もしも“分業制”にご興味を持たれたならば、上記の組み合わせに限らず「何か+何か」の合わせ技でもってGXを凌駕する戦法を、それぞれのお好みや人生観に応じて検討してみることをオススメしたい。
 

▼検索条件

トヨタ ランドクルーザー300(初代) × 全国

▼検索条件

トヨタ GR86(初代) × 全国
文/伊達軍曹 写真/レクサス、メルセデス・ベンツ、BMW、トヨタ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

この記事を読んでいる人にオススメの動画