ロータリーエンジンの名チューナー雨宮勇美 インタビュー「健康の秘訣は“昼寝”。まだまだ面白い車を作りますよ!」
カテゴリー: クルマ
タグ: スペシャリストのTea Time / 河西啓介
2020/02/21
車で我々に夢を提供してくれている様々なスペシャリストたち。連載「スペシャリストのTea Time」は、そんなスペシャリストたちの休憩中に、一緒にお茶をしながらお話を伺うゆるふわ企画。
今回は、(有)RE雨宮の代表で名チューナーの雨宮勇美さんとの“Tea Time”。
語り
雨宮勇美
(有)RE雨宮の代表を務める現役カーチューナー。1946年3月生まれの73歳。主にロータリーエンジン(RE)を搭載する、マツダ RX-7やRX-8などのチューニングを得意とする。過去には全日本GT選手権(現・SUPER GT)に参戦し、2006年にはGT300クラスで優勝を果たすなど、レースでの実績も多い。親しみを込めて「アマさん」と呼ばれることが多く、最近では日本国内だけではなく海外のファンも多く存在している。
夜逃げしてたどり着いた自動車塗装の仕事
僕は昭和21年生まれの“団塊の世代”で、生まれ育った山梨から集団就職で東京に来たんです。給料は月5000円の時代。
最初はペンキでロッカーを塗るっていう仕事を羽田でしていたんだけど、先輩がキツくてね。1年ぐらい経った頃、仲間3人で逃げたんですよ。2階から毛布投げて、窓から飛び降りて、夜逃げ(笑)。まあ、悪いことしたわけじゃないんだけどね。
それから車の塗装の仕事をするようになって、21歳でいちおう独立したんです。月島で板金塗装屋を始めたんだけど、なぜかマツダ車の修理がやたら多かった。思えば、今の『マツダスピード』が月島にあったんですよね。
するとほら、板金塗装屋ってエンジン降ろすでしょう。そのときに「なんでこのエンジン、こんなに小さいんだ?」って興味が湧いてね。それがロータリーエンジンとの出会いだった。
ロータリーエンジンは夜から直せば朝には走れる
仕事で車に触るようになって、そのうち“走り屋”になって、ロータリー車だけじゃなくいろんな車に乗りましたよ。
富士スピードウェイにレースを観に行って、ガンさん(レーサーの黒澤元治さん)が走らせてた日産 チェリーに憧れて、それを買ったりね。
でも当時の車って、エンジンをイジるとすぐ壊れちゃう。そうなるとレシプロエンジンっていうのはボーリング(エンジンのシリンダー内面を削り直すこと)に出さなくちゃならない。
その点、ロータリーは極端に言えば“積み木”みたいなもんで、組み立て直せるんですよ。自分はマツダのロータリー・クーペに乗ってたんだけど、構造がシンプルなんで、壊れても夜から直せば朝には走れる。もともとせせっこましい性格だから、そういう方がよかったんです。
ポルシェの丸いライトとガルウイングが好き
エンジンのチューニングもいいんだけど、自分がいちばん好きなのは、実は車をドレスアップすること。
昔から、ノーマルってあんまり好きじゃなくて、どうしても自分の好きなカタチにしたくなっちゃう。ポルシェの丸いライトが好きなんで、ほとんどどんな車でも丸ライトにしましたね。
あとガルウイングも好きだね。見た瞬間「わ、カッコいいな!」という感じの車を、いつも作ってました。今は毎年1月に開催される「東京オートサロン」に新しいデザインの車を作って展示するっていうのがモチベーションになってますかね。
あのショーの出展者の中では、実はウチがいちばん古いんですよ。毎回欠かさず出ているのはウチだけですから。だから毎年終わるたびに、「また来年、違うもの作って出そう」と。その気持ちがなくなったら、自分も「もう終わりかな」って感じになるでしょうね。
毎朝食べるのはリンゴそしてマイタケと黒ニンニク
趣味という趣味はとくにないんだけど、料理ぐらいはやりますよ。食事は奥さんに作ってもらうよりは、ほとんど自分で。
いつも決まってるんですけどね。朝はリンゴ1個、マイタケのみそ汁、それと黒ニンニクを一つ。これ毎日です。肉はなるべく食べないようにして、野菜中心。あと酢はいろんな料理で使うようにしてます。
ちなみにお酒は一滴もやらないです。僕は今73歳なんだけど、カラダはどこも悪いところないし、薬も飲んでません。やっぱり規則正しい生活なんですよね、大事なのは。
夜は早めに寝るようにして、朝は6時半か7時には起きる。で、お昼は12時になったら15分間ニュースを見て、そのあと45分寝ます。これはもう、お客さんがいようがいまいが、寝ちゃう。なんといっても昼寝。
これがいちばん大事で、僕が健康でいられる秘訣なんです。まだまだ現役で、これからも面白い車を作っていきますよ!
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