BMW X3 ▲高値安定相場が続いていた人気の輸入プレミアムSUV「現行型BMW X3」ですが、この1年で中古車平均価格は80万円以上ダウンし、意外と身近な存在になりつつあります。この機会に「もしも現行型X3を手に入れるなら、自分にとってのベストグレードはどれなのか?」ということについて考えてみることにしましょう!

中古車平均価格はこの1年で80万円以上ダウン

言わずと知れた大人気のミドルサイズ輸入SUV、現行型BMW X3。大人気ゆえに、中古車価格も「高値安定」といえる状況が続いていましたが、ここ最近、その平均価格が大きく下がっています。

下のグラフをご覧ください。

X3の中古車価格推移グラフ

現行型BMW X3の中古車平均価格は約520万~550万円ほどのレンジが長らく続いていましたが、2022年末頃から突如ダウントレンドに転換。その結果、直近の平均価格は459.2万円と、1年前の同月と比べて実に80万円以上ダウンしているのです。

比較的お手頃価格となった現行型X3をこれから狙うのであれば、何年式のどんなグレードを狙ってみるのが得策となるのでしょうか? 次章以降、じっくり考えてみることにしましょう。
 

BMW X3▲日本で使う分には、ひと回り大きなX5よりも現行型X3こそがジャストサイズといえるかも

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BMW X3(3代目・現行型) × 全国
 

【モデル概要】居住性が向上し、運転支援システムも進化したプレミアムSUV

通算3代目となる現行型BMW X3が日本で発売されたのは2017年10月。Xモデルらしいスポーティかつワイルドなスタイリングの基本は従来型から受け継ぎつつ、クーペライクなルーフラインを取り入れたことで、全体としてのシルエットはより美しい印象に。

シャープなアダプティブLEDヘッドライトが標準となるフロントマスクは、伝統のキドニーグリルがよりワイドで立体的なデザインとなり、今まで以上に精悍なものになっています。

ボディサイズは全長4720mm×全幅1890mm×全高1675mmと、先代比でややサイズアップされましたが、全高は従来型と同じです。そして全長とホイールベースが拡大された分、居住性は先代以上となりました。
 

BMW X3▲こちらが現行型BMW X3の前期型
BMW X3▲全高は従来型と変わっていないが、約5cm長く、約1cm幅広になっている
BMW X3▲現行型X3の運転席まわりはおおむねこのような世界観だが、流通の中心である「Mスポーツ」のステアリングホイールは、写真のものとは異なるデザインのMスポーツ・ステアリング・ホイールになる
BMW X3▲後席は4:2:4の分割可倒式。5人乗車時の荷室容量は550Lだが、後席バックレストを倒せば最大1600Lまで拡大可能

上陸当初のパワーユニットはガソリンおよびディーゼルの2L直4気筒ターボ。ディーゼルターボの「xDrive20d」は最高出力190ps/最大トルク400N・mで、ガソリンターボの「xDrive20i」は同184ps/同290N・mというスペック。トランスミッションは全車8速ATで、駆動方式はフルタイム4WDです。

ちなみに、全車速対応のアダプティブ・クルーズ・コントロールや歩行者対応の衝突回避・被害軽減ブレーキ、レーン・ディパーチャー・ウォーニング等々からなる「ドライビング・アシスト・プラス」は当初から全車標準装備です。

デビュー翌年の2018年9月には最高出力326ps/最大トルク680N・mの強力な3L直6ディーゼルターボエンジンを搭載する「M40d」を追加し、翌2020年3月には、そのガソリンターボ版である「M40i(同387ps/同500N・m)もラインナップ。また同年4月にはプラグインハイブリッドの「xDrive 30e」も追加しています
 

BMW X3▲最高出力326ps/最大トルク680N・mの強力な3L直6ディーゼルターボエンジンを搭載し、ドライブトレインには「Mスポーツ・ディファレンシャル」も装備するM40d

2020年11月にはM40dに48Vマイルドハイブリッドシステムを適用し、そして翌2021年10月にマイナーチェンジを実施。

このマイナーチェンジではキドニーグリルを左右一体構造に変更した他、より空力性能に優れた形状のバンパーや新デザインのヘッドランプを採用。リアセクションも、テールランプの意匠やバンパーの形状が変更されています。

先進安全装備の部分では「ドライビングアシストプロフェッショナル」が全車に採用され、渋滞時の手放し運転を可能にする「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」も搭載されるに至っています。
 

BMW X3▲2021年10月のマイナーチェンジでデザインを変更し、ADASとコネクテッド機能も進化させた後期型

以上が現行型BMX X3の大まかなヒストリーとなるわけですが、次章よりケースごとのオススメ物件はどんなものか、検討してみましょう。

 

【オススメ1】とにかく安く狙うなら「前期型xDrive20d Mスポーツ」がオススメ
→想定予算:総額320万~380万円

現行型BMW X3を「とにかくお安めな予算で狙ってみたい」というのであれば、選択肢は「マイナーチェンジ前の2L直4エンジン搭載グレード」ということになります。

具体的にはディーゼルターボのxDrive20dか、ガソリンターボのxDrive20iか――ということになるわけですが、ガソリンターボエンジンを搭載するxDrive20iの流通量はかなり少なめで、市場の大半はディーゼルターボのxDrive20dです。そのため、実際には「計3種類に分かれているxDrive20dの中から、自分はどれを選ぶべきか?」ということになるでしょう。
 

BMW X3▲2L直4ディーゼルターボエンジン搭載グレードの前期型(写真は本国仕様)

スタンダードな「xDrive20d」の中古車価格は比較的手頃ですが、流通量が激少であるため、あまり現実的な選択肢ではありません。現実問題としては、ラグジュアリー方向の装備が充実した「xDrive20d xライン」にするか、それともスポーティな外観と装備類を有する「xDrive20d Mスポーツ」にするかの二択になります。

この2つのうち流通量が圧倒的に多いのは「xDrive20d Mスポーツ」ですので、探しやすく、物件のコンディションを見ながら取捨選択しやすいのは間違いなくコレです。前期型xDrive20d Mスポーツの中古車価格は総額280万~600万円といったところですが、おおむね総額320万~380万円のゾーンにて、走行2万km台から4万km台までの好条件な1台が見つかることでしょう。SUVとしてのクオリティおよびブランド性から考えると、なかなかお買い得であるように思えます。

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BMW X3(3代目・現行型) × 2017年10月~2021年9月生産モデル×Drive20d Mスポーツ×全国

かなりスポーティなイメージであるxDrive20d Mスポーツではなく、もうちょっと落ち着いた印象のX3が欲しいのであれば、狙うべきは「xDrive20d xライン」です。流通量がやや少なめなのがネックですが、Mスポーツと同じく総額320万~380万円のゾーンで、走行2万km台から4万km台までの好条件な1台が見つかるはずです
 

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BMW X3(3代目・現行型) × 2017年10月~2021年9月生産モデル×Drive20d xライン×全国
BMW X3▲ちなみに最低地上高は204mm確保されており、X3で実際に川を渡る人がいるかどうかはさておき、渡河水深も500mmという十分な性能を備えている
 

【オススメ2】よりスタイリッシュな後期型狙いでもやはり「xDrive20d Mスポーツ」がオススメ
→想定予算:総額600万円前後

前期型のxDrive20dでも走りと装備のレベルは十分なはずですが、よりシュッとしたデザインと、ハンズオフ走行も可能なADAS(先進運転システム)を必要とするのであれば、2021年10月にマイナーチェンジを受けた「後期型」を探すことになります。
 

BMW X3▲フロントマスクのデザインがそこそこ大幅に変更された後期型X3

後期型では「xライン」がカタログから消えたため、主な選択肢はスタンダードグレードである「xDrive20d」とスポーティな「xDrive20d Mスポーツ」の2種類。ガソリンターボのxDrive20iは後期型においてもやっぱり希少であるため、あまり現実的な選択肢ではありません。

で、ここでも最多の流通量を誇るのはMスポーツですので、結論としては「xDrive20d Mスポーツ」が探しやすく、なおかつコンディションの吟味が行いやすいグレードです。総額600万円前後の価格帯にて、走行1万km台から2万km台までの物件が探せるでしょう。

中古車の価格としてはけっこう高い部類に入りますが、おおむね800万円前後だった新車時価格から考えれば、低走行な後期型xDrive20d Mスポーツは「お買い得である」と考えることもできます。予算が潤沢な人には悪くない選択肢でしょう。

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BMW X3(3代目・現行型) × 2021年10月以降生産モデル×Drive20d Mスポーツ×全国

またMスポーツとさほど大きな価格差があるわけでもないのですが、「素のxDrive20d」であれば、若干お安い「総額500万円台後半ぐらい」にて、かなり好条件な1台を見つけることが可能です。

素のxDrive20d(スタンダード)のシート表皮は「センサテック」という合皮が標準なのですが、レザー・パッケージというパッケージオプションにて、Mスポーツと同じ「ヴァーネスカ・レザーシート」になっている物件も多数存在します。このあたりは個人の好みによる話ですが、ヴァーネスカ・レザーにこだわりながらスタンダードを探してみるのも面白いかもしれません。
 

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BMW X3(3代目・現行型) × 2021年10月以降生産モデル×Drive20d×全国
BMW X3▲こちらが「ヴァーネスカ・レザー」のスポーツシート。Mスポーツのやや大仰な内外装が好みでない場合には、このレザーシートがオプションとして装着されているスタンダードを探してみるのも悪くない
 

ちなみに「Mパフォーマンスモデル」の中心はM40d
→想定予算:総額370万~800万円

前期型または後期型のxDrive20dでも走りと装備のレベルは十分なはずですが、「よりパワフルで、よりラグジュアリーなX3が欲しい!」となった場合にはM40dまたはM40iを探すことになります。

とはいえ最高出力387psの3L直6ガソリンターボエンジンを搭載するM40iは希少であるため、Mパフォーマンスモデルにおいても、流通のメインは3L直6ディーゼルターボの「M40d」です。
 

BMW X3▲こちらがM40dの前期型。キドニーグリルやエアインテーク、ドアミラーキャップなどはフェリックグレーで統一されている

現行型BMW X3 M40dの中古車流通量は、2023年2月上旬時点で約80台。セグメント全体としての価格帯は総額370万~890万円といったところです。

多少走行距離が延び気味でもOKであれば総額370万~390万円付近で見つけることもできますが、実際には「総額400万円台後半」が前期型M40dの中心価格帯です。具体的には総額460万~480万円ぐらいの予算を投入する気があれば、好条件な前期型M40dを見つけることができるでしょう。もしも「後期型にこだわりたい」という場合は、想定予算は総額750万~800万円ほどまで急上昇します。
 

BMW X3▲「マルチファンクションMスポーツ・レザー・ステアリング・ホイール」はM40dに標準装備。パッケージオプション「イノベーション・パッケージ」付きの物件であれば、ジェスチャーでオーディオなどのコントロールが可能だ

かなり高額な後期型M40dは「一部の人のための車」かもしれません。しかしそれ以外のグレードおよび世代であれば、現行型BMW X3の中古車は――決して安いとはいいませんが、「意外と現実的な選択肢」ではあります。もしもご興味があれば、これを機会に現行型X3各車の中古車をぜひチェックしてみてください。
 

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BMW X3(3代目・現行型) × M40d×全国

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BMW X3(3代目・現行型) × 全国
文/伊達軍曹 写真/BMW

※記事内の情報は2024年2月14日時点のものです。

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。