多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーで、車載用半導体の主要サプライヤであるSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、自動車の安全性を強化するマルチコア搭載の新しい車載用マイクロコントローラ(マイコン)を発表しました。この車載用マイコンは、STが社内で保有する40nm内蔵Flashメモリ・プロセスを採用した初の製品です。

最も厳しい自動車安全規格(1) に準拠する新しい車載用マイコンは、セキュリティを確保する暗号化機能を搭載する他、重要なプログラム / データ格納用にメモリ容量が増加しています。これらの新製品は、高い安全性の求められる重要な車載アプリケーション(エンジン制御、トランスミッション、アンチロック・ブレーキ・システム、電動パワー・ステアリング、アクティブ・サスペンション、高度運転支援システム(ADAS)等)に向けた、耐故障性の高い車載用マイコンの製品ラインを強化します。

STのグループ・バイスプレジデント 兼 車載用マイクロコントローラ & インフォテインメント事業部ジェネラル・マネージャであるFabio Marchioは、次の様にコメントしています。「セキュリティならびに機能安全規格への準拠は、重要な車載アプリケーションに向けた最先端かつ高信頼性のシステム・オン・チップの実現に不可欠です。STの新しい車載用マイコンは、既存製品からの簡単なアップグレードが可能で、セキュリティを妥協することなく自動車の性能と経済性を向上させることができます。同時に、ハードウェアとソフトウェアの再利用が可能なため、開発リソース、コストの大幅な削減にもつながります。」

STのPower Architecture(TM)ベースの車載用32bitマイコン・ファミリを構成するSPC58NEは、複数の高性能デュアル・イシュー・コア、内蔵Flashメモリ(最大6MB)、内蔵RAMメモリ(最大768kB)、CAN(Controller Area Network)インタフェース(8つ)、およびエンド・アプリケーションに基づいて最適化されたペリフェラル・セットを集積しています。マルチコアの採用により、重要性の高いアプリケーションでの冗長性が確保され、自動車メーカーおよび消費者の求める安全性とセキュリティの要件に対応します。

現在、SPC58NEは、各種パッケージ(BGA292、LQFP176)で提供されており、近日中にKGD(Known Good Die:テスト済みのベアチップ)での提供も予定されています。ISO 26262 ASIL DおよびEVITA Medium Classに準拠するSPC58NE84は、現在サンプル出荷中です。詳細については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせください。

注記

1. STが社内に保有する内蔵Flashメモリ(eFlash)プロセス技術は、STが過去20年間蓄積してきた内蔵Flashメモリに関するノウハウが活用されています。STは、プロセスの微細化を通じて、シングルチップに集積するFlashメモリ容量とペリフェラル機能を増加させています。STの新しい40nmプロセス技術を採用し、マルチコアを搭載する車載用マイコンは、16MB以上のFlashメモリを内蔵することができます。

2. 自動車のセキュリティ機能に対するニーズは過去より存在しており、今日、セキュリティは車載システムの基本要素となっています。元来、車載セキュリティは、Flashメモリに格納された電動エンジン・パラメータが変更されることを防ぐ目的で、少数のサブシステムに採用されていましたが、現在では広く普及し、必要不可欠な機能となっているケースもあります。現在、車載セキュリティは、EVITA(E-safety Vehicle Intrusion Protected Applications)Medium Classを対象としたハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)にまで拡張されています。HSMは、自律した独立システムとしてマイコンに内蔵され、あらゆるセキュリティ操作を処理します。

(1) ISO 26262 ASIL D機能安全規格は、電気電子制御システム全体について、動作不良による障害に起因する不慮のリスクを回避するために必要なルールを規定しています。車載用マイコンの役割は非常に重要なものであり、STは車載用セーフティ製品に対し、この規格の適用可能な全ての項目の評価を実施しています。

STマイクロエレクトロニクスについて

STは、「センス & パワー、オートモーティブ製品」と「エンベデッド・プロセッシング ソリューション」の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュリティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンにおいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。2014年の売上は74.0億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( http://www.st-japan.co.jp )をご覧ください。