ダイハツタントはミラクルオープンドア 【試乗by西川淳】
2008/01/29
軽自動車なのにダントツの開放感
昨年末にとあるパーティでダイハツ箕浦輝幸社長とお話させてもらったとき、こういう時代だからこそ日本の軽自動車は今こそ世界に向けて発信すべき存在、というようなことをおっしゃっていた。よくできたコンパクトカー、という意味では最新の軽自動車を超える存在は、世界のどこを見渡してもないからね。そのとき、新型タントのことにも少し触れられて「よう頑張って作ったけれど、重量の問題(少し増した)など改善の余地はまだまだある」ですと。いやぁ凄いな。トップがこうヤルキ満々やと現場はめっちゃ大変やろな、と思ったもの。
軽自動車って、どんどん装備を充実させて性能も進化させ安全性を高めつつ、生活車なんだからできるだけ安く作って安く売らなければならないわけ。燃費性能も上げなきゃいけないし。すごい矛盾の中にあるんだと思う。経営と車作りの現場は、目指す目標が同じでも毎日戦争してはるんやろな。まぁ、そういう中からこそ新しい技術やできる人は生まれてくるもんやろうけど。例えば軽量化なんていうこれからの自動車の鍵を握るテクノロジーは、まさに矛盾との戦いやから。
というわけで、新型タント。今年から自動車“趣味”ライターとして、矛盾を怖れることなく取り組む決意をした西川にとっては、今最も遠い存在でもあるわけです。ボクにとっては今年最初の試乗会(フォレスターやら何やら今年はスタートから行けずにいたので)。場所は雪降る木更津かずさアカデミアパーク。同じく最も遠い存在の赤いGT-Rで駆けつけた。
見るからに奥様ご用達な“ノーマル”と、見るからにヤンママご用達な“カスタム”と。カスタムはオトコ用って言ってるけど、違うと思うな。だって木更津周辺でもカスタム系で“窓全開たばこスパー”ってヤンママ、いっぱいいたし、めちゃくちゃ似合ってたもの。そうそう、カスタム用のオプションパーツが凄い!種類も凄いが、センスも凄い。まるで地方のゴージャスキャバクラみたいな仕様が一番気に入った!経営陣との戦闘激しい車作りの現場と違って、オプションパーツ企画はめっちゃ楽しそうやん。
新型のポイントは助手席側フル開口タイプのドアシステムを採用したこと。スイング式ドア+電動スライドドアで、両方開けると巨大な開口部が。トヨタアイシスと同じね。30kgほど、こちら側が重いらしい。左右の重量差から生じる走りのバランス問題もそうだけれど、全開口の場合もっとも気を使うのは側面衝突だ。そもそも皮の薄い軽自動車だから余計に難しかったはず。それほど高速で走らないし街乗り中心の背高軽自動車だから走りよりもこっちが大切。実際、そのへんをちょろちょろ奥様気分で乗る限りは、フツーでしたよ。走り。シャーシ屋(編集部注:シャーシ開発部門の意味)さん、操安屋(編集部注:操縦安定性開発部門の意味)さんが頑張った。
ダイハツの軽自動車って、現行ムーヴあたりからはっきりと車の質が変わって来ていて、こう言っちゃ何だけど、すごく車らしくなった。ミラ乗ったときなんか、ヨーロッパのコンパクトカーみたいだと思ったくらい。新型タントも、静かだし、しっとりと走るし、乗り心地も悪くない(カスタムは40km/h前後の乗り心地にやや難あり。どうせもっとひどい乗り心地に改造したりするのだろうけれど)。
それに開放感は、やっぱり物凄い。何が凄いって、ルームミラーに顔が映らない!広いんだよなあ。CVT(高くて重いが燃費がいい)とAT(安くて軽いが燃費がきつい)の両方を用意した。個人的にはCVTの滑らかな走り味をヨシとしたいが、少しでも安い仕様が欲しいユーザーは、やっぱりATを選ぶだろうな。ちゃんと変速ショックが出たほうが“走ってるぞ”感があって、安心だという人も多いし。
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