手に入れてはや15年、オーナーの職まで変えてしまったトヨタ 2代目ソアラ
2020/11/19

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
子供のころの記憶に色濃く残った2代目ソアラ
日本経済が絶頂を迎えていた80年代後半に大ヒットを記録した2代目トヨタ ソアラは、間違いなくバブルのイケイケな空気を象徴していた。
山本さんは、そんなソアラを人生初の「愛車」に選んだ。15年前のことだ。

「子供の頃に親戚が所有していて印象に残っていたのと、当時はまだ現在のように中古車の価格も高騰していませんでしたからね。2.0GT ツインターボのMT仕様が車検2年付きで約40万円でした」
そうなのである。ソアラはバブル崩壊後の90年代以後、しばらくは中古市場で安価に流通していた。筆者の高校の友達も、18歳の分際でエアサス付き最上級仕様「3.0GT リミテッド」を山本さんと同じような金額で手に入れ、乗り回していたのをよく覚えている。
もっとも、若者が安く買った車の末路というのは往々にして悲劇的なものだ。ましてソアラは高級車。ろくすっぽ整備もされないままこき使われ、故障したら修理されることなくポイっと廃車。ま、そんなところである。
丁寧なメンテナンスを心がけ、当時の雰囲気を残すことを大切に
ところが山本さんは違った。
安く買って浮いたお金を整備費に回し、長く大事に維持していくことにしたのだ。これまでローダウンなどのカスタムは一切行わず、ノーマル状態を堅持。オイルは3000㎞ごとに必ず交換。エンジンはむやみに高回転まで回さず丁寧な運転を心がけているという。
「やっぱりカスタムすると元のバランスが崩れますし、傷みも早くなりますから。欠品しそうな部品はあらかじめ交換、またはストックするようにしています」
購入してから現在まで、すでに約30万㎞以上を走行しているが、エンジンやトランスミッション、タービンといった主要部品は、これまで一度も交換やオーバーホールをしていないという。
▲しっかりメンテナンスされている、という印象を受ける綺麗なエンジンルームである「現代の車と比べればまったく大したことないですが、当時としてはスムーズで安定感のある走りだと思います。古くても高級車なので、ひと通り快適装備も揃ってますし。急に思い立って東北まで走ったこともありますし、いまでも十分実用できます」
ソアラの革新性を示すアイコンのひとつだった「スペースビジョンメーター」もまだ健在。
面白いのが、レースのシートカバーなどの純正アクセサリーに加えて、車載電話や古いJAFの永年ステッカー、字光式ナンバーまで装着して当時の雰囲気を再現しているところ。
カッコ良い/カッコ悪いという価値観を超越したそこはかとないノスタルジー。かつてのオーナーなら「懐かしい」と言わずにはいられないだろう。
▲ステアリングなども純正をそのままにしている
▲ソアラの「グリフォン」のエンブレムが入ったレースの純正シートカバー
▲「電話回線がすでに廃止となっているのでこれは飾りです(笑)」と本人談自身でメンテナンスしていたら整備士に、いつかはショップオーナーに
ほとんどのメンテナンスは自身で行っている。ソアラをメンテナンスしているうちに自動車整備をマスターし、それが高じて30歳を越えてから整備士に転職までしてしまったという。
「いつか僕が若い頃に身近にあった、80~90年代の国産車を専門に扱うショップをオープンさせたいと思ってます」
山本さんにとってこのソアラはまさに「運命の1台」なのである。
▲ソアラの部品取りの他に日産 ローレル(C33型)やトヨタ マークⅡ(X110型)など、約20台を保有する。それらを保管するための土地まで購入したというから凄い
山本裕太郎さんのマイカーレビュー
トヨタ ソアラ(2代目)
●購入金額/約40万円
●年間走行距離/約18000㎞
●マイカーの好きなところ/外装デザイン、スペースビジョンメーターが気に入ってます
●マイカーの愛すべきダメなところ/前期型なので錆びやすいところですね。あと、ターボなのに遅いところです(笑)
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/車両価格も中古部品も相場が急激に上がり出したので、当時欲しかったけど買えなかった人にとっては今がラストチャンスかもしれません

ライター
佐藤旅宇
オートバイ専門誌『MOTO NAVI』 、自転車専門誌『BICYCLE NAVI』の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はスズキ ジムニー(81年式)とスズキ グランドエスクードの他、バイク2台とたくさんの自転車。
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