絶滅危惧車のFTOは、新たなユーザーにスポーツカーの楽しさを伝えようとしていたモデルだった!
2019/08/09
▲今回紹介するのは、1994年10月に登場した三菱のスポーツクーぺFTO。今見てもそのスポーティなフォルムは古くささを感じさせない全幅全長比0.4の理想的なフォルムのスポーツクーペ
1994年10月、三菱からコンパクトなスポーツクーペ、FTOが投入された。
FTOという名称の復活は実に19年ぶりで、ギャランFTOが生産終了して以来のことだった。
個人的に気になっているのはネーミングだ。ギャランFTOのとき、FTOはイタリア語でFresco Tourismo Omologareの頭文字を取ったものと解説されていた。
対するFTOは、というと英語でFresh Touring Originationだと解説されていた。まぁ、いずれも“新鮮なツーリングカーの創造”という意味合いだったのだが……。
ベースは同時期のランサー/ミラージュだが、スポーツクーペとして優れたパッケージングに仕上げられており、全幅全長比は、スポーツクーペとして理想的とされている0.4だった。
ベースがランサー/ミラージュゆえに、ホイールベースは2500㎜と短め。それでいながらフロントトレッドは1490㎜、リアトレッドは1985㎜。これがクイックなハンドリングをもたらしていた。
前後ともにショートオーバーハングで、デザインコンセプトは“走る喜びを全身で表した躍動感”だった。そして、ドライバーと車の一体感を重視した“ハイパフォーマンス実感インテリア”と呼ばれていた。
今見ても古くささを感じさせないのは、それだけ優れたデザインだったということだろう。
▲曲線を多用した特徴的なボディは、“走る喜びを全身で表した躍動感”を表現しているという
▲内装にも曲線的なデザインが用いられており、スポーティな雰囲気が漂う(写真はGPバージョンR)スポーツクーペ顧客層のすそ野の広げた「INVECS-II」
搭載されたエンジンは、1.8L直4(最高出力125ps)と2種類の2L V6(最高出力170psと200ps)だった。2種類の2L V6エンジンの違いは、MIVECと呼ばれる電子制御式可変バルブタイミング機構の有無だった。
特に注目されたのはトランスミッションで、マニュアル操作でギアの選択を可能としたINVECS-IIが搭載されたことだった。最近でこそ珍しい装備ではないが、当時は画期的だった。と同時に、スポーツクーペ顧客層のすそ野を広げる目論見だったのだろう。
翌年には2万台ちょっと売り上げることになったが、1996年からは5500台強、1997年には2400台強とずるずると売上は低迷していった。そして、2000年7月に生産を終了した。狙った顧客層へのリーチはしたものの、長くは売れなかったということだ。
パワーはエンジンによって異なっていたが、車両重量は1200㎏ちょっとだったので軽量・爽快な車だった。ボディには高張力鋼板が多用され、ボディ剛性の高さも評価されていた。
▲GPXおよびGPバージョンR系グレードに搭載された6A12型エンジンは、最高出力200psを誇っていた
▲当時は画期的だった「INVECS-II」。ATユーザーでもMTのような操作を楽しむことができるシステムだ4万台弱販売されたとはいえ、販売終了から実に19年が経過。カーセンサーnetに掲載されている物件数は2019年8月初めの時点で14台と少ない。
上級グレードのV6エンジン搭載車のみが“生き残って”いるかなと思いきや、カーセンサーnetにはまんべんなく掲載されている。掲載物件の値段は様々で安いもので20万円弱、高いもので140万円弱となっている。
そういう意味では予算に応じた車選びをしやすい。今見てもスポーツクーペの王道らしいデザインは、好きな人には刺さるはずだ!
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
▼検索条件
三菱 FTO(初代)×全国
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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