レクサス NX ▲旧型になったとはいえ、いまだ人気も実力も十分以上といえるSUV「初代レクサス NX」の中古車平均価格が大きく下がっています。この機会に、現実的な選択肢となった初代NXの選び方についてじっくり考えてみることにしましょう!

旧型レクサス NXの中古車価格が1年で75万円も安く!

比較的コンパクトなサイズ感でありながら、かなりの上質さも備えているSUV、レクサス NX。その初代モデルの中古車平均価格が今、なかなか大きく下がっています。

下のグラフをご覧ください。
 

レクサス NX

2022年の後半は若干上げ基調となっていた初代NXの平均価格ですが、2023年2月頃からダウントレンドに入り、そのまま緩やかに下り続けています。その結果、2023年1月の時点では394.8万円だった中古車平均価格は2024年1月には319.7万円となり、実に約75万円も安くなるという結果になっています。

この記事では、まだまだ魅力たっぷりであるといえる旧型レクサス NXのモデル概要を見ていくとともに、直近のオススメ物件をケースごとにご紹介いたします。
 

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【モデル概要】ほどよいサイズ感のプレミアムSUV

レクサス初のコンパクトクロスオーバー「初代NX」が発売されたのは2014年7月。製品コンセプトは「Premium Urban Sports Gear」というもので、高級なスポーツウオッチやオートバイなどと同じく、「休日のアクティブなライフスタイルを演出しつつ、日常生活で使える車」を念頭に開発されました。

ボディサイズは全長4630mm×全幅1845mm×全高1645mmで、兄貴分といえる同時期のレクサス RXと比べて140mm短く、40mm狭く、45mm低いという寸法です。とはいえ、車体後方まで水平に伸びるルーフラインを採用したことで、後席の室内高も十分となっています。
 

レクサス NX▲こちらが初代レクサス NXの前期型。写真はハイブリッドのNX300h
レクサス NX▲大きく張り出した前後のフェンダーや、ドア下方のせり上がるようなラインが印象的なリアビュー
レクサス NX▲グレードによって細部は異なるが、運転席まわりのデザインと質感はおおむねこのようなテイスト

車台は同時期のレクサス CT200hやトヨタ ハリアーあるいはプリウスにも用いられた「新MCプラットフォーム」に手を加えたもので、パワーユニットは、ガソリンエンジンとハイブリッドシステムの2本立て。

ガソリンエンジン車である「NX200t」は新開発された最高出力238psの2L直噴直4ターボを搭載し、ハイブリッド車「NX300h」は、最高出力152psの2.5L直4エンジンを、同143psのモーターがサポートするシステムを搭載。4WDモデルには、後輪を駆動するためのリアモーター(最高出力68ps)も備わっています。

トランスミッションはガソリン車が6速ATで、ハイブリッド車は電気制御の無段変速機。駆動方式は両車ともFFと4WDが用意されました。

そしてガソリン車とハイブリッド車それぞれに、「ベースグレード」と「Iパッケージ」「バージョンL」「Fスポーツ」という4つのグレードをラインナップ。

ベースグレードでもひと通りの十分な快適装備はそろっていますが、「Iパッケージ」は三眼フルLEDヘッドランプやアダプティブハイビームシステム、ヘッドランプクリーナー、パワーイージーアクセスシステム、ステアリングヒーター、そして運転席ポジションメモリーと運転席・助手席ヒーターが付いたL tex(合成皮革)のシートなどが装備されます。
 

レクサス NX▲Iパッケージ以上で標準装備となる三眼フルLEDヘッドランプ。装備と価格のバランスが良いのがIパッケージというグレードの特徴だ

ラグジュアリーな「バージョンL」では、18インチタイヤ&ホイールとL本革シート、運転席ポジションメモリー、運転席・助手席ベンチレーション&ヒーター、電動リクライニング&電動格納機能とヒーター付きの6:4分割リアシート、ハンズフリーパワーバックドアなど、豪華快適装備の全部盛り状態となります。
 

レクサス NX▲ベンチレーション&ヒーター付きの本革シートを採用するバージョンLのインテリア

スポーティな「Fスポーツ」は、ベースグレードの内容に加え、路面状況に応じて自動的に減衰力を調整する「NAVI・AI-AVS」や「パフォーマンスダンパー」を標準装備する他、足回りに専用パーツを投入。その他、専用デザインのスピンドルグリルや専用アルミホイール、専用スポーツシート、ブラック塗装ドアミラー、専用ステアリング、ハンズフリーパワーバックドア等々、特別感の強いエクステリアとインテリアが採用されています。
 

レクサス NX▲専用デザインのスピンドルグリルや専用アルミホイール等々を採用するFスポーツ

2017年9月にはマイナーチェンジを行い、ガソリンターボ車の車名をNX200tから「NX300」に変更するとともに、内外装デザインも変更。具体的には、フロントバンパーをより鋭く低重心な造形とした他、スピンドルグリルを「LX」や「RX」との共通性をもたせたデザインに変更。そして三眼式LEDヘッドランプには超小型LEDランプユニットを採用し、シャープかつスポーティな表情に。リアコンビネーションランプも、L字を強調した新デザインに変更されました。

インテリアでは、ヘッドアップディスプレイと一体化したメーターフードや10.3インチワイドディスプレイ、新型リモートタッチなどが後期型の特徴となります。またその他、サスペンションのチューニングを変更して車体のロール特性や応答性を改善し、ショックアブソーバーの変更によって乗り心地がさらに快適になった他、新たなAVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)を搭載することで操縦安定性も向上しています。
 

レクサス NX▲2017年9月のマイナーチェンジを受けた後期型
レクサス NX▲後期型のインテリア。写真のFスポーツでは、専用色としてホワイトとフレアレッドが追加設定された

以上が初代レクサス NXのおおまかなヒストリーですが、ここからはケースごとのオススメ物件を検討してみることにしましょう。
 

 

【中古車のオススメ1】安く狙いたいなら「前期型NX200tのIパッケージまたはバージョンL」

初代レクサス NXを極力お安く買おうと思うなら、狙うべきは2L直4ガソリンターボエンジンを搭載する前期型の「NX200t」で、その中でも「Iパッケージ」と「バージョンL」が狙い目となるでしょう。これであれば、比較的豊富な流通量の中から総額210万~270万円付近の予算感にて、走行6万km台までの物件を見つけることが可能です。
 

レクサス NX▲写真は前期型NX200t バージョンL

スポーティな「Fスポーツ」おおむね同程度の価格帯で見つけることは可能なため、スポーティ寄りな世界観がお好きな人はそちらを探してもいいのですが、「お安い価格で狙える程度良好なNX200t Fスポーツ」は中古車の物件数がかなり少ないというのがネックになります。
 

 

希少な「安くて良好なNX200t Fスポーツ」を根気強く探すことを止めるわけではありませんが、基本的にはNX200t IパッケージまたはバージョンLの中から、自分が求めているコンディションやプライス感に合っている1台を探すのが最善手ではあります。
 

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レクサス NX(初代) × 2014年7月~2017年8月生産モデル×200t Iパッケージ/バージョン L×全国

4WD車の流通量は少なめで、中古車の多くは2WD車なのですが、駆動方式による価格差はさほど大きくはないため(もちろん4WDの方が少し高めであるという傾向はあります)、四駆が必要な人は、IパッケージまたはバージョンLの4WD車を狙ってみるのも――数が少ないためやや困難は伴いますが――普通にアリでしょう。
 

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レクサス NX(初代) × 2014年7月~2017年8月生産モデル×200t Iパッケージ 4WD/バージョン L 4WD×全国

また、IパッケージとバージョンLの「グレードの差に基づく中古車価格の差」も大きくはなく、価格は物件のコンディションと装備内容などで決まっている状況です。そのためここはどちらのグレードにするかをあらかじめ決め打ちにするのではなく、両車を候補としながら柔軟に幅広く探し、「もしも装備とコンディションと中古車価格のバランスが良い1台に巡り合ったら、それに決める」というニュアンスで臨むのが得策となるはずです。

ちなみに「ベースグレード」は、当然ながらIパッケージやバージョンL以上にお安いのですが、中古車の流通量がきわめて少ないため、基本的には除外して考えてしまっていいでしょう。
 

 

【中古車のオススメ2】ハイブリッド狙いでも「IパッケージまたはバージョンL」

ハイブリッドシステムを搭載しているNX300hを比較的お手頃な予算で探す場合も、狙い目は「前期型のIパッケージまたはバージョンL」ということになります。ハイブリッド車においてもベースグレードはかなり希少で、スポーティな「Fスポーツ」も、お手頃価格な物件の数は少なめだからです。

最も流通量が豊富で吟味しやすいのはIパッケージで、走行6万km台までの物件の価格は総額230万~260万円というイメージ。ただし大半が2WD車ですので、4WDを探し出すのは若干苦労するでしょう。
 

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レクサス NX(初代) × 2014年7月~2017年8月生産モデル×300h Iパッケージ×全国

そしてIパッケージ以上に装備が充実している「バージョンL」も、Iパッケージほどではないにしても、それなり以上の数が比較的手頃な価格帯で流通していますので、選択することは普通に可能です。NX300h バージョンLをまあまあお安く買いたい場合は「総額210万~280万円」が価格の目安となります。
 

レクサス NX▲こちらは前期型NX300h バージョンL

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レクサス NX(初代) × 2014年7月~2017年8月生産モデル×300h バージョン L×全国

ハイブリッド車を探す場合もガソリンターボ車と同様に、グレードをあらかじめ決め打ちで考えるのではなく、グレード不問で柔軟に幅広く探し、自分にとって好バランスな1台と巡り合ったらそれに決める――というスタンスで臨むのがオススメです。

ちなみに「Fスポーツ」も、数が少ないのがかなりネックではあるのですが、IパッケージやバージョンLとほとんど同じ総額220万~260万円付近の予算感で見つけることは可能です。
 

 

【中古車のオススメ3】後期型を比較的安く買いたいなら「ガソリンターボ」で

内外装がよりスタイリッシュになっただけでなく、乗り心地や走行安定性もより向上し、さらには強化された予防安全パッケージ「Lexus Safety System+」が標準装備となった後期型を狙いたい場合、最も高額な部類の中古車は総額500万円を軽く超えるのですが、「総額300万円台前半ぐらいから」の予算感であっても、後期型は十分に検討可能です。
 

レクサス NX▲写真は2019年4月以降の、先進安全装備がさらに進化した世代のNX300

最も流通量が多いのは、マイナーチェンジを機にNX200tからNX300に改名された2L直4ガソリンターボエンジン搭載車の「Fスポーツ」で、中古車の価格帯は総額330万~530万円といったところ。とはいえ総額370万円前後のゾーンで、走行2万km台から3万km台の好条件な1台が見つかるはず。
 

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レクサス NX(初代) × 2017年9月~2021年9月生産モデル×300 Fスポーツ×全国

そして後期型NX300の「Iパッケージ」でもOKであれば、さらにお安い総額330万円前後にて、まずまずの1台が見つかるでしょう。さすがにバージョンLだと少し高めになりますが、それでも総額380万円前後で、好条件な1台を見つけることが可能です。
 

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レクサス NX(初代) × 2017年9月~2021年9月生産モデル×300 Iパッケージ×全国

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レクサス NX(初代) × 2017年9月~2021年9月生産モデル×300 バージョンL×全国

ちなみに、ガソリンターボではなくハイブリッドの後期型でいきたい場合、こちらも流通量が最も多いのは「Fスポーツ」ですが、目安となる価格はガソリンターボのFスポーツより50万円ほどお高い「総額420万円前後」になります。

そしてIパッケージもバージョンLも豊富に見つけることはできるのですが、それらの中古車価格はおしなべて「ガソリンターボの同グレードより30万~50万円ぐらい高い」という状況になっています。
 

レクサス NX▲後期型のハイブリッド車はさすがにまだ高めの価格水準。写真はNX300hのバージョンL

これだけの価格差があると「ガソリン代で元を取る」というのは若干難しくなりますので、後期型のレクサス NXハイブリッドは、経済性うんぬんではなく「十分なモーターアシストがあるゆえの静かで上質な世界観を求める人」に向いている選択肢だといえるでしょう。
 

 

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文/伊達軍曹 写真/レクサス、篠原晃一
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。