日産 GT-R

4WDは悪路を走るためのものだけじゃない! 最新型スポーツカーを紹介

クロスオーバーSUVが圧倒的な人気を誇っている現在では、4WDと聞くとランドクルーザーのような本格的なクロスカントリーモデルや、トライトンのようなピックアップトラックを思い浮かべるかもしれません。

確かにもともとの4WDは悪路などの走破性を高めるために使われていた技術ではありますが、それに伴ってラリーなどのモータースポーツでも速く走るための技術として採用されるようになり、現在ではハイパフォーマンスなスポーツモデルは当然のように4WDを採用するようになっているのです。

そして国産モデルにも台数は多くありませんが、4WDシステムを搭載した現行スポーツモデルも存在しているのです。

そこで今回は、現行型国産4WDスポーツモデルを5車種ご紹介します!
 

 

日産 GT-R(R35型・現行型)

【生産期間】2007年12月~
【新車時価格】777万~3061.3万円
【平均中古車価格】1591万円
【中古車掲載台数】276台
 

日産 GT-R▲日本を代表するスポーツモデルの1台が、R35型 日産 GT-R

日産が世界に誇るスポーツモデルのひとつであるGT-R。もともとはスカイラインをベースとしたホッテストモデルでしたが、2007年12月に登場した今モデルからはスカイラインとは直接的な関係性をもたない単独モデルとなり、グローバルに販売されるようになりました。

搭載されるエンジンはそれまでのスカイラインGT-R時代の直列6気筒からV型6気筒となり、排気量も3.8Lへと拡大。トランスミッションはGR6型と呼ばれる6速DCTとなり、2ペダル仕様のみとなりました。

駆動方式はスカイラインGT-R時代から採用されているアテーサE-TSと呼ばれる電子制御トルクスプリット四輪駆動システムで、電子制御によって前後のトルク配分を連続制御してFR車の優れた旋回性能と4WD車の安定性を両立させたものが搭載されています。

すでに登場から17年以上が経過したGT-Rですが、常にアップデートを繰り返して最速クラスのパフォーマンスを維持してきましたが、2025年8月をもって生産終了することがアナウンスされています。
 

日産 GT-R▲搭載されるのはV6 3.8LツインターボのVR38型エンジン
日産 GT-R▲スポーツ性だけではなく快適性もしっかり確保されているコックピット

そんなGT-Rはデビュー当初は777万円~という価格でしたが、最新型はエントリーモデルでも1444.3万円とほぼ倍の価格に。よりハイチューンモデルのNISMOに至っては3000万円超というプライスとなっていますが、こちらは中古車としてはプレミア価格となっていて5000万円を超えるものも珍しくありません。

それに伴ってか、初期型に近く走行距離の進んだ物件でも600万円を切るものはほとんどなく、ビッグマイナーチェンジが実施された2017モデル以降のものについては1000万円を切るものは現状ない状態となっています。
 

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日産 GT-R(R35型・現行型)×全国
 

スバル WRX S4(2代目・現行型)

【生産期間】2021年11月~
【新車時価格】400.4万~623.7万円
【平均中古車価格】408.4万円
【中古車掲載台数】58台
 

スバル WRX S4▲スバルのAWDパフォーマンスを象徴するモデルのWRX S4

スバルの4WDとしてはラリーに参戦していたインプレッサが知られるところですが、実質的な後継車種として2014年8月に登場したのがWRXです。

現在は2代目にあたるWRX S4が販売中で、エンジンは排気量が先代から拡大された2.4Lの水平対向4気筒直噴ターボエンジンを搭載。最高出力こそ先代よりも下がりましたが、実用域でのトルクが厚くなったことで乗りやすさがアップ。

トランスミッションは大トルクにも対応したスバルパフォーマンストランスミッションと呼ばれるCVTが搭載され、センターデフによってトルクを前45:後55に不等配分してコーナーでのスムーズなハンドリングを実現するVTD-AWDという四輪駆動システムが搭載され、運転支援システムのアイサイトも標準装備されています。

先代にラインナップされていたSTIモデルは現状存在しませんが、S4系に「STI Sport R」グレードが用意され、こちらにはドライブモードセレクトや電子制御ダンパーなどが装備されました。
 

スバル WRX S4▲従来型比+400ccの排気量アップをはたした2.4L水平対向4気筒ターボFA24型を搭載
スバル WRX S4▲8速マニュアルモードを備える新型の「スバルパフォーマンストランスミッション」が採用されている

中古車としては、2024年に500台限定で発売された「スポーツ#」は600万円を超える価格が付けられているものが多いものの、初期型に近い物件では総額300万円台前半で乗り出せるものも見つけることができます。

また、STI Sport R系でもわずかながら総額400万円を切る価格のものも存在し、走行5000km未満で総額450万円を切るものもあるため、新車を検討している人は中古車も並行してチェックした方がいいかもしれません。
 

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スバル WRX S4(2代目・現行型)×全国
 

トヨタ GRヤリス GR-FOUR(初代・現行型)

【生産期間】2020年9月~
【新車時価格】265万~846.7万円
【平均中古車価格】382.9万円
【中古車掲載台数】238台
 

トヨタ GRヤリス▲「モータースポーツ用の車両を市販化する」という、逆転の発想で開発が進められたホットハッチのGRヤリス

モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりを実現するために、2020年9月に登場したGRヤリス。車名こそコンパクトカーのヤリスの名前が使われていますが、実は両車で共有している部品はほとんどないといわれるほど別物となっています。

まずボディは3ドアとなり、エンジンも1.6Lのインタークーラーターボを搭載。駆動方式もGR-FOURと名付けられた電子制御式カップリングを用いた新開発のスポーツ四輪駆動システムが搭載されているのです。

当初は6速MTのみだったトランスミッションですが、2024年1月の改良ではGR-DATと呼ばれる8速ATも追加。このATはイージードライブのためではなく、スポーツ走行が可能なATとなっているのも特徴です。

なお、改良前のモデルには通常のヤリスと同じ1.5LのNAエンジンとCVTを搭載し、前輪駆動とした「RS」も存在していたので、4WDスポーツを狙う人は要注意。
 

トヨタ GRヤリス▲4WDモデルには、直3ターボのG16E型エンジンが搭載される
トヨタ GRヤリス▲2024年の一部改良時には8速AT仕様も追加された

GRヤリスの中古車は238台が掲載されており、2WDのRSを除くと174台がヒット。2022年1月に500台限定でリリースされたチューニングモデルとなるGRMNヤリスはプレミア価格となっており、1000万円を超えるものも珍しくありません。

また、改良後のモデルも総額600万円近い価格帯のものが中心で、新車と変わらないかそれ以上のプライスとなっているのが現状です。

一方、初期型に近いものであれば300万円台前半で乗り出せる物件も見つけることができますが、多くがモータースポーツベースのRCであり、ディスプレイオーディオやナビが非装着となるのが基本であるため、日常使いもするという人は注意が必要でしょう。
 

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トヨタ GRヤリス (初代・現行型)×4WD×全国
 

トヨタ GRカローラ(初代・現行型)

【生産期間】2022年12月~
【新車時価格】525万~715万円
【平均中古車価格】631.6万円
【中古車掲載台数】31台
 

トヨタ GRカローラ▲カローラスポーツをベースに開発されたGRカローラ

3ドアのGRヤリスに対して5ドアハッチバックのボディをもつGRカローラは、5ドアハッチバック車であるカローラスポーツをベースとした車両となっています。

パワートレインはGRヤリスと共通の直列3気筒1.6Lのインタークーラーターボエンジンと6速MT、そしてGR-FOURと呼ばれる電子式多板クラッチによる前後駆動力可変システム採用のスポーツ4WDシステムを採用しています。

デビュー時には70台限定の「モリゾウエディション」も用意され、こちらはリアシートを撤去した2シーターモデルである他、ボディ剛性のアップや最大トルクの向上、ギア比やタイヤの変更などがなされたチューニングモデルとなっていました。
 

トヨタ GRカローラ▲GRヤリス同様に、直3ターボのG16E型エンジン
トヨタ GRカローラ▲6MT仕様のみがラインナップされる

通常モデルは当初はカタログモデルとなる予定でしたが、半導体不足の影響もあり、初回が500台、2023年8月に550台が限定販売されて以降、追加販売はなされていないのが現状です。

そんな経緯もあって、中古車は31台の掲載にとどまっており、モリゾウエディションは1000万円前後のプレミア価格。通常モデルも走行距離の少ないものは総額600万円台後半の価格帯となっており、最安値の部類でも総額500万円台後半と高値安定が続いています。
 

▼検索条件

トヨタ GRカローラ(初代・現行型)×全国
 

レクサス LBX MORIZO RR(初代・現行型)

【生産期間】2024年7月~
【新車時価格】650万~720万円
【平均中古車価格】495.5万円 ※全グレードを含む参考値
【中古車掲載台数】0台
 

トヨタ GRカローラ▲SUVタイプながら「MORIZO RR」ははレーシングドライバーとともに鍛え上げられたハイパフォーマンスモデル

レクサスブランドからリリースされているLBXはコンパクトながら、走りやデザインも上質である車を目指して開発されたコンパクトクロスオーバーSUVモデルです。そのため、当初は4WDスポーツとは無縁のモデルでしたが、2024年7月に追加された「MORIZO RR」は一味違うもの。

豊田章男会長のドライバーネームでもあるモリゾウが冠されたこのモデルは、GRヤリスやGRカローラに搭載されたG16E-GTS型1.6Lインタークーラーターボエンジンと、6速MTもしくは8速のダイレクトシフト8ATが組み合わされ、電子制御フルタイムAWDを搭載したもの。

日本国内向けのレクサス車としては初めて6速MTが設定されたことからも分かるように、コンパクトクロスオーバーSUVがベースでありながらも本格的なスポーツモデルとなっていると言っても過言ではありません。

ただ、レクサスブランドの車両ということもあって、GRヤリスのようにガチガチのスポーツモデルというよりは、快適性も担保した上質なスポーツモデルに仕上がっているのも特徴と言えるでしょう。
 

トヨタ GRカローラ▲GRヤリス向けに開発された直3ターボのG16E型エンジンに、レクサスならではのチューニングを施している
トヨタ GRカローラ▲6MT仕様を選ぶことができるのも嬉しい

残念ながら執筆時点では中古車の掲載はありませんでしたが、上質さも日常の使い勝手も、そしてスポーツ性もすべて犠牲にしたくないという欲張りな人には間違いなくオススメな1台となっています。
 

▼検索条件

レクサス LBX(初代・現行型)× MORIZO RR×全国 ※掲載がない可能性があります
文/小鮒康一、写真/尾形和美、篠原晃一、阿部昌也

※記事内の情報は2025年1月16日時点のものです
 

小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。