スイフトスポーツ ▲次期型スズキ スイフト スポーツの登場を心待ちにしている人は多いと思いますが、今年3月にファイナルエディションが発売されるということは、次期型の発売はまだぜんぜん先である模様。そこで「次期型の登場が待ちきれない!」という人のため、スイフト スポーツの代わりになりそうなモデルをピックアップしてみることにします

次期型スイスポの発売はいつになることやら

思わず「最高!」「唯一無二の名作!」と叫んでしまいたくなるのが、現行型のスイスポことスズキ スイフト スポーツ。超軽量でありながらボディはきわめて堅牢で、1.4Lターボエンジンと優秀な足回りがもたらす走りは、痛快でありながらも上質。

こんなにも素晴らしい車を車両価格200万円ちょいで売っているスズキは、どこかがちょっと変なのではないか? と、余計なことを考えてしまうぐらいです。

とはいえそんな現行型スイスポもモデル末期となり、いよいよ次期型に興味津々となってきたわけですが、過日、現行型スイスポの最後を飾る特別仕様車「ZC33Sファイナルエディション」が発表されました。
 

スイフトスポーツ▲こちらが現行型スズキ スイフト スポーツの「ZC33Sファイナルエディション」。フロントグリルやアルミホイールなどがグロスブラック仕上げとなる他、専用デザインのブレーキキャリパーやエンブレムなどが装着され、内装も専用仕立てになっている

……魅力的な特別仕様車の登場はうれしい話ではあるものの、ファイナルエディションが2025年3月19日に発売されるということは、つまり「次期型スイフト スポーツの発売はまだぜんぜん先」ということでもあります。

いつになるかわからない「次期型スイスポの登場」を、首を長くして待つのも一興かもしれません。しかし「そんなに待ってられないよ!」という人のため、現行型スイスポのファイナルエディションと同じぐらいの予算=総額260万円ぐらいで狙える「スイフト スポーツの代わりになりそうなモデル」5車種をピックアップしてみることにしましょう。
 

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スズキ スイフト スポーツ(4代目) × 全国
 

スイスポの代わり①|フォルクスワーゲン ポロGTI(5代目)
→想定予算:総額210万~280万円

いわゆるホットハッチであるスイフト スポーツに類似するモデルとしては、イタリアのアバルト 595が挙げられることもあります。しかしアバルト 595はわりとガチガチ系なホットハッチであるため、「ホットだが、しなやかで上質でもある」というスイフト スポーツとは少々異なると思っています。

「ホットだが、しなやかで上質でもある」という現行型スイスポの特性に近いハッチバックは、輸入車から挙げるとしたら現行型フォルクスワーゲン ポロ GTIです。
 

ポロ GTI ▲こちらが現行型フォルクスワーゲン ポロGTI。写真はマイナーチェンジ前の前期型

ご承知のとおり現行型ポロGTIは、素のフォルクスワーゲン ポロとは異なる最高出力200ps(※前期型)の2L直4ターボエンジンを搭載するホットハッチ。しかし、その足回りや乗り味は決してガチガチ系ではなく、スイフトスポーツにも通じる「引き締まっているが、しなやかでもある」というニュアンスです。

そしてボディサイズも現行型スイフトとおおむね似通っている全長4075mm×全幅1750mm×全高1440mmで、エンジンパワーも――排気量が違うので当然といえば当然ですが、1.4Lターボの現行型スイスポより60psほど強力。これであれば、「スイスポの代わり」としてほぼ申し分ありません。
 

ポロ GTI▲赤い差し色とチェック柄のシートが印象的なインテリア。前期型のトランスミッションは6速DSG

できれば2022年11月以降の後期型を選びたいところですが、そちらの中古車価格はまだ総額300万円以上と、若干お高い状況です。

しかし、マイナーチェンジ前の世代であれば、走行距離2万km台までの物件であっても総額210万~280万円付近で十分に検討可能。前期型はDSGが7速ではなく6速であり、エクステリアデザインも少し違いますが、さほど大きな違いではありません。

基本的には総額200万円台半ば付近の前期型で普通に十分です。
 

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フォルクスワーゲン ポロ GTI(現行型) × 2018年3月~2022年5月 × 全国
 

スイスポの代わり②|ミニ クーパーまたはクーパーS(3代目)
→想定予算:総額200万~260万円

輸入車つながりで、3代目ミニの中期型以降のクーパーまたはクーパーSもスイフト スポーツの代わりとして十分に機能するでしょう。
 

ミニ▲3代目ミニ 3ドアのクーパーS。写真は2018年5月以降の中期型

ご存じのとおり英国の元祖ミニの権利一式を買い取ったBMWが作り始めた現代のミニは、最初期の世代においては若干の粗さも感じられるハッチバックでした。

しかし、2代目からはぐっと品質が上がり、2014年に登場した3代目では「BMW 0シリーズ」と俗称されることもあるほど、全体の剛性感と「いい物感」が強い1台になりました。その剛性感と「いい物感」は、現行型スズキ スイフト スポーツにけっこう似ているように思えます。

そしてボディサイズも――少しだけ異なりますが、基本的にはスイスポとおおむね同寸です。

もしもミニを「スイフト スポーツの代わり」とするのであれば、2021年5月以降の後期型(2度目のマイナーチェンジを受けた世代)を探したいところではあります。しかし後期型の中古車価格は、クーパー以上のグレードを選ぶとなると総額270万円以上となるのが一般的です。

そのため、最初のマイナーチェンジを受けた中期型(2018年5月~2021年4月)の低走行物件を、総額200万~260万円付近で狙うのがモデルケースとなるでしょう。
 

ミニ▲上質でありながらポップな印象も強いデザインとなる3代目ミニのインテリア

グレードは、「パワーはほどほどで構わない」という考えでしたら最高出力136psの1.5L直3ガソリンターボを搭載する「クーパー」がオススメとなり、「いや、自分は140psであるスイスポ以上のパワーが欲しい!」ということでしたら、同192psの2L直4ガソリンターボを積む「クーパーS」がオススメとなります。

また「この際だからちょっと予算を足して後期型でいきたいかも」ということであれば、総額290万円前後で後期型クーパーを探してみるのも悪くない話です。
 

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ミニ ミニ(3代目) × 2018年5月~2024年2月 × クーパー & クーパーS × 全国
 

スイスポの代わり③|ホンダ フィットe:HEV RS(4代目)
→想定予算:総額210万~240万円

輸入車はあまり好まないので、できれば国産車を選びたい――ということであれば、現行型ホンダ フィットe:HEV RSが、スイフト スポーツの代わりとして機能しそうです。
 

フィットRS▲2022年のマイナーチェンジ時に追加された現行型ホンダ フィットRS。写真は2モーター式ハイブリッドのe:HEV RS

ホンダ フィットのRSグレードは、2007年に登場した2代目フィットから続く伝統のスポーティグレード。4代目にあたる現行型では、2022年10月のマイナーチェンジ時にエンジン車の「RS」と2モーター式ハイブリッドの「e:HEV RS」が追加されました。

デザインと走りの質にこだわった現行型RSは、フロントグリルとフロントバンパー、サイドガーニッシュ、リアバンパー、リアスポイラー、アルミホイールに専用デザインを採用。また専用サスペンションも装備し、質感の高い爽快な乗り味が実現されています。

そんな現行型フィットRSの中でも注目したいのは、最高出力106psの1.5L直4エンジンに、同123psのモーターを組み合わせた「e:HEV RS」です。このパワーユニットであれば、スイスポのスポーティな感じとはやや異なりますが、必要十分以上の力強さと痛快感、そして「RS=ロード・セイリング」の名にふさわしい身のこなしを堪能できるでしょう。

また、歴代フィットの「ボディはコンパクトなのに、車内はめっぽう広く使える」という特性は、現行型e:HEV RSにおいてもまったく同様です。そのため、いわゆる実用性や積載性などを重視するのであれば、スイフトスポーツ以上に“使える”はずです。
 

フィット RS▲武闘派イメージではない、比較的落ち着いた印象となるインテリア。ステッチの色も赤ではなく黄色を採用

2025年1月上旬現在、現行型ホンダ フィットe:HEV RSは約160台が豊富に流通しており、走行距離数千kmレベルの物件も、総額210万~240万円付近で選びたい放題という状況です。
 

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ホンダ フィット(4代目) × 1.5 e:HEV RS × 全国
 

スイスポの代わり④|トヨタ ヤリス ハイブリッドまたは1.5Lガソリンの6速MT車(初代)
→想定予算:総額160万~230万円

「ごく普通の売れ筋実用コンパクトカー」と思われがちなトヨタ ヤリスですが、実はそのハイブリッド車と、6速MTを採用する1.5Lガソリン車は「スイスポの代わり」も務まりそうなほどスポーティです。
 

ヤリス▲一部のグレードではかなりスポーティな走りも楽しめるトヨタ ヤリス

まず、1.5Lエンジンに最高出力80psのフロントモーターを組み合わせたヤリス ハイブリッドについて言うと、加速性能はこのクラスとしてはすさまじく良好で、ボディも堅牢。そして足回りも普通に引き締まっていますので、下手なスポーツカー以上のドライビングプレジャーを味わえてしまいます。

実は。しかしそれでいてWLTCモード燃費は35km/L以上であり(※2WD車)、実燃費も、その気になればカタログ値以上です。

そしてガソリン車の方は、1Lまたは1.5LエンジンにCVTを組み合わせているグレードはまったくもって「スイスポの代わり」にはなり得ませんが、「1.5Lエンジン+6速MT」のグレードは、実はかなりスポーティです。

もちろんスポーティといってもスイフトスポーツやポロGTIのようなニュアンスとは少し異なるのですが、低速域から高速域にいたるすべての領域で「とにかく心地よい!」という走行フィールを味わえるのです。まさに大穴的な狙い目車であるといっていいでしょう。
 

ヤリス▲素晴らしいハッチバックであるヤリスだが、インテリアデザインがいまひとつあか抜けていないのは弱点かも

そんなトヨタ ヤリスをもしも買うとしたら、どちらも「走行距離1万km台まで」に絞ったとしても、ハイブリッド車が総額160万~200万円といったところで、6速MTのガソリン車は総額160万~230万円というイメージ。

6速MTのガソリン車は流通量が少なめなのがネックですが、装備内容がやや寂しい「X」ではなく中間の「G」または上級の「Z」を選べば、スイフトスポーツを好むようなマニア層でも大満足できるでしょう。
 

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トヨタ ヤリス(初代) × ハイブリッド × 全国

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トヨタ ヤリス(初代) × MT × 全国
 

スイスポの代わり⑤|トヨタ GRヤリス(初代・前期型)
→想定予算:総額340万~390万円

スズキ スイフト スポーツとは若干毛色が異なりますし、想定予算もずいぶんオーバーしてしまうのですが、これを挙げないわけにはいかないでしょう。

ご承知のとおり、WRC(FIA世界ラリー選手権)のホモロゲーション取得を目的に、TMR(トミ・マキネン レーシング)の協力を得て開発された高性能ハッチバックです。
 

GRヤリス▲言わずと知れたトヨタ GRヤリス。写真のグレードは「RZハイパフォーマンス」
GRヤリス▲雰囲気満点のインテリア。改良後は高性能な8速ATも追加された

2024年3月以降の改良型世代はまだ中古車が少なく、あったとしても総額600万円を軽く超えますが、改良前の世代であれば「RZ」または「RZハイパフォーマンス」を総額340万~390万円付近のレンジで見つけることができます。

GRヤリスの最高出力272ps/最大トルク370N・mの強烈な1.6L直3ターボと、路面の凹凸 をすべて拾うかのような足回りは、スイフト スポーツのほどよい1.4Lターボとけっこうしなやかな足回りとは、ずいぶん趣きが異なります。

しかし「もういっそのこと究極のハッチバックが欲しい!」的なニュアンスでブチ切れたときには(?)、予算オーバーにはなりますが、思い切ってGRヤリスを買ってみるのもいいのかも。少なくとも「ものすごいハッチバック」であることは間違いありません!
 

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トヨタ GRヤリス(初代) × 2020年9月~2024年3月 × 全国
文/伊達軍曹 写真/尾形和美、篠原晃一、スズキ、フォルクスワーゲン、ミニ、ホンダ、トヨタ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。