Aクラスセダン ▲トヨタ ランドクルーザー300は大いに魅力的なSUVではあるものの、直近の中古車平均価格は1000万円超。さすがにその金額は無理! ということで、ランクル300の約半値で買えそうな「代わりの1台」を探してみることにしましょう!

直近の中古車平均価格は約1100万円!

世界最高レベルの本格オフローダーであり、世界最高レベルのプレミアムSUVでもある、トヨタ ランドクルーザー300。当然ながらそれは果てしなく魅力的なわけですが、この世の中では「魅力的な物の値段は高い」という現象が、どうしても起こってしまいます。

そしてこの現象はランドクルーザー300でも発生しており、ランクル300の直近の中古車平均価格は1072.1万円。支払総額で考えると「だいたい1100万円」ということです。

もちろん世の中には1100万円をポンと払える人もいらっしゃるでしょうが、筆者も含め、多くの人間にとってそれはなかなかできることではありません。つまり「ランドクルーザー300の入手はきわめて難しい」ということであり、平均価格がいきなり下がることも考えにくいため、状況は絶望的です。
 

Aクラスセダン▲これを手に入れるに越したことはないのですが、さすがに1000万円超えはキツい
 

とはいえ中古車マーケット全体をくまなくチェックしてみれば、もしかしたら「ランドクルーザー300の半額ぐらいで買えて、なおかつランクル300に負けないほどの魅力をもつSUV」が見つかる可能性もあるのではないでしょうか?

もちろんそんなモノが本当に存在しているのかどうか、現時点では未知数です。しかしとにかく、ランクル300の購入は(筆者のような一般人にとっては)絶望的であるため、「それ」を頑張って探してみることにしましょう!
 

Aクラスセダン▲トヨタ ランドクルーザー300の「GRスポーツ」公道試乗時の様子
 

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トヨタ ランドクルーザー300(現行型・初代) × 全国
 

ランクル300の代わり①|マツダ CX-80(現行型・初代)
→予算目安:総額480万~640万円

トヨタ ランドクルーザー300という車の魅力は「超本格的な悪路走行性能をもつ」ということですが、ランクル300で毎日のように悪路を走っている人は少数派でしょう。多くのユーザーは「主に都市部などの舗装路を走り、たまにキャンプや釣り、あるいはスキーやスノボのため悪路を走る」という使い方をしているはずです。

で、悪路走行性能についてはランクル300にまったく歯が立ちませんが、舗装路を走る際には、ランクル300に勝るとも劣らない「プレミアム性」「ラグジュアリー性」「乗り心地のよさ」そして「3列シートを備えた広い室内」という特性を備えているのが、マツダ CX-80です。
 

Aクラスセダン▲2024年10月に登場した3列シートSUV、マツダ CX-80
 

マツダ CX-80は、スマッシュヒットした3列シートSUV「マツダCX-8」の後継モデルとして2024年10月に登場したSUV。ボディサイズはランドクルーザー300の存在感および広さにも引けを取らない全長4990mm×全幅1890mm×全高1710mmで、乗車定員は6名または7名。前身であるCX-8と同じく3列目シートは成人も普通に座れるサイズであり、3列目シートを格納すれば、荷室容量は687Lになります。

パワーユニットは3.3L直6ディーゼルターボと、同エンジンに48Vのマイルドハイブリッド機構を組み合わせたタイプ、そして2.5Lガソリンエンジンに大型モーターと容量17.8kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッドの3種類。トランスミッションは全車8段ATで、駆動方式は4WDが基本ですが、「XD」には後輪駆動の2WDも用意されています。
 

Aクラスセダン▲マツダ CX-80の乗車定員は6名または7名。サードシートは、前身であるCX-8と同様に「大人も普通に座れる空間」になっている
 

そんなマツダ CX-80はまだ登場から間もないモデルですが、早くも中古車が登場しています。中古車価格は総額480万~640万円といったところで、ほとんどの物件が走行数百kmレベルです。

もちろんCX-80は、ランクル300のような「どんな悪路でもガンガン進んでいける」というタイプのSUVではありません。しかし舗装路を主戦場とするのであれば、マツダ CX80の超低走行中古車は「ランクル300の代わり」として十分に機能するはずです。
 

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マツダ CX-80(現行型・初代) × 全国
 

ランクル300の代わり②|ランドローバー ディフェンダー 90(現行型・3代目)
→予算目安:総額580万~690万円

マツダ CX-80はランドクルーザー300の代わりとして「我ながらナイスアイデア!」と思う次第ですが、しかし悪路走破性の点が若干のネックかもしれません。やはりランクル300はスキーやスノボ、あるいはキャンプなどのお供として悪路を使われる機会も多い車ですから、やはり本格的な悪路走破性は備えている必要があるのかもしれません。

であるならば、英国の現行型ランドローバー ディフェンダーでどうでしょうか?
 

Aクラスセダン▲こちらが現行型ランドローバー ディフェンダー。写真はショートホイールベース版である「90」
 

ランドローバー ディフェンダーは、ご存じのとおり1948年に誕生した「ランドローバーシリーズ」を源流とする超本格オフローダー。2019年11月に上陸した現行型は伝統的なラダーフレーム構造から軽量アルミニウムによるモノコック構造に変更されましたが、ねじり剛性は従来型ラダーフレームの約3倍であり、超絶的な悪路走破性は相変わらずです。

そしてモノコック構造になったことで「舗装路における乗り心地」は圧倒的に向上しましたし、「プレミアム性およびラグジュアリー性」に関しても、トヨタ ランドクルーザー300に勝るとも劣らないレベルです。
 

Aクラスセダン▲「タフな道具っぽさ」と「上質な世界観」が上手にミックスされている現行型ディフェンダーの運転席まわり
 

そんな現行型ランドローバー ディフェンダーは、本当はロングホイールベース版である「110」がランクル300の代わりとしては適任なのですが、あいにく現行型の110は総額800万円以上となるのが一般的。

しかし、全長4510mm×全幅1995mm×全高1970mmの「ディフェンダー 90」であれば、総額580万~690万円付近で最高出力300psの2L直4ガソリンターボエンジン搭載グレードを狙うことができます。

これであれば存在感においても悪路走破性能においても、トヨタ ランドクルーザー300と伍するのではないかと思われます。
 

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ランドローバー ディフェンダー 90(現行型・3代目) × 全国
 

ランクル300の代わり③|ジープ ラングラー アンリミテッド スポーツ(現行型・4代目)
→予算目安:総額510万~580万円

現行型ランドローバー ディフェンダー90は、ランドクルーザー300の代わりとして「我ながら悪くないアイデア!」と思う次第ですが、しかしボディサイズが若干のネックかもしれません。やはりランクル300は「堂々たるサイズ感」も魅力のひとつですから、全長4.5m級のディフェンダー90では物足りないと感じる人もいるでしょう。

であるならば、現行型のジープ ラングラー アンリミテッド スポーツでどうでしょうか?
 

Aクラスセダン▲2018年11月に上陸した現行型ジープ ラングラー アンリミテッド
 

ご承知のとおりジープ ラングラーは、第2次世界大戦中に米国陸軍が使っていた「ジープ」を源流とする超本格オフローダー。「アンリミテッド」は、その5ドア版です。

JKこと先代型までは「超本格オフローダーである代わりに、舗装路ではやや運転しづらい部分もある(乗り心地がよくはない、小回りが利かないなど)」という車だったラングラー アンリミテッドですが、2018年11月に登場した現行JL型ではそのあたりが激変。超本格的な悪路走破性能はそのままに、乗り心地はよく、小回りも普通に利いて、ついでにインテリアなどからはプレミアム感が漂ってくるSUVに生まれ変わったのです。

そんな現行型ジープ ラングラー アンリミテッドであれば、「オフローダー」としても「プレミアムなSUV」としても、トヨタ ランドクルーザー300に引けを取る部分はありません。唯一、「ランクル300は7人乗りが基本だが、ラングラーは5人乗り」という部分が微妙なわけですが、そこが問題にならないのであれば、現行型ジープ ラングラー アンリミテッドは「ランクル300の代わり」として普通に機能します。
 

Aクラスセダン▲プレミアムな雰囲気に生まれ変わった現行型ラングラーの運転席まわり。トランスミッションは8速ATで、4WD機構はラングラー史上初のフルタイムオンデマンド4WDを採用
 

さすがに2024年5月にマイナーチェンジを受けた後期型はまだ高額ですが、それ以前の年式であれば、走行1万km台までの「スポーツ」を総額510万~580万円付近で狙うことができるでしょう。
 

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ジープ ラングラー(現行型・4代目) × アンリミテッド スポーツ ×全国
 

ランクル300の代わり④|ポルシェ カイエン(現行型・3代目)
→予算目安:総額550万~680万円

ここまでに提案したマツダ CX-80とランドローバー ディフェンダー90、ジープ ラングラー アンリミテッドの3車種が、「ランクル300の代わり」としては順当なラインかと思われます。

しかし「SUVとしての個性はランクル300と少々異なるが、ある意味同水準の強烈な個性をもつ1台」という軸で“代わり”を探してみるなら、現行型ポルシェ カイエンも悪くない選択肢かもしれません。
 

Aクラスセダン▲こちらが現行型ポルシェ カイエン。写真は前期型
 

ポルシェ カイエンは、その初代モデルは2002年に登場したポルシェ製SUV。もちろんSUVではあるのですが、その走りとハンドリング性能はスポーツカー顔負けのレベルであり、いわゆるプレミアム性やラグジュアリー性に関しても群を抜いています。

もちろん2002年に発売された初代カイエンは、さすがに古いため「ランクル300の代わり」としては機能しませんが、2017年12月に登場した現行型(3代目)ポルシェ カイエンであれば、意外とイケるはずです。
 

Aクラスセダン▲現行型ポルシェ カイエンのコックピット。センターコンソール上のスイッチ類は多くがタッチ式となる
 

「ランドクルーザー300の半額」は少々超えてしまうのですが、おおむね総額600万円前後で狙える現行型ポルシェ カイエンは、2018~2019年式で走行5万km前後である場合が多い前期型ベースグレード。すなわち最高出力340psの3L V6ガソリンターボエンジンに8速ATとフルタイム4WD機構を組み合わせたグレードです。

ベースグレードとはいえ「ポルシェ カイエン=フラッグシップSUVのベースグレード」ですから、標準装着されている装備類に大きな不満などあるはずがなく、ハンドリング性能と動力性能はほぼスポーツカー。それでもやはりSUVですから、居住性と積載性は普通に十分以上です。

もちろんトヨタ ランドクルーザー300ほどのゴリゴリな悪路走破性能は備えていませんし、3列シート車でもありません。しかし「そこ」をさほど重視しないタイプのユーザーに対しては、ポルシェの看板とクオリティを併せもったこのSUVは、ランクル300と種類は違うけれど似たような分量の満足感を、大いに与えてくれるでしょう。
 

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ランクル300の代わり⑤|キャデラック エスカレード(旧型・3代目)
→予算目安:総額550万~650万円

ランドクルーザー300というSUVが備える素晴らしいオフロード性能のことは無視し、その「圧倒的な存在感」のみに注目するとしたら、米国の先代キャデラック エスカレードも有力な候補になるでしょう。
 

Aクラスセダン▲アメリカンフルサイズSUV「キャデラック エスカレード」の先代モデル。全長は約5.2m!
 

キャデラック エスカレードは、その初代モデルは1999年に誕生したフルサイズSUV。日本人の感覚からすると巨大な、しかしアメリカの道路上で見ると「ちょうど良い大きさ」にも感じられるボディを、これまた巨大なV8エンジンで疾走させるド迫力SUVです。

本当は2020年11月以降の現行型を狙えればベストなのですが、あいにく現行型エスカレードの中古車価格は最安でも総額1000万円以上。そのため、ここは先代エスカレード(2015~2020年)に狙いを定めることになります。

ボディサイズは全長5195mm×全幅2065mm×全高1910mmという、ランドクルーザー300を(全高以外は)軽く上回るボリューム感で、パワーユニットは最高出力425psの6.2L V8OHV。これだけ怒涛のサイズ感とパワー感を伴っていると、そのドライバーはついつい「オラオラ運転」みたいなことをしがちと思うかもしれませんが、事実は異なります。

体格と力が周囲の車とはあまりにも異なるため、「大人は小さな子供に暴力をふるったりしないし、むしろ守ってあげたくなる」というのと似たニュアンスで、キャデラック エスカレードを運転していると、妙に優しい気持ちになってくるものです。もちろん例外はあるかもしれませんが、ほとんどの人は、エスカレードの運転席に座ればそういった心持ちになるのではないかと推測します。
 

Aクラスセダン▲上級グレード「プラチナム」には、BOSEスタジオサラウンドサウンド14スピーカーシステムや、LED式の間接照明などが標準装備されている
 

そのように鷹揚なニュアンスでゆったり走るのが最高に気持ちいい先代キャデラック エスカレードの中古車は、安いものから高いものまでいろいろありますが、総額550万~650万円付近にて、まずまずな1台が見つかるはず。

トヨタ ランドクルーザー300とはずいぶん毛色は異なりますが、ある意味似たような「存在感」を求める人には、先代キャデラック エスカレードは大穴的な良き選択であると思われます。
 

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キャデラック エスカレード(旧型・3代目) × 全国
文/伊達軍曹 写真/トヨタ、マツダ、ステランティス、ポルシェ、GM、尾形和美
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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