【買う前に必読】4代目・NDロードスターの主査がガチで選び方指南。累計16グレードあるなかでどれを選ぶ?
2026/04/14
▲2015年5月から発売を開始し、10年が経過した4代目・NDロードスター。グレードや限定仕様車などいろいろなバリエーションがあって選べない。そんな悩みを作り手に相談! 選び方の方向性を教えてもらったNDも生産開始から10年が経過!色々選べるだけに悩ましい
2015年5月に発売された現行ND型マツダ ロードスターは、同車としては4代目にあたるオープン2シータースポ ーツ。2023年10月の大幅改良を境に、それまでの世代を「ND1」、以降の世代を「ND2」と呼ぶ場合が多い。
中古車状況は、人気車種ゆえに中古車の流通量は常に豊富。昨今の何かと物価が高騰している時代にあっても、平均価格は250万~260万円という手頃な水準で推移し続けている。一般的な車の場合はAT車の比率が8~9割ほどになる場合が多いが、4代目ロードスターはMT車比率がきわめて高いことも特徴の一つ。
掲載台数をグレード別に見ると、後述する「ど真ん中のグレード」である「1.5 S スペシャルパッケージ」が約600台と圧倒的多数となる。他にもこれまで計16グレードが販売されており、どのモデルが自分にぴったりなのか悩ましい。そこでロードスターの作り手に選び方の指針を聞いてきた。
▲こちらが執筆時点でのカーセンサー中古車掲載台数 上位14グレードとその台数/平均価格ロードスターには興味ゼロだった新入社員
▲今回話を伺った、マツダ ロードスター(4代目・ND型)主査 齋藤茂樹さん。2019年からロードスターの主査に就任して、ロードスター商品開発のトップに携わるNDを知り尽くす齋藤さんだが、当初はロードスターの商品化を統括するという主査のポジションを断っていたという。ちょっと変わったキャリアを聞いた。
――まずはマツダに入社したいきさつから教えてください。
齋藤さん:1浪して入った大学で体育会自動車部に入部し、在学中は車に乗っているか麻雀をしてるか、さもなくば寝ているかみたいな生活を送っていたため(笑)、2留しちゃいました。そんな学生でしたから、工学部の担当教授も「まさか自動車メーカーさんが齋藤を採ってくれるはずがない!」と思っていたようでしたが、なぜかというか運良くというか、マツダが私を採用してくれました。1989年、初代ロードスターがデビューした年の入社です。
――入社当初から「ロードスター大好き! 将来は絶対ロードスターの主査になってやるぜ!」みたいな感じだったのでしょうか?
齋藤さん:いえ、まったく(笑)。体育会自動車部で真剣にタイムを追求していた自分としては、「あんな速くもない軟派なオープンカー、いったい誰が買うんだ?」みたいに思ってましたから。私がマツダに入社してすぐに買った車はFC3S型(2代目)サバンナ RX-7です。
▲こちらがマツダ サバンナRX-7最初は固辞し続けた主査就任だったが
――しかしその後いろいろな部署で仕事をし、結局は2019年5月から4代目・NDロードスターの主査に?
齋藤さん:最初は2ヵ月間ぐらい断っていたんです。直前の担当業務が「第6世代マツダ車の性能開発副主査」というものでしたから、マツダのすべての試作車に誰よりも早く乗ることができましたし、ベンチマークとして購入した各社の車もある意味好き勝手に、仕事と称して乗れるわけですよ。元自動車部の車好きとしては、それ以上おいしいポジションはない。
――確かに。
齋藤さん:そしてマツダの社内には私なんかよりも優秀で英語ペラペラで、私よりもうんと若いメンバーがたくさんいます。そのため役員には「そういった若い人に任せた方がいいですよ」と、即答でお断りしました。
――なんと、断りましたか!
齋藤さん:しかし、役員いわく「ロードスターのお客さまは筋金入りのファンばかりで、長年にわたってロードスターを愛してくださっている。そういった人たちに、ぽっと出の若くて優秀なやつが出ていったって、誰も言うことなんて聞いてくれない。そういった連中ではなく、お前みたいな――泥くさいけど本当の車好きで、いろいろな車乗ってきたやつの方が、みなさん話を聞いてくれるんだよ!」と説得されまして。
――なるほど、それで快諾を?
齋藤さん:いや、それでも2ヵ月ぐらい逃げ回っていましたが(笑)。しかしその後、「……やってみてもいいかな? ダメだったら、また元の仕事に戻ればいいんだし」と思いはじめ、結局は2019年5月1日付けで、大幅改良を主なミッションとする4代目・NDロードスターの主査を引き受けることになりました。

結論は「正統派ライトウェイトスポーツ」
――マツダ ロードスターとはそもそもどんな車であると、齋藤さんはお考えでしょうか?
齋藤さん:「正統派ライトウェイトスポーツ」というひと言に尽きると思っています。そして正統とは何かといえば、「とにかく運転が楽しい車」であり、運転を楽しむため以外の余計なモノは付いていない――ということです。

――とにかく削ぎ落とす、と?
齋藤さん:初代ロードスターの開発主査だった平井敏彦さんも、ずっとおっしゃっていました。「余計なモノを付けるなよ、欲張るなよ」と。顕著なものが「馬力」ですよね。エンジンの馬力を上げていけば、当然ながら車は大きくなり、重くなっていきます。そうなっていくと、最終的には「普通の人は乗れない・買えないスポーツカー」が完成してしまいます。乗って楽しむものではなく、見て楽しむものになってしまうんですね。
▲こちらが初代ロードスターとなるNA型。新車時価格は約170万円から約240万円しかしロードスターは、そこは絶対に目指しません。「正統派ライトウェイトスポーツ」のライトという言葉は、当然ながら「軽い」という意味ではあるのですが、同時に我々は「安い」という意味ももたせています。1950年代から60年代にかけて、各国で爆発的にヒットしたライトウェイトスポーツって、安かったんですよ。なぜならば、余計な装備は何も付いていなかったから。だからこそ当時のアメリカやヨーロッパの若者はそれを購入し、乗り回すことができたんです。
我々のロードスターも「普通の人が手のひらで楽しめる」という部分こそを正統としてとらえています。そのため馬力は追い求めませんし、高級オーディオも不要と考えます。そしてボディサイズも大きくしません。でもその代わりロードスターは、絶対的に運転が楽しい車であり続け、なおかつ手頃な価格のスポーツカーでもあり続けるのです。
迷った場合は「S スペシャルパッケージ」を選ぶべし!
――人それぞれの使い方や付き合い方に応じて、4代目・ND型ロードスターにおける「選ぶべきグレード」は変わってくると思います。結局のところどんな使い方に、どのグレードがマッチするのでしょうか?
齋藤さん:まずロードスターのど真ん中に位置するのは、間違いなく「S スペシャルパッケージ」です。これであれば、マツダが考える「人馬一体」のど真ん中を味わうことができますし、好みに応じてカスタマイズしていけば、サーキット寄りの1台にすることもできる。ND2(後期型)かND1(前期型)であるかを問わず、「迷ったならばS スペシャルパッケージを買っておく」という姿勢で臨めば、まず間違いありません。

▼検索条件
マツダ ロードスター(4代目・ND型)×S スペシャルパッケージ――サーキット寄りの走りを楽しみたい場合は?
齋藤さん:もしも本気でサーキットを走りたいならNR-Aですね。なにせサーキット専用車ですからラジエターもデフもサーキット走行用に大きいタイプになっていますし、快適装備は何も付いてない(笑)。
もしもそこまでガチなサーキット志向ではないのなら、専用チューニングが施されたビルシュタイン製ダンパーなどが付いている「RS」が、サーキット走行には適しているでしょう。
▲RSの専用チューニングされたビルシュタイン製ダンパー▼検索条件
マツダ ロードスター(4代目・ND型)×NR-A▼検索条件
マツダ ロードスター(4代目・ND型)×RS毎日の低中速域を堪能したいなら「S」または「990S」
――逆に街乗りメインでロードスターを楽しみたい場合は?
齋藤さん:「S」または「990S」ですね。この2グレードであれば、低速域でも十分以上に楽しむことができます。
より具体的に言うのであれば、「S」はNA(初代ロードスター)のような動きがお好みな方に向いています。スタビライザーも付いていませんし、トンネルメンバーなどボディ剛性を上げるものも付いていません。そして豪華な装備類もいっさい付いていない。その代わり、とにかくひらひらと軽やかに走ることができます。「S」は、いわゆるお買い得な廉価グレードではなく、「まるでNAのように、運転だけに集中したい」と考える人のために作ったグレードなんです。
そして「990S」は、軽量であることをより積極的に楽しめるグレードです。レイズのホイールとブレンボのブレーキを採用することで、タイヤあたり1kgほど軽量になっているのですが、バネ下の1kgはバネ上の10kgほどに相当しますので、運動性能は劇的に向上します。さらに990Sの場合は、軽くなったバネ下に合った専用セッティングのダンパーを装着していますので、最高レベルのしなやかさと楽しさを味わうことができます。
ちなみに私が私物として購入したロードスターが990Sであり、私が主査になって最初に企画したモデルでもあります。だから言うわけでは決してないのですが、990Sは、ロードスター史上最高の名車だと思っています(笑)。
▼検索条件
マツダ ロードスター(4代目・ND型)×S
▲こちらが990Sの足回り。専用ホイールなどで軽量化されている▼検索条件
マツダ ロードスター(4代目・ND型)×990S
――こうしてお聞きしていると、マツダ ロードスターというのは本当に「様々な楽しみ方」ができる車なんですね。
齋藤さん:そうですね。1989年からずっと変わらず、本当に大勢の方々から愛され続けて……。2029年には40周年を迎えるマツダ ロードスターですが、40年たっても、いやそれ以上の年月がたったとしても、本質的な部分はいっさい変えずに、「正統派ライトウェイトスポーツ」を作り続けていきたいと思っています。
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自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。