86(ZN6)

カーセンサーでたくさん選べる86(ZN6)だけど走行距離10万km超えが多い問題

トヨタ 86は、2012年4月に富士重工(現スバル)とトヨタの共同開発で生まれた2L水平対向エンジンを搭載する2ドアFRスポーツクーペ。

特に初代86(ZN6)は、評価ドライバーのチーフとして走りの“味”を監修した大阪晃弘さんが「車の性能を使い切って操って、スピードを上げなくても楽しめる、そんなスポーツカーを目指した」という魅力たっぷりのモデルだ。

しかも中古車掲載台数は約1700台と選択肢は豊富。平均総額は過去1年間で11万円ほど下がっている状況で、市況的にも魅力的だ。

中古車流通状況は、MTが6割を占め、平均総額はATよりMTが40万円高い傾向にある。流通の中心は17インチ鍛造アルミホイールを履く上級グレード「GT」で900台以上、平均総額は185万円。次いでGTを本革+アルカンターラ内装としリアスポイラーを装着した「GTリミテッド」が約500台、190万円で流通している。

2016年8月のマイナーチェンジ以降が後期型、それ以前の2012年4月から2016年7月までが前期型と呼ばれる。後期型ではフロント/リアデザインが変更された他、ボディ剛性が強化され、またMT車のパワーとトルクは従来の200ps/20.9kgf・mから207ps/21.6kgf・mに向上している。

とはいえ生産から10年以上、走行10万kmという個体が多いのも事実。特に初めてのスポーツカーとして購入するには少しハードルが高く感じる人もいるだろう。

86(ZN6)▲こちらが記事執筆時点での中古車掲載台数上位10グレードとその台数/平均価格

▼検索条件

トヨタ 86(ZN6)×全国

そんな人に朗報なのが、GRの専門ショップ「GR Garage」で整備する「86リフレッシュサービス」。経年劣化したパーツを正規ディーラー基準で点検・交換し本来の走行性能やコンディションを取り戻すためのプログラムだ。中古で買った86をディーラーでもあるGR Garageに持ち込むなんて気が引ける?……いやいや、遠慮しなくて大丈夫! しかも明朗会計!

ということで、86リフレッシュサービスの発起人であるトヨタ自動車サービス部の井上卓哉さん評価ドライバーのチーフとして86の走りの“味”を監修し、現在は凄腕技能養成部の匠でもある大阪晃弘さんに話を聞いてきた。

86(ZN6)▲86の乗り味をテストドライバーとして監修。その後、「86リフレッシュサービス」のサービス企画にも携わる大阪晃弘さん(左)。GR Garageで実施している「86リフレッシュサービス」の企画を立ち上げ運用に従事した井上卓哉さん(右)

末永く86の乗り味を楽しんでほしい

――「86リフレッシュサービス」とはどんなものなんでしょう?

井上さん:名前のとおり、古くなった86を新車に近い状態に再生させるサービスです。86(ZN6)を対象とした整備プログラムをパッケージング化したサービスです。ボロボロガタガタの状態では、大阪さんたちがつくり上げたFRハンドリングマシンの本来の良さが味わっていただけません。長く乗り続けていただいているオーナー様にも、初めてのスポーツカーとして中古で手に入れたお客さまにも、86本来のポテンシャルを楽しんでいただきたいというところから立案した施策です。

――実現するにあたっては開発の大阪さんとサービスの井上さんが一緒に取り組んだということですが、時を超えた夢のタッグですね。

大阪さん:じつは彼自身が古い車で苦労してね(笑)、その苦労を昇華させて、なんとかお客さまに還元したいっていうところから企画を考えて、私の所に相談に来たんですよ。

井上さん:そうですね! そこからこのサービスが動き出しました。

大阪さん:86ってトヨタの中でも運転訓練などで多く使っていまして、凄腕技能養成部には経年劣化した個体がかなりあるんです。それらを実験台にして、実際にどんな所が傷みやすくて、どこに手を入れてあげると効果的なのか、一緒に取り組んで形にしました。

――大阪さんは評価ドライバーを養成する凄腕技能養成部には、たしかに酷使された86が多そうです。そうでなくても10年以上たてばどんな車も経年劣化しますしね。

大阪さん:こちらに交換前のものと新品のマウントゴムがありますが、ゴム製品、特に熱がかかりやすい場所のパーツは硬くなってヒビが入るというような状態になっていきます。まあそのままでも車が壊れてしまうようなことはないんですが、乗り味は損なわれてしまいます。ただ交換するには、きちんとしたノウハウとしっかりした道具が必要なんですよ。

86(ZN6)▲下にあるブッシュ類はヒビ割れているのがわかる
86(ZN6)▲リフレッシュされたサスペンションアッパーサポート

井上さん:そこでGR Garageです。GR Garageはスポーツカーに特化して取り扱っていますし、さらに店舗としてレースに出ていたり、レースに出るお客さまのサポートの一環として車を競技用に仕上げるといったこともしていますから、慣れているんです。

じつはこのリフレッシュサービスのメニューはレースにカップカーで出ている方なら毎年やっているような内容なので、GR Garageのコンサルタントやメカニックからしたら朝飯前です。

ただ、このリフレッシュサービスができるまでは普段レースに出ているようなお客さまにしか提供していなかった、いわば秘伝のタレだったんです。そういったレースに出ているようなお客さましか知らなかった整備内容を、カーセンサーで気に入った86を見つけて中古車屋さんを介して手に入れてくださったお客さまにもご提供しようというのが86リフレッシュサービスです。

――GR Garageってディーラーですから、中古で買った車を持ち込むのはちょっとハードルが高い気もしますし、値が張るんじゃないかって気になる人もいるんじゃないかと思いますが。

井上さん:そこはまったく気にしないでいただきたいです。加えて、整備と交換部品をパッケージにした価格を決めていますから、ずるずると予算オーバーしていくということもないので安心してください。

「エンジン」「マウントゴム」「足回りゴムブッシュ」「ショックアブソーバー」「ブレーキ」と、リフレッシュする箇所ごとにコース分けされていて、ひとつのコースにつき基本的に1日でお返しできて、10万円を切る価格から施工が可能なパックになっているのが特徴です。

86(ZN6)▲こちらが86リフレッシュサービスの料金一覧

――リフレッシュすると私たち素人でも違いがわかりますか?

大阪さん:例えば、足回りのゴムブッシュを劣化したものから新品に替えたら、動き出しのタイヤひと転がりで違いがわかります。車体の遅れがなくなって、ピタッと体についてくる感じがすると思いますよ。目立たない部品ですけど、車高調を入れるよりよっぽど車が生き返ります。

井上さん:社外品の組み合わせもできるので、ショックを替えるついでに、ブッシュ交換というのも工賃の節約になりますし、ショックのポテンシャルもロスなく引き出せて効果的です。

――エンジンはどうですか?

井上さん:エンジン内部に付いてしまったカーボン、煤(スス)をきれいに落とすメニューになっています。この車は2014年式で、生産から10年経過して走行11万4450kmでリフレッシュしたんですが、前と後で計測したら10馬力くらいは違いましたから、十分体感していただけると思います。

大阪さん:全然違いますよ。トルクでいうと0.5~1kgf・mくらいは戻るので、もう交差点での発進も違いますし、回転数が上がっていくところの伸びも違いますから。

86(ZN6)▲実際にリフレッシュされたエンジンを見せながら解説してくれる井上さんと大阪さん

――GR Garageは全国に約80店舗ありますけど、どこでもやってくれるんですか?

井上さん:もちろんです。お近くのGR Garageでご相談ください。もしコースが決まっているようでしたら、ECサイトのTOYOTA UPGRADE FACTORYからWEBでお申込みいただけます。

大阪さん:GR Garageはレースに取り組んでいるだけあって本当に技術力もありますし、面倒見もいいので、まずは相談していただきたいですね。

国産スポーツカー特集絶賛発売中!

現在発売中のカーセンサー2026年5月号の特集は『NIPPON SPORTS』! 日本が誇るスポーツカーをいま中古車で買うなら、どんなモデルがいくらで買えるか? 徹底解剖しています。

本誌では86の開発に携わった大阪さんと86リフレッシュサービスの井上さんに86はどんな車なのか、今から選ぶときの指針をインタビュー! 86を購入検討中の方必見です。

86(ZN6)▲現在発売中のカーセンサーをチェック!

情報誌 カーセンサーの購入はこちらから(※外部サイトに遷移します)

▼検索条件

トヨタ 86(ZN6)×全国
文/竹井あきら 写真/柳田由人、トヨタ
※記事内の情報は2026年3月26日時点のものです。
竹井あきら

ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。