ヤリスクロス▲ヤリスよりも全幅で70mmもワイドなスタイルに仕上げられたヤリスクロス。同社のコンパクトSUV、ライズよりひと回り大きいボディサイズだ

ヤリスクロス(現行型)の最新相場

トヨタ ヤリスクロスはコンパクトなサイズと、ヤリスで定評あるしっかりしたボディ、先鋭的なデザインでデビュー直後から大人気のモデルだ。

ガソリンとハイブリッド、それぞれにFF(フロントエンジン・前輪駆動)、フルタイム4WDを用意するなど、ラインナップも幅広い。後席の居住空間にもゆとりがあり、コスパの高いモデルと言えるだろう。

新車を検討している人でも納期の観点などから、中古車の情報もチェックすることをオススメしたい。

この記事では、2020年8月に登場した現行型トヨタ ヤリスクロスの最新中古価格や流通量を紹介する。

2022年5月時点では、中古車の平均価格と流通台数は下記のとおりとなっている。

■ヤリスクロス(現行型)
・中古車平均価格:250.6万円
・中古車流通量:912台

ヤリスクロス ▲トヨタ ヤリスクロスの月間延べ流通台数と中古車平均価格の推移

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トヨタ ヤリスクロス(現行型)とはどんなモデルか?

コンパクトカーのヤリスと同じGA-Bプラットフォームを採用しているが、単に車高を上げただけでなく、乗り味も使い勝手も全く別の車に仕上がっているヤリスクロス。

ボディサイズはヤリスから全長で240mm、全幅で70mm、全高で45~60mm拡大された。

パワーユニットは1.5L直3ガソリンエンジンと、同排気量のエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド(THS)の2種類。両パワーユニットともにFFとフルタイム4WD(ガソリン車は「ダイナミックコントロール4WD」、ハイブリッド車は「E-Four」)がある。

車両重量は1110~1270kgと軽量ゆえ、走りはキビキビ。動力性能ではハイブリッド車よりもガソリン車の方がやや上回っているのが特徴だ。ハイブリッドは力強さよりも燃費性能を充実させた設定であり、WLTCモード燃費で30.8km/L(「ハイブリッドX」・FF)という良好な燃費をマークする。

ヤリスクロス ▲ブラックアウトされたフェンダーアーチやサイドシル、バンパー中央部などによってたくましさが演出されたヤリスクロスの外観

装備も充実しており、一部のビジネスグレードを除いて最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備。

さらに、上級グレードには電動フロントシートやシートヒーターが装備され、オプションではハンズフリーバックドアや駐車をアシストしてくれるパーキングサポート、ステアリングヒーターといった高級装備まで用意される。

ヤリスクロスに「コンパクトカーだから装備は質素」という国産車の常識は当てはまらない。このあたりは、トヨタの欧州拠点で開発&デザインされた影響もあるだろう。

ヤリスクロス ▲コンパクトなクロスオーバーSUVとしては、後席の居住空間も広め。使い勝手の良さも魅力となっている

ヤリスクロスのグレード展開はガソリン車、ハイブリッド車でほぼ共通で下記のとおりとなっている。

・「X」「ハイブリッドX」:16インチスチールホイールのベーシック・グレード。駆動方式はFFまたはフルタイム4WD。ガソリン車には「Toyota Safety Sense」などの装備を省き、新車価格180万円以下とした「Bパッケージ」もある

・「G」「ハイブリッドG」:16インチアルミホイール、本革ステアリング、バックガイドモニター、ヘッドレストセパレート型フロントシートなどが装備される中級グレード。駆動方式はFF、またはフルタイム4WD

・「Z」「ハイブリッドZ」:18インチアルミホイール、LEDヘッドランプ、オプティトロンメーター、運転席6ウェイパワーシート、シートヒーターなどが装備される最上級グレード。駆動方式はFF、またはフルタイム4WD

新車価格帯は179.8万~281.5万円と幅広い。なお、ガソリン車よりもハイブリッド車の方がおおむね40万円弱ほど高い価格設定となっているが、装備内容はメーター表示などを除いてほぼ同じ。外観にもほとんど差異がない。

ハイリッド、E-Fourの最上級グレードにオプションを付ければ300万円を超える……。充実した装備内容を考えるとコスパは高いものの、少しでも安く手に入れたいなら中古車を狙ってみるべきだ。

ヤリスクロス ▲インテリアのデザインは曲面を多用し、包まれ感を演出したもの
 

エンジンタイプごとの流通状況(22年5月時点)

ヤリスクロス ▲ガソリンとハイブリッドの人気はほぼ均衡。パワーで選ぶならガソリン、燃費で選ぶならハイブリッド、という分かりやすい設定だ

コンパクトならではのキビキビした走りでも定評のあるヤリスクロス。ここではガソリンとハイブリッドに分けて、相場状況を紹介する。

ヤリスクロス全体の中古車流通量は912台。そのうちガソリンが483台、ハイブリッドが423台と、ほぼ同等に近い割合となっている。

ガソリンのグレードでは最上級「Z」の流通量が圧倒的に多く、次いで「G」「X」の順。価格帯は総額293万~588.7万円、走行距離は1km~4万kmとなっている。

上級グレードほど流通量が多くなる傾向はハイブリッドでより顕著になり、「ハイブリッドZ」の人気が圧倒的に高い。価格帯は総額224.2万~448.8万円、走行距離は2km~3.3万kmとなっている。

駆動方式ではガソリン、ハイブリッドともFFが圧倒的、4WDは少数派だ。
 

 

価格別の流通状況(22年5月時点)

ヤリスクロス ▲合成皮革+ツイード調ファブリックの上質感あるシートは、「Z」「ハイブリッドZ」に標準装備

ここではヤリスクロスの流通状況を価格別に見てみよう。まずは最安値物件。そして総額250万円未満と250万円以上のゾーンに分けて紹介する。

■ヤリスクロス(現行型)の最安値
支払総額で最安値となるのは、2021年式「X Bパッケージ」の黒・ガソリン・走行距離23kmの物件で、総額176.6万円となっている。

同グレードの新車販売価格は179.8万円。ほぼ新車に近いコンディションとなっている当該車両の中古車車両本体価格が159.8万円なので妥当な価格推移ではある。

総額170万円台の物件はほとんどが、予防安全パッケージなどが省かれた「X Bパッケージ」だ。

通常の「X」での最安値は、総額195.1万円の物件となる。

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■ヤリスクロス(現行型)|総額250万円未満
ヤリスクロスで支払総額250万円未満の物件の流通量は317台。うちガソリンは306台、ハイブリッドは11台となっている。

グレードではガソリンの「Z」が最多で約半数を占める。その後にともにガソリンの「G」、「X」が続く。

ハイブリッドの流通量が少ないのは上述したように、新車価格がガソリンよりも高いためだ。

走行距離のゾーンは1km~4万km、価格帯は支払総額179.8万円~となっている。

■ヤリスクロス(現行型)|総額250万円以上
支払総額250万円以上の物件の流通量は589台。うちガソリンは188台、ハイブリッドは401台と、この価格帯ではハイブリッド車の割合がかなり多くなっている。

グレードではハイブリッドの最上級「ハイブリッドZ」が圧倒的に多く、次いでガソリンの「Z」、「ハイブリッドG」、ガソリンの「G」と続く。

走行距離のゾーンは1km~2.9万kmとなっている。

ちなみに、「ハイブリッドX」もごくわずかだが、この価格帯に存在。これは新車価格を上回る価格だ。

さらに、最高額は2021年式「ハイブリッドZ」のパール、走行距離0.7万kmの物件で、総額448.8万円。オプションがふんだんに装備されていること、ヤリスクロス人気の高さから付いたプライスタグと思われる。

 

22年5月時点|コンディション別の流通状況

ヤリスクロス ▲後席は6:4分割の片側だけを倒すことも、中央部分だけを倒して長尺物を積むことも、荷室と完全にフラットにすることもできる

続いてコンディション別の流通状況を紹介する。走行距離1万km以下か、それ以上で分けた。

■ヤリスクロス(現行型)|走行距離1万km以下
ヤリスクロスの走行距離1万km以下の物件の流通量は788台。そのうちガソリンは432台、ハイブリッドは356台となっている。

現在の中古車市場に流通している現行型ヤリスクロスの大半が走行距離1万km以下であり、比較的良好なコンディションに保たれている物件が多いようだ。

価格帯は176.6万~448.8万円までと幅広い。グレードではガソリンの「Z」と「ハイブリッドZ」が大半を占め、「ハイブリッドG」、ガソリンの「G」がそれに続いている。

走行距離と価格、年式との相関関係はあまり見られず、現状の中古車市場価格はグレードによって決まる部分が大きいようだ。

■ヤリスクロス(現行型)|走行距離1万km以上
ヤリスクロスの走行距離1万km以上の物件の流通量は138台。そのうちガソリンは62台、ハイブリッドは76台となっている。

デビューから約2年弱しか経過していないこともあり、走行距離の多い物件はまだ少ない。

価格帯は総額209.8万~335万円。グレードではヤリスクロス全体の割合同様、「ハイブリッドZ」が最多、続いてガソリンの「Z」、「ハイブリッドG」の順となっている。

■ヤリスクロス(現行型)|登録済未使用車
ナンバー登録はしてあるものの未使用で、新車に近いコンディションを保持しているのが登録済未使用車だ。

ヤリスクロスで登録済未使用車の物件の流通量は341台。ヤリスクロス全体の流通量のうち、3割近くが登録済未使用車ということになる。

価格帯は支払総額で179.6万~338万円。

高価格帯の物件には、最上級「ハイブリッドZ」にオプション装備を付けた仕様が目立つ。

グレードではガソリンの「Z」が最多で、「ハイブリッドZ」が2位、「ハイブリッドG」とガソリンの「G」がほぼ同数となっている。

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※記事内の情報は2022年5月16日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。