アンチ日本市場? アンバランスさが愛おしい実物大チョロQ

  • ルノー カングービボップ 走り|ニューモデル試乗
  • ルノー カングービボップ インパネ|ニューモデル試乗
↑カングー比で全長はマイナス345mm、ホイールベースはマイナス390mm。50kgの減量も実現(左) 航空機をイメージしたサイドブレーキやインパネ回りはカングーのインテリアを受け継いだもの。シートカラーはレッド+ダークブラウンのみ(右)
ざっくり言えば、昨年秋に国内導入された2代目カングーをベースに、全長を345mm、ホイールベースを390mm切り詰め、後席2枚のドアを省いた3ドア版ミニ・カングーがこのビボップだ。

バンパーなどの意匠は変わっているものの、全幅1830mm、全高1840mmと正面から見れば前面投影面積はほぼカングーそのままなわけで、エルグランド、アルファードなど全長5m級ミニバンにも迫る。正直デカイ。ところが切り詰められた全長は4m切りの3870mmで、こちらはマーチ、ヴィッツ級。2トーンのカラーリングも相まってこのアンバランスさがなんとも愛らしい。実物大チョロQといった趣だ。

ふんわりと体を包みながらも、芯のしっかりとしたフランス流のシートもカングー譲りのもの。なぜドイツ車も日本車もこういうシートが作れないのか? と思わせられる出来だ。後席もあえての独立した2座で、レッグルームは驚くほど広い。

足のさばきは、ホイールベースが短く、タイヤが65扁平の15インチから60扁平の16インチにサイズアップされたことからも想像されるように、カングーよりも少しキビキビとスポーティになった。しかし、突き上げがキツイとか、しなやかさが失われたといった印象ではない。相変わらずのルノー的味つけはいい塩梅である。
  • ルノー カングービボップ ガラスエリア|ニューモデル試乗
  • ルノー カングービボップ リアルーフ|ニューモデル試乗
↑総面積3.9m2を占めるガラスエリア。前方のガラスルーフは手動式(左) リアのルーフはワンタッチで開閉できる(右)

おしゃれで楽しい魅力がいっぱい

唯一気になったのは、動力性能。特に上り坂ではいささか力不足な印象だ。5MTのみの設定でもあり、選ばれしドライバーが運転するわけだから、タコメーターをにらみパワーバンドを駆使して走らせれば良いと考えることもできるが、その回転域だと少々うるさい。初代カングー+同じ1.6Lエンジンの組み合わせが絶妙だっただけに、ちょっともの足りなく感じてしまう。

しかし、この車のハイライトは、コンセプトカーまんまのスタイルの具現化にこそある。フロント、センター、リアの3パートに分かれたガラスエリアは延べ3.9m2にも及ぶ。屋根の約3分の1を占めるリアパートは、なんと前方にスライドして大きく開口。リアゲートのガラスも開閉可能で、後席はさながらオープンテラスだ。

ATの設定がない、4ドアじゃない、今時の日本じゃ不利な条件ばかりに思えるが、それを補って余りある創造性が込められている。子育て世代もぜひ注目。子供が喜んでリアゲートから乗り降りするはずだ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード ベースグレード
全長×全幅×全高(mm) 3870×1830×1840
車両重量(kg) 1370
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1598
最高出力[ps/rpm] 105ps/5750rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 15.1kg-m/3750rpm
車両本体価格 234.8万円
Tester/藤野太一(EDGE) Photo/向後一宏