【試乗】新型日産 エクストレイル│上質な見た目と走りの安定感に期待が高まる、オールラウンドなSUV
2022/09/06
▲自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が、日産 エクストレイルに試乗した際のレポートをお届けするいい意味で先代からの印象を裏切ったプレミアムさに思わず感嘆
2022年7月20日にフルモデルチェンジをはたした4代目日産エクストレイル。力強さが際立った印象だが、実際にはどうなのであろうか。
追浜にある、日産GRANDRIVEのテストコースで試乗する機会を得たのでお伝えしたい。
エクストレイルは初代から2代目まで、タフネスで飽きのこないキープコンセプトのデザインが売りだった。しかし、3代目になってからはそれまでと一転して都会的で、悪く言えば2代目に比べると少々柔な印象を受けていた。また、3代目はコストを抑えて作られた印象も強かった。
4代目を目の前にすると、先代がそうだったことを一層感じずにはいられない。4代目は、パッとエクステリアを見た印象は力強さがいちばんだ。それと、コストをかけたライトやレンズ類によって、“プレミアム感”に敏感なカスタマーにも対応した雰囲気が感じられる。
特にリアのテールランプは肉厚のレンズを使い、必要以上にコストをかけた印象だ。ライトをつけると、その質感の違いが明らかなことに気がつくであろう。
そしてフェンダーの処理もチープな印象はない。樹脂を使ったヘミングの処理と帯の幅も極力小さくして強さを表している。特に、リアフェンダー目いっぱいにタイヤを出してもバランスが崩れないような苦慮がうかがえる。
フェンダーとボンネット、ドアに至るパーティングラインもキレイに収まっている。これからのアイデンティティを崩さずに、シンプルでクリーンなデザインが都会からラフロードで走るタフさを兼ね備えた印象だ
試乗前に内装も確かめてみよう。


フロントシートから見た雰囲気はしっとりマットな高級感が漂う。開発者らは、相当勉強してこの領域にたどり着いた印象だ。先代のコストダウンとは裏腹に一気に質感を向上させている。利よりも、顧客の満足を考えたと言って良いだろう。
少し皮肉を言うが、会社は内部の人が代わると、こうして顧客の満足を得られるようになれば、模範的に変わることができるということが理解できるモデルでもある。
ハリのあるソフトタッチの樹脂を使って、触れる部分に可能なかぎりプラスチッキーな感じをスポイルしてある点はいい。ここまで一気に変えることができたのか……と感心するのみである。三菱 アウトランダーよりもインテリアの雰囲気は良く、吟味した素材を生かしている。
中身は、基本の考え方は“e-POWER”の考え方によるシリーズハイブリッドタイプ。電気自動車の風合いを高めたハイブリッドシステムだ。今回の1.5リッター3気筒直噴ターボは世界初の量産型可変圧縮比の機構が組まれている。
これを日産では「VCターボ」と呼んでいる。例えば、アクセルを深く踏んで加速が必要な場合は、e-POWERのタイプはそれ相当の電力が必要になる。すなわち、電気を多く使うことことになるのだ。
そこで、その発電要求に応えるがためにエンジンを始動するのだが、ターボユニットの場合は特に圧縮比が高いと燃焼に不具合が起こり、安定した燃焼が得られない。圧縮比を落として確実に燃やしてトルクを安定化させるのだ。
徐々に要求電力が少なくなり、一定の速度に達したら圧縮比を上げ、効率の良い状況でエンジンを使えば良いのだ。
しかも直列エンジンにあるピストンが上から下に動き、再び上に動く時の振動を可変圧縮機構のリンクにより振動を緩やかにできる利点がある、一石二鳥の機構でもあるのだ。
実際に乗ってみて様々な負荷を与えて、エンジンの再始動や回転を上げることを繰り返したが、3気筒とは思えないスムーズさがある。
そして、発電に関してもエンジンの出力が負荷に応じて連続的に圧縮比を変えるので、回転数が無駄に高くならずにバッテリーに送られるのである。機構が多い分、メカニカル損失もあるので高回転には向いていない。

しかし、そのあたりもターボを用いた発電用エンジンに適しているように感じるのである。3気筒とは思えない静粛性だ。
今回試乗できたのはe-4ORCEという4WD仕様のモデルだ。高速から中速に入るコーナでもアンダーを消して安定感はとてもいい。

三菱から多くを学んだバイワイヤーによる4WDシステムであることは間違いない。コーナー途中で動力をかけながら踏んでいくとスキール音もせずに実にスムーズに曲がっていくのだ。
テストコースなので一概には言えないが、パフォーマンスは盤石のようだ。

【試乗車 諸元・スペック表】
●1.5 X e-4ORCE 4WD
| 型式 | 6AA-SNT33 | 最小回転半径 | 5.4m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.66m×1.84m×1.72m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.71m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.59m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 2.53m×1.54m×1.26m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1880kg |
| シート列数 | 3 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 7名 | 車両総重量 | 2265kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.19m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ブリリアントシルバーメタリック、ダークメタルグレーメタリック |
||
| オプション色 |
ブリリアントホワイトP/スーパーブラック、カスピアンブルーM/スーパーブラック、シェルブロンドM/スーパーブラック、ブリリアントホワイトパール3コートパール、ダイヤモンドブラックパール、カスピアンブルーメタリック、ステルスグレーパール |
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| 掲載コメント |
- |
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| 型式 | 6AA-SNT33 | 最小回転半径 | 5.4m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.66m×1.84m×1.72m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.71m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.59m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 2.53m×1.54m×1.26m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1880kg |
| シート列数 | 3 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 7名 | 車両総重量 | 2265kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.19m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ブリリアントシルバーメタリック、ダークメタルグレーメタリック |
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| オプション色 |
ブリリアントホワイトP/スーパーブラック、カスピアンブルーM/スーパーブラック、シェルブロンドM/スーパーブラック、ブリリアントホワイトパール3コートパール、ダイヤモンドブラックパール、カスピアンブルーメタリック、ステルスグレーパール |
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| 掲載コメント |
- |
||
| エンジン型式 | KR15DDT | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆☆ |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 55リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1497cc | 燃費(WLTCモード) |
18.3km/L
└市街地:16.1km/L └郊外:19.9km/L └高速:18.4km/L |
| 燃費基準達成 | R12年度燃費基準 85%達成車 |
||
| 最高出力 | 144ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
250(25.5)/4000 |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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