▲日本らしい電子デバイスの結晶といえる、先代モデルから搭載されているSH-AWD。動力が安定しないという難点を見事に解決したのが5代目レジェンドだ ▲日本らしい電子デバイスの結晶といえる、先代モデルから搭載されているSH-AWD。動力が安定しないという難点を見事に解決したのが5代目レジェンドだ

レジェンドの真価はその走りにあり

ホンダが誇るフラッグシップモデルのレジェンドは、1985年の誕生以来5代目を迎えた。要注目なのは走行時にドライバーの要求に対して、最適な駆動方式と駆動力をチョイスして路面に伝える「SPORTS SH-AWD」である。

エクステリアの作り込みは正直なところフラッグシップという印象は薄い。テールライトのLEDのレイアウトや、ドアを開けた準外板のプレス処理などはもう一工夫必要だと感じた。

インテリアを確認するとシートの革の質やステッチにこだわりを感じる。「欧州メーカーよりも高級」と開発責任者が言うとおり、良いモノを使用していることがわかる。ボタン化されたシフトセレクターなど、新しさを演出するために必要なデザインも取り入れている。

しかしこの車の真価は見えない内部にあると思っている。それは先代から高く評価している部分である。

一般道では3種類の動力のバリエーションを上手に使ってスムーズに走る。加速も軽快でラグジュアリースポーツ、といった雰囲気だ。路面のアンジュレーションも不安なく収める。ロールを残した感じがラグジュアリーさを演出するが、中速域コーナーでは舵角を最小限に抑えてとにかくオンザレールで抜ける。不安は皆無であり、コーナーの途中でも加速をしたくなるほどだ。これが進化したSH-AWDなのだ。リアの左右トルクべクタリングシステムは先代から凄いとは思っていたが、動力トルクが安定してキメ細かく供給できると、ここまでスムーズに、そしてコンスタントにコーナーを抜けられるのかと鳥肌がたった。

また、フラッグシップのドライバーズカーとしての真髄は高速道路での操縦安定性だ。高速道路に入り本線合流前の中速コーナーにて、レジェンドの高速領域のスタビリティーの高さを知る。もっと遠くへ行きたくなる。静粛性に富み、横風や滑り易い路面状況でも的確な補佐をこの車はしてくれる。

細かいことを言えば急激にブレーキングするとシフトショックが起きたような挙動をするが、恐らく今後改善されるであろう。それ程文句のつけようのないドライバビリティである。

▲上質なレザーを使用しラグジュアリーな雰囲気の中にスポーティさを感じるインテリア ▲上質なレザーを使用しラグジュアリーな雰囲気の中にスポーティさを感じるインテリア
▲V8と比べても遜色がないと開発者が太鼓判を押すV6エンジン+モーターの動力ユニット ▲V8と比べても遜色がないと開発者が太鼓判を押すV6エンジン+モーターの動力ユニット
▲新しさやクリーンさを演出するボタン化されたシフトセレクター ▲新しさやクリーンさを演出するボタン化されたシフトセレクター

【SPECIFICATIONS】
■グレード:3.5 4WD ■乗車定員:5名
■エンジン種類:V6SOHC+モーター ■総排気量:3471cc
■最高出力[kW(ps)/rpm] :231(314)/6500+フロント35(48)/3000+リア27(37)/4000
■最大トルク[N・m(kgf・m)/rpm]:371(37.8)/4700+フロント148(15.1)/500-2000+リア73(7.4)/0-2000
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7AT
■全長×全幅×全高:4995×1890×1480(mm) ■ホイールベース:2850mm
■車両重量:1980kg
■JC08モード燃費:16.8km/L
■車両本体価格:680万円(税込)

text/松本英雄 photo/尾形和美