都内でもスポーツドライビングが楽しめる!【S660編・東京スマート軽ライフ】
2016/10/07
自動車ライター、塩見智さんが軽自動車に約1ヵ月間乗り、東京での軽ライフをリポートする「東京スマート軽ライフ」。高級車が溢れる東京での軽ライフを赤裸々につづっていく。今回はS660編の第2回。

都内で走りを楽しむにはぴったり
S660による東京スマート軽ライフは2週目に突入。たまに右肘をドア内張りにぶつけるものの、室内のタイトさにもほぼ慣れた。動力性能面で理想的なミッドシップ・レイアウトと、絶対的にコンパクトなボディのおかげで、走らせるのが楽しい。わざわざワインディングロードまで行かなくても、都心をちょこまかと走り回るだけで、スポーツドライビングを楽しむことができる。すいた首都高は最高のシチュエーションだ。きわめて低い目線と前述のパッケージによって、絶対的には遅めのスピードでも“やってる”気になれる。
エンジンの吹け上がりが良いので、発進後、1速、2速、3速とギアアップに忙しい。けれどMTの操作感が素晴らしいので苦にならない。ストローク、節度、剛性、位置のすべてがパーフェクトで、操作することそのものが楽しみとなる。「自動運転? 僕はいいや」と言いたくなる。渋滞のときには意見も変わるが。
エンジンとソフトトップに改善の余地あり
S660の乗員背後は3分割されたガラス部分になっているが、一番大きな中央のガラスは電動で開閉が可能。ここを開けるとエンジン音がダイレクトに聞こえてくる。音質は悪くないが良くもない。軽自動車特有の音から脱しきれていない。基本的にはNシリーズのエンジンの流用なので高望みするべきではないが、ここがなんとかなるならもう少しお金を出してもよいと考える人も少なくないはず。僕もその一人だ。
パワーもしかり。自主規制値である最高出力64psの範囲内でなんとかFUNをつくりだそうという開発陣の努力を感じるし、うまくいっていると思うが、その壁を突破し80psくらい発揮するエンジンであれば、一気に今の10倍くらい刺激的なスポーツカーになるはずだ。

また、開閉可能な中央のリアガラスだが、ここを夏の昼間に開けるとエンジンの熱風が入ってきて大変なことに……。冬場はエンジン音を楽しめるとともにヒーター効果も得られるはずだ。

ワインディングは得意中の得意科目だが、高速道路はどうか? 結論からいうとそつなくこなす。東名高速など、流れの速い高速道路での100km/hを超える流れにも難なく追従することができるし、その速度域でも車体の安定性は十分に保たれ、軽自動車に乗っているという感覚はない。その速度域ではさすがに車内は静かとは言えないが、オープンカーであることを考えれば納得できる。
ただし、ソフトトップとウインドシールドの隙間から聞こえる風の侵入音が気になる。異なる2台のS660で同じ音が聞こえたから構造的な問題ではないだろうか。うまくトップを装着すれば聞こえなくなるかもと思って何度もやり直してみたが、風の入ってくる音は消えなかった。ソフトトップの固定方法に何らかの改善を望む。

素晴らしい点も改善を望みたい点も一気に感想を羅列したが、総合的には軽自動車のレベルとは思えない仕上がりだ。まぁベーシックグレードのβでも198万円、装備が充実したαだと218万円と、価格も軽自動車レベルではないが、それだけのことはあると思わせる。
引き続きS660についてリポートするが、次週は少し毛色を変えてカスタマイズ編をお届けする予定。
【筆者プロフィール】
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経て、フリーランスの自動車ライターへ。軽自動車好き。SUV好き。「カーセンサーnet」をはじめ、「GQ Japan」「GOETHE」「webCG」「carview!」「ゴルフダイジェストオンライン」などにて執筆中。
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
最新型ホンダ シビックタイプRの中古車価格約610万円に絶望した人に贈る「3分の1で買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
5~7人乗りコンパクトミニバンおすすめ15選|人気ランキングも! メリットやデメリット、中古車価格も紹介
三菱 ジープで西へ東へ、その距離10年で20万km! オフローダーを走らせ感じた「古い4WDの楽しさ」とは?
父が手放した車が忘れられず、自分で乗ると決めた三菱 デリカスペースギア
ランドクルーザープラド(95型)をファミリーカーに選んだ“走り好き”オーナーが語る「新たな車の楽しみ方」
26年をともにしたメルセデス・ベンツ Eクラスワゴン(S124)との別れ。そのとき、人は何を思うのか? 26年ぶりの取材で振り返る“愛する車”との思い出
オデッセイ「0.5世代前」なら新車価格より150万円安い中古車もあるが、“買い”なのか? 最新型との比較や狙い方を解説!
各メーカーの注目スポーツカーを一挙振り返り! 待望モデルから意外なモデルまで!【東京オートサロン 2025】
最新型ヴェルファイアの中古車価格約900万円に絶望した人に贈る「半額&即納車なミニバン、代わりにどうですか?」5選
新型ホンダ プレリュード復活が待ち切れないあなたに贈る「代わりにこのクーペ、どうですか?」5選