「障がいがあるから……と諦めている人へ届くように」車いすカメラマンは、今日も愛車の日産 ノートe-POWERと旅を楽しむ
2019/10/12
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
テレビで知った手動運転装置
東京都にお住いの近藤浩紀さん。彼は、生まれつき脳性麻痺の障がいがあり、その影響で歩行をスムーズに行うことができない。普段は電動車いすを使って生活している。
「障がいのある自分が、車の運転なんてできないと思っていました。でもある日、乙武洋匡さんが自動車運転免許を取得するというドキュメンタリー番組を目にしたんです。『僕にもできるかも!』と思いましたね。それがキッカケで、19歳のときに運転免許を取得したんです」
現在の愛車は、今年購入したばかりの日産 ノートe-POWER AUTECH スポーツスペック。このグレードにしかない特別色とデザインに惚れて選んだ。手動運転装置を付けており、ペダルは使わず手だけで操作ができる。
さらに、車の天井部分にある大きなボックスのようなものは、ルーフキャリアではない。「オートボックス(株式会社ミクニ ライフ&オート製)」という装置。ここに電動車いすを収納するのだ。
この装置、実際に動いているのを見ると感動を覚える。ご存じない方はぜひ見てほしい。
▼株式会社ミクニ ライフ&オートYouTubeより「オートボックス 操作手順」動画
手動運転装置について、ご本人作成の動画もあるので、こちらもぜひ。
▼近藤さんYouTubeより「車椅子だって車の運転ができる!手動運転装置の紹介」動画
この車に乗り替える前は、日産 キューブキュービックに乗っていたという近藤さん。これも同様に手動装置で運転できる車だったのだが、車いすの収納場所が後ろのラゲージで、乗り降りの際は運転席とラゲージ間を歩いて移動する必要があった。
もちろんそれでも一人で乗降はでき、問題はないのだが、何度も繰り返すと脚の痛みが増すこともあり、年々、身体への負担が大きくなっていたという。結果、外出が面倒になり、車で出かけることはほとんどなくなってしまった。
しかし、今回乗り替えた日産 ノートe-POWER AUTECH スポーツスペックは、「オートボックス」のおかげで、乗降時に歩く必要がほとんどない。運転席に乗ったままスイッチで操作し、車いすの出し入れが可能なのだ。
車でさらに大きな自由を手に入れた
この秘密兵器のおかげで、身体の負担が減り、近藤さんの生活は一気に変わったという。
「とにかく行動範囲が広くなりました。最近だと、佐渡や長岡に行きましたね。あ、ちなみに今日もこの後、富士山の方まで撮影しに行きますよ(笑)。富士山とひまわりを一緒に撮りたくて」
そう。実は、近藤さんはカメラマン。事務の仕事をする傍ら、福祉業界のメディアを中心に、イベントや人物、企業写真などを撮影している。なんとあの「ナショナルジオグラフィック」でノミネートされたこともあるそうだ。
▼こちらがノミネートされた作品(ご本人Instagramより)
山や川、植物など自然の写真を撮ることが好きで、このノートでは日本全国、撮影の旅に出かけたいのだとか。
「この車を手に入れたとき、小学5年生で初めて電動車いすに乗ったときのことを思い出しました」
幼少期、手押しの車いすで生活していた近藤さんは、常に誰かの手を借りないと動くことができず、多くのことを諦めていたそうだ。そんな彼が初めて“自由”になったのが、電動車いすを購入したときだったのだ。
今、新しい相棒・ノート e-POWERで、さらに大きな“自由”を手にした近藤さんが、どんな作品を世に送りだすのか、これからとても楽しみである。
「“障がいがあるから”と運転を諦めている人が多くいると思うんです。僕がそうであったように……。そんな人に、この記事を読んでほしいし、僕もそんな人に届くように、いろんなところで発信していきます。テクノロジーは進化している。一人でも多くの人に伝えたいです」
近藤浩紀さんのマイカーレビュー
日産 ノート e-POWER AUTECH スポーツスペック
●購入金額/約280万円(車両代のみ)
●購入する際に比較した車/日産 セレナ
●マイカーの好きなところ/AUTECH スポーツスペック特別仕様の色。本当に綺麗な青色です。車椅子収納装置の色も車と同じ配色にしました
●マイカーの愛すべきダメなところ/ドリンクホルダーの取りづらさ。USB端子がない。後部座席の床の真ん中がフラットじゃない
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/障がいがあるから……と運転を諦めている人。ベースのノートも個人的にはとてもかっこいい車だと思います。内装も悪くないし、e-POWERで加速もいいです
介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
森近恵梨子
森近恵梨子。ニューヨーク生まれ。上智大学大学院修士課程修了。介護職8年目。小規模多機能型居宅介護→訪問介護→現在、地域密着型デイ立ち上げメンバー。フリーランスとして、ライターや講師もしている。取得資格は介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員。正真正銘の介護オタク。温泉が湧き出るまで、介護を深ーく掘り続けますよ!
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- スバル レガシィB4と社会人生活をスタートしてはや16年。運命の車はやっぱり最高だった!
- ハコスカ探し中に出合った日産 ブルーバードはちょっぴり気難しい? 子育てひと段落なパパが選んだ、自分だけのサファリブラウンの旧車
- 人生2度目のスカイラインを手にした理由は「友達に負けてられない」から!? あの頃の理想を詰め込んだジャパン
- 全国各地に撮影に赴く撮り鉄さんが選んだのは、レンタカーで惚れた日産 ノート
- 日産 ノートがマイナーチェンジ!? 気になるエクステリアやインテリアの改良ポイントは?
- 釣り車の最強は? オススメ20選|安い中古車や軽、SUVから便利グッズも紹介!
- 普通車とは? 人気ランキング15選(コンパクトカーなど)一覧、軽自動車との違いも解説!
- オープンカーデートを叶えたちょい古のマーチカブリオレ「好きな車だから、壊れても直せばいいだけです」
- 「トヨタ ダイナはうちのファミリーカーですけど、何か?」トラックの荷台には夫婦の夢がたくさん詰まっている
- とりあえず選んだスバル レックス。だが、車好きが言う「何でもいい」は信じちゃいけない