モノトーン トーキョー

山間に現れた中古車が並ぶ謎の「モノトーン トーキョー」

広島県東広島市の山間の県道を走っていると、たくさんの中古車が並ぶ展示場が目に入った。並ぶ車は古めのものだったり珍しいものが多いが、一見するとよくある中古車屋のように見える。

しかし、そこには「MONOTONE TOKYO(モノトーン トーキョー)」という看板が。え、ここは広島ですけど?? と一瞬頭が混乱するが、数多くの車が並ぶ先を見るとさらに混乱する光景が。

そこには、なんともオシャレな『カフェ』らしきお店があるのだ。あれ、ここは中古車販売店ではないのか?
 

モノトーン トーキョー ▲カフェ……だよね?
モノトーン トーキョー ▲「車」と「パン」と「珈琲」???

初代シーマやローバー ミニ、ロードスターにベントレー アルナージ……など、たくさんの気になる中古車の間をすり抜け、カフェのようなお店の前にたどり着く。もしかしたら、単にオシャレな「事務所」なのかもしれない。

しかし、看板には「珈琲」や「パン」などの言葉が並んでおり、やはりカフェのように見える。

すると、中古車屋さんというよりはバリスタっぽく見える方が声をかけてくれた。
 

バリスタっぽい人
奥本店長

いらっしゃいませ!

編集部 神崎
神崎

こんにちは。あのー、ここって中古車屋さんですよね? ここは事務所かなんかですか?

バリスタっぽい人
奥本店長

いえいえ、ここはれっきとしたカフェですよ。でも、実はおっしゃるとおり中古車屋でもありますね。私は、こちらのカフェの店長をやっております、奥本と申します。

編集部 神崎
神崎

え、中古車屋さんにカフェですか? 珍しい組み合わせですね。でもどうして……。

ということで、中古車販売店の中にカフェがある理由を、店長の奥本さん、そして越智モータース社長の越智さんに伺ってきた。
 

モノトーン トーキョー ▲やっぱりこのお店はカフェだった! こちらは店長の奥本さん
モノトーン トーキョー ▲そしてこちらがカフェを経営する越智モータース社長の越智さん

ハンドドリップで淹れる「本格コーヒー」が楽しめる中古車屋さん

――いきなりですが、どうして中古車屋さんの中にカフェがあるのですか?

越智社長 モノトーン トーキョーは、広島県内を中心に中古車販売を手がけている、越智モータースの店舗のひとつ「ルート34号店」に併設されているカフェです。オープンしたのは2021年4月と世間がコロナ禍で混乱し、人の動きがなくなっていた時期でした。集客的な視点ももちろんですが、何よりお客さんとのコミュニケーションが減ってしまったのが寂しかったんです。そこで「いろいろな人が集まって、ゆったり気軽に会話を楽しめる場所」を作れないかと。だったらカフェがいいのでは? と思い実現しました。

奥本店長 実は私と社長、大学の同級生なんです。私はもともと長くコーヒー業界で働いていたのですが、それを知っていた社長が声をかけてくれて。もっとコーヒーを極めたい、いつかは自分のお店を出したいという思いもあったので、「よし、一緒にやろう!」ってなりました。
 

モノトーン トーキョー ▲お店は枠組みを除いて全部手作り。キレイに作るというよりも、「手作り感」をあえて残しているという
モノトーン トーキョー ▲社長、店長の他にもカフェにはスタッフさんもいる

――車好きの人たちが集まれる場所、素敵ですね!

越智社長 もちろん車好きの方がドライブがてらお越しいただくのも、車屋さんのお客さまにご利用いただくのも大歓迎です。でも、モノトーン トーキョーは「いろんなお客さんが集える場所」を目指しています。なので、車が好きでもそうでなくても、ぜひ気軽に足を運んでいただきたいです。

奥本店長 ひとつひとつハンドドリップして淹れるコーヒーや、焼き立てのパンなど、中古車屋さんのおまけ的なカフェではなく本格的なカフェとして、きっとご満足いただけるクオリティだと自負しています! 今ではコーヒーとパンを目当てに、リピーターのお客さまも増えてきました。
 

モノトーン トーキョー
モノトーン トーキョー

――確かに店内はオイルやガソリンの匂いではなく、コーヒーとパンの良い香りがしますね! お腹減ってきました。ところで、広島のお店なのにどうしてモノトーン “トーキョー”なんですか?

奥本店長 「モノトーン」にはモノクロ、アナログな意味があり、昔ながらの良い部分を大事にしていきたいという思いを込めています。機械ではなくハンドドリップでコーヒーを淹れると正直時間はかかりますが、その待ち時間もゆったりとくつろいでほしいですね。

越智社長 このお店は、扱っている中古車もちょっと古めのものが多いので、そういう意味でも「モノトーン」という店名はしっくりくるのではないかと。

奥本店長 そして気になる“トーキョー”の方ですが、日本の首都「東京」のように、いろいろな情報を発信し続け、そして情報が集まる場所でありたいという思いを表現しています。

――店名にはそのような思いが込められていたのですね! 実際にはどんな方がいらっしゃっていますか?

奥本店長 ありがたいことに、本当にいろいろなお客さまにお越しいただいています。デートとしていらっしゃるカップルの方たち、親子でランチにいらっしゃる方など、車きっかけではない方もたくさんいらっしゃいますね。そんな方たちにも「あの車、おもしろいですね!」 「なんていう車ですか?」のような質問をいただくこともあります。

越智社長 カフェをきっかけに来店された方が車に興味を持ってもらえると嬉しいですね! うちは中古車屋ですけど、展示している物件にはあえてプライスボードを付けていないんです。先に価格が分かってしまうとハードルが上がり、どうしても「自分には関係ない車」と無条件で排除されてしまうことがあるなと。「あの車かっこいいね」「あんな車初めて見たよ」みたいな感じで、もっと気軽にお客様たちとコミュニケーションを取りたいなと思っています。
 

モノトーン トーキョー ▲所狭しと並ぶ車はもちろん購入することも可能だが、プライスボードは掲げられていない

奥本店長 一方で、車好きの方たちにもたくさんお越しいただいています。週末にはマイカーで遊びに来てくれたり、バイクのツーリング途中で立ち寄ってくれる方も多いですね。ここはインターチェンジや空港、広島市や呉市などの都市部からもアクセスが良い場所なので、旅の途中に休憩がてら立ち寄れる場所だったり、旅の目的地になれたらいいなと思いますね。
 

モノトーン トーキョー ▲カフェができる前から越智モータースにお世話になっていたという常連さん。「気がつくとおもしろい車が展示されていたりするので、いつ来ても楽しめる場所かなと。たまに鍵開けて運転席に座らせてもらったり、エンジンかけさせてもらったり……何回来ても飽きないですね」実際に車を見ながら社長やスタッフさんと話ができるのは楽しいという
モノトーン トーキョー ▲広島という土地柄、マツダ関係で働く方の来店も多いのだとか。休日もフラっとコーヒー飲みに来たら、知り合いが来てたなんてことも!

――なんか「新しいカタチのドライブイン」って感じですね! ちなみに店長はコーヒーだけではなく、車もお好きなんですか?

奥本店長 もちろん車も好きですけど、実はまだまだ勉強中です(笑)。お客さんの方が詳しいこともあるので、いろいろ教えてもらうことも多いですね。まさに私自身もコミュニケーションを楽しませてもらってます! ちなみに時間があるときは、洗車や車の移動など、中古車屋さんの仕事をすることもありますよ。
 

モノトーン トーキョー

――最後に、モノトーン トーキョーのオススメメニューを教えてください!

奥本店長 まず、挽きたての豆をハンドドリップで淹れるコーヒーは飲んでいただきたいですね。カプチーノやカフェラテもオススメです。フードでは焼き立てパンをはじめ、人気No.1のサンドイッチや独自ブレンドのスパイスを使ったキーマカレー、1日じっくり漬け込んで焼いたフレンチトーストなどがオススメです!

越智社長 もちろん、新しい車からクラシックカーまで、おもしろい車もたくさんご用意していますので! 広島にお越しの際には、気軽にお立ち寄りいただけたら嬉しいです!
 

モノトーン トーキョー ▲不動の人気No.1はサンドイッチ! いろいろな種類がある
モノトーン トーキョー ▲人気急上昇中のキーマーカレー。程よい辛味と旨味が絶品!(筆者もいただきました!! おいしかった!!)
モノトーン トーキョー ▲カフェタイムのお供にもオススメのフレンチトースト

――モノトーン トーキョーそして越智モータース、おもしろいお店ですね!

奥本店長 ありがとうございます! おいしいコーヒーと魅力的な車をご用意してお待ちしています!!
 

Bose

取材協力店

越智モータース ルート34号店

当店が一番大切にしているのは今来てくださっているお客様との関係、これから来てくださるお客様との関係です。どんな人がやってるのかな? 本当に面白い、来てよかったと思える店なのかな? いろんな思いがあると思います。お客様が自然と寄り道してくれる。そんなお店にすればもっともっと笑顔の絶えない活気のあるお店になる! そんな思いで日々営業しております! もっともっと楽しいカーライフ一緒に探しませんか?

文/編集部 神崎洋平、写真/soulnote 鈴木トヲル
神崎洋平

カーセンサー編集部

神崎洋平

小さい頃から車が好きで、中学生のころからカーセンサーを愛読。若者の車離れに一矢報いたいという動機で、2017年にカーセンサー編集部にやって来た。いままでの車歴は圧倒的にセダンが多いが、子供が生まれたことをきっかけにステーションワゴンのゴルフヴァリアントに乗り替え。これはこれで満足だが、いつか再びセダンに乗ることを企てている。