父が手放した車が忘れられず、自分で乗ると決めた三菱 デリカスペースギア
2025/02/05

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
父親に買ってもらった車を内緒で売却してスペースギアを購入
3列シートを備えながら、本格的な4WDシステムと高い最低地上高によりSUVに匹敵する悪路走破性が与えられたデリカシリーズ。同じコンセプトのライバル車は存在せず、唯一無二のモデルとして、デリカシリーズを長く乗り継ぐコアなファンを獲得している。
現行型は2007年に登場したデリカD:5で、D:5の1世代前のモデルになるのが、マッキーさんの愛車であるデリカスペースギアだ。

「マッキーさんのお父さんは大の三菱ファンで、デリカスペースギアに長く乗っていた。友人にもスペースギアの1世代前のモデルであるデリカスターワゴンに乗っている人が多かったという。
マッキーさんは子供の頃からスペースギアに乗って家族でドライブに出かけていた。スペースギアのリアシートはマッキーさんのお気に入りの場所。シートにちょこんと座ってお父さんが運転する姿を眺めるのが好きだった。
「私も大人になったら家のスペースギアを運転するのだと思っていました。ところが、父は私が運転免許を取得する直前にスペースギアを手放しちゃったんです……」
新しい車はデリカD:5。しかし、マッキーさんにとってデリカといえばスペースギア。新しいD:5はイマイチ馴染むことができなかった。
「初めての車は父に買ってもらった国産のハッチバックでした。でも、それにも馴染めなかったんですよね。やっぱり私はスペースギアに乗りたい! そう思って父に内緒でハッチバックを売ってスペースギアを買っちゃいました(笑)」
マッキーさんがスペースギアに乗って帰ってきたのを見たお父さんが驚いたのは言うまでもない。「なんでだよ」とあきれていたが、せっかくだからドライブに誘い、「久しぶりに運転してみる?」とステアリングを任せると、「やっぱりいい車だな」と納得してくれたそうだ。

スペースギアは大切な家族のような存在
リアシートに座っていたスペースギアを運転するようになって感じるのは、車体が大きいのにとても運転しやすいことだ。
「一番好きなのは、他の車に比べて圧倒的に見晴らしがいいこと。だから周囲の状況がつかみやすいし、渋滞でも疲れづらいんですよ。その分シートポジションが高いから乗り降りが大変そうといわれますが、父のスペースギアがかなりリフトアップしていたので、ノーマルなら全然気になりません(笑)」
屋根の上にルーフキャリアを載せてバックドアにラダーを付けたスタイルはお父さんのスペースギアでマッキーさんが気に入っていたカスタムを取り入れた。マッキーさんもルーフに上がって荷物を積んだりしているそうだ。


スペースギアがやってきてから、海を見に行ったり、山でキャンプをしたり、のんびりとドライブを楽しんでいる。
でも、お父さんとオフロード走行を楽しむ4WD車が多く集まる神奈川県の猿ヶ島に行ったときは、お父さんが「ちょっと走ってみる」とオフロードコースに入っていき、思い切り下まわりをぶつけてしまったそうだ。それで今は運転席と助手席のステップが曲がってしまっている。きっとお父さんはリフトアップしていたスペースギアと同じ感覚で走ってしまったのだろう。
マッキーさんはスペースギアで、4WD好きが集まるイベントにも顔を出したりしている。
「私がまだ子供だった頃から父親もイベントに参加していたので、私もそういう場所に顔を出すことに抵抗はありませんでした。趣味が合う人たちとキャンプしたりして同じ時間を過ごすのは楽しいですよ」
そして2024年の秋、同じくイベントに参加していた男性と結婚した。ちなみに旦那さんは復刻前のトヨタ ランドクルーザー70でトレイル競技を楽しんでいる。旦那さんの愛車は競技用のランクル70と日常使い用に買ったランクル70。つまりマッキーさん夫婦の家には3台の大きな四駆があることになる。
「ランクルはディーゼルで燃費もいいし小回りも利くので、普段はランクルで出かけることが多いです。でも、買い物をたくさんするときなんかはスペースギアの出番。うまく使い分けています」
幼少時代からずっと一緒だった車に今度は自分が乗るようになり、あらためてスペースギアがマッキーさんにとってどんな存在かを尋ねると、少し考えてからこう話してくれた。
「父がスペースギアを手放して、でも私もこれに乗ろうと思って自分の手元に新しいスペースギアがやってきて、一安心というのが正直な気持ちです。子供のころから大好きだったので、私にとっては父の車が大切な家族のような存在だったのかな。だから父がスペースギアを手放したときは、大好きな家族がいなくなっちゃったような感じですごく寂しかったんですよ。今、もう一度私のところに帰ってきてくれたという感じですごく嬉しいんです」

それだけ気に入っているスペースギアに乗っていると、まるで家にいるような安心感があってとても落ち着くという。せっかくだから車内も見せてくださいとお願いしたら、「私はリビングなどの共有スペースはちゃんと掃除をするけれど、自分の部屋はなかなか掃除しないタイプなんです……。車の中も汚いから恥ずかしいな」と笑う。
自分が乗っていた車を娘がここまで大切に思ってくれていて、違う車ではあるけれど、娘が乗るようになった。きっとお父さんも喜んでいるはずだ。そして今度はマッキーさんが、スペースギアと一緒に忘れられない家族との思い出をたくさんつくっていくことだろう。

▼検索条件
三菱 デリカスペースギア(初代)×全国
マッキーさんのマイカーレビュー
三菱 デリカスペースギア(2代目)
●年間走行距離/1万km
●マイカーの好きなところ/運転席から見晴らしが良くてたくさん荷物が積める
●マイカーの愛すべきダメなところ/燃費は良くない……
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/荷物を積んで出かけたい人

自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESELとスズキ ジムニー
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