JMS▲各社から様々なコンセプトカーがお披露目されるジャパンモビリティショー2023。カーセンサー編集部は一般公開に先立ち、各メーカーの見どころをチェックしてきた(写真は日産ブース)

ジャパンモビリティショー2023開催!

2年に一度の車の祭典「東京モーターショー」が、今回より「ジャパンモビリティショー」に生まれ変わり、2023年10月26日~11月5日(一般公開は10月28日から)にわたって開催される。

前回の2021年度は新型コロナウイルスの影響で中止となったため、実に4年ぶりの開催ということになる。

このジャパンモビリティショー2023では、自動車業界の枠を超え、他産業やスタートアップ、来場者などとともに「日本の未来」を創っていくことが目指されており、過去最多を超える475社が参加している。

カーセンサー編集部はプレスデーに足を運び、一足先に自動車メーカーのブースで注目モデルをチェック!

各社の見どころをダイジェストでお届けするので、これから足を運ぼうとしている人はもちろん、そもそも行こうかどうか迷っている人もぜひ参考にしてほしい!
 

 

トヨタ|「クルマ屋」がつくるBEVの未来を存分に堪能できる

■FT-Se

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「電動化には消極的」と言われてしまうことのあるトヨタが、いよいよ本気を出した!? いやいや世界で初めて量産化に成功したプリウスから20年以上。世界で最も「電気で車を動かす技術」を持っているのは、トヨタだ。本気を出した、のではなく「満を持して」と言うべきだろう。

電気自動車は環境に優しいだけじゃない、とトヨタはいう。「電気エネルギーならではの運転の楽しさも、走りの味もあって多様な体験価値も実現できる」。そんなトヨタの考えを最も反映しているであろう1台が、今回登場したコンセプトカーのFT-Seだ。

高性能BEVスポーツカーのFT-Seは、トヨタがカーボンニュートラル時代に提唱するスポーツカーの形のひとつ。その日の気分でサスペンションの制御を変えることができるという。

スポーツカー好きなら、このワイド&ローフォルムのルックスはワクワクすること間違いなしだろう。
 

■FT-3e

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そして注目の2台目が、これまたBEVのFT-3eだろう。スポーツカーのFT-Seと主なコンポーネントを共有するSUVタイプのコンセプトカーだ。

気になるのはボディサイドのデジタルサイネージ。現状は車内温度、室内の空気の質などを表示しているが、何を表示するのが最適なのかは、今後検討していきたいとのこと。ちなみにフロントドアからリアドアの下部にかけてのデジタル表示のメモリは、バッテリー残量を示しているという。

なお、車内で移動中にショッピングを楽しむことができる機能も備えているという。

他にも電動化のメリットをとくとご覧あれ、とばかりに「BEVらしい楽しさ」が展示されているトヨタブースに、ぜひ足を運んでみてほしい。

 

レクサス|BEVでカーデザインの制限を開放することを示唆

■LF-ZC

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内燃機関車よりも部品が小さく軽量に、そして点数も抑えられるBEVは、従来のカーデザインの制限もラクラクと飛び越える。そんな可能性を示しているのがレクサスブースだ。

中でもLF-ZCは乗車位置を前方に低くできるBEVのメリットを生かし、低重心かつ凝縮感あるフォルムからは想像もできないような広々とした室内空間を実現。クーペやセダン、ミニバンといった従来のカテゴリーに収まらない新ジャンルの車になった。

しかもソフトウエアのアップデートで時代に即した機能を購入後も享受でき、BEVらしく緻密な制御によって車と一体となった走りの気持ち良さも味わえる。2026年の導入が予定されているから、まずはジャパンモビリティショーで確認しておこう。
 

 

ホンダ|電動化の楽しさと、過去の車の楽しさの融合

■SUSTAINA-C Concept

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電動化による未来もきっと楽しいが、過去の車の楽しさも懐かしい。ホンダはそんな世代の人々の心をくすぐるような、2台のコンセプトカーを展示した。

1つは「SUSTAINA-C Concept」。一度使ったアクリル樹脂を再利用して作られることが車名の由来だが、そんなことよりひと目見て「ん!? これはシティの再来では……」と思った人もいるのではないか。まるでモトコンポを積んだシティのように、小型電動バイク「Pocket Concept」を従えている。
 

■プレリュード コンセプト

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一方で、ひときわ会場のオジサン世代(失礼!)を喜ばせていたのが「プレリュード コンセプト」。その名前を聞いて懐かしさを覚えた人は多いだろう。

電動化や自動運転時代においても、運転する楽しみを追求する。そんなホンダの矜持を示すかのように、あえて昔の名車の名前を用いたのだろう。とにもかくにも、ホンダ久々のクーペ。見逃し厳禁だ!

 

ソニーホンダモビリティ|両社で描く、まだ誰も見たことのない世界

■AFEELA

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車の未来像を知りたいなら、この「AFEELA」のチェックは外せない。もとは自動車メーカーではないソニーがともした、新たな光。瞬く間に世界中の注目を集め、今やホンダと「ソニー・ホンダモビリティ株式会社」を設立するまでに、大きく輝き始めた。

さらに世界中のクリエイターやデベロッパーが、AFEELA上で動作するアプリケーションやサービスを自由に開発できる環境を用意された。例えば、車室内のパノラミックスクリーンと呼んでいるダッシュボードのテーマ変更、走行中のeモーターサウンドの音源や、ナビアプリの地図上の付加情報など。従来の1社完結ではなく、多くの人々が育てる車なのだ。販売予定の2025年が待ち遠しいが、一足先に会場でチェックしておこう!
 

 

日産|EVがもたらす未来を提示してくれるコンセプトカーたち

■ハイパーフォース

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日産が展示したのは、BEVがもたらす未来を具現化した5台のコンセプトカー。そのうちの「ハイパーフォース」は、開催初日にアンベールされた隠し球だ。

ハイパーフォースがどことなくGT-Rをほうふつさせるのは、次世代の高性能スーパーカーとして同社のハイパフォーマンスカーのデザインDNAが組み込まれたから。

最高出力1000kWを発生させる高性能モーターと全固体電池は、もちろん最適な重力配分で配置された。そのパワーはNISMOと共同で開発したダウンフォース設計によって、余すことなく地面に届けられる。
 

■ハイパーツアラー

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一方の「ハイパーツアラー」は、おもてなし精神や上質な室内空間、そして自動運転をはじめとする数々の先進技術を融合したプレミアムミニバンだ。次期エルグランドとなるモデルだろうか?

航続距離を削らなくてもコンパクトになる全固体電池の搭載により、車内は広々。完全自動運転モードで走行中は、運転席と助手席を180度回転させて後部座席と向かい合わせにできる。

いずれもコンセプトカーゆえ、今のところ市販化は期待薄だが、ここで提示された“未来”はいずれ目の前にやってくるだろう。

 

マツダ|親子で車のワクワク感を共有できる

■ICONIC SP

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マツダが世界初公開したのは、どことなくクラシックなイタリアのクーペもほうふつさせる、美しいコンパクトスポーツカーだ。

4180mm×1850mmという、コンパクト&ワイドな全高&全幅だけでなく、全高はETCのバーをくぐり抜けられそうなほど低い1150mm。

こんな素敵な低重心フォルムを可能にしているのは2ローター+EVシステムを搭載するから。つまり、マツダにしか作れないコンパクトスポーツカーというわけだ。

果たしてこのICONIC SPの要素が次期ロードスターにどんな影響を与えるか?

そんなことを親は想像して楽しみながら、子供に2/3スケールのND(現行型)ロードスターの走行疑似体験を味わうことができる。ぜひ親子揃って訪れてほしいマツダブースだ。

JMS▲ブース内には2/3スケールのNDロードスターが!
 

スズキ|いつ市販化されてもおかしくない2台のBEV

■eVX

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今年1月にインドで初めて発表されたBEV「eVX」。といっても今回のジャパンモビリティショーでは、エクステリアデザインがブラッシュアップされている。全長4300mm×全幅1800mmのコンパクトSUVで、航続可能距離は500km。

スズキの「EV世界戦略車第1弾」とされており、市販化されることが濃厚な1台。発売時期は2025年頃と噂されているが、一足先にチェックしてみては?

■eWX

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もう1台は、同社のハスラーのようなかわいさをもつBEVコンセプトカーの「eWX」だ。

ボディサイズは軽自動車規格だし、航続可能距離は230kmだから、あくまで日常の相棒という立ち位置。しかし、現在の電力事情を踏まえると、BEVの最適解とも言えるのでは? 果たして日産 サクラのライバルになるか? eVX同様、市販化が待ち遠しいモデルだ。

ちなみにスズキブースには、もうすぐ発売されるスペーシアやスイフトをチェックできるだけでなく、次世代四脚モビリティ「MOQBA(モクバ)」や、電動キックボードと同じ特定小型原動機付自転車において四輪で安定した走行が可能な、1人乗りの電動モビリティ「SUZU-RIDE/SUZU-CARGO」など、見どころがいっぱい。ぜひチェックしてみてほしい。

JMS▲参考出品された「MOQBA(モクバ)」は、4つの脚や車輪を生かし、どのような地形でも移動できる小型モビリティ
 

三菱|冒険心をくすぐるD:5の未来形

■D:X Concept

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間違いなく次期D:5の将来を暗示させるコンセプトカー。なのだが、もはや同車が目指すフィールドは地球ではなく月か? と思わせるのが「D:X Concept」だ。

D:5で採用されている環状骨格構造リブボーンフレームはさらに強化され、フロントウインドウとシースルーボンネットによる開放的で広い室内を包み込む。パワートレインは長距離の冒険も安心なPHEVとなり、ヤマハと共同開発した専用オーディオがドライブを楽しませてくれる。

果たしてどこまで次期型に反映されるのか。少なくとも圧倒的な悪路走破性をもつミニバンという、唯一無二の魅力はまだまだ同車の独壇場になりそうだ。

 

SUBARU|電動化でスバルの楽しさは、空でも味わえる!?

■SPORT MOBILITY Concept

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中島飛行機がルーツのSUBARUがついに空へ!? 同社らしい四輪コントロールの楽しさを感じさせるBEVのコンセプトカー「SPORT MOBILITY Concept」の頭上には、大きなドローンのような「AIR MOBILITY Concept」が飛んでいる。

内燃機関よりも緻密に制御できる電動化のメリットを生かし、SUBARUはこれまで蓄積した四輪コントロールの技術をさらに進化させようとしている。同社いわく「ワクワクするような新しい挑戦ができる」。

そして、電動化は路上だけでなく、空の世界もワクワクさせてくれるようだ。ホンダはジェット機で、スズキはスカイドライブ社との協業で、空へ挑むが、スバルはどんな航跡を描くのだろう。

 

ダイハツ|内燃機関&BEV、両方でオープンエアを感じることができる

■ビジョン コペン

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オープンカーの気持ち良さを訴え続けるダイハツ。今回のジャパンモビリティショーでは2台のコンセプトカーを展示した。

まず「VISION COPEN」は、その名のとおり、また見た目にもすぐわかる、コペンの未来形。しかも同車初となるFRレイアウトを採用するという。

また、これだけ世の中が電動化に進む中、1300ccの内燃機関が組み合わされる。コペンのDNAである風とともに走る喜びを進化させるオープンカーだ。

■オサンポ

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もう1台の「オサンポ」は、名前に込められたように、オープンエアの心地よさを散歩に出かけるような手軽さで楽しめる軽自動車サイズのBEV。

航続距離は決して長くない現状の軽サイズBEVだが、目線が少し高めになるように車高を上げ、開放感ある移動を楽しむことができるモデルだという。

 

BYD|EV大国からやってきた大型SUVと高級ミニバン

■U8

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今や電気自動車大国といえば中国。中でもBYDはテスラを抜く勢いで急成長を遂げているが、確かに電源ケーブルがつながれた全長5m超の大型SUV「U8」を目の前にすると、同社の実力を実感できるはずだ。

見た目の大きさもさることながら、最高出力は1100ps以上で、0-100km/加速は3.6秒! さらにバッテリーを積んでいるにもかかわらず、水深1mまでなら走行可能で、4輪を個別に制御して、その場で360度回転もできるという、パフォーマンスも圧巻!

■D9

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また、メルセデス・ベンツと共同開発したという高級BEVミニバンが「D9」だ。その威風堂々とした見た目や、上質感ある内装は、ミニバン王国である日本を脅かしかねない!?

その判断は、ぜひ自身で実車を見て判断してほしいが、少なくとも、もはや「Made in China」を色眼鏡で見る時代は終わっているようだ。

 

BMW|新しいデザイン基準車をまとったモデルも

■ビジョン ノイエクラッセ

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「Neue Klasse(ノイエクラッセ)」とは、ニュークラスという意味。1960年代にBMWを飛躍的に成長させた、現在の5シリーズの前身となる中型スポーツセダンを指す。

そんなアイコニックなモチーフが今年9月に開催されたIAAモビリティ2023で初めて披露された「Vision Neue Klasse(ビジョン ノイエクラッセ)」。そして、今回のジャパンモビリティショーにもアジアで初めて展示されている。

キドニー・グリルを初めとしたBMWの重要デザイン要素が盛り込まれた、次世代BMWのデザインを示すコンセプトモデルで「2025年にはすでに次の10年のモビリティを路上で実現し、BMWを新しい時代へと導く」としている。2025年といえばもう2年後。BMWを検討しているなら、このコンセプトカーは見逃せない。

 

メルセデス・ベンツ|タフなヨンク、Gクラスは電動化でこそ進化する

■コンセプト EQG

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熱狂的なGクラスのファン、アーノルド・シュワルツェネッガーが「電気はないの?」といったかどうか定かではないが、彼と当時のダイムラー会長とのやりとりから生まれたのが、BEVのGクラス、コンセプトEQG。2021年に発表され、ついに日本にもやってきた。

純電動といってもそこはGクラス。堅牢なラダフレームはもちろん、並外れたオフロード走行を可能にするサスペンションが与えられている。

従来のディーゼルやV8エンジンモデルも並外れた性能をもつGクラスだけに、「代わりに4つのモーターが搭載されただけ」と言えるかもしれない。しかし、電動化による並外れた駆動力や緻密な制御は、悪路では大いに安心材料になるはずだ。

 

自動車メーカー以外も見どころはたくさん!!

ここまで自動車メーカーのコンセプトモデルを中心に紹介してきたが、ここでは紹介しきれなかった魅力的なモデルもまだまだたくさん!

そして、自動車メーカー以外にも様々な分野のブースが設けられているのもジャパンモビリティショーの特徴だ。

JMS▲ツバメインダストリから出品されている搭乗型ロボットの「アーカックス 」
JMS▲みんな大好き! トミカのブースでは、ジャパンモビリティショー限定トミカも販売されている

車好きの人はもちろん、そうでない人もきっと楽しめるはず! ぜひ足を運んでみてほしい。

 

【お知らせ】カーセンサーも「Out of KidZania in JAPAN MOBILITY SHOW 2023」エリア内にて出展!

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カーセンサーはOut of KidZania in JAPAN MOBILITY SHOW 2023エリアで、未就学児向けキッズスペースを無料開放。

イラストレーター遠藤イヅル先生描き下ろしの「ちゅうこしゃぬりえ」を配布する他、車や乗り物をテーマにした木製のおもちゃで自由に遊ぶことができます。(※保護者同伴必須)

予約不要(先着順)45分間の入替制ですので、お子さまとお気軽にお越しください。

 

【開催概要】ジャパンモビリティショー2023

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【一般公開日】
2023年10月28日(土)~11月5日(日)
9:00~19:00(9:00~10:00の時間帯はアーリーエントリーチケットをお持ちの方のみ入場可) ※最終日のみ18:00まで

【開催場所】
東京ビッグサイト

【入場料】
・当日:3000円
・前売/20名以上の団体:2700円
・アーリーエントリー(1時間早く入場可):3500円 (限定5000枚/日・小学生無料:保護者同伴)
・アフター4(日曜を除く16時以降):1500円
・高校生以下無料
・障がい者手帳をお持ちの方 (要手帳提示)、 本人および付添者1名 (車いす利用者の場合2名まで)無料

文/ぴえいる、写真/尾形和美

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。