絶滅危惧車の2代目アベニールからは、能ある鷹が爪を隠した雰囲気が漂っている
2019/07/13
▲今回紹介するのは2代目日産 アベニール。230psを発揮するエンジンを載せたハイパワーモデルも存在したとにかく便利、そして走りも良い
かつて存在していたスカイラインワゴン/バン、ならびにブルーバードワゴン/バンを統合させる形で投入されたのが、日産 アベニール(商用バンは「カーゴ」と呼ばれていた)だった。
初代は1990年にデビューし、今回取り上げるのは1998年に登場した2代目だ。
当時のライバルといえば、スバル レガシィツーリングワゴン、トヨタ カルディナ、ホンダ アコードワゴンなどが挙げられるだろう。
ステーションワゴンブーム、今となってはノスタルジックでしかない……。
ライバルがひしめき合う中、2代目アベニールは「ダイナミック・スタイル・ツアラー」というコンセプトで登場した。
乗用ワゴンらしい走りとステーションワゴンらしいユーティリティ性能に重きを置いて開発された。
5ナンバーサイズながら初代アベニールよりも全長が190㎜長くなり、リアサスペンションをラゲージルームへの張り出しが少ない専用のマルチリンク式にすることで、ラゲージスペースが格段に広くなった。
余談だが、トノカバーは一般的な巻き込み式ではなく、数段階に折りたためるお風呂のふたのようなものだった。
基本的にトノカバー上に荷物は載せないという前提だが……なんと約40㎏の重さに耐えられるといわれていた。
このトノカバー、開閉ができるガラスハッチと相まって、狭い場所での荷物の出し入れのしやすさが好評だった。
シートアレンジはフルフラット機構、リアシートの6:4分割機構、リア分割リクライニング機構、リアヘッドレストを取り外すことなく折りたためるダブルフォールディング機構などが設けられていた。
ぶっちゃけ、荷室で寝ることもできるくらい広かった。
また、ラゲージフロア下には「アンダーボックス」が用意され、様々な用途に応じた使い方が想定されていた。
一言でいえば、とにかく便利だったのだ。
▲ザ・ステーションワゴンといったフォルムのアベニール。使い勝手はとにかく良かった
▲お風呂のふたのように開閉するトノカバー。とても頑丈に作られていた同時期のシルビアと同じエンジンを搭載したグレードも!
スポーティなGT4系には、最高出力230psを誇る2L 直4ターボエンジン「SR20DET」が搭載された。
このエンジン、同時期のスポーツモデル「シルビア」にも搭載されていたので、車好きの間では話題となったものだ。
ただし組み合わされたトランスミッションは、4速ATのみとなっていた。
GT「4」と呼ばれるだけあって、駆動方式には前後トルク50:50から可変する「アテーサフルタイム4WD」が採用された。
その他、ノンターボモデルは2L 直4エンジン(6速CVT、4WD車は4速AT)、新開発の1.8L 直4エンジン(5速MT、4速AT)、そして2L 直4ディーゼルエンジン(4速AT)がラインナップされていた。
▲シルビアにも搭載されていたSR20DETエンジンを横置きで搭載。今でも名機と呼ばれる、ファンが多いエンジンだ
▲ミッションは今となっては物足りない4速AT。もしMTモデルがあれば、もっと注目されていたかもしれない絶版になってから14年が経過し、流通台数は極めて少なくなっている。
NAモデルなら10万円台でも狙えるが、ターボモデルは思いのほか価値が見出されているような気配が漂う。
たしかに決してスポーツワゴンには見えないので、能ある鷹が爪を隠した雰囲気はある。
国産ステーションワゴンが珍しい存在となっている昨今、ネオクラシックカーとして楽しむのもアリかもしれない。
掲載台数は日に日に減っているため、ちょっとでも気になった方は早めにチェックしてみてほしい!
▲2019年7月9日現在、掲載台数はたった6台。GT4に至ってはさらに半分くらいとなるので、気になったら早めのチェックを!▼検索条件
日産 アベニール(2代目)×全国
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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