X1 ▲BMW X1がフルモデルチェンジされたのはいいのですが、車両価格はなんと556万円、乗り出し価格は600万円を超えてしまいそうです。コンパクトSUVに600万円はちょっと……とも思うため、そのおおむね半値で狙えてしまう“中古の”魅力的なコンパクトSUVを探してみることにしましょう!

コンパクトSUVに600万円超はメンタル的にキツい?

BMWの人気コンパクトSUVである「X1」が今年2月、最新型となる3代目にフルモデルチェンジしました。

新型X1は、BMWならではのシュアな走りとしゃれた内外装デザイン、そしてコンパクトSUVといっても全長4500mm × 全幅1835mm × 全高1625mmという、日本で使う分には「ぜんぜん小さくはない、むしろちょうどいい感じ」といえるサイズ感がひたすら魅力的なわけですが――大きな問題がひとつあります。

それは、買うとなると総額600万円を超えてしまう車両価格です。
 

X1▲こちらが新型BMW X1

フル電動モデルとなった「iX1 xドライブ30」の本体価格が668万円になったのはまあいいとして、普通の2Lガソリン直4ターボエンジンを搭載する「X1 xドライブ20i」の車両本体価格も556万円となってしまったのです。

こうなるともう、オプションや諸費用を加えた支払総額は「600万円」を超えることになるわけで、いくらBMW製であるとはいえ、コンパクトSUVのに600万円超のお金を投入するのは……メンタル的にちょっとキツいものがあるかもしれません。

とはいえ「嗚呼、2010年に登場した初代BMW X1のsドライブ18iは新車価格363万円だったのに……」などと昔を懐かしんでばかりいても意味がありませんし、明るい明日もやってきません。

ここはひとつ、新型BMW X1の“半値程度”で買えてしまう、しかし同等または同等以上の魅力と実力を備えている「中古の輸入コンパクトSUV」を探してみることにしようじゃありませんか!
 

X1▲とはいえ「約半値で買える、でも新型X1と同等程度のクオリティを備えている車」などという、虫の良い話はあるのでしょうか? わかりませんが、とにかく探してみましょう!
 

代替案1|フォルクスワーゲン T-Roc(初代)
→予算目安:総額260万~310万円

T-Roc ▲フォルクスワーゲンのコンパクトSUV「T-Roc」

T-Rocは全長が新型BMW X1より少し短いですが、全幅と全高はおおむね同程度の、2020年に発売されたコンパクトSUVです。

シャシーはフォルクスワーゲングループの最新モジュラープラットフォーム「MQB」で、全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールや後方死角検知機能などの運転支援システムは全車標準装備。

パワーユニットは最高出力150ps/最大トルク340N・mの2L 直4ディーゼルターボの他、同150ps/同250N・mとなる1.5L 直4ガソリンターボの2種類。

2022年7月にはなぜかさっそくマイナーチェンジを受けました。その際に追加された最高出力300psの2L 直4ガソリンターボを搭載する「T-Roc R」はまだ中古車の流通がありませんし、あったとしても総額300万円前後では無理でしょう。

ですが、そうではない2020~2022年式であればディーゼルターボもガソリンターボも、走行距離数千kmレベルの個体を総額250万~310万円あたりのレンジで見つけることができます。

かなり悪くない、お買い得なチョイスであるといえるでしょう。
 

T-Roc▲T-Rocの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。トランスミッションは7速DSG

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フォルクスワーゲン T-Roc(初代)
 

代替案2|ミニ ミニクロスオーバー(2代目)
→予算目安:総額260万~320万円

ミニクロスオーバー▲こちらが現行型ミニクロスオーバーの前期型

ご存じミニファミリーに属するクロスオーバーSUVの現行モデル。日本では2017年2月に発売されました。こちらも全長は新型BMW X1より18cmほど短いのですが、全幅と全高はおおむね同程度です。

2020年9月のマイナーチェンジを経た後期型はまだ総額350万円以上である場合が多いのですが、前期型であれば、走行距離1万km台のクーパーDやクーパーS、あるいはフルタイム4WDであるクーパーDオール4などを、総額300万円前後の価格帯で普通に見つけることができます。

2017年にデビューしたモデルの前期型ですので、超最新のSUVである新型BMW X1と比べて装備やシャシー、あるいはADAS(運転支援システム)の部分でやや劣る箇所もあるでしょう。しかし、ある意味「半値は正義」であるため納得感はあるでしょうし、ミニファミリーならではのキビキビとした走行感覚とポップなデザインは、ある部分では新型X1以上と感じるかもしれません。

こちらもなかなか悪くない選択肢であるはずです。
 

ミニクロスオーバー(2代目)▲いかにもミニファミリーらしいポップなインテリアも、このSUVの魅力のひとつ

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ミニ ミニクロスオーバー(2代目)
 

代替案3|DSオートモビル DS3クロスバック(初代)
→予算目安:総額250万~300万円

DS3 クロスバック(現行型)▲こちらがDSオートモビルのDS3クロスバック

シトロエンの上級ラインとなるブランド「DS」が2019年6月に発売したコンパクトSUV。2023年5月のマイナーチェンジで「DS3」というシンプルな車名に変更されています。

DS3クロスバックのボディサイズは全長4120mm × 全幅1790mm × 全高1550mmですので、同4500mm × 1835mm × 1625mmとなる新型BMW X1と比べると「ひと回り小さい」というニュアンスになります。そのため「我が家が使うには小さすぎる……」と感じる人もいるはずですが、「逆にこのぐらいの方がちょうどいい」というご家庭もあるはず。このあたりの感じ方は人それぞれでしょう。

シャシーはプジョー・シトロエンの新世代プラットフォーム「CMP」で、パワーユニットは最高出力130ps/最大トルク230N・mの1.2L 直3ガソリンターボが基本ですが、2022年5月には同130ps/同300N・mの1.5L 直4ディーゼルターボも追加されています。トランスミッションはいずれも8速ATで、駆動方式はFFのみです。

ディーゼルターボエンジン搭載モデルは、まだ新しいということもあって総額350万円以上となりますが、ガソリンターボの上級グレードである「グランシック」であれば、走行距離数千km~1万km台の物件を総額200万円台の後半で見つけることが可能です。

やや小ぶりである点さえ気にならないのであれば、「新型BMW X1の代わり」は普通に務まるはずです。
 

DS3クロスバック▲この世のものとは思えないほど(?)しゃれているインテリアも、DS3クロスバックの大きな特徴

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DSオートモビル DS3クロスバック(初代) & DS3(2代目)
 

代替案4|ボルボ XC40(初代)
→予算目安:総額280万~370万円

XC40▲ボルボのコンパクトSUVである「XC40」

新型BMW X1よりは5年ほど古い設計年次にはなりますが、ボルボ渾身の新世代プラットフォーム「CMA」が採用されているという点において、現行型ボルボ XC40の中古車も「X1の代わり」としては十分かと思われます。

ボディサイズは全長4440mm × 全幅1875mm × 全高1655mmですので、全長こそ新型X1より6cm短いのですが、車幅と高さはXC40の方が若干余裕がありますので、コンパクトSUVであっても車内でゆったりすごすことが可能です。

狙い目となるのは2020年8月に登場した、2L 直4ガソリンターボエンジンに48Vハイブリッドシステムを加えたパワーユニットを採用する「B4モメンタム」です。CMAプラットフォームならではのなめらかな走りに48Vハイブリッドシステムのパワー感と経済性が加わった総合力はいまだなかなかのもの。

総額310万~370万円付近にて、走行距離1万km台から2万km台ぐらいの物件が普通に見つかるでしょう。

もう少しお安い方がいい――という場合は、48Vハイブリッドシステムが採用される前の純ガソリン2L直4ターボエンジンを搭載した「T4モメンタム」を探してみてください。これであれば、同じく走行1万km台から2万km台ぐらいの物件を総額280万~320万円付近のレンジで見つけられるはずです。
 

XC40▲端正でシックな造形がシブいボルボ XC40の運転席まわり

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ボルボ XC40(初代)
 

代替案5|スバル クロストレック(初代)
→予算目安:総額310万~360万円

クロストレック▲「輸入コンパクトSUV」を探す企画ではあるが、そもそも輸入車にこだわる必要はないのかも? 写真はスバル クロストレック

ここまでは輸入コンパクトSUVに絞って「新型BMW X1の代わり」を探してまいりました。

しかしよく考えてみれば、我々が求めているのは「すてきなコンパクトSUVをお安く買う」ということであって、「すてきな“輸入”コンパクトSUVをお安く買う」ということではありません。つまり「国産車だって、もしもそれが素敵ならばいいじゃないか」ということです。

そしてそういった観点で市場をチェックしてみた際に光るのが、スバルが2022年12月に発売したCセグメントのクロスオーバーSUVである「クロストレック」です。

クロストレックは、それまで「XV」という車名で販売されていたコンパクトSUVが、フルモデルチェンジを機に車名を改めたモデル。全長4480mm × 全幅1800mm × 全高1575mmというサイズですので、ボリューム感みたいなものは新型X1とおおむね同等ですが、さすがは国産車だけあって、全幅は日本の道で扱いやすい1800mmに抑えられています。

パワーユニットは2L 水平対向4気筒ガソリンエンジンにモーターを組み合わせた「e-BOXER」というもので、駆動方式はスバル得意のフルタイム4WDの他、シンプルなFFを選ぶこともできます。

このクロストレックを新型X1と比較する場合、おそらくですが「ドイツのアウトバーンを平均220km/h以上ぐらいで長距離巡航する」みたいな場合には、新型X1の方が優れていると予想します(※新型X1でアウトバーンを走った経験がないため、推測ですが)。

しかし、日本国内の一般道や高速道路を40~120km/hほどで走る限りにおいては、筆者の経験上、クロストレックの走行性能および走行フィールは、同クラスの欧州車と「おおむね同等またはそれ以上」であると断言できます。

そして新型クロストレックでは運転支援システム「アイサイト」がさらに進化し、広角単眼カメラも追加されましたので、いわゆる安全性も爆上がりしています。

そんなスバル クロストレックは今、走行距離10kmとか20kmぐらいのいわゆる未使用車を、総額310万~360万円ぐらいという、新型X1のおよそ6掛けの予算で入手可能なのです。

まぁいわゆる「ブランド性」みたいなモノはBMWの方が正直上かと思いますので、そこにこだわりたい方にはあまり向かない選択肢でしょう。

しかし、もしもあなたが「そこはあんまり気にしないよ」という人であるならば――スバル クロストレックの未使用中古車は“大穴”的な狙い目となる可能性があります。まぁ人それぞれではありますが、ぜひご注目ください。
 

クロストレック▲クロストレックのインテリア。まぁ内装のデザインセンスに関しては正直、輸入SUVの方がハイセンスだが、医学的な知見に基づいて設計されたスバル クロストレックのシートは非常に快適で、身体が揺れにくい作りになっている

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スバル クロストレック(初代) × 全国
文/伊達軍曹 写真/篠原晃一、BMW、フォルクスワーゲン、ステランティス、ボルボ、スバル
※記事内の情報は2023年8月4日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。