GLC ▲日本の道路にジャストなサイズと、メルセデス・ベンツならではの上質な作りで大人気となっているプレミアムSUV「メルセデス・ベンツ GLC」。しかしその初代モデルの中古車平均価格が今、大きく下がっています。このチャンスに初代GLCを手に入れるなら、何年式のどんなグレードを選ぶべきなのか、考えてみることにしましょう!

中古車平均価格はこの1年で90万円以上ダウン!

初代メルセデス・ベンツ GLCは、同時期の「Cクラス」のテクノロジーとデザインの大枠を受け継いで生まれたミドルサイズのSUV。本国では比較的コンパクトなクラスに属しますが、日本では「ちょうどよく立派なサイズ感のSUV」といったニュアンスになります。その上質な作りと、軽快にしてシュアな走行性能でもって大人気となっているわけですが、そんな初代メルセデス・ベンツ GLCの中古車平均価格は、この1年で95万円近くダウンしました。

GLC

平均価格がダウンした理由は後ほど探るとして、もしも平均価格ダウンが何かしらネガティブな要因によるものではないとしたら、初代メルセデス・ベンツ GLCの中古車は今、「絶好の買い場にある」といえるのかもしれません。

そうであるとしたら、何年式のどんなグレードを、いくらぐらいの総額で狙うのが得策となるのでしょうか?

次章以降、じっくり考えてまいります。
 

GLC▲これのひとつ上のクラスである「GLE」は日本の道ではやや大きすぎると感じることもあるため、メルセデスのSUVの中ではGLCこそが事実上のベストサイズ。そんなGLCの初代モデルを今から狙うなら、何をいくらぐらいの予算で探してみるのが得策となるのか?

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メルセデス・ベンツ GLC(初代) × 全国
 

モデル概要:「GLK」から改名されたCクラス由来のプレミアムSUV

メルセデス・ベンツ GLCは前述のとおり、同世代の「Cクラス」のテクノロジーとデザインを受け継いで作られるDセグメントの(中型ぐらいの)SUV。以前は「GLK」という名前で販売されていましたが、2016年2月のフルモデルチェンジを機に「GLC」という名前に変更されました。また、GLK時代は角ばったニュアンスのデザインを採用していましたが、初代GLCからは、優美な曲面を特徴とする最新のメルセデスデザインに変更されています。
 

GLC▲こちらが初代メルセデス・ベンツ GLCの前期型
GLC▲荷室容量は後席を起こした状態で550L、後席を倒せば1600Lまで拡大可能
GLC▲前期型の運転席まわり。運転支援システムは充実しており、自動操舵技術を用いたパーキングアシストやレーンキーピングアシスト、前走車追従機能付きクルーズコントロールなどは全車標準装備
 

ボディサイズは全長4660mm×全幅1890mm×全高1645mmで、最初期モデルのパワーユニットは最高出力211psの2L直4ガソリンターボ。トランスミッションは9速ATで、駆動方式はフルタイム4WDが基本です(※一部のグレードは後輪駆動)。そして、ステアリングアシスト機能付きのレーダークルーズコントロールシステム「ディストロニック・プラス」や、歩行者検知機能の付いたブレーキアシスト「BASプラス」等々も全車標準装備です。

登場から1年後の2017年2月には2L直4ガソリンターボエンジンと2.2L直4ディーゼルターボエンジンを追加し、2019年10月にマイナーチェンジを実施。このとき、内外装デザインを変更するとともにパワーユニットを刷新し、運転支援システムも最新のものにアップデート。さらにはステアリングホイールも、指先のタッチ&スワイプで各種設定や実行が可能なセンサー式コントロールスイッチが備わる最新世代のものに変更し、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」も採用しました。
 

GLC▲2019年10月のマイナーチェンジで顔つきなどが変更された後期型
GLC▲後期型GLCの運転席まわり。ダッシュボード上部のディスプレイは10.25インチにワイド化され、指先のタッチ&スワイプで各種の設定や実行が可能なセンサー式コントロールスイッチが備わる最新世代のステアリングホイールも採用。自然対話式音声認識機能を備えた対話型インフォテインメントシステム「MBUX」も搭載されている
 

この他、今回の記事では取り上げませんがメルセデスAMGの超ハイパフォーマンスモデルやプラグインハイブリッド車を随時追加しつつ、2023年3月に現行型GLCへのフルモデルチェンジが行われた――というのが、初代メルセデス・ベンツ GLCの大まかなヒストリーです。
 

 

考察:平均価格ダウンの理由は単に「新型が登場したから」?

前述のとおり、初代メルセデス・ベンツ GLCの中古車平均価格はこの1年で正確には94.7万円ダウンしました。

この平均価格低下が何らかのネガティブな要因によるものだとしたら――例えばですが「エンジンやトランスミッションなどに重大な欠陥が見つかったから」みたいな話であったなら、いくら安くなったとしても、そんな車はパスした方が身のためでしょう。

しかし結論から申し上げると、初代メルセデス・ベンツ GLCの平均価格低下は何らかのネガによるものではなく、単に「2023年3月に新型が登場した関係で、初代の流通量が増えたから」というのが理由である模様です。

下のグラフをご覧ください。

GLC

新型(現行型)のGLCが登場し、デリバリーが始まった2023年3月から4月のタイミングで明確に「延べ掲載台数」が増えています。それによって高値安定傾向だった価格が崩れ、その後は安値傾向が定着した――というのが、おそらくは真相です。

この「2023年3月から4月頃に流通台数が増えた」という事実以外に、特に「初代GLCは◯◯が弱点である」的な話はほぼ聞こえてきません。そのため、平均価格のダウンは「単なる自然現象のひとつ(旧型の流通量が増え、よりカッコよくてより高性能な新型が人気を集めることで、旧型の平均価格が必然的に下がる現象)」であると考えてしまっていいでしょう。
 

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中古車のオススメ1:コスパ重視で選ぶなら前期型ガソリンターボ車

コスパ重視で初代メルセデス・ベンツ GLCを選びたい、すなわち「なるべくお手頃な予算で、なるべくいいモノを手に入れたい」と考えるのであれば、狙うべきは「2016~2017年式GLC 250 4マチック スポーツ」または「2017年式GLC 200 スポーツ」です。これらのうちいずれかを、総額270万~340万円ぐらいの価格帯で探してみるのが得策となるでしょう。
 

GLC▲こちらは前期型のGLC 250 4マチック スポーツ(本国仕様)
 

トルクフルなディーゼルターボエンジン搭載グレードや、様々な性能が向上した2019年10月以降の後期型は確かに魅力的ですが、「コスト(購入総額)」は決して爆安ではありません。しかし、前期型のガソリンターボエンジン搭載グレードであれば、総額300万円前後というまずまずお手頃な予算で、悪くないコンディションの1台が十分に探せるのです。

候補となる「2016~2017年式GLC 250 4マチック スポーツ」は最高出力211psの2L直4ターボエンジンを搭載するグレードで、「2017年式GLC 200 スポーツ」は、同じ2L直4ターボながら最高出力を184psに抑えている2WDのエントリーグレードです。

エントリーグレードとはいえ装備内容は普通に充実していますし、最高出力も184psという十分なものではあるため、結論としてGLC 250 4マチック スポーツとGLC 200スポーツは「どちらでも構わない」ということになります。

ただ、電子制御式エアサスペンションである「AIR BODY CONTROLサスペンション」はGLC 200 スポーツには装着されませんし、GLC 250 4マチック スポーツでも2016年式には装着されていません。このあたりにご注意いただきたい他、そもそもの話として「GLC 200 スポーツは4WDではない」という考慮点があります。そのため、もしも四輪駆動であることが必須なのであれば、ここで選ぶべきはGLC 250 4マチック スポーツです。
 

GLC▲2017年2月22日以降のGLC 250 4マチックには、車速や走行条件に応じてダンピング特性や車高を自動的に調整する電子制御式エアサスペンション「AIR BODY CONTROLサスペンション」が採用された
 

なお、GLC 250 4マチック スポーツには標準仕様の他に「本革仕様」という、レザーシートを標準装備するグレードもあります。当然ながら「本革仕様の方が高い」という傾向はありますが、両者の相場はさほど明確に分かれているわけでもありません。
 

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メルセデス・ベンツ GLC(初代) × 2016~2017年式 × 250 4マチック スポーツ × 全国

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メルセデス・ベンツ GLC(初代) × 2017年式 × 200 スポーツ × 全国
 

中古車のオススメ2:燃費重視で選ぶなら前期型GLC 220d 4マチック スポーツ

燃費性能を重視してディーゼルターボエンジン搭載グレードを選びたい場合の候補は、最高出力170ps/最大トルク400N・mの2.2L直4ディーゼルターボを搭載する前期型GLC 220d 4マチック スポーツか、それとも2010年10月以降の、最高出力が194psに増強された後期型GLC 220d 4マチックにするかの二択になります。

後期型は当然いろいろ素晴らしいのですが、その支払総額は500万円を超えてしまう場合が一般的です。そのため、基本的には「前期型GLC 220d 4マチック スポーツの中から良さげな物件を探し出す」というのが得策となるでしょう。その場合の予算目安は、おおむね総額310万~380万円です。
 

GLC▲こちらが前期型のディーゼルターボモデル。写真は本国仕様に存在したGLC250d 4マチック
 

なお、前期型GLC 220d 4マチック スポーツにも「標準仕様」と「本革仕様」がありますが、どちらを選ぶべきかは単に好みの問題です。標準仕様の前席シートヒーター付きファブリックシートもなかなかしゃれた感じの質感ですので、現物を見ながら、各自の好みや美意識に基づいてご判断ください。

ただ、本革仕様の方は「Burmesterサラウンドサウンドシステム」が標準装備であるというのもひとつのポイントです。そのため音にこだわりたい人は、本革仕様に絞って探してみるのも悪くないでしょう。
 

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メルセデス・ベンツ GLC(初代) × 前期型 × 220d 4マチック スポーツ × 全国
 

中古車のオススメ3:新車に近いハイパフォーマンス車を狙うなら後期型ディーゼルターボ車

「新車に近いハイパフォーマンス車を狙いたい!」という場合は、当然ながら2019年10月以降の後期型を狙うことになり、その中でも最後の仕様変更を受けた2021年12月以降の世代で、さらにその中でも超ハイパフォーマンスな「メルセデスAMG GLC 43 4マチック」であればベリーベストです。

しかし、それを選ぶとなると支払総額は900万円近くになってしまうでしょう。そのため一般的には、後期型のディーゼルターボエンジン搭載グレード「GLC 220d 4マチック」か、同じく後期型の最高出力258ps/最大トルク370N・mに刷新された2L直4ガソリンターボエンジンを搭載する「GLC 300 4マチック」の低走行物件を選ぶのが得策です。
 

GLC▲初代メルセデス・ベンツ GLCの後期型
 

その場合の予算目安はいずれも総額530万~590万円といったところで、両者はパフォーマンスの差も小さいため、好みに応じてどちらのパワーユニットを選んでも良いかとは思います。ただし、ガソリンターボエンジンを搭載するGLC 300 4マチックは中古車の流通量が少ないため、実質的には「GLC 220d 4マチックのほぼ一択」ということになるでしょう。

前期型と後期型のディーゼルターボユニットのパフォーマンスにさほど大きな差はありませんが、後期型はエクステリアデザインもシュッとした感じにリニューアルされ、インテリアではダッシュボード上部のディスプレイも10.25インチにワイド化。さらに、ステアリングホイールもセンサー式コントロールスイッチが備わる最新世代のものに替わっており、運転支援システムもSクラスやEクラスと同等の最新バージョンに進化しています。そのため、総合的には大いに満足できるオススメの1台であることは間違いありません。
 

GLC▲ダッシュボード上部のディスプレイは前期型の8.4インチから10.25インチにワイド化。運転支援システムも、ユーザーインターフェイスやコントロールデバイスを含めて最新バージョンに進化している
 

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メルセデス・ベンツ GLC(初代) × 後期型 × 220d 4マチック × 全国

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文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ、向後一宏
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。