スバルEJ20

高年式の2Lターボ搭載モデルが狙い目!

テンロク、DOHC、FR……など、スポーツカー好きが思わず反応してしまうワードはたくさんありますが、「2Lターボ」もなかなか魅力的なワードではないでしょうか?

そんな2Lターボエンジンを搭載するスポーツモデルは90年代に隆盛を極め、現在では中古車市場で高値安定となっています。

当時の2Lターボエンジンといえば、トヨタの3S-GTE、日産のSR20DETやRB20DET、三菱 4G63にスバル EJ20と今でも人気の高いものばかり。そのため、現在はかなり高額となっているものも多く、年式的にも20年以上が経過しているため誰にでもオススメできるものではありません。

そこで今回は比較的高年式かつ300万円台以下の予算でも狙うことができる、「2Lターボエンジンを搭載した国産スポーツカー」をピックアップしてご紹介いたしましょう。
 

 

スバル WRX(初代)

【生産期間】2014年8月~2021年11月
【新車時価格】334.8万~710.6万円
【平均中古車価格】298.3万円
【中古車掲載台数】499台
 

スバル WRX▲4ドアセダンボディのWRXにはEJ20を搭載するSTI(写真)とFA20搭載のS4が存在

インプレッサWRXの実質的な後継車種として、2014年に登場したWRX。インプレッサ時代は5ドアハッチバックモデルもラインナップしていましたが、WRXになってからは4ドアセダンボディのみとなりました。

搭載されるエンジンは当然ながら2Lターボエンジンとなりますが、STI系にはインプレッサ時代から引き継いだEJ20型(227kW/422N・m)と6速MTが、S4系にはレヴォーグにも採用された直噴ターボのFA20型(221kW/400N・m)にスポーツリニアトロニックと名付けられたCVTが搭載されています。
 

FA20▲S4に搭載されるFA20型

駆動方式はどちらもAWDですが、STIはこちらもインプレッサ譲りのドライバーズコントロールセンターデフと前後LSDを装着したもので、S4はVTD-AWDと名付けられた不等&可変トルク配分電子制御AWDを採用しているという違いもありました。

特別仕様車が多いのもこのモデルの特徴で、STI系では「S207」「S208」「TYPE RA-R」、そして「EJ20 ファイナルエディション」が、S4系には「スポルヴィータ」「S4 tS」「STI Sport#」が存在し、特にSTI系の特別仕様車はプレミア価格となる人気っぷりです。
 

FA20▲こちらはS4。CVTのみの設定だが、パワフルで爽快な走りを楽しむことができる
スバル WRX▲STIのインパネまわり

中古車としての平均価格は300万円を切っていますが、STI系では限定車である「S208」などが800万円を超えるプレミア価格となっており、総額300万円台前半で狙えるのは2017年5月の大幅改良前のいわゆる前期型の標準モデルが中心で、後期型となると総額300万円台後半の予算が最低でも必要となりそうです。

一方のS4系は、安いものでは総額100万円台前半のものも多く、300万円台後半の予算があれば、最後の特別仕様車である「STI Sport#」であっても走行5万~6万km台のものであれば狙うことができ、非常に買い得感の高いものとなっています。
 

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スバル WRX(初代)×全国
 

三菱 ランサーエボリューションX

【生産期間】2007年10月~2016年3月
【新車時価格】299.8万~540.5万円
【平均中古車価格】369.3万円
【中古車掲載台数】104台
 

三菱 ランサーエボリューションX▲長い歴史をもつランサーエボリューションシリーズの最終モデルとなるX

三菱のラリーウェポンとして長い歴史を誇ったランサーエボリューション。その現時点では最後のモデルとなるのが10代目となるランサーエボリューションXで、ベース車がギャランフォルティスになりエンジンも4B11型になるなど、一新されている点が特徴です。

4B11エンジンは4G63と同じく2Lターボエンジンですが、オールアルミブロックとなったことで軽量となった点が美点。最大トルクは43.0kg・m、最高出力は前期型が280ps、後期型が300psとなっていました。

トランスミッションは5速の3ペダルMTの他、2ペダル6速MTの「ツインクラッチSST」の2種類が用意され、グレードは標準モデルのGSRの他、競技ベースのRSが用意されているのは従来型と同等です。

2015年4月にはランサーエボリューションの最後を飾るモデルとして「ファイナルエディション」が1000台限定で発表され、特別装備の他、エンジン出力が313ps/43.7kg・mへ高められていた点が特徴となっていました。
 

三菱 ランサーエボリューションX▲搭載される4B11型エンジンは最高出力280ps、後期型では300psを発揮する
三菱 ランサーエボリューションX▲3ペダルMTだけではなく、2ペダルMTのSSTモデルも選ぶことが可能

中古車としては最後のランエボということもあって比較的高値安定となっており、ファイナルエディションは当然のようにプレミア価格となり、700万~800万円台の価格となっています。

それ以外のモデルでも3ペダルMT車は人気のようで、300万円台前半の予算でギリギリ狙えるかな、という状態となっており、300万円台後半まで予算をアップしても前期型が中心というのが現状です。

一方のツインクラッチSSTモデルでは、300万円台中盤くらいの予算があれば、走行距離5万km未満の低走行車も射程圏内になります。ツインクラッチSSTはトラブルが発生すると修理費用がかさみがちなので、試乗できれば変速ショックや違和感がないかはもれなくチェックしたいところです。
 

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ホンダ シビックタイプR(FK8型)

【生産期間】2017年9月~2022年8月
【新車時価格】450万~550万円
【平均中古車価格】451.2万円
【中古車掲載台数】117台
 

ホンダ シビックタイプR▲2L VTECターボエンジンを搭載し、まさにピュアスポーツカーと言える

シビックタイプRというと高回転型のNAエンジンというイメージが強いモデルですが、4代目モデルのFK2型からはK20C型のVTECターボエンジンと6速MTを搭載。その正常進化版と言える5代目のFK8型では320ps/40.8kg・mまで出力をアップされています。

今までのタイプRはベース車ありきで開発されていましたが、FK8型は開発時点からタイプRの存在を念頭に置いており、基本性能が大きくアップしているのも特徴で、FFスポーツモデルとしては世界トップレベルの動力性能を実現しました。

2020年10月にはマイナーチェンジと、国内200台限定の「リミテッドエディション」を発表。リミテッドエディションでは専用のサンライトイエローIIのボディカラーと専用セッティングのアダプティブダンパーとEPS、そして20インチのBBS製鍛造アルミホイールと専用タイヤが奢られています。
 

ホンダ シビックタイプR▲K20C型VTECターボエンジンは320ps/40.8kg・mを発揮
ホンダ シビックタイプR▲歴代のタイプRシリーズ同様、赤を基調としたインテリア。レカロ製バケットシートも備わる

5代目シビックタイプRは久々のカタログモデルということで、中古車としては100台以上が掲載。ただ、販売期間の短かった後期型の低走行車は、500万~600万円台とこちらもプレミア価格となっています。

300万円台で狙えるのは初期型に近いものが中心で、走行距離は7万~10万km台がほとんど。ただ、中にはディーラー系中古車店の物件もあるため、走行距離が長めでもそういった物件を狙うことで安心感が高まりそうです。
 

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レクサス RC 200t/RC300(初代)

【生産期間】2014年10月~
【新車時価格】521万~581.4万円
【平均中古車価格】337万円 ※全グレード含む参考値
【中古車掲載台数】63台
 

レクサス RC 300▲RC200tおよびRC300(写真)には直4 2Lターボエンジンが搭載される

日本市場におけるレクサスブランドの純然たるクーペモデルとして唯一無二の存在となるRCは、2014年10月に販売をスタート。当初は3.5Lガソリンエンジンと2.5Lハイブリッドの2種類のパワートレインというラインナップでしたが、2015年9月に直列4気筒2L直噴ターボエンジンである8AR-FTSを搭載した「RC200t」を追加します。

このエンジンはトヨタの3S-GTEエンジンの後を受け継ぐ2Lターボエンジンであり、モータースポーツ用のベースエンジンとしても選ばれているもので、RCでは180kW/350N・mを発生。トランスミッションはスポーティな走りも可能とする8速電子制御ATで、FRらしい走り味を楽しむことができる仕上がりとなっています。

なお、RC200tは2017年11月に「RC300」へ改称し、3Lエンジンに匹敵する出力をもっていることを暗にアピールしています。
 

レクサス RC 300▲モータースポーツ用のベースエンジンとしても選ばれている8AR-FTS
レクサス RC 300▲スポーティさだけではなく、レクサスらしく高級感あふれるインテリア

RCは執筆時点では現行車ということで、中古車でも高年式のものは高値安定となっています。ただ、300万円台後半の予算があれば2018年10月に実施されたマイナーチェンジ以降のものも選ぶことができます。

一方、後期型にこだわらなければ、低走行のスポーティな「Fスポーツ」グレードも総額350万円前後の予算で見つけることができ、安さを重視するのであれば初期型に近いものが200万円台で見つけることも可能となっています。
 

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トヨタ スープラ SZ系(A90型・現行型)

【生産期間】2019年5月~
【新車時価格】490万~601.3万円
【平均中古車価格】639万円 ※全グレードを含む参考値
【中古車掲載台数】35台
 

トヨタ スープラ▲17年振りに復活を遂げたトヨタ スープラ。SZ系グレードには直4ターボエンジンが搭載される

80系スープラの終売からおよそ17年振りに復活した現行型スープラ。エンジンやシャシーといったプラットフォームこそBMW Z4と共有しているものの、開発などはトヨタが手がけているため、Z4とは全く異なるモデルということもできる1台です。

スープラというとやはり直列6気筒エンジンを搭載しているモデル、というイメージが強いと思いますが、搭載しているのは上級グレードの「RZ」のみ。「SZ-R」と「SZ」には直列4気筒2Lの直噴ターボエンジンが搭載されています。

この2Lターボエンジンは型式は同一ながら、SZでは145kW/320N・m、SZ-Rでは190kW/400N・mと出力に違いがあり、SZ-Rにはアダプティブバリアブルサスペンションやアクティブディファレンシャルが標準装備されるといった性能面でも差別化がなされています。
 

トヨタ スープラ▲B48型エンジンはSZでは145kW、SZ-Rでは190kWを発揮する
トヨタ スープラ▲インテリアのデザインや操作系は一部BMW風となる

中古車としてはRZグレードが中心ということもあってSZ系は35台とやや希少。300万円台で狙うことができる物件も1台のみとなっており、それ以外の物件でも走行距離が少なく比較的安価なものはSZグレードが中心となっています。

GRスープラは先日「A90ファイナルエディション」が発表されており、終売後は中古車価格が上がる可能性もあるため、2Lモデルの中古車の今後がどうなるか注視したいところです。
 

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トヨタ スープラ SZ系(A90型・現行型)×全国
文/小鮒康一、写真/尾形和美、篠原晃一

※記事内の情報は2025年1月7日時点のものです
 

小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。