レガシィアウトバック ▲2025年3月31日をもってオーダーストップとなることが決まったスバル レガシィアウトバック。国産車の中では「代わり」がなかなか見つけづらいユニークな立ち位置のアウトバックだが、輸入車にまで目を向ければ、「アウトバックの代わり」になり得るモデルはいくつかある

2024年度末をもって、惜しまれつつも販売終了に

稀代の名作モデル、スバル レガシィアウトバックが、2025年3月31日をもって注文受付終了となる。

近年の車のメインストリームはアウトバックよりも背が高い「SUVスタイル」だが、レガシィアウトバックは空力特性の良いステーションワゴン的スタイルの「クロスオーバーSUV」だけあって、高速走行すなわち長距離移動を快適かつ痛快に行うことができる車だ。

なおかつ余裕たっぷりのボディサイズゆえに積載性も高く、さらには「アイサイト」「シンメトリカルAWD」「X-MODE」「スバルグローバルプラットフォーム」等々の恩恵もあって、舗装路でも悪路でも、安全かつスピーディに走らせることができる。

まぁ「実燃費は正直イマイチ」という欠点はあるのだが、それを補って余りある魅力と個性が、スバル レガシィアウトバックにはあった。

とはいえ今年3月31日まではまだ新車を注文することができるわけだが、予定よりも早く在庫車がなくなってしまった場合に備え、念のため「アウトバックの代わりになり得るモデル」5車種をピックアップしておくことにしよう。
 

レガシィアウトバック▲新車としては買うことができなくなるスバル レガシィアウトバック。写真は30周年記念特別仕様車「Black Selection」のインテリア

▼検索条件

スバル レガシィアウトバック (4代目) × 全国
 

代わり①|スバル レヴォーグレイバック(2代目)
→予算目安:総額370万~460万円

レガシィアウトバックの代わりとしてはやや微妙な部分もあるが、いちおう順当と思われるのはスバル レヴォーグレイバックだ。

ご承知のとおり、ステーションワゴンである2代目レヴォーグをベースとするクロスオーバーSUVである。
 

Aクラスセダン▲2023年10月に発売されたスバル レヴォーグレイバック

レイバックであれば、アウトバックの「舗装路もイケるし、悪路もイケる」という美点はほぼ完璧にカバー可能。そして「アイサイト」「シンメトリカルAWD」「X-MODE」「スバルグローバルプラットフォーム」等々の基本もアウトバックと同じであり、ついでにパワーユニットも同じだ(両者とも最高出力177psの1.8L水平対向4気筒ガソリンターボ)。

そして細かいところだが重要な部分として「乗り心地」は、甲乙つけがたいものの、筆者はレヴォーグレイバックの方が上だと思っている。あの車(レヴォーグレイバック)の舗装路における乗り心地はちょっと不気味なほどに(?)良好である。

そのため高速道路を長距離走る際にも、そして高速を降りてから山坂道を疾走する際においても、レイバックはアウトバック以上に疲れ知らずでイケるはずだ。
 

レヴォーグレイバック▲アッシュの内装色とカッパーステッチのコンビネーションが印象的なレイバックのインテリア。メーターには12.3インチ、センターディスプレイには縦型の11.6インチ液晶パネルが組み込まれる

ただし、アウトバックの代わりとして見た場合のレイバックのやや微妙な部分は「ボディサイズと車格」だ。

全長4870mm×全幅1875mm×全高1670mmという堂々たるサイズで、しかもスバルのフラッグシップでもあるレガシィアウトバックに対し、レヴォーグレイバックは全長4770mm×全幅1820mm×全高1570mmのミドルクラス。

いわゆる格や存在感の部分でも、そして居住性や積載性においてもやや格下なレイバックが、そっくりそのまま「アウトバックの代わり」になれるとは限らないだろう。

とはいえこのあたりは人それぞれである。アウトバックのサイズ感や車格感をさほど重視していないタイプのユーザーであれば、スバル レヴォーグレイバックは十分に「アウトバックの代わり」として機能するはずだ。
 

▼検索条件

スバル レヴォーグレイバック(初代) × 全国
 

アウトバックの代わり②|ボルボ V60クロスカントリー(2代目)
→予算目安:総額370万~590万円

スバル レヴォーグレイバックはなかなか良きチョイスであるとは思うものの、やはりサイズ感と車格感の面で納得いかない人もいるのではないかと推測する。

ならば、2代目となる現行型ボルボ V60クロスカントリーでどうだろうか?
 

V60クロスカントリー▲こちらが現行型ボルボ V60クロスカントリー

ボルボ V60クロスカントリーは、ボルボのステーションワゴンであるV60をベースとする中型のクロスオーバーモデル。現行型である2代目は2019年4月に上陸した。

ボディサイズはレガシィアウトバックにやや近い全長4785mm×全幅1895mm×全高1505mmで、最低地上高はV60より65mm高い210mm。ちなみアウトバックの最低地上高は213mmだ。

駆動方式はフルタイム4WDで、スタビリティコントロールやコーナートラクションコントロール、ヒルディセントコントロールなどの電子デバイスも搭載。そしてさすがはボルボということで、スバルでいうアイサイトに近い運転支援システムの内容も大いに充実している。
 

V60クロスカントリー▲重厚感の中に「北欧っぽい柔らかさ」も感じられるインテリア。メーター部分は12.3インチサイズの高精細液晶ディスプレイを採用

デビュー当初のグレード「T5」のパワートレインは、最高出力254psの2L 直4ガソリンターボに8速ATを組み合わせたものだったが、これから買うのであれば、2020年11月以降の「B5」のパワートレイン、すなわち最高出力250psの2L 直4ガソリンターボを48Vハイブリッドシステムがアシストする世代がオススメとなる。

走行距離1万km台までの中古車の価格目安は以下のとおりだ。

●B5 AWD(B5投入時の標準グレード):総額370万~410万円
●B5 AWD プロ(B5投入時の上級グレード):総額430万~510万円
●プラス B5 AWD(仕様変更後の標準グレード):総額440万~550万円
●アルティメット B5 AWD(仕様変更後の上級グレード):総額480万~590万円
 

▼検索条件

ボルボ V60クロスカントリー(2代目) × 「B5」系グレード × 全国
 

アウトバックの代わり③|メルセデス・ベンツ Cクラスオールテレイン(初代)
→予算目安:総額470万~590万円

前掲のボルボ V60クロスカントリー B5よりも若干お高くなるが、メルセデス・ベンツ Cクラスオールテレインも、レガシィアウトバックの代わりとしての資質をもち合わせている。
 

Cクラスオールテレイン▲現行型メルセデス・ベンツ CクラスのクロスオーバーモデルであるCクラスオールテレイン

2022年1月に登場した同車は、現行型メルセデス・ベンツ Cクラスのセダン、ステーションワゴンに次ぐ第3のボディタイプで、歴代Cクラスとして初のクロスオーバーモデルでもある。

ボディサイズは全長4760mm×全幅1840mm×全高1495mmと、全高がやや低い以外はレガシィアウトバックに近い寸法で、居住性と積載性は十分。ただし最低地上高はアウトバックの213mmに対して150mmにとどまる。

もちろん普通にクロスオーバーモデルとして使う分には十分な数値だが、「アウトバックの代わり」として考える場合は少しだけ微妙かもしれない。

パワーユニットは最高出力200ps/最大トルク440N・mの2L 直4ディーゼルターボエンジンを、同20ps/同208N・mのモーターがアシストするマイルドハイブリッド。

フルタイム4WDシステムは前後45:55の固定駆動配分で、1クラス上のEクラスオールテレインと違って車高調整機能はもたないが、ドライブモードには「オフロード」「オフロード+」という2つの走行モードをを追加している。トランスミッションはトルコン式の9速AT「9Gトロニック」だ。

ドイツ車だけあって低速域での乗り心地はけっこう硬めだが、速度を上げていくと、レガシィアウトバックと甲乙つけがたい安定感が感じられるようになり、最新世代の運転支援システムも、これまたアイサイトと甲乙つけがたい。
 

Cクラスオールテレイン▲11.9インチの縦型モニターが印象的なインテリアの作りはセダンやステーションワゴンと同じだ。写真は本国仕様

とはいえさすがのメルセデスだけあって、Cクラス オールテレインの中古車価格は若干高めだ。前述した現行型ボルボ V60クロスカントリー B5は走行距離1万km台の物件も総額400万円台後半で狙えるが、Cクラスオールテレインの1万km台物件は総額500万円台が中心となる。

しかし走行距離4万km台の物件でもOKというニュアンスで条件を緩めれば、こちらもレガシィアウトバックの新車と同じ「総額400万円台後半」で検討可能だ。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Cクラスオールテレイン(初代) × 全国
 

アウトバックの代わり④|アウディ A4オールロードクワトロ(2代目)
→予算目安:総額470万~580万円

こちらは現行型アウディ A4アバントをベースとするクロスオーバーモデル。

ボディサイズはCクラス オールテレインとおおむね同寸の全長4760mm×全幅1845mm×全高1490mmだが、最低地上高はCクラス オールテレインより20mm高い170mmとなる。

A4オールロードクワトロ▲現行型アウディ A4オールロードクワトロの後期型

現行型(2代目)A4オールロードクワトロが発売されたのは2016年9月。デビュー当初のパワーユニットは最高出力252psの2L直4ガソリンターボで、トランスミッションは7速DCT。

新開発されたクワトロシステムにはリアアクスルへの動力伝達を完全にカットする機構が備わり、アウディ車としては初の「100%FF車としても走れる4WD車」になった。

運転支援システムは、カメラと複数のセンサーを用いた「アウディプレセンスシティ」の他、衝突時の乗員保護能力を高める「アウディプレセンスベーシック」、車線の逸脱を予防する「アウディアクティブレーンアシスト」などが標準装備されている。

A4オールロードクワトロ▲「バーチャルコックピット」が標準装備となる後期型の運転席まわり。シートヒーターも標準だ

初期年式のA4オールロードクワトロは総額200万円程度から探すことも可能だが、「アウトバックの代わり」として乗るのであれば、2020年10月の大幅改良を経た後期型を選びたい。

後期型ではエクステリアデザインがしゃれた雰囲気に刷新されるとともに、パワーユニットを249ps仕様の2L直4ガソリンターボ+12Vマイルドハイブリッドに変更。そしてLEDヘッドライトやアウディバーチャルコックピット、シートヒーターを標準化するなど、装備類も前期型以上に充実している。

そんな後期型アウディ A4オールロードクワトロの中古車価格は現在、総額470万~580万円付近が中心だ。現行型アウトバックの新車を注文するよりも少し高くなってしまうが、「世界的おしゃれクロスオーバーの決定版」であるだけに、多少の高値はやむなしと考えるべきだろう。
 

▼検索条件

アウディ A4オールロードクワトロ(2代目・後期型) × 全国
 

アウトバックの代わり⑤|フォルクスワーゲン パサートオールトラック(2代目)
→予算目安:総額450万~560万円

現行型アウディ A4オールロードクワトロは前述したとおり「おしゃれクロスオーバーの決定版」だが、スバル レガシィアウトバックのような車を好むユーザーの感覚からすると、その「おしゃれな部分」こそが少々余計であるというか、落ち着かない気分にさせられるポイントかもしれない。

「土っぽい感じが強い」というのが、良くも悪くもスバル車のもち味であり、それは超絶スタイリッシュなA4オールロードクワトロとはまったく真逆の特性である。

であるならば、そこまでおしゃれさんではない2代目フォルクスワーゲン パサートオールトラックが適任なのかもしれない。
 

フォルクスワーゲン パサートオールトラック▲こちらが2代目フォルクスワーゲン パサートオールトラック。写真は後期型

2018年10月に登場した2代目パサートオールトラックは、先代B8型パサートヴァリアントをベースに、悪路走行を想定した専用のドライブモードや機能、装備などを採用したクロスオーバーモデル。ボディサイズはアウトバックにけっこう近い(※全長はやや異なるが)全長4785mm×全幅1855mm×全高1535mmで、最低地上高は160mm。

パワートレインは最高出力190ps/最大トルク400N・mを発生する2L 直4ディーゼルターボエンジン+6速DCT(※後期型は7速DCT)で、駆動システムは路面状況に応じて最適な前後トルク配分を行うフルタイム4WD「4MOTION」を採用。

ドライブモードセレクト機能においては「オフロードモード」を採用し、このモードでは、制動距離をより短くする形でABSが作動する他、低速域における細かなアクセルワークを可能とするため、アクセルペダルの特性も変更される。また30km/h以下で急な下り坂に差し掛かると、車速が一定になるよう四輪すべてでブレーキを自動制御する「ヒルディセントアシスト」も搭載されている。
 

Aクラスセダン▲後期型では新デザインのステアリングホイールを採用するとともに、常時接続の新世代オンラインコネクティビティサービス「We Connect」も標準装備に

パサートオールトラックを「アウトバックの代わり」として入手するのであれば、2021年4月以降の後期型がオススメとなるだろう。後期型では内外装デザインがより現代的に生まれ変わった他、トランスミッションを6速DCTから7速DCTに変更。

そして運転支援システムも、同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」とLEDマトリクスヘッドライト 「IQ.LIGHT」が標準装備となり、インフォテインメントシステムも新世代のものとなったのが後期型の特徴だ。

そんな後期型パサートオールトラックの中古車価格は、総額450万~560万円付近が中心。「質実剛健」という部分でスバル車と若干カブる部分もある2代目パサートオールトラックの後期型は、十分に「アウトバックの代わり」になり得る存在だといっていいだろう。
 

▼検索条件

フォルクスワーゲン パサートオールトラック(2代目) × 2021年4月~ × 全国
文/伊達軍曹 写真/篠原晃一、スバル、ボルボ、メルセデス・ベンツ、アウディ、フォルクスワーゲン
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。