Aクラスセダン ▲40系こと現行型のトヨタ ヴェルファイアは高級感とサイズ感、そしてスポーツ性を兼ね備えた大人気のミニバンですが、その中古車平均価格は約900万円。「さすがにその金額は無理!」ということで、おおむね半額の予算で狙える「ヴェルファイアの代わり」を探してみることにしましょう!

ちょっと手が出ない金額になってしまったヴェルファイア

2023年6月のフルモデルチェンジで「40系」へと進化したトヨタ ヴェルファイア。言わずと知れた大人気のラージサイズミニバンであり、特に現行40系ヴェルファイアは、同世代のアルファードと比べてすべてをスポーティな方向に振ったことで、一番人気のモデルであるアルファードとはまたニュアンスが異なる魅力を備える素敵なミニバンに生まれ変わりました。

しかし、素敵なだけあって、現行型トヨタ ヴェルファイアの中古車平均価格は高額です。

2025年1月下旬時点での平均価格は890.6万円。つまり支払総額で考えると「900万円を軽く超える」ということになるため、中古車といえども、そう簡単に手が出せる状況ではありません。例えば筆者のようなごく普通の暮らしをしている人間にとって、ミニバン購入に出せる金額といえばその半額、おおむね450万円程度であると考えるべきでしょう。

であるならばこの「450万円」にて、現行型ヴェルファイアの代わりになり得るミニバンを探してみるしか手はありません。……そんな都合の良い選択肢が本当にあるのかどうか、現時点では未知数ですが、とにかく真剣に探してみたいと思います!
 

Aクラスセダン▲現行型トヨタ ヴェルファイアの運転席まわり。これを購入できるに越したことはないのですが、さすがに高すぎるということで「代わり」を探しましょう!

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トヨタ ヴェルファイア(現行型・3代目) × 全国
 

新型ヴェルファイアの代わり①|トヨタ ヴェルファイア(旧型・2代目)
→予算目安:総額430万~540万円

現行型ヴェルファイアの約半額で狙える“代わり”における順当な選択肢は、「現行型ではなく先代30系ヴェルファイアの中古車を探す」ということになるでしょう。
 

Aクラスセダン▲2023年5月まで販売された先代トヨタ ヴェルファイア。写真のグレードはエグゼクティブラウンジS
 

「……自分は現行型のヴェルファイアが欲しいのであって、今さら先代には興味がないよ!」という人もいらっしゃるかもしれませんが、まぁ聞いてください。

現行型ヴェルファイアの中古車を狙う場合、現在の平均価格である総額900万円前後の予算で購入できるのは「Zプレミア」グレードであり、最上級の「エグゼクティブラウンジ」グレードを購入することはできません。

しかし、先代30系であれば、その半額である総額450万円前後にて「エグゼクティブラウンジ」を見つけることができるのです。
 

Aクラスセダン▲「エグゼクティブラウンジシート」が標準装備となる先代ヴェルファイア エグゼクティブラウンジSのキャビン。この車の2列目は、まさに「特等席」といえる
 

ご承知のとおり30系ヴェルファイアのエグゼクティブラウンジは、インストルメントパネルのアクセントとしてオリーブ・アッシュパール木目調+スパッタリングを採用すると同時に、シートにはセミアニリン仕上げの本革を使用した「エグゼクティブラウンジシート」を装着。このシートであれば、現行40系Zプレミアの「エグゼクティブラウンジシート」に負けないゴージャス感と、使い勝手の良さを堪能することができます。

また30系エグゼクティブラウンジはSDナビゲーションシステム+JBSプレミアムサウンドシステムや、プリクラッシュセーフティなどの快適装備および安全装備が充実していることも特徴です。

もちろん現行型と比べてしまえば劣る部分もあることは確かですが、「半額で買える!」という点を加味して考えるのであれば、なかなかナイスな選択肢であると考えられます。

オススメは2018年1月以降の後期型で、この世代を狙う場合の価格目安は総額430万~540万円といったところです。
 

Aクラスセダン▲先代トヨタ ヴェルファイア公道試乗時の様子
 

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新型ヴェルファイアの代わり②|トヨタ アルファード(旧型・3代目)
→予算目安:総額410万~600万円

「総額450万円付近で先代ヴェルファイアのエグゼクティブラウンジを狙う」という方向性にご賛同いただける方であれば、先代ヴェルファイアではなく「先代トヨタ アルファードのエグゼクティブラウンジを狙う」という方策もあるでしょう。
 

Aクラスセダン▲こちらが先代トヨタ アルファードのエグゼクティブラウンジS
 

現行40系のヴェルファイアとアルファードは乗り味がけっこう異なりますが(ヴェルファイアの方がスポーティ寄り)、30系では「デザインと雰囲気(と車名)が違うだけ」ともいえます。そのため先代アルファードのデザインがお嫌いでさえなければ、アルファードを探してみるのもアリといえるのです。

ちなみに30系では(現行40系でもそうですが)ヴェルファイアよりもアルファードの方が人気が高かったため、アルファードの中古車の方が流通量が多く、かつ価格もアルファードの方が若干こなれている場合もあります。
 

Aクラスセダン▲先代トヨタ アルファード エグゼクティブラウンジSのインパネまわり
 

先代30系アルファードの後期型エグゼクティブラウンジを狙ってみる場合、中古車価の格目安はおおむね下記のとおりです。

●3.5 エグゼクティブラウンジ:総額410万~570万円
●3.5 エグゼクティブラウンジS:総額440万~600万円
●2.5 ハイブリッド エグゼクティブラウンジ:総額450万~600万円
●2.5 ハイブリッド エグゼクティブラウンジS:総額500万~650万円

 

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新型ヴェルファイアの代わり③|ホンダ オデッセイ(現行型・5代目)
→予算目安:総額450万~530万円

先代ヴェルファイア/アルファードのエグゼクティブラウンジはなかなか悪くない選択肢であるとは思うものの、現行40系と比べた場合の「古さ」が気になる人も多いでしょう。

であるならば、2024年1月にカムバックした最新世代のホンダ オデッセイでどうでしょうか?
 

Aクラスセダン▲2024年1月に仕様変更のうえ復活した最新世代のホンダ オデッセイ
 

現行型ホンダ オデッセイは2013年11月にデビューしたいささか古い年次の上級ミニバンですが、何度かのマイナーチェンジを経ていったん2021年末に生産終了となったのち、2024年1月に一部仕様変更が行われた最新世代が再登場しました。

ボディサイズは全長4860mm×全幅1820mm×全高1695mmと、現行型ヴェルファイアと比べれば少し小ぶりですが、「ヴェルファイアが大きいだけ」ともいえますので、このぐらいのサイズ感がジャストだと感じる人もいるでしょう。乗車定員は7名で、2列目にはオットマンとリクライニングの操作を含む4ウェイ電動調節機構付きキャプテンシートを採用。シートヒーターと折り畳み式センターテーブル、ミニテーブル付きアームレスト、足元のUSBチャージャー(Type-C)などが標準装備されています。また3列目シートは従来型と同様に床下への格納式です。

パワーユニットは最高出力145psの2L直4ガソリンエンジンに同184psのモーターを組み合わせた「e:HEV」で、WLTCモード燃費は現行型トヨタ ヴェルファイアのハイブリッド車を上回る19.6~19.9km/L。また近距離衝突軽減ブレーキとオートハイビーム、急アクセル抑制機能が追加された「ホンダセンシング」を中心とする運転支援システムの内容も、現行型ヴェルファイアにおおむね遜色なしといえます。
 

Aクラスセダン▲3列目シートはトヨタ ヴェルファイアのような跳ね上げ式ではなく、床面とフラットに収容できる
 

存在感と押し出し感の点では現行型ヴェルファイアよりも若干劣りますが、そこをさほど重視しないのであれば、総額450万円からの予算で走行数千kmの中古車または未使用車が狙えてしまう最新世代のホンダ オデッセイは、かなり悪くない選択肢であるはずです。
 

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ホンダ オデッセイ(現行型・5代目) × 全国
 

新型ヴェルファイアの代わり④|メルセデス・ベンツ Vクラス(現行型・3代目)
→予算目安:総額350万~600万円

最新世代のホンダ オデッセイはかなり悪くない選択肢であると思うものの、「サイズと存在感の部分では現行型ヴェルファイアに敵わない」という部分をネックと感じる人もいるでしょう。確かに現行型ヴェルファイア(およびアルファード)の魅力とは、細かい部分ももちろんそうなのですが、なんだかんだ言って「あのサイズ感と存在感」こそが最大の魅力かもしれませんので、オデッセイでは代役になりづらい部分もあるのでしょう。

であるならば、現行型ヴェルファイアをさらに上回るサイズの輸入ミニバン「現行型メルセデス・ベンツ Vクラス」でどうでしょうか?
 

Aクラスセダン▲メルセデス・ベンツのラージサイズミニバンである現行型Vクラス
 

2015年10月に登場した現行型メルセデス・ベンツ Vクラスは、全長5150mm×全幅1930mm×全高1930mmという堂々たるボディサイズの3列シートミニバン(※売れ筋であるロングボディの場合)。

シートは前から順に2人/2人/3人掛けで、2列目と3列目のシートは脱着式。2列目を後ろ向きにしたり、2列目だけを取り外してショーファードリブン仕様にする、2列目と3列目の両方を外して荷室を最大化させるなど、用途に合わせて様々アレンジが可能です。

パワーユニットは最高出力163ps/最大トルク380N・mの2.1L直4ディーゼルターボが基本となりますが、2018年11月には同211psの2L直4ガソリンターボも追加しています。トランスミッションはいずれも7速ATで、駆動方式は全車FRです。
 

Aクラスセダン▲本革シートは全車標準装備で、フロントシートはヒーター付きの電動式
 

そんな現行型メルセデス・ベンツ Vクラスは2024年10月に直近のマイナーチェンジを行っているのですが、その世代の中古車はまだほとんど出回っていません。しかし2019年10月の最初のマイナーチェンジを受けた世代であれば、総額510万円付近からの予算で「V220d アバンギャルド ロング」を見つけることができます。これであれば、存在感の面でもサイズの面でも、そしてブランド性の点でも、現行型トヨタ ヴェルファイアに負けない満足感を覚えることができるはずです。
 

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メルセデス・ベンツ Vクラス(現行型・3代目) × 全国
 

新型ヴェルファイアの代わり⑤|メルセデスAMG GLEクラス(旧型・初代)
→予算目安:総額330万~570万円

現行型トヨタ ヴェルファイアの魅力は、もちろん「3列のシートを備えている」という部分に基づいてはいます。しかしすべてのヴェルファイアユーザーが3列目シートを常に使っているわけではなく、「実は常に3列目は跳ね上げてしまっている」という人も少なくないはずです。

もしもあなたが「いや、自分は常に3列目シートも活用している!」という場合には不向きなのですが、もしもそうでないならばメルセデスAMGのSUVである「先代GLE」は、存在感的にもパフォーマンス的にも、現行型ヴェルファイアの代わりを十分に務めてくれるかもしれません。
 

Aクラスセダン▲こちらがメルセデスAMGのGLE。写真は超強力な5.5L V8ツインターボを搭載するGLE 63 S 4マチック
 

「メルセデスAMG」というのはメルセデス・ベンツのサブブランドで、元々はレーシングカーのエンジンなどを製造する「AMG」という別会社でしたが、その後は吸収合併によりメルセデスの傘下に入り、現在はサブブランドとして超ハイパフォーマンス&超ラグジュアリーな各種モデルをラインナップするに至っています。

そんなメルセデスAMGの「GLE」は、それまでは「Mクラス」という車名だったSUVが2015年にビッグマイナーチェンジを受けて誕生したモデル。そして2019年まで販売された先代のメルセデスAMG GLEには、最高出力585psという超絶パワーの5.5L V8ガソリンツインターボを搭載する「GLE 63 S 4マチック」と、やや控えめな同367psの3L V6ガソリンツインターボを搭載する「GLE 43 4マチック」の2グレードが存在します。「現行型ヴェルファイアの半額」で狙えるのはGLE 43 4マチックが中心ですが、585psのGLE 63 S 4マチックを同価格帯で見つけることも不可能ではありません。
 

Aクラスセダン▲黒を基調にスポーティにまとめられたコックピット。トランスミッションは7速AT
 

「素のメルセデス・ベンツ」では少し微妙な部分もあるかもしれませんが、「メルセデスAMGのGLE」であれば、パワーの面でもブランド性の面でも、現行型トヨタ ヴェルファイアを普通に凌駕できると考えられます。もちろん「3列シートのミニバンではなく、2列シート・5人乗りのSUVである」という点が問題になる人もいるかもしれません。しかしそこがOKであるならば、この超絶SUVは「約半額で買える現行型ヴェルファイアの代わり」として素敵に機能するはずです。ぜひ一度チェックしてみてください。
 

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メルセデスAMG GLEクラス(旧型・初代) × 全国
文/伊達軍曹 写真/トヨタ、ホンダ、メルセデス・ベンツ、篠原晃一
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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