エクストレイル(旧型)▲同社の多機能な4WDシステム「ALL MODE 4×4-i」や、濡れてもへっちゃらな室内空間など、“タフギア”としての機能や装備をたっぷり搭載されていた旧型エクストレイル

今後の中古車動向が気になる旧型・3代目エクストレイル

アウトドアスポーツやキャンプを楽しむための“タフギア”として、人気の高い日産 エクストレイル。

2022年7月には新型となる4代目(現行型)が登場した。旧型と比べて上質感が高められるとともに、第2世代「e-POWER」や電動駆動四輪制御技術「e-4ORCE」などが搭載され、さらに魅力が増した。

すると発売から2週間で受注台数は1万2000台を突破。これは歴代エクストレイル史上最速となる達成記録で、その人気の高さがうかがえる。

しかし、注文が殺到したことで納車は長期化。そこに半導体や部品不足の影響も加わり、2022年10月31日から受注が停止されてしまった。

エクストレイル(現行型)▲初代モデルからのDNAである「タフギア」を継承しつつ、新たに上質さを加え、「e-POWER」や「e-4ORCE」などの最新技術も搭載された4代目・現行型モデル

このように4代目には確かに魅力がある。一方で、今見ても十分高い走破性を誇るだけじゃなく、プロパイロットなどを搭載していた旧型・3代目もまだまだ魅力的だ。

人気モデルだったゆえ、中古車流通台数は豊富で、すぐに手に入れられるというメリットもある。

新型が登場したことで、旧型の中古車市場が変動することも予想されるが、ライバルよりも一足先に現在の中古車状況をチェックしておこう。

▼検索条件

日産 エクストレイル(3代目)×全国
 

台数は豊富だが、価格帯や走行距離の幅が大きい

本来、新型が登場すると旧型からの乗り替えが進むことで、中古車価格は下がる傾向にある。

しかし上記の通り、新型が発売後約3ヵ月で受注停止したこともあり「買えない新型より、買える旧型」とばかりに、中古車人気が高まり、中古車相場も思いのほか下がることはなかった。

新型のデビュー直前である2022年6月の中古車平均価格は、ここ2年間で最安値となる約185万円だったが、2022年9月には192.4万円と、むしろアップ。その後も横ばい傾向が続き、原稿執筆時点(2023年1月5日)の平均価格は約193万円だ。

一方で、中古車台数は高位安定。2021年3月には延べ掲載台数が5200台を超え、6月にはこの2年間で最も多い5595台を記録。その後も5500台前後で推移しており、非常に選択肢が豊富なモデルのひとつとなっている。

カーセンサー掲載車の価格帯は、約70万~370万円と幅が広い。これは、3代目のモデルライフが約9年と長かったため、掲載されている物件の年式に差があることが要因だろう。

平均走行距離は約5万kmとまだまだこれから……という中古車が多いように思えるが、実は5000km以下の低走行車が約40台ある一方で、10万kmを超える多走行車も約140台あるなど、コンディションの違いも大きいようだ。

2WDと4WDの割合を見ると、この車のキャラクターらしく約3:7と4WDの方が多く、ガソリン車とハイブリッド車の割合は約8:2とガソリン車の方が多い。

また、5人乗りと7人乗り設定されていたが、5人乗りが約9:1と圧倒的に多く掲載されている。

さらに2017年6月のマイナーチェンジで、オプションとして用意されたプロパイロットを装備している中古車も、全体の3割近い1000台以上が見つかる。「プロパイロット」付きを求めるなら、フリーワードに「プロパイロット」と入力して検索すると見つけやすい。

掲載台数が多いだけでなく、価格帯が広くてコンディションやグレードもまちまちだと、ある程度自分の中で「どんな物件が欲しいのか」考えておく必要がある。

そのため、探し始める前にしっかりと欲しい装備やグレード、年式などの条件を検討しておいた方が良いだろう。

では旧型エクストレイルとはどんな車だったのか、以下おさらいしておこう。

 

“タフギア”に磨きがかけられ、後期型にはプロパイロットも!

エクストレイル(旧型)▲「アクティブライドコントロール」「アクティブエンジンブレーキ」「コーナリングスタビリティアシスト」は2WDを含む全車に標準装備。本格派SUVらしく最低地上高は205mmと障害物を乗り越えやすい

2013年11月にデビューした旧型(3代目)エクストレイル。初代から続くコンセプト「スノーボードやサーフィンなどアウトドアスポーツを楽しむ若者向け」を継承したSUVだ。

もちろんキャンプを楽しむのもピッタリで、アウトドアライフを楽しみたい人にオススメの1台だ。ライバルはトヨタ RAV4やマツダ CX-5あたりになる。

アウトドアライフを楽しむためにも、雪道をはじめとした悪路でも安心して走れる機能は重要。そこで3代目エクストレイルは、「ヒルスタートアシスト」「アドバンスドヒルディセントコントロール」「ヨーモーメントコントロール」機能を搭載した、4WDシステム「ALL MODE 4×4-i」を採用した。

加えて、この3代目から「アクティブライドコントロール(凹凸路でも乗り心地を快適にしてくれる機能)」「アクティブエンジンブレーキ(コーナリング時にブレーキを踏まずともある程度減速してくれる機能)」や、「コーナリングスタビリティアシスト(コーナリング時に車両を安定させる機能)」といった先進技術も採用されていた。

もちろん使い勝手も高く、例えば歴代で人気だった防水フロア・シートを継承。さらに荷物のサイズや種類に合わせて空間を仕切ることができる防水フレキシブルラゲージも用意された。

エクストレイル(旧型)▲ラゲージ容量は505L(5人乗り)とクラストップレベル。シート・フロア・ラゲージが防水加工されているので、濡れた物をガンガン積めるし、濡れたままのウエアでも乗り込みやすい
エクストレイル(旧型)▲5人乗りのガソリン車には「防水フレキシブルラゲージ」が標準装備され、写真のように空間を仕切ることができる。濡れた物と汚したくない荷物と分けて積んだり、転がりやすいものを運ぶときなどに便利

安全性能面では、デビュー時から衝突被害軽減ブレーキを含む「エマージェンシーブレーキパッケージ」を設定。2015年12月には全車に衝突被害軽減ブレーキが標準装備された。

デビュー時のパワートレインは2Lエンジン×CVT。駆動方式は2WDと4WDがあり、3列7人乗りモデルも設定されていた。

当初のグレード構成は、2WDは20Xのみ、4WD車は20S、20Xの2グレード。4WDの20Xには標準仕様の他にエマージェンシーブレーキパッケージや、スポーティな外観を備えるエクストリーマーXなどが用意されていた。

エクストレイル(旧型)▲エマージェンシーブレーキパッケージ」装着車は20Sを除く全グレードに設定されていた。衝突被害軽減ブレーキの他、踏み間違い衝突防止アシスト機能、車線逸脱警報機能などが備わる
エクストレイル(旧型)▲オーディオレスが標準。アラウンドビューモニターはオプションで用意された。エアコンは20Sのみマニュアルで他グレードは左右独立式のオートエアコンが標準装備

2015年4月には2Lエンジン+モーターのハイブリッドモデルが追加された。トランスミッションはCVTのみで、2WDと4WDが選べた。

2017年6月に行われたマイナーチェンジではエクステリアデザインの変更に加え、同社の先進安全運転支援機能「プロパイロット」がオプションで用意された。

新型(現行型)のプロパイロット2.0のようにハンズオフ機能は付いていないものの、それでも一定条件下でアクセルやブレーキ、ステアリング操作(手を添える必要はある)が不要になるため、特にアウトドアスポーツで疲れた帰り道が格段に楽になるはずだ。

エクストレイル(旧型)▲マイナーチェンジで、フロントグリルのV字が大きくなった。また、ハイビームとロービームを自動で切り替える「ハイビームアシスト」が一部グレードにオプションで用意された

以上を踏まえ、今のオススメはどんな物件なのかを考えてみよう。

 

手頃な価格で狙いたいなら「20X エマージェンシーブレーキパッケージ」がオススメ

最も手頃な価格で選びやすいのは、最も台数の多い20X系の2列車。

その中でも20X系の約4割を占めている「20X エマージェンシーブレーキパッケージ」が特にオススメ。デビュー時はオプション設定だったエマージェンシーブレーキ付き車は、標準の20Xに比べ20万円以上高かった。

しかし、2015年12月の一部改良にて全グレードに標準装備されたことで、装着車両の数も増加した。

なお、2WD/4WDを問わず走行距離10万km超なら支払総額80万円から、10万km以下でも約100万円から狙うことができるため、用途に合わせて選んでほしい。

もちろん左右独立式フルオートエアコンや前席クイックコンフォートヒーター、オートライトシステム、プッシュスタート機能などが備わるので、アウトドアスポーツを手軽に楽しみたい人はオススメだ。

▼検索条件

日産 エクストレイル(3代目)×「20X エマージェンシーブレーキパッケージ 2列車」×全国
 

プロパイロットなどの装備重視なら「Xi ハイブリッド」系がお得

装備充実のものをお得に狙いたいなら、「20Xi」系をオススメしたい。

Xiはマイナーチェンジ後の2017年12月から設定された特別仕様車で、人気装備の「プロパイロット」をはじめ、「ハイビームアシスト」、「アラウンドビューモニター」、「インテリジェットルームミラー(後方カメラの映像を映す機能)」などが標準装備されており、ドライブが楽になるモデルだ。

ガソリン車とハイブリッド車、また2WDと4WDそれぞれの設定があり、用途に応じて選びやすい。

走行距離10万km以下なら、Xiのガソリン車の2WDが支払総額約170万円から狙えるが、上位グレードとなるXiのハイブリッドでも、2WD/4WDともに支払総額約180万円から狙える。

台数はガソリン車より少ないが、執筆時点で約250台が掲載されていたため、狙う価値は十分にあるだろう。

もちろんガソリン車がJC08モード燃費16.4km/L(2WD)に対して、ハイブリッド車なら2WDで20.8km/L、4WDで19.8~20.0km/L。運転が楽になるだけでなく、道中の燃費も重視するなら、「Xi ハイブリッド」系を中心に探してみてはいかがだろう。

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日産 エクストレイル(3代目)×「20Xi ハイブリッド (2WD/4WD)」×全国

▼検索条件

日産 エクストレイル(3代目)×全国
文/ぴえいる、写真/尾形和美、日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。