「THE BAWDIES」ROYが語る、夏フェスの思い出と楽しみ方|Carsensor IN MY LIFE


夏に行きたい場所。花火大会、海、キャンプ。そしてフェス! 昨今、急激な盛り上がりを見せている夏フェスだが、多くの人を引きつける魅力はどこにあるのか。その魅力の源泉に迫る。

『FUJI ROCK FESTIVAL』や『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』など国内だけでなく、フランス最大規模のフェス『Les Eurockeennes』にも出演した4人組ロックンロールバンド「THE BAWDIES」。ボーカル・ベースのROYさんは中学2年生からフェスに通うフェス・フリークだ。アーティストとして、リスナーとして、夏フェスをどのように見ているのかを聞いた。

THE BAWDIES結成は夏フェスへの参加が発端!?

「THE BAWDIES」ROY

ROYさんが初めてフェスを体験したのは中学2年生の頃。Hi-STANDARDを中心に企画された『AIR JAM’98』を当時所属していたバスケットボール部のメンバーと見に行った。その中にはTHE BAWDIESのメンバーであるJIMさんもいた。

「ドラムのMARCYも誘ったんですが、そのときは『PUFFYの武道館へ行く』と言って来なかったんです(笑)。ウチの学校は音楽が盛んで、インディーズのメロコアバンドをやっている先輩や卒業生が多かった。もはや、パンクキッズを作る専門学校みたいでした」

そして、高校生になって観に行った『FUJI ROCK FESTIVAL』がきっかけで、ROYさんは音楽にのめり込んでいった。CDショップにも足繁く通うようになり、ある日、店内で流れていた音楽に衝撃を受ける。

それが、人生で最も影響を受けたThe Sonicsとの出会い。それからガレージロックにハマり、小学校からの同級生JIMさんとMARCYさん、高校からの同級生TAXMANさんの4人でバンドを始める。そうして結成されたのがTHE BAWDIESだった。

夏フェスはいろんな楽しみ方ができるのも魅力!

「THE BAWDIES」ROY

ROYさんがフェスに行き始めた当時は、今のようにフェスがたくさんある時代ではなかった。だから「相当な音楽好きじゃないと行かない印象があった」という。

しかし、それから10年。フェスは音楽好きにとどまらない、夏の風物詩となった。その証拠に、2017年には『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』で約27万4000人、『SUMMER SONIC』で約15万人、『FUJI ROCK FESTIVAL』で約12万5000人を動員。この3つ以外のフェスも数・動員数ともに増える一方だ。

「あの頃と比べると、明らかにフェスの間口は広がりましたね。以前は音楽番組に出るバンドとライブ活動が中心のバンドには、区切りがあった。でも、その壁がフェスによって、なくなりました。今ではJ-POPしか聴いていなかった人も『ちょっと遊びに行ってみようか』と、フェスにも来るようになりました」

「THE BAWDIES」ROY

多くの人が訪れるようになった夏フェス。その楽しみ方も多様になった。ライブを見るだけでなく、フードコーナーでご当地料理を食べたり、地方では川遊びができたりとレジャー要素も醍醐味だ。

「フェスのご飯って美味しいんですよ。地方ごとに出店しているお店も違って、個人的には北海道や九州でいろんなものを食べられるのが楽しみです。僕らが毎年出演させていただいている『Sweet Love Shower』では、アーティストの出し物があったり、気球に乗ったりもできますよ」

アーティストとしてもフェスには忘れられない思い出がある

「THE BAWDIES」ROY

次にアーティストとしてのフェスの思い出について聞いた。今までで一番忘れられないフェスは、2007年の『FUJI ROCK FESTIVAL』。新人アーティストの登竜門的ステージ「ROOKIE A GO-GO」に出演したときだという。

「実はTHE BAWDIESを知らない人たちの前で演奏するのが初めて。しかもフェスも野外も初めてで。だから『これは楽しむしかないな』と思ってガムシャラに演奏しました。そしたら数分で会場が人でいっぱいに。来場した人たちは僕らが誰なのか知らないのに、みんな真っ直ぐ応えてくれて……。『素直な気持ちで歌えば自分たちの音楽が伝わるんだ』と実感できました」

この日の出来事が、彼ら4人の大きな自信に繋がったという。

「今までやってきたことは間違ってなかった、と初めて思えました。それまで周りから『ガレージロックは日本で受け入れられるのは無理』と言われていました。でも『そんなことはない!』って自分たちを信じていたんです」

ROYさんがかつて衝撃を受けたThe Sonicsのようなサウンド、初期衝動が爆発した音を皆も待っている。そう信じてやってきたTHE BAWDIESの思いが報われた瞬間だった。

「あの日のステージで僕は、ぽろっと『最高だなぁ』って言ったらマイクに声が通っていて……。そしたらお客さんも『最高だよ!』って返してくれた。その瞬間、鳥肌が立って、涙がこみ上げてきました。あのステージはいまだに忘れられないですね」

「THE BAWDIES」ROY

そんなTHE BAWDIESは今年で結成15周年目。世間でフェスが盛り上がり始めた2008年にメジャーデビューし、同時にデビュー10周年目も迎える。この記念すべき年にどのような思いでフェスに参加するのか。

「僕らは今年、特別な年を迎えました。4月には初のベストアルバム『THIS IS THE BEST』を出し、15年の集大成を伝えるモードに入っています。THE BAWDIESのすべてをぶつけられたら、と思っています」

フェスと一緒に歩んできた彼らだけに、その意気込みは強い。そして最後にフェス・フリークであるROYさんにフェスの楽しみ方について尋ねたら「フェスで観る予定のアーティストの音源を車内で聴きながら会場まで来てほしい」という。

「CDと生は本当に別物。アーティストとしては作品とライブの違いを感じてほしいですね。フェスに出ている方々は国内屈指のライブバンドばかり。その感動を肌で感じてください。そして帰りに、もう一度音源を聴いてほしい。聴こえ方が来たときと全然、違うと思いますよ」

フェスは会場へ向かうクルマの中から始まっている。ワクワクとドキドキだけ持って、会場へ行けば最高の瞬間に出会える。そう、ROYさんはフェスの魅力について教えてくれた。

文/真貝聡 写真/阿部昌也

PROFILE
ROY:ミュージシャン。ロックバンド「THE BAWDIES」でボーカル・ベースを務める。2018年、バンド結成15周年目、メジャーデビュー10周年目を迎える。現在、初のベストアルバム『THIS IS THE BEST』が発売中の他、47都道府県ツアー『Thank you for our Rock and Roll Tour 2004-2019』も開催中。次回は9月21日(金) の「出雲 APOLLO」。2019年1月17日(木)のツアーファイナルは、3度目となる日本武道館公演で迎える。

INFORMATION
夏フェスの参加も決定しており、8月4日(土)『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』、8月10日(金)『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO』、8月19日(日)『Sky Jamboree 2018』、9月1日(土)『SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2018』、9月8日(土)『OTODAMA’18~音泉魂~』に出演予定。