フォルクスワーゲン Tロック▲ワンランク上の装備を全車標準に設定。SUVとしての利便性を備えながらも、ゴルフのような素直な運転感覚は初めてのSUVという人にオススメできる1台

優しさが印象的な、ピュアなディーゼルSUV

4240mmというゴルフ7並みの全長が醸し出すサイズ感も、SUVとはいえシロッコのあいた穴を埋めるスポーティな(4ドア)クーペという立ち位置も、「Iroc(アイロック)」の響きを含んだ歴史感あるネーミングも、とにかくスキがない。

逆にいえば、ティグアンと同じCセグにクーペSUVという新ジャンルを送り出すにあたり、練りも練ったりVW、そんなニュアンスは端々まで伝わってくる。T-Rocは、ニュートラルに言うが間違いのない1台だ。

ルーフのアーチを強調するクロームは、リアエンドに向かってワイドになり、VWの特徴でもある太いCピラーを際立たせる。VW初というボディとルーフのカラーツートンは頑張っている。しかし、クーペ風デザインなのにリアセクションが八方美人すぎる。

まず、セダンのような台形のリアウインドウ、そこにブラックアウトして馴染ませたBピラーの存在感がかなり強く、リアへ向かってルーフラインが絞られない分、シュッとして見えない。かくして、後席のヘッドスペースと左右ウインドウの開閉は確保できたが、リアハッチのウインドウは寝かされ、トランク容量445Lは弟分のT-Crossの455Lに、わずかとはいえ譲る。

フロントマスクは、LEDヘッドライトとグリルを囲うクロームのグラフィックもあって小綺麗な印象を残すが、全体としてクーペSUVというよりゴルフ7という有能なハッチバックが、地面から全体的に持ち上がった感じ、そう見えてしまう。

車内に落ち着くと、視線と着座位置は確かにSUV風だが、ハッチバックよりやや高い程度。ダッシュボードの意匠はゴルフよりもポロやT-Crossの雰囲気に近く、よくいえばアクティブ、悪くいえばライトに思える。
 

フォルクスワーゲン Tロック▲特徴的なツートーンルーフは白と黒2つのカラーが用意されている。また、オールブラックカラーも選択可能
フォルクスワーゲン Tロック▲ボディ骨格は、アウディ Q3と共通のMQBを採用。ひとクラス上のモデルにも採用されるこの骨格のおかげで、様々な先進機能を上位モデルから継承した
フォルクスワーゲン Tロック▲グリル装飾は各グレードで異なっている。写真の車はサイドベントがLEDで縁取られているStyle
フォルクスワーゲン Tロック▲Activeは16インチ、Styleは17インチホイールが標準装備。Styleはオプションにて18インチホイールを選択できる(写真は18インチホイール)

欧州ではコンサバで鳴るVW、ドイツ車のマジョリティー・ブランドのクーペSUVとしてサプライズらしいサプライズがないのは、パワートレインも同じだ。7速DSGと組み合わされる2LディーゼルのTDI 150ps/340N・m仕様だが、輸入車の2Lディーゼルの180ps/400N・mあたりが標準的な性能である昨今、ほぞをかむほど遅くないが、キビキビもしなければスポーティでもない。

NVH(騒音、振動、ハーシュネスの快適性に影響する要素の指数)という観点では、確かに今どき珍しいぐらいディーゼル音が中でも外でもはっきり目立つ一方で、18インチを履きながら不快な揺れや突き上げは皆無。ハンドリングはVWらしく弱アンダーステアは一貫しているが、曲がり始めの応答性はむしろ素直で、乗り心地もしなやか。

また、ドイツ車にしては珍しくショルダーの張っていないボディ形状ゆえ、SUV特有の見切り悪さや取り回しの難しさがなく、車両感覚は街乗りでもつかみやすいだろう。

試乗は高速道路こそ試せなかったが、非アウトバーン的志向すら感じさせる珍しいVWというか、マツダでいうMX-30のような「裏」を担う感覚が、T-Rocにはある。ノーサプライズであることがバッド・サプライズという人には向かないが、冒険をしない(クーペ)SUVであることに意義がある、T-Rocはそういう1台なのだ。
 

フォルクスワーゲン Tロック▲インテリアトリムをボディカラー同色にカスタマイズ可能なデザインパッケージが、Styleに用意されている。これには、ドアミラーやホイールカラーのカスタマイズも含まれる
フォルクスワーゲン Tロック▲ラゲージ容量は弟分のT-Crossより少ない。しかし、後席を倒せばT-Crossよりも9L多い1290Lまで拡大することができる
フォルクスワーゲン Tロック▲搭載される2L 4気筒ディーゼルエンジンは全グレード共通。0.03秒でシフトチェンジする高性能なDSGによって、レスポンシブな走りが可能
文/南陽一浩、写真/柳田由人、フォルクスワーゲン

【試乗車 諸元・スペック表】
●TDI スタイル デザイン パッケージ ディーゼルターボ

型式 3DA-A1DFF 最小回転半径 5m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.24m×1.83m×1.59m
ドア数 5 ホイールベース 2.59m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.54m/1.54m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1430kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

ラヴェンナブルーメタリック、アトランティックブルーメタリック、エナジェティックオレンジメタリック、ディープブラックパールエフェクト、ピュアホワイト、フラッシュレッド

オプション色

ターメリックイエローメタリック

掲載コメント

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型式 3DA-A1DFF
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ラヴェンナブルーメタリック、アトランティックブルーメタリック、エナジェティックオレンジメタリック、ディープブラックパールエフェクト、ピュアホワイト、フラッシュレッド
オプション色 ターメリックイエローメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5m
全長×全幅×
全高
4.24m×1.83m×1.59m
ホイール
ベース
2.59m
前トレッド/
後トレッド
1.54m/1.54m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1430kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 DFF 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 50リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 19.5km/L
総排気量 1968cc 燃費(WLTCモード) 18.6km/L
└市街地:14.9km/L
└郊外:18.5km/L
└高速:21km/L
燃費基準達成 -
最高出力 150ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
340(34.7)/3000
エンジン型式 DFF
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1968cc
最高出力 150ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
340(34.7)/3000
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 50リットル
燃費(JC08モード) 19.5km/L
燃費(WLTCモード) 18.6km/L
└市街地:14.9km/L
└郊外: 18.5km/L
└高速: 21km/L
燃費基準達成 -