▲オープンモデルのZ3が登場した翌年に日本導入となったZ3クーペ ▲オープンモデルのZ3が登場した翌年に日本導入となったZ3クーペ

あまり目立つことのなかった“ボンドカー”

BMWにおける2シーター・スポーツカーが「Z」シリーズで、Z3は第2世代で1996年からオープンモデルとして登場した。ちなみにエクステリアデザインを担当したのは、永島譲二氏という日本人だった。

映画「007シリーズ」の中では主人公ジェームズ・ボンドが乗る“ボンドカー”として、発売前にスクリーンデビューを飾ったことを記憶している。ただ、ボンドカーとしては特段、目立った活躍ではなかった。

プラットフォームは同時期の3シリーズ(E36型)がベースで、リア・サスペンションはその先代モデル(E30型)と同設計のセミトレーリングアームを採用している。

▲エクステリアのデザインは日本人が務めている。オープンモデルと比べて、見た目だけでの違いだけではなくボディ剛性も大きく高められている ▲エクステリアのデザインは日本人が務めている。オープンモデルと比べて、見た目だけでの違いだけではなくボディ剛性も大きく高められている

Z3はそもそもオープンモデルとしてデビューしたのだが、1997年のフランクフルトモーターショーにてコンセプトモデルとして公開された。Z3クーペの日本デビューはその翌年で、2.8Lエンジンを搭載してお目見えした。

また、同時期のM3(E36型)と同じ3.2L直列6気筒エンジンを積んだ「Mロードスター」、「Mクーペ」も追加された。希少価値という観点でいえば、このMモデルの方が格上かもしれないが、中古車相場は高め安定している。

Z3クーペのデザインについては賛否両論あった。Z3が生産されたアメリカでは、“ピエロの靴”“パンの配送車”などと呼ばれ、本国ドイツでも“スニーカー”なんて揶揄された。

ただ、そのユニークなハッチバックスタイルは、“シューティングブレーク”好きには大ウケ。別に機能性うんぬんではなく、そのコンパクトかつユニークなスタイルで差別化を図りやすかった、とも解釈できよう。

ちなみにリアをハッチバック形状としたことで、リアのボディ剛性はベース車両であるオープンモデルに比べて2.7倍高まったという。Z3のデザインを受け継ぎながら、ガッチリしたボディでスポーティな走りを楽しみたい層には好評でもあった。

▲こちらはオープンモデルのZ3。クラシカルなスタイルを持つ2シーターオープンカーだ ▲こちらはオープンモデルのZ3。クラシカルなスタイルを持つ2シーターオープンカーだ
▲言われてみれば確かにピエロの靴のように見えるか……? ▲言われてみれば確かにピエロの靴のように見えるか……?

Z3はやがてZ4へとフルモデルチェンジし、初代は2003年、2代目は2009年に登場した。しかし、2代目にはクーペモデルは存在していなかった。

つまりは、手間ひまかけて開発・生産しても、コスト回収が厳しいか、さほど企業体として得られる利益が少なかったのだろう。そういう意味では、Z3クーペはMエンジンを搭載しておらずとも、いずれ価値が見いだされそうな気がする。

100万円弱で狙えるものも存在しているので、少しでも気になった方は物件をチェックしてみてほしい。もう流通台数は片手で数えられるほどだ。

▲2018年6月29日現在、掲載台数は5台のみ! 価値を見いだされ価格が上がることも考えられるため、早めにチェックすることをオススメしたい ▲2018年6月29日現在、掲載台数は5台のみ! 価値を見いだされ価格が上がることも考えられるため、早めにチェックすることをオススメしたい
text/古賀貴司(自動車王国)
photo/BMW

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BMW Z3クーペ(初代)