絶滅危惧車のロッキーは、「三変化」できるコンパクトSUVだ
2018/07/19
ダイハツの硬派な企業風土が垣間見える車
スズキのライトクロカン、エスクードのデビューから遅れること2年、1990年にダイハツ ロッキーは誕生した。映画『ロッキー』の力強さをイメージするかもしれないが、ネーミングは北米大陸のロッキー山脈が由来となっている。
1.6Lクラスでクロカンがないことに目をつけたスズキを追う形とはなったものの、コンパクトSUVの礎を築いた1台であることには違いない。従来の一般的なSUVが重たく、動きも緩慢であることに目をつけたというわけだ。
そして、何よりコンパクトカーながら、街中でクロカンの雰囲気を味わえる、というのがウリだった。
当時、ダイハツといえば世界で一番小さい乗用車用ディーゼルエンジンを開発したことで名を馳せていたが、あえてガソリエンジンを搭載していた。同社が、当時ライナップしていたアプローズの1.6Lエンジンをベースに吸気系を見直し、中速トルクを太くし、軽快感をもたらした。
軽快感をもたらしたもうひとつのウリは、フロントサスペンションが独立懸架式を採用していたことだ。これにより回頭性を高めていた。
リアはあえてリーフスプリングを採用したことで、クロカンに必要なホイールストロークを確保。リアサスペンションにも独立懸架式の採用を試みたようだが、走行時におけるリアの挙動を安定させやすいリーフスプリングに軍配があがったそうだ。
ロッキーはそんな真面目でコンパクトな都会派クロカンであり、時代のゆとりがなせたとおぼしき遊び心も忘れていない。
最大の特徴は、なんといっても取り外し可能なリアを覆うレジン製のハードトップだろう。
ハードトップ装着時はクーペ、ハードトップを外した状態ではセミオープン(リアシート上部)、そしてオプションではソフトトップも用意されていた。ダイハツでは「三変化できる」とうたっていたことが懐かしい。また、ボディカラーでも遊び心を演出したかったのか、パステルカラーを多くラインナップしていた。
リアゲート上部にはロールバーが標準装備されており、安全性を確保したとともに、リアシート用のシートベルトのアンカーポイントの役目も担っていた。個人的には、このロールバーが二役担っている点に萌えてしまう。
デビュー当初は5速MTのみの設定という、今では考えられない商品構成だったが、後に4速ATもラインナップ。当時のダイハツらしく、遊び心を盛り込んでもやっぱり硬派だったという企業風土も懐かしい。
そんなロッキーもいつしか時代の流れとともに消えてしまったが、まだカーセンサーnetでは数台、掲載されている。昨今のコンパクトSUVとはまったく味付けが異なるが、ノスタルジックな雰囲気を求める方には素敵な選択肢となろう。ぜひ、物件をチェックされたい!
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ダイハツ ロッキー(初代)この記事で紹介している物件
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