ボクサー6 ▲今回はスバルのボクサー6エンジン搭載車にフォーカスします!

今ではラインナップから消えてしまったボクサー6に乗りたいなら、急いで中古車を狙え!

スバルのアイデンティティのひとつとして、多くのファンの心をつかんで離さない水平対向エンジン。

その独特なエンジンフィールやサウンドは他のエンジンとは一線を画すものがありますが、中でも水平対向6気筒エンジンは、4気筒では味わうことのないスムーズかつ官能的なフィーリングを楽しむことができる名機として知られています。
 

ボクサー6

ただ、残念ながら現在のスバルのラインナップには水平対向6気筒エンジンを搭載するモデルはなく、どうしても乗りたいと考えるのであれば、中古車を狙うしか方法はありません。

そこで今回は、歴代スバルの水平対向6気筒を搭載した車両の現在を一気にチェックしてみましょう!
 

 

そもそもスバルの水平対向6気筒ってどんなのがあるの?

スバル車として初めて水平対向6気筒エンジンが搭載されたのは、1987年7月に登場したアルシオーネ2.7VXでした(アルシオーネ自体は1985年6月に登場)。
 

ボクサー6 ▲こちらが初代アルシオーネ

このアルシオーネに搭載された2.7Lの水平対向6気筒エンジンはER27型と呼ばれ、SOHC12バルブで最高出力は150psとおとなしいスペックではありましたが、電子制御アクティブトルクスプリット4WDとの組み合わせで当時のスバルの技術の粋を集めたスペシャリティクーペとなっていたのです。

続いて登場したのは1991年9月に登場したアルシオーネの後継車種、アルシオーネSVXに搭載されていたEG33型です。

こちらは3.3Lの排気量をもつDOHC24バルブエンジンで、最高出力は240psとフラッグシップモデルに相応しい出力をもち合わせていました。
 

ボクサー6 ▲SVXに搭載されたEG33型エンジン

アルシオーネSVXは1996年12月に終売となり、その後しばらく水平対向6気筒エンジンはラインナップされない時期が続きましたが、2000年5月にレガシィランカスター(現在のアウトバック)にEZ30型エンジンを搭載したランカスター6が追加となります。

このEZ30型エンジンは3LのDOHC24バルブエンジンで、220ps/29.5kg・mの出力をもつもの。当初はランカスター6のみに搭載されていましたが、2002年1月にはB4とツーリングワゴンにも搭載グレードが設定されています。
 

ボクサー6 ▲こちらがEZ30型エンジン

その後、4代目レガシィシリーズにもEZ30型エンジンは継続採用され、新たにAVCS(可変バルブタイミング機構)とダイレクト可変バルブリフトが追加されたことで250ps/31.0kg・mへと出力を向上。

2004年10月には水平対向6気筒としては初めて3ペダルMT(6速MT)を組み合わせた「3.0R spec B」がB4とツーリングワゴンに設定されました。
 

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そして、日本国内では最後に水平対向6気筒エンジンが搭載されたのが、5代目レガシィツーリングワゴンをベースとしたアウトバック(アウトバックとしては4代目モデル)でした。

5代目レガシィではセダンとツーリングワゴンには水平対向6気筒エンジンは設定されませんでしたが、アウトバックには先代型よりも排気量を拡大し3.6LとなったEZ36型を設定。
 

ボクサー6 ▲最後のボクサー6となったEZ36型エンジン

歴代の水平対向6気筒エンジンの中では最大排気量となるこのエンジンは260ps/34.2kg・mというスペックを発生し、最後の水平対向6気筒エンジンとして有終の美を飾り、アウトバックがフルモデルチェンジを実施した2014年の秋に姿を消して現在に至ります。

では、次章より搭載モデルの中古車事情を覗いていきましょう
 

 

スバル アルシオーネ(初代)

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1985年にスバルのフラッグシップクーペとして販売を開始したアルシオーネ。当初は4気筒エンジンのみのラインナップとなっていましたが、87年7月に水平対向6気筒エンジンを搭載した「2.7VX」を追加。

当時としては先進的な4WDシステムの組み合わせや、スバル史上唯一となるリトラクタブルヘッドライトなどフラッグシップモデルらしい装備は備えていたものの、商業的には成功したとは言い難いモデルとなってしまいました。

そんなアルシオーネだけに中古車市場ではかなりレアな状態となっており、執筆時点での掲載台数はわずか4台(うち6気筒モデルが3台)。価格はほとんどが「応談」となっており、維持などの面も含め、それなりの覚悟が必要なモデルと言えるでしょう。
 

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スバル アルシオーネ(初代・水平対向6気筒エンジン搭載モデル)×全国
 

スバル アルシオーネSVX(初代)

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アルシオーネの後継車種として1991年に登場したアルシオーネSVXは、水平対向6気筒エンジンであるEG33型エンジンと4速AT、そして4WDのみという1種類のパワートレインとなりました。

グレード展開はベーシックな「バージョンE」と上級仕様の「バージョンL」の2グレード。それ以外では特別仕様車の「S40」、「S40II」、「S3」、「S4」が存在するといった状態です。

こちらは執筆時点で36台の掲載台数があり、安いものでは総額100万円以下、高いものでは800万円オーバーとかなり幅広い価格帯となっています。800万円超の物件は走行距離1000km未満というイレギュラーな存在ですが、それなりに状態のよいものを狙うのであれば、300万円前後の予算は見ておきたいというのが現状。

また、執筆時点では掲載はありませんでしたが、カタログには存在しない3ペダルMT仕様の改造車も流通することがあり、気になる人はチェックしておきたいところです。
 

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スバル レガシィランカスター(2代目)

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現在では「アウトバック」の名前で知られるレガシィツーリングワゴンをベースとしたクロスオーバーモデル。初代は2代目レガシィツーリングワゴンがベースでグランドワゴン名義として登場し、モデル途中でランカスターへと改名がなされました。

水平対向6気筒エンジンのEZ30型が搭載されたのは、3代目レガシィツーリングワゴンがベースのモデルで、2000年5月の一部改良のタイミングで登場。翌年のマイナーチェンジでは現在の運転支援システムであるアイサイトの原型となる「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」を搭載した「ランカスター6 ADA」も追加されています。

中古車としてはすでにかなり希少な部類となっており、執筆時点でランカスター6は1台のみの掲載。ただ2万km台で車両本体価格115.5万円と、希少性と状態を鑑みればそこまで高いとも言えない価格となっていました。
 

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スバル レガシィ B4/ツーリングワゴン(3代目)

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ボクサー6▲写真上がB4(セダン)で下がツーリングワゴン

ランカスターに先行して搭載されたEZ30型エンジンですが、2002年1月には通常のレガシィにも「RS30(B4・セダン)」と「GT30(ツーリングワゴン)」が追加設定されます。

こちらもランカスター6と同じく組み合わされるトランスミッションは4速ATのみとなり、ターボモデルに対してラグジュアリーな性格が与えられていました。

また、2002年8月にはこの6気筒モデルをベースとしたカスタマイズモデル「ブリッツェン6」が登場。ポルシェデザインのエアロパーツをまとったブリッツェンシリーズに6気筒モデルが追加された形となりました。

そんな3代目レガシィの6気筒モデルですが、セダンのB4が4台、ツーリングワゴンが3台とかなり希少。ただ、ブリッツェン6も含めてすべて総額100万円以内で購入できる価格帯となっており、まだプレミア価格とはなっていないようですが、走行距離の少ない物件は探しにくくなっているのが現状です。
 

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スバル レガシィ B4/ツーリングワゴン(4代目)アウトバック(3代目)

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ボクサー6▲上からB4、ツーリングワゴン、アウトバックとなる

4代目レガシィは2003年5月に発表されましたが、6気筒モデルはやや遅れた同年9月に販売をスタート。ツーリングワゴンには、アイサイトの基となった「ADA」搭載モデルも設定されていました。また、同年10月に登場したアウトバックにも同様に6気筒モデルが設定されています。

当初は5速ATのみの設定だった6気筒モデルですが、2005年5月にB4とツーリングワゴンに6速MTを組み合わせ、ビルシュタインサスペンションや18インチホイールなどを装着したスポーティグレード「3.0R spec B」を設定。このモデルは2007年5月の改良で廃止されているため、わずか2年のみ設定された希少なグレードとなりました。

この世代の6気筒モデルはB4が19台、ツーリングワゴンが15台、アウトバックが10台となっており、安価な物件では車両本体価格50万円を切るものも存在する一方で、走行距離が短めの物件は車両本体価格100万円超も珍しくありません。

また、6速MT車は高値安定となっており、15万km超の車両であっても総額100万円前後の価格となっており、10万km未満の物件はごくわずかかつそれなりの価格となっているのが現状。ただ、かなりレアなものであることは間違いないので、ある程度予算に余裕を持っておき、よい物件が出てきたら即決するくらいの覚悟が必要と言えるでしょう。
 

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スバル レガシィアウトバック(4代目)

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現在のところ、国内で最後の水平対向6気筒エンジンを搭載したモデルである4代目アウトバックは2009年5月に登場。排気量が3.6Lへと拡大され、ゆとりある走りを楽しめるモデルとなりました。

2010年5月の改良では運転支援システムのアイサイトがVer.2に進化したとともに、6気筒モデル全車に標準装備とし、フラッグシップモデルとしてふさわしい仕様となっています。

そしてモデル末期の2013年12月には、専用のブラウンレザーシートやつや消し本木目調加飾に、大型ルーフレールや専用アルミホイールを装着した「グランドマスター」をリリースし、有終の美を飾りました。

最後の6気筒モデルであるアウトバックの3.6Lモデルの中古車は執筆時点で15台の掲載があり、アイサイトVer.2搭載以前のモデルは総額100万円以下で狙える物件もそれなりに存在しますが、アイサイトVer.2搭載の低走行車ともなると総額150万円前後の予算は見ておきたい価格帯となっています。

とはいえ、新車時は総額400万円クラスの車両であることを考えれば買い得感は高いと言えるでしょう。
 

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このように、もともとフラッグシップモデルに搭載されていた水平対向6気筒エンジンだけに、中古車としてもそこまで台数が多いわけではありません。ただ、フラッグシップモデル故に丁寧に扱われてきた個体が多いというのもまた事実と言えるでしょう。

現在はダウンサイジングターボや電動化の波が押し寄せているため、今後新たにスバルのラインナップに水平対向6気筒エンジンが加わる可能性が低いことを考えると、状態のよい車両を狙うラストチャンスは刻一刻と迫っているので、気になる車両があったら即行動をオススメします。

※記事内の情報は2022年11月24日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/スバル
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。