GLA ▲2020年の登場以来、「ジャストサイズな輸入SUV」として人気を博している2代目メルセデス・ベンツ GLAの中古車平均価格が、この1年で大幅ダウンを記録しました。2代目GLAに何が起こったのか? そしてもしも中古車を買うとしたら、オススメの年式やグレードはどれになるのか? 検討してみましょう!

昨年8月からの1年で平均価格は約130万円ダウン

通算2代目となる現行型メルセデス・ベンツ GLAは、日本の道路にぴたりとハマるサイズ感に加え、メルセデスならではの上質さと機能の高さ、そしてコンパクトでありながら車内と荷室は意外と広いということで人気を集めているコンパクトSUVです。

しかし、そんな2代目メルセデス・ベンツ GLAの中古車平均価格が今、昨年8月からの約1年で約130万円もダウンしていることをご存じでしょうか?

GLA

メルセデス・ベンツの現行モデルですから、当然まだまだ「爆安」ではありません。しかし、「かなり現実味のあるプライスになってきた」と言える現行型GLAをもしも購入するとしたら、何年式のどんなグレードを狙うのが得策となるのでしょうか?

次章以降、順を追って考えてみることにしましょう。

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メルセデス・ベンツ GLAクラス(現行型) × 全国
 

1. モデル概要:「SUVらしいフォルム」に生まれ変わった新世代メルセデス

まずはメルセデス・ベンツ GLAというSUVの概要をざっくりおさらいしておきます。

メルセデス・ベンツ GLAは、その初代モデルは2014年に登場したコンパクトサイズのSUV。当時のAクラス用プラットフォームをベースに作られた初代GLAは、その適度なサイズ感とシュアな走り、そして「メルセデス・ベンツである」というブランド性が受けてスマッシュヒットを記録。

そして2020年6月にフルモデルチェンジを受けて登場したのが、今回考察する2代目(現行型)メルセデス・ベンツ GLAです。

 

GLA▲こちらが現行型(2代目)メルセデス・ベンツ GLA
GLA▲ボディサイズは全長4440mm×全幅1850mm×全高1605mm。車幅はやや広めだが、基本的には「日本の道でも扱いやすいサイズ」と言える
 

2代目GLAは、全長と全幅こそ「初代より少し大きくなった程度」ですが、全高は一気に11cmほど高くなりました。これにより、初代の「普通のハッチバックであるAクラスと見分けがつかない瞬間もある」というフォルムから、「いかにもSUVらしい」と言える造形と雰囲気に生まれ変わりました。

プラットフォームは現行型Aクラスと同じ「MFA2」という最新世代のもので、基本となるパワーユニットは最高出力150ps/最大トルク320N・mの2L直4ディーゼルターボ。トランスミッションは8速DCTで、駆動方式はフルタイム4WDが基本です。運転支援システムは、Sクラスと同等の機能をもつ「レーダーセーフティパッケージ」が全車標準装備となっています

 

GLA▲パッケージオプションなどによって細部は異なるが、2代目GLAの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。ダッシュボードに2枚のディスプレイを並べて、1枚のパネルのように見せている
GLA▲5名乗車地の荷室容量は、従来型比で+14Lとなる435L。コンパクトSUVとしては十分な広さだ
 

2Lディーゼルターボエンジン+フルタイム4WDの「GLA200 d 4マチック」のモノグレードで販売をスタートした2代目GLAでしたが、2020年秋には強力な2L直4ターボエンジンを搭載する「メルセデスAMG GLA 35 4マチック」と「同GLA 45 S 4マチック」を追加。さらに、2021年4月には最高出力136psの1.3L直4ガソリンターボエンジンを搭載するFFのエントリーグレード「GLA180」を追加しました。

その後、同年9月に一部装備の見直しと新車価格の改定を行い、現在に至る――というのが、2代目メルセデス・ベンツ GLAのざっくりとした概要およびヒストリーです。

 

 

2. 価格状況&考察:大幅下落の要因は特にネガティブなものではなさそう

2022年8月から今年7月にかけて平均価格が約130万円も下がったというのは、「中古車狙い」の人間にとっては喜ばしい事実です。

しかし、モノの値段が安くなるときには「それ相応の理由」があったりもします。つまり、2代目メルセデス・ベンツ GLAは何らかの“訳あり”だったからこそ、中古車の平均価格を大きく下げたのではないか――という疑念もあるわけです。

結論から申し上げると、2代目GLAの平均価格大幅下落に、特にネガティブな“訳”はありません。

下のグラフをご覧ください。

GLA

こちらは2022年6月から直近までの2代目メルセデス・ベンツ GLAの中古車延べ掲載台数をグラフ化したものです。そして見てのとおり、2022年の秋から冬にかけて掲載台数が増加していることがわかります。

2022年の後半に2代目GLAを手放す人が増えた理由は、「◯◯という部品が壊れまくるから」みたいな話ではなく、単純に「初代車検のタイミングが近づいたから」であると推測されます。

日本では2020年6月に発表された2代目GLAですが、実際のデリバリーが始まったのは同年7月頃でした。そのため、最初期に納車されたGLAの初回車検時期は「おおむね2023年7月から」ということになります。しかし、近年主流である「残価設定ローン」を使って3年契約で新車を購入した場合、その乗り替えや車両の返却などは「初回車検の月」ではなく、「そのちょっと前の月」に行われます。

さらに、新車から3年近く乗ったうえで手放す(乗り替える)よりも、2年ぐらい乗った時点(まだまだ車がピカピカに近い時点)で手放し、次の新車に乗り替える――という人も最近は増えているようです。

そういった背景を考えると、2022年の秋頃から2代目GLAの中古車流通量が増えていったのはある意味「必然」であり、数が増えた銘柄の平均価格が下がるのも、これまた市場の必然です。

要は2代目メルセデス・ベンツ GLAの中古車平均価格が1年間で130万円も下がったことに「特にネガティブな理由はない」ということですので、この問題については以後、まったく気にしないでOKでしょう。

GLA▲エンジンや足回り、8速DCTなどに「必ず壊れる弱点」のようなものは特にはなく、平均価格の大幅ダウンは単なる“自然落下”だと考えられる
 

3. 中古車のオススメ1|コスパ重視なら2020年式GLA200 d 4マチック

コスパ重視で2代目メルセデス・ベンツ GLAの中古車を購入するなら、つまり「お値打ち予算の範囲内で、なるべくいい感じの個体を買いたい」と考えるなら、ベストバイは最初期年式=2020年式の「GLA200 d 4マチック」です。これの走行1万km台から2万km台ぐらいの物件を、直近の平均価格以下である「総額440万~480万円あたり」で入手するのがオススメとなります。

GLA▲総額400万円台半ばから後半ぐらいで、走行2万km台までの物件が普通に狙えるGLA200 d 4マチック。2Lディーゼルターボエンジン+フルタイム4WDとなる、2代目GLAの中心グレードだ
GLA

2Lのディーゼルターボエンジンを搭載する4WDモデルであるGLA200 d 4マチックより、1.3Lガソリンターボエンジンを搭載するFFのエントリーグレード「GLA180」の方がコスパは高そうなイメージもあります。しかし、実際のGLA180は年式的にまだ新しいということもあって、総額540万円以上になる場合がほとんど。さらには流通量も激少であるため、わざわざ選ぶ意味はほとんどありません。

総額400万円台のGLA200 d 4マチックは流通量が多いゆえに「コンディションの吟味と取捨選択」が行いやすく、なおかつ2Lディーゼルターボ+フルタイム4WDのシュアな走りも魅力となります。コンパクトでプレミアムなSUVを探している人には、かなりマッチする選択肢だと言えるでしょう。

 

GLA▲GLA 200 d 4マチックが搭載する2L直4ディーゼルターボはガソリンエンジン的によく回るユニットで、なおかつ静粛性もきわめて高く、ディーゼル特有の振動も少ない
 

この予算帯で狙えるGLA200d 4マチックには、18インチホイールを履く標準モデルの他に、「AMGライン」というパッケージオプションが付いた中古車も多数流通しています。

両者のエンジン等は同じですが、AMGラインの方は「AMGスタイリングパッケージ」や「レザーDINAMICAシート」「スポーツコンフォートサスペンション」「19インチAMG5ツインスポークアルミホイール」等々が装着されています。

標準車とAMGラインの中古車価格にさほど大きな差はないため、どちらを選ぶべきかは「あくまで好みの問題」ということで良いかと思います。ただ、流通量が圧倒的に多くて探しやすいのは「AMGライン」です。

 

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メルセデス・ベンツ GLAクラス(現行型) × 2020年6月~2020年12月 × GLA200 d 4マチック × 全国
 

4. 中古車のオススメ2|パフォーマンス重視ならメルセデスAMG GLA 35 4マチック

2代目GLAの直近の平均中古車価格である約510万円、支払総額で考えると「おおむね540万円ぐらい」を拠出すれば、走行数千kmレベルの2021年式GLA200d 4マチック AMGラインを狙うことができるでしょう。

……それはそれでぜんぜん悪くないとは思うものの、総額500万円台半ばかそれ以上のお金を投じるなら、もうちょっとインパクトというかダイナミズムが感じられる選択をしたい――という思いもどこかにあります。

もしもそんな思いに賛同いただける方がいらっしゃるとしたら、その方へのオススメは「2020~2021年式メルセデスAMG GLA 35 4マチック」です。

 

GLA▲こちらが最高出力306psの強力な2L直4ガソリンターボエンジンを搭載するメルセデスAMG GLA 35 4マチック
 

メルセデスAMG GLA 35 4マチックは、2代目GLAのデビュー年である2020年の10月に追加された、高出力エンジンと専用セッティングのシャシーなどでパフォーマンスを高めつつ、同時に快適性にも配慮したスポーツモデルです。

搭載エンジンは最高出力306ps/最大トルク400N・mを発生する2L直4ガソリンターボ「M260」で、トランスミッションは8速デュアルクラッチ式ATである「AMGスピードシフトDCT」。フルタイム4WDの駆動トルクは「AMG 4MATIC」によって前後100:0から50:50の範囲で連続可変配分され、エンジンやトランスミッション、連続可変ダンパーなどを統合制御するドライブモードも全5種類が用意されています。

そしてもちろんAMGモデルならではの硬派なエクステリアデザインも魅力であり、フル液晶メーターである「コックピットディスプレイ」に3種類のAMG専用表示スタイルが設定される点にも、人によっては大いに魅了されるでしょう。

 

GLA▲GLA 35 4マチックの運転席まわりはおおむねこのような世界観
GLA▲エンジンやトランスミッション、連続可変ダンパーなどを統合制御するドライブモードは全5種類を用意。AMGモデル専用の表示デザインも採用されている
 

中古車価格は、前席ベンチレーター付きAMGパフォーマンスシートや同パフォーマンスステアリングなどからなる「AMGパフォーマンスパッケージ」が付いている物件はけっこう高額です。しかしそうでなければ、「AMGアドバンスドパッケージ(ヘッドアップディスプレイ+アドバンスドサウンドシステム)」付きであっても、走行数千kmから2万kmぐらいの物件を総額600万円前後で狙うことができます。

GLA200 d 4マチック AMGラインの2021年式を狙う場合よりも50万~60万円ほど高くなってはしまいますが、「エクストラマネーを出すだけの満足感」は確実に得られるはずの選択肢です。

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メルセデスAMG GLAクラス(現行型) × 2020年10月~2021年8月 × GLA 35 4マチック × 全国

ハイコスパな2020年式G200 d 4マチックを選ぶか、ハイパフォーマンスなメルセデスAMG GLA 35 4マチックを選ぶかは、もちろんお好みと予算、そして人生観次第ではあります。

しかし、どちらを選ぶにせよ2代目メルセデス・ベンツ GLAの中古車は、もしもあなたがプレミアムなコンパクトSUVを探しているのであれば、検討対象に一度は入れてみるべき選択肢だと言えるでしょう。

 

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文/伊達軍曹 写真/尾形和美、柳田由人、メルセデス・ベンツ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。