【祝! 頭文字D30周年】 主人公・藤原拓海の愛機ハチロクことスプリンター トレノAE86の中古車状況は今どうなってる? モデル概要、狙い方も併せて解説
2025/09/16
▲漫画『頭文字D』が今年7月、連載開始から30周年を迎えました。主人公・藤原拓海が乗っていた4代目トヨタ スプリンター トレノの中古車相場が高騰していることは重々承知ですが、果たして今現在、AE86はいくらぐらいで買えるのでしょうか?AE86は今、いくら出せば買えるのか?
伝説の大ヒット漫画『頭文字D』の第1話が1995年7月17日発売のヤングマガジン誌に掲載されてから、今年で30周年を迎えました。
「イニD」には様々な車が登場しましたが、中でも圧倒的な存在感を誇ったのは、主人公である藤原拓海の愛機、AE86(4代目トヨタ スプリンター トレノ)でしょう。
▲こちらが頭文字Dの主人公である藤原拓海の愛機であるAE86(4代目トヨタ スプリンター トレノ)1990年頃のAE86といえば「かなり安く売られている中古車」というイメージがありましたが、1995年に『頭文字D』の連載が始まったことで人気に火がつき、中古車価格は徐々に高騰していきました。
そしてその後も超絶人気を維持してきたAE86ですが、イニDの連載開始から30周年を迎えた今、その中古車相場はどうなっているのでしょうか? 改めて見てみることにしましょう。
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トヨタ スプリンタートレノ(AE86型)モデル概要:1.6L DOHCエンジンを搭載する小型軽量FR車
多くの人にとっては今さらな話かもしれませんが、まずはAE86について軽くご説明いたします。
AE86型スプリンター トレノは、1983年から1987年にかけて販売された4代目トヨタ スプリンターのスポーツ系モデル。ほぼ同デザインなれど1.5LのSOHCエンジンを搭載した「AE85」という型式のモデルも存在しましたが、AE86は、最高出力130ps/6600rpmの1.6L DOHC 16バルブ「4A-GEU」エンジンを搭載したモデルです。
▲1983年にデビューしたハチロクは限界まで性能を使えるFRとしてレースでも活躍した
▲いまだに高い人気の4A-G型エンジン
▲こちらは2ドアのAE85AE86にはご承知のとおり、トヨタのカローラ店で販売されていた「カローラ レビン」と、トヨタオート店(現ネッツ店)で販売された「スプリンター トレノ」の2系統があり、両者は共通の車台を採用した兄弟車。『頭文字D』で藤原拓海が乗っていたのはトレノの3ドアモデルで、リトラクタブル式のヘッドライトが特徴となります。
グレード構成は、2ドアノッチバックには「GT」と「GTアペックス」が設定され、藤原拓海が乗っていた3ドアハッチバッククーペには「GTアペックス」と「GTV」を設定。それぞれの主な特徴は下記のとおりです。
●GTアペックス:リアワイパーとパワーステアリング、デジタルメーターを標準装備する最上級グレード。トランスミッションは前期型が5MTのみで、後期型は4速ATもラインナップ。
●GTV:競技ベースモデルで、装備は簡略。トランスミッションは5MTのみ。
●GT:競技ベースモデルで、装備はGTV以上に簡略。トランスミッションは前期型が5MTのみで、後期型は4速ATもラインナップ。
AE86は1984年に一部改良を行ったのち、1985年に外観の変更を中心とするマイナーチェンジが行われました。これに伴って1983~1984年式を「前期型」とし、一部改良後の1984~1985年式を「中期型」、そしてマイナーチェンジ後の1985~1987年式を「後期型」と区分する場合が多いのですが、1985年のマイナーチェンジを境に「前期型と後期型」の2つにざっくりと区分する場合もあります。
中古車状況:流通台数は常に少なめで、直近の平均価格は500万円強
筆者の記憶によれば、1990年代初め頃のAE86型トヨタ スプリンター トレノは「中古車販売店の軒先で格安価格にて売られている車」または「地元の怖い先輩から『20万円で買え!』と無理強いされる車」でした。
しかし、前述のとおり、1995年7月に『頭文字D』の連載がヤンマガで始まって以来、その相場はじりじりと上昇し、やがて大ブレイク。とてもじゃありませんが20万円で買える車ではなくなり、300万円あるいは400万円ほどが相場となっていきました。
そして、その後もAE86型スプリンター トレノの中古車支払総額平均は緩やかに上昇が続き、直近は500万円強に。流通量自体が常に10台前後と少ないため、平均価格は450万~540万円ぐらいの範囲で上下にぶれ続けていますが、少なくとも上昇傾向であることは間違いありません。
▲2024年8月から2025年7月までの中古車平均支払総額とはいえ総額500万円前後という価格は「5000万円前後」と違い、「現実的に考えて絶対無理!」となる金額ではありません。その気になれば、なんとかならなくもない金額ではあるでしょう。
ならば、もしもいよいよ本気で“ハチロク”を狙うのであれば、どんな買い方をするべきなのか? 次章にて考えてみます。
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トヨタ スプリンタートレノ(AE86型)いよいよ本当に買うなら、まずは「愛され系専門店」を探せ?
AE86のスプリンター トレノを狙うにあたり、まず絶対にオススメできないのは「安~いハチロクをどこかで探して入手し、自分でコツコツ直しながら乗っていこう」と決意することです。
自分でコツコツ直していこうとする心意気はご立派ですが、そういった超格安物件はボディの底部などがぐじゅぐじゅにサビていることも多く、そうであった場合は、素人が「コツコツ直す」のはほぼ不可能です。プロに直してもらうにしても、おそらくは数百万円単位のお金がかかるでしょう。
そして、そういった超格安物件は、ボディのサビ以外にも「不具合の総合デパート」である可能性が非常に高いといえます。それを自分でコツコツ直すのもひとつの人生かもしれませんが、そういった個体をきちんとした状態にするには、果てしない時間とお金がかかります。で、時間とお金を投じたのに、結局は直らなかったりもします。
全人生を賭けたライフワークとして取り組みたい場合は別ですが、そうでなければ、やめておいた方がいいでしょう。
▲写真は前期型AE86お次にやめておいた方がいいのは、「ピカピカな外観だけに引かれて購入する」という行為です。ボディの底部などがぐじゅぐじゅにサビている個体であっても、とりあえずボディを全塗装してやれば、さしあたっては「ピカピカのハチロク」に見えます。
しかし、その実態は不具合の総合デパートであったりもするわけです。全塗装された物件が悪いわけでは決してありませんが、外観だけで判断するのは非常に危険であるという話です。ハチロクは、あくまでも「総合的な判断」に基づいて購入するようにしましょう。
▲写真はトヨタ自動車がオフィシャルで企画・制作および架装を施したスプリンタートレノベースの「AE86 G16E Concept」(右)と、カローラレビンベースの「AE86 BEV Concept」(左)ならばその「総合的な判断」とやらはどうすれば良いかというと、筆者が考える方法は下記のとおりです。
1. 価格は「平均価格ぐらい」をターゲットとする
安すぎる物件は基本的に論外ですし、1000万円を超えるような一部の物件は、よっぽどのコレクターでない限り非現実的です。となると必然的に平均価格ぐらいの物件、つまり直近でいうと500万円前後の物件に、ターゲットは集約していきます。
2. 「愛され系の専門店」を探し、そこで購入する
AE86は、今となっては一般店ではなく「専門店」ないし「AE86に強い店」で購入するべきです。年式的にどうしても、維持していくにはその道のプロの知見とサポートが必要になるからです。
とはいえ「専門店」や「強い店」にもいろいろあり、中には「中身はサビまくりのぐじゅぐじゅ車を、全塗装して高く売る」なんていうビジネスモデルの専門店が、絶対にないとはいえません。
しかし、外から見ただけでは、「そのお店の本当のビジネスモデル」などわからないものです。
ならばどうすれば良いかといえば、「愛され系の専門店」を探すことです。
▲希少な存在であるからこそ、状態のいい個体を見つけたいところだそのお店で過去にAE86を購入した人が、なんだかんだで休日などに(大した用もないのに?)入れ替わり立ち替わりハチロクに乗って来店し、ちょっとした整備のついでに、店主やメカさんなどとハチロク談義をしているような専門店は「愛され系」であり、しっかりとしたハチロクビジネスをなさっている可能性が高いでしょう。
「人が寄り付く」ということは、「愛されている」ということです。もしもそのお店が「ボディはピカピカだけど、中身はぐじゅぐじゅ」みたいなAE86を高額で販売するようなお店であったなら、そのお客は、二度とその販売店には寄り付かないはず。そうではなく「お客が寄りついている」のであれば、そのお店はきっと、お客が払った対価分またはそれ以上の価値を、お客に与えているはずだと推測できるわけです。
そういった愛され系の専門店に物件選びの段階から関与してもらえば、きっと素敵なAE86が買えるでしょう。
この他に「ある程度のメンテナンスと部品の入手は、自分自身でもできるようにしておく」というのも重要なポイントではあるのですが、それについてはまた別の機会に譲るとして、とりあえず今は「平均価格ぐらいの予算を想定しつつ、がんばって愛され系専門店を探し出してください!」とだけ、お伝えしておきます。
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トヨタ スプリンタートレノ(AE86型)
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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トヨタ
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支払総額525万円
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