前回のラパンとは正反対!? 今度の車はカッコよさが魅力【S660編・東京スマート軽ライフ】
2016/09/27
自動車ライター、塩見智さんが軽自動車に約1ヵ月間乗り、東京での軽ライフをリポートする「東京スマート軽ライフ」。高級車が溢れる東京での軽ライフを赤裸々につづっていく。今回はS660編の第1回。

前回のラパンとは正反対!?
JR四ツ谷駅を出て、交通量の多い新宿通りで待っていると、黄色いホンダ S660が交差点を右折して僕の前に止まった。小さい。低い。カッコいい。現行ホンダ車No.1のカッコよさと断言してしまおう。助手席に乗り込もうとドアを開け、狭い車内を一見し、運転席の担当編集者に思わず「荷物はトランクに載せるわ」と言ってしまったが、そういえばこの車にトランクはないんだった。しかたなく膝の上にかばんを載せる。
助手席からスタートしたS660との生活。せっかくなので助手席からの景色を実況すると、まず目線が低い。乗用車の中では最も低い部類に入るだろう。乗り込む作業は、まるで地面に座るような感覚だ。ドアを大きく開けて乗り降りしたい。また、これは座面が低いオープンカーあるあるだが、頭をかがめなくてよい分、オープン状態の方が乗り降りしやすい。
車内は狭いのだが、乗り込んでしまえば快適だ。足を前へ投げ出し、背もたれを寝かせたリラックスした姿勢が基本となるので、長時間座っていても窮屈な思いをすることはない。ただし、冒頭にも述べたように助手席に人が乗るということは、荷物を一切置く場所がなくなるということを意味する。足元にもスペースはほとんどないのでその点は本当に困る。フロントのボンネットフード下には取り外したソフトトップを収納するスペースが用意されているので、トップを外さない限り、かばん程度ならそこへ入れることができる。だが熱を持つので生鮮食品やPCなどは入れられない。


注目度は抜群の箱庭スポーツカー
東京スマート軽ライフ史上(←大げさ!)最も周囲からの注目を集める車だ。信号待ちで見られ、高速道路のサービスエリアで見られ、路肩に止めて見られる。これはアルトワークスにも、タントカスタムにも、アルトラパンでもなかったことだ。あくまでも運転席からの想像だが、珍しいものを見たというのではなく、楽しそうな車に乗っているねという視線に思えた。先日、フェラーリ 488スパイダーを試乗中に感じた、いったいどんな人が乗っているんだろう……という好奇の視線とは明らかに異なり、温かさを感じた。
パワーやハンドリングなど、車として、スポーツカーとしてどうかについては次回以降に報告するが、数日かけて運転しての第一印象は、ドライバーと車の一体感を感じさせる車だということ。操作に対して反応が遅れることなく、意のままに動いてくれる。安っぽさがない。軽自動車に乗っている感覚はない。目線の低さからだけではなく、挙動からも重心の低さを感じる。街中の交差点を曲がっただけでワインディングロードのコーナーを駆け抜けたときのような爽快感を味わうことができるのだ。ほんの数日で、この箱庭スポーツカーを一気に気に入ってしまった。

【筆者プロフィール】
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経て、フリーランスの自動車ライターへ。軽自動車好き。SUV好き。「カーセンサーnet」をはじめ、「GQ Japan」「GOETHE」「webCG」「carview!」「ゴルフダイジェストオンライン」などにて執筆中。
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