【図説で愛でる劇中車 第17回】「昭和ウルトラシリーズ」に登場する車たちは、SF感いっぱいで夢いっぱい!
カテゴリー: クルマ
タグ: マツダ / フォルクスワーゲン / シボレー / クライスラー / コルベア / タイプII / スカイライン / インペリアル / コスモスポーツ / 図説で愛でる劇中車 / 遠藤イヅル / c!
2020/10/07
国内外問わず様々な映像作品(アニメも含め!?)に登場したあんな車やこんな車を、イラストレーター遠藤イヅルが愛情たっぷりに図説する不定期連載!
第17回は、「昭和時代のウルトラシリーズ」から、昭和41(1966)年から昭和46(1972)年にかけて制作された4作品「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」そして「帰ってきたウルトラマン」に登場した、印象的な車たちをイラストにしてみました。
劇中車界(?)における大本命のひとつが、ついに登場です!
特撮SFドラマ「ウルトラQ」の「スカイライン スポーツ コンバーチブル」と、「ウルトラマン」の「科特隊専用車」
現在もなお新作がリリースされ続けている、円谷プロ制作の特撮「ウルトラシリーズ」。そのスタートを切ったのは、昭和41年1月から7月放送の「ウルトラQ」でした。
本作ではまだ巨大ヒーローは現れておらず、3人の主人公が摩訶不思議な事件の解決を行っていました。
その主人公の一人、星川航空(架空)のパイロット・万城目淳(まんじょうめ じゅん)が劇中で乗っていた車が、「プリンス スカイライン スポーツ コンバーチブル」。
日産と合併する前のプリンスが、昭和37(1962)年から39(1964)年にかけて販売した、ミケロッティ・デザインの流麗なクーペ「スカイライン スポーツ クーペ」をベースにしたコンバーチブルでした。
大学初任給が2万円ほどで、国産の最上級車「トヨタ クラウン」が120万円だった時代に、クーペが185万・コンバーチブルが195万円という超高級車。生産台数は合計で約60台といわれています。
そんなすごい車を乗り回していた万城目、かなりすごい人だったのかもしれません……。
ウルトラQに続けて昭和41年7月から放送を開始したのが、「ウルトラマン」です。
地球防衛組織に所属する主人公が変身し、巨大なヒーローとなり怪獣と戦うというフォーマットは、以降のウルトラシリーズの方向性を決定づけました。
「ウルトラマン」では、「科学特捜隊(科学特別捜査隊/科特隊)」の隊員・ハヤタがウルトラマンに変身して、怪獣や宇宙人と戦いました。その科特隊で用いられていた車が、「科特隊専用車」です。
「シボレー コルベア」に科特隊のマークを貼り付けただけでしたが、アメリカ車としては画期的なリアエンジン車だったコルベアの未来っぽさが、SF番組にふさわしい雰囲気を醸し出していました。
なお、科特隊専用車の流星マークには「星が青」バージョンと「星が赤」バージョンの2種類があり、今回は物語後半で活躍する「後期型=星が赤」の仕様を描いてみました。
ハードなSF「ウルトラセブン」の世界観を深めた「ポインター」
昭和42年10月からは、「ウルトラセブン」が始まりました。
同作は各話に強いテーマ性をもたせており、大人が見ても考えさせられるようなハードなストーリーが多いのが特徴です。
そのため、現在でもなお熱狂的なファンが多く、「ウルトラシリーズ最高傑作」とする声も少なくありません。
主人公のモロボシ・ダン(=ウルトラセブン)は、地球防衛軍の精鋭部隊「ウルトラ警備隊(TDF=Terrestrial Defense Force)」の隊員です。
ウルトラ警備隊には「ウルトラホーク」「マグマライザー」「ハイドランジャー」などの未来感いっぱいのスーパーメカニックが多数登場し、こちらもウルトラセブンの人気を高めています。
特に、ウルトラ警備隊の専用車「ポインター」は、ウルトラシリーズ屈指の人気車。
「クライスラー インペリアル」をベースに大改造が施され、SFカーらしい造形を得たポインターは、キング・オブ・劇中車、劇中車の大本命と言っても差し支えないほどです。
劇中では多数が配属されている様子がうかがえるなど、組織で運用される車両、というリアルな描写が光っていました。
ポインターとセットで描いたのは、第8話「狙われた街」でメトロン星人が“仕事”に使用した「フォルクスワーゲン タイプII」です。
なおこの車自体は、「モービルライフ」という会社が貸し出していた「レンタルキャンピングカー」だったことが判明しています。
「帰ってきたウルトラマン」のストーリーを彩った「マットビハイクル」
ウルトラセブンの放送終了からしばらくたった昭和46(1971)年4月から翌年3月にかけて、昭和ウルトラシリーズの第2期トップを飾る「帰ってきたウルトラマン」の放送が始まりました。
本作では、主人公・郷秀樹(ごう ひでき)を、MAT (怪獣攻撃部隊=Monster Attack Team)という組織の隊員でありながら、敵を倒すのに苦悩したり、自らの特殊能力を過信するなど、等身大の人間的なキャラクターとして設定していました。
なお郷秀樹が変身するウルトラマンは、ウルトラマン(初代)とは別人で、のちに「ジャック」という名前が付けられて区別されるようになりました。
MATの専用車は、白い車体に赤いラインが印象的な「マットビハイクル」です。
「マツダ コスモスポーツ(L10B型)」をベースにしており、こちらも特撮の劇中車では真っ先に名前が挙がる名車です。
劇中では、郷秀樹がウルトラマン・MAT隊員になる前に勤めていた「坂田自動車修理工場」の優秀なメカニックで元レーサーの坂田健によって、「スタビライザー」(実際はリアウイング)が装着されるなど、登場人物との深い関わりも描かれていました。
SF作品の世界観を盛り立てるウルトラシリーズの劇中車には、夢がいっぱい詰まっています。
昭和ウルトラシリーズはまだ続きがあり、出てくる車もいろいろな意味で(笑)パワーアップ! この続きはまたあらためてお送りしますね。
イラストレーター/ライター
遠藤イヅル
1971年生まれ。大学卒業後カーデザイン専門学校を経て、メーカー系レース部門のデザイナーとして勤務。その後転職して交通系デザイナーとして働いたのち独立、各種自動車メディアにイラストレーター/ライターとしてコンテンツを寄稿中。特にトラックやバス、商用車、実用的な車を好む。愛車はサーブ900、VWサンタナほか実用的な車ばかり。
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