XV ▲高い人気を誇るゆえに、中古車平均価格も高値安定状態が続いていた「スバル XV」ですが、ここにきてついに中古車平均価格が200万円を切ってきました。となれば、何年式のどんなグレードを狙うのがより得策なのか、じっくり考えてみることにしましょう!

今年春から夏にかけて200万円という「最終防衛ライン」をついに突破

2017年のデビュー以来、スバル車としては異例と言っていいほど幅広い層からの人気を集めてきた初代スバル XV。

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ご承知のとおり程よいサイズ感とナイスなビジュアル、そして本格的な走行性能でもって高く評価されているクロスオーバーSUVですが、評価=人気が高いだけあって、その中古車価格は高値安定状態が続いていました。

しかし今、そんなスバル XVの中古車平均価格が大きく下がっています。

下のグラフをご覧ください。

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2021年から2022年にかけては「おおむね220万円前後」で安定推移していたXVの中古車平均価格ですが、2023年春頃から明確なダウントレンドに転じて200万円の防衛ラインを突破し、直近の2023年9月には193.6万円に。前年同月と比べて約27万円もお安い平均価格に変わっています。

このように「実はけっこうお手頃な価格」になった初代スバル XVをこれから買うとしたら、何年式のどんなグレードをいくらぐらいで買うのが“得策”となるのでしょうか? 次章以降、チェックしてみることにしましょう。

XV▲もしも総額100万円台の予算で「コンディションの良いモノ」が買えるなら、ぜひ入手してみたい初代スバル XVだが、果たして?

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モデル概要:本格SUV並みの悪路走破性と快適なオンロード性能が見事に同居

まずは初代スバル XVのモデル概要をざっとおさらいします。

スバル XVは、5ドアハッチバックであるインプレッサ スポーツ(現インプレッサ)をベースとするCセグメントのクロスオーバーSUV。当初は「インプレッサXV」という、インプレッサの派生モデルとしての車名で販売されていましたが、今回検討する2017年5月に発売された世代から「スバル XV」というシンプルな車名に変更されました。

基本骨格は「スバルグローバルプラットフォーム」という新世代プラットフォームで、ボディサイズは全長4465mm×全幅1800mm×全高1550mm。最低地上高は200mmで、スバル得意のフルタイム4WDシステムとX-MODEというタイヤの空転を防ぐ電子デバイスも併せ、本格SUV並みの悪路走破性能を確保。しかしそれでいて舗装路での走行安定性や快適性もきわめて優れているというのが、スバル XVの大きな特徴です。
 

XV▲こちらが初代スバル XVの初期モデル
XV▲「大きすぎず、かといって小さくもない」という絶妙なサイズも人気の源で、そのサイズ感は後継モデルである「スバル クロストレック」にも受け継がれた
XV▲SUVらしい「スポーツ感」と「上質感」がうまくミックスされているXVのインテリア。写真のグレードは2.0i-Sアイサイト
 

当初用意されたパワーユニットは1.6Lまたは2Lの水平対向4気筒自然吸気エンジンで、組み合わされるトランスミッションはスバルが「リニアトロニック」と呼ぶCVT。運転支援システム「アイサイト」はver.3という世代が搭載されました。

2018年10月には、2Lエンジンにモーターを組み合わせたe-BOXERというパワーユニットを搭載する「アドバンス」グレードを追加。そして、2019年10月には同じe-BOXERユニットを搭載する「2.0e-Lアイサイト」と「2.0e-Sアイサイト」を追加し、運転支援システムが「アイサイト・ツーリングアシスト」に進化しました。

さらに、翌2020年10月には大幅改良が実施され、フロントフェイスやアルミホイールのデザインを変更すると同時に、ボディカラーにも新色を採用。そして、全グレードにおいてサスペンションを改良し、e-BOXER搭載車では、SI-DRIVEと協調するアダプティブ変速制御「e-Active Shift Control」を新採用。よりスポーティな走りが可能になりました。
 

XV▲こちらが2020年9月の大幅改良を受けた世代。フロントまわりのデザインが少し変更されている
 

そして2021年12月のちょっとした改良を経て、翌年の2022年12月、後継モデルである「スバル クロストレック」にカタログモデルとしての座を譲った――というのが、初代スバル XVという車の大まかな概要とヒストリーです。
 

 

考察:平均価格ダウンは新型クロストレック登場の影響か

長らく「高値安定相場」が続いていたスバル XVの中古車平均価格が、2023年の春から夏にかけて比較的大きく下がった理由は、「後継モデルに相当するスバル クロストレックが発売されたから」ということになるでしょう。

XV▲こちらが初代スバル クロストレック

クロストレックが正式発売され、そして徐々に納車が始まっていった2022年暮れから2023年春頃というのは、2020年秋の大幅改良モデルを購入したユーザーが初回車検を迎えるちょっと前のタイミングであり、2017年か2018年頃にXVの初期モデルを購入したユーザーが「2回目の車検を通そうかな、どうしようかな……」と考え始めるタイミングでもあります。

そんなタイミングで、「どうやらかなり出来がいいらしい」という新型モデル「クロストレック」が発売されたわけです。そうなると、もちろん全員ではありませんが、一部のXVユーザーは確実にクロストレックへと興味の対象を変えますので、必然的にXVの市場価値は(相対的に)下がり、それに伴って平均価格も下がっていった――というのが、今回の価格下落のメカニズムなのでしょう。

つまり「何らかのネガティブな要因が明らかになったから暴落した」的な話ではまったくないため、もしもあなたが「クロストレックより、まあまあお手頃な価格になったXVの方が興味深い」と感じているのであれば、XVを選んでも何ら問題ない――ということです。

XV▲CVTを含め、特に大きな“持病”のようなものは持ち合わせていない。写真はスバル XVのスバルグローバルプラットフォーム
 

中古車のオススメその1|コスパ重視なら2017~2018年式の1.6または2.0
予算イメージ:総額150万~190万円

スバル XVという非常に優秀なクロスオーバーSUVを「総額100万円台の予算で狙う」というコスパ重視の戦略で臨むなら、狙うべきは2017~2018年式の「自然吸気エンジン」に「アイサイトver.3」を組み合わせていた世代です。具体的には下記の3グレードで、走行距離だけを物差しとするのはナンセンスなのですが、まぁ走行4万km台までの物件が余裕で探せるでしょう。

●1.6i-L アイサイト 4WD
●2.0i-L アイサイト 4WD
●2.0i-S アイサイト 4WD

上の3グレードそれぞれの違いは、1.6iと2.0i系の違いは文字どおりエンジン排気量で、2.0i-Lと2.0i-Sの違いは、いくつかの装備差と「ホイール径」の違いです。2.0i-Lは比較的エアボリュームの多い17インチのタイヤとホイールを装着しており、2.0i-Sは低扁平な18インチを採用しています。
 

XV▲こちらが18インチホイールを履く2.0i-Sインサイト(ルーフレールはメーカーオプション)
XV▲こちらは17インチホイールとなる2.0i-Lインサイト
 

これら3グレードは、新車時は当然ながらグレードによって価格が違いましたが、中古車価格となった今ではあまり差がありません。というか「グレード差ではなく、コンディションやオプション装備などの差によって価格が変わる」という状況になっているのです。

そのため、もしもコスパ重視でこの世代のXVを狙うのであればグレード決め打ちで探すのではなく、「各グレードのキャラを頭に入れたうえで、コンディションと価格のバランスが良い個体をグレード不問で柔軟に探してみる」というのが、勝利への道となるでしょう。

各グレードの主なキャラは下記のとおりです。

●1.6i-L アイサイト 4WD:2.0と比べればやや非力で、装備もややショボいが、その分だけ乗り味は軽快で好ましい。
●2.0i-L アイサイト 4WD:2.0i-Sと比べてビジュアルや装備はやや地味だが、17インチの乗り味はソフトかつタイトな絶妙さ。
●2.0i-S アイサイト 4WD:2.0i-Lと比べてビジュアルと装備はややカッコいい。そして、18インチのタイヤ&ホイールがもたらす乗り味もタイトでスポーティ。しかし、17インチの方が快適ではあるかも?

上記は「優劣」というよりも「それぞれの個性」ですので、これを頭に入れたうえで、自分に合いそうなグレードの良質物件を探してみてください。
 

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スバル XV(初代) × 2017~2018年式 × 1.6i-L アイサイト 4WD × 全国

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スバル XV(初代) × 2017~2018年式 × 2.0i-L アイサイト 4WD × 全国

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スバル XV(初代) × 2017~2018年式 × 2.0i-S アイサイト 4WD × 全国
 

中古車のオススメその2|パフォーマンス重視なら2020年式以降のe-BOXERグレード
予算イメージ:総額220万~290万円

いわゆるコスパ以上にパフォーマンスの高さを重視したいのであれば、マニアからは「E型」と呼ばれている2020年10月の大幅改良を経た世代のe-BOXER搭載グレードが、基本的にはオススメとなります。理由は下記のとおりです。

●e-BOXERの「余裕」が魅力的
最高出力145psの2L水平対向エンジンを同13.6psのモーターがアシストするe-BOXERは、マイルドハイブリッドとはいえ実燃費は正直大したことがありません。しかし、モーターアシストによる「プラスαの余裕」は、そもそも運転が楽しいXVという車の走りを、さらに楽しいものにしてくれます。
 

XV▲モーターが付加されたことで、燃費が向上したというよりも「加速時などの快楽が増した」というのがe-BOXER搭載グレードの特徴となる
 

●「アイサイト・ツーリングアシスト」が便利
2019年10月から、XVのアイサイトはver.3から「ツーリングアシスト」に進化しています。ver.3でも特に問題ないといえばないのですが、一度ツーリングアシストを体験してしまうと、ver.3には戻りたくない気持ちが湧いてしまうのも確かです。

●足回りとアダプティブ変速制御が素敵
2020年10月の大幅改良でサスペンションが改良され、XVならではのしなやかさとスポーティさがより高い次元で両立するようになりました。さらにe-BOXER搭載車では、SI-DRIVEと協調するアダプティブ変速制御「e-Active Shift Control」が採用され、いわゆるスポーティな走りがより楽しめるようになっています。

●エクステリアデザインが素敵?
2020年10月の大幅改良ではフロントフェイスなどのデザインも変更されました。ここは好みが分かれる部分かもしれませんが、2020年10月以降のE型の方が確かに「新しい感じ」はあります。
 

XV▲フロントグリルやバンパーなどの形状が変更された2020年10月以降のE型。写真のボディカラーは、このとき新色として追加された「プラズマイエローパール」

以上のような魅力を備えているE型e-BOXER搭載グレードの、走行3万km台までの物件の中古車価格は、おおむね下記のとおりです。

●2.0e-L アイサイト 4WD:総額230万~260万円
●2.0e-S アイサイト 4WD:総額250万~270万円
●2.0 アドバンス 4WD:総額250万~290万円

上の表記でいうと“下”に行くにしたがって上級のグレードとなり、装備類は充実していくわけですが、上記の中では最もベーシックな2.0e-Lアイサイトでも基本的な装備は十分に備わっていますし、ベーシックなグレードならではの良さもあります。

そのため「コスパ重視」の章で申し上げたとおり、グレード決め打ちで探すのではなく、「コンディションと価格のバランスが良い個体を、グレード不問で柔軟に探してみる」というのが、ここでも勝利への道となるはずです。

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スバル XV(初代) × e-BOXER搭載グレード × 全国

以上が「パフォーマンス重視」でスバル XVを探す際の基本的なオススメですが、E型になる前のD型、すなわち2019年10月から2020年9月までの「デザインは変わっていないが、アイサイトがver.3からツーリングアシストに進化した世代」も、意外とオススメです。こちらであれば、上で示したE型の価格よりも10万~20万円ぐらいお安く買えることもあるでしょう。

こちらも、併せてチェックしてみることをオススメいたします。

XV▲デザイン変更は受けていないが、アイサイトはツーリングアシストへと大きく進化した2019年10月以降の「D型」。これもなかなかのオススメ世代だ

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スバル XV(初代) × 2019年10月~2020年9月式 × e-BOXER搭載グレード × 全国

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スバル XV(初代) × 全国
文/伊達軍曹 写真/SUBARU、篠原晃一
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。